事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【投票日当日の選挙運動】Instagram,twitterでの動画の注意点は?選挙管理委員会に確認してみた

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投票日当日の選挙運動について

特にSNSへの投稿で禁止にあたらないかを選挙管理委員会に対する聞き取りという形で取材したので整理します。

投開票日当日の選挙運動は禁止されている

まず、投票日当日の「選挙運動」は禁止されています。これは候補者だけでなく、私たち一般人にも妥当します。そして、有権者であるかどうかは関係ありません。外国人も、永住権者も同様です。

twitterやInstagramなどのネット上の行為は?

では、インターネット上の投稿などは、どう扱われるのか?

特に、【動画の投稿】の場合、「選挙運動」にあたる場合とあたらない場合はどのように分かれるのでしょうか?インスタグラムツイッターで候補者の情報が拡散されるようになったので、この点について疑問が湧いてきました。

そこで、直近に選挙があった、仙台市選挙管理委員会、横浜市選挙管理委員会、茨城県選挙管理委員会に問い合わせてみました。

※「選挙運動」とは 、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。なお、別の候補者の落選を目的とした行為、いわゆる「disる行為」についても、特定の候補者の当選を目的としていると認められる限り、選挙運動に該当します。

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https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12996924/www.soumu.go.jp/main_content/000740318.pdf

総務省|インターネット選挙運動の解禁に関する情報

選挙管理委員会という場について

前提として、選挙管理委員会は具体的事例を判断する機関なので、一般的にこの場合には公選法違反にあたる、あたらないという判断はなかなかしてくれません。

 これは、①公選法違反の事例というのがそんなに蓄積しているわけではないということ(特にインターネット上の事例については)、②事前に明確な判断を示してしまうと、違法すれすれの行為を誘発しかねないという考慮が働いている、との説明を受けました。

なので、この記事は選挙管理委員会の懸念を無視しているかもしれません(笑)

が、彼らへの問い合わせを減らし、負担を減らす役割もあるかなと思います 。

投票日当日に街頭演説の動画を投稿する場合

候補者の演説 の動画

       

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  1. 候補者が
  2. 街頭演説している場面を(どっかの会館内での演説も含む)
  3. 動画に撮ってキャプションを付けずに投稿
    ※説明文なしということ。「#候補者名」とかの文言が入ってないもの。

このような場合についてはどうか?

Q1:1人の候補者だけ投稿する場合には「選挙運動」に当たっちゃいますよね? 

A1:「選挙運動」に当たる可能性が高いです。街頭演説は基本的に自己の政策等を訴えるものですから、その場面を動画に撮って投稿するというのは、候補者の政策等を周知する行為にあたるからです。

感想:まぁそうだろうという回答をいただきました。これは後の質問の前段として聞きました。

Q2:では、3人の候補者が居て、3人の動画を比較のために投稿するという場合はどうでしょう?「選挙運動」は、特定の候補者の当選を目的としたものであるから、この場合はOKなのでは? 

A2:それでも、「選挙運動」に当たる可能性がないとはいえません。それぞれの動画の内容次第であり、ここで明確に答えることはできません。

感想:文字での政策比較と異なり、動画は何が映っているかがわからないから、ケースバイケースになるとのこと。確かに、ツイッターインスタグラムなどのSNSでは街頭演説の一部分を切り取って投稿するわけですから、特定の候補者については良い場面を投稿し、他の候補者についてはあまり良いとは思えないような場面を投稿されては、公平とはいえませんよね。

Q3:街頭演説のうち、投票を呼び掛ける行為の場面のみの投稿はどうですか? 

A3:投票を呼び掛ける行為それ自体は「選挙運動」にはあたりませんが、街頭演説の一場面を映した動画の場合、「選挙運動」に当たる余地は完全には排除できません。

感想:なかなか慎重な言い回しでした。やはり、動画は「何が映っているかわからない」ものですから、ケースバイケースになるとのこと。ちなみに、1つの動画が「選挙運動」にあたらないと判断される場合でも、同じ動画を何度も投稿したような場合には、「選挙運動」にあたる余地があるのではないか、ということでした。

応援演説の動画は?

候補者以外の者による候補者への応援演説の場合も、基本的には候補者の演説の場合と変わりません。これもケースバイケースになるでしょう。
※都議選で安倍総理が中村あや候補の応援演説をした際、「こんなひとたち」と発言した場面について放送がありましたが、投開票日当日は投票終了時までは、TV放送はなかったと思います。 

投開票日当日に選挙以外の場面での候補者の動画を投稿する場合

 

        

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  1. 候補者が
  2. 過去の選挙以外の場面で
  3. 選挙に関するもの以外の話題について話している動画を
  4. #ハッシュタグ等で選挙と紐づけて投稿orキャプションをつけずに投稿
    ツイッターインスタグラムに限られず、FacebookなどあらゆるSNSにおいて。

このような場合についてはどうか? 

Q1:過去に選挙と無関係な場面で、候補者が選挙と無関係な内容を話している動画を、「#〇〇市長選挙」などのように特定の選挙と紐づけて投稿するのは大丈夫でしょうか?

A1:明確な回答は控えさせていただきますが、「選挙運動」に該当すると捉えられかねないので「選挙運動」に当たらないとはお伝えしかねます。

感想:選挙に紐づけるワードを載せるということは、それだけユーザーの目にとまりやすいものになるのでよくやります。ただ、そのような効用を狙ってステルスマーケティング的に(もはやステルスではないですが(笑))候補者の動画をUPするのはちょっと危険かなと思います。 

Q2:選挙と無関係な場面で、候補者が選挙と無関係な内容を話している動画を、何らのキャプションをつけずに単に投稿する行為は「選挙運動」にあたるか?

A2:「選挙運動」にあたる可能性を完全には排除できません。

感想:Q1よりは、ややニュアンスが穏当になったものの、これもケースバイケースとのことです。ツイッターやインスタグラムなどの、インターネット上での「選挙運動」にあたるかどうかの判断は、1つの投稿での判断にとどまらず、前後の他の投稿など、総合的に判断される場合もあるということです。

なので、『選挙に無関係な動画だし、特定の候補者に投票を呼び掛ける文章も入れてないから、絶対に「選挙運動」にはあたらず、公職選挙法違反ではないから大丈夫!』などとは決して言い切れないので、ご注意いただきたいと思います。ただ、この場合は「選挙運動」と捉えられる場合は極めて限定されると思います。

ツイッターやインスタグラムでの投稿は控えた方が無難

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結局、はっきりと「こういう場合はダメ」とは言い切れないことばかりでしたね。これはもう、自己責任で判断するしかないでしょう。

 ただ、一般の大人はともかく、選挙権を得たばかりの18歳、19歳の子たちはどうでしょうか?自分で判断することは難しいのではないでしょうか?

なので、彼らを指導する立場にある方は、以下のように伝えると安全かと思います。

  1. 特定候補者の名前が書いてある文章を投稿、UPするのは控えること
  2. 特定候補者が映っている画像、動画を投稿、UPすることは控えること

Instagramの場合 

Instagram(インスタグラム)は若者の利用数が多いため正しく判断できない可能性もあります。また、興味本位で動画をUPする可能性が高いです。さらに、動画も60秒まで時間が増えましたから、演説動画がUPされる可能性は高まりました。

今後は動画の投稿についてより一層注意が必要かもしれませんね。保護者や学校関係者からはより慎重な啓発をする必要があると思います。

Twitterの場合 

なお、ツイッターの場合、ざっくり言えば以下になります。

選挙運動のツイート=リツイート> アウト(公選法違反) ≧ リプライ・いいね

上記はあくまで目安です。「いいね」だけだからといって、絶対に公選法違反にあたらないとは言い切れないということに注意していただければと思います。

ただ、「いいね」が選挙運動にあたるような場合は極めて限定されると考えられる上、捜査機関が行為を把握する物量の関係上無理があります。

よって「いいね」が公選法違反となる場合は凡そ考えられないなとは思います。

これに対して選挙運動にあたるツイートのリツイートは、選挙運動にあたり、公選法違反行為とみられる可能性が極めて高い行為であると考えられています。

なぜなら、リツイートは元のツイートと同じ内容のツイートを含むものであり、それによって新たに別人に対して情報が周知されるものだからです。自分がツイートしたのと同じ文章等が、ツイッターユーザー間で共有されることになりますからね。

自分が作った文章じゃないから大丈夫だ、とういうことにはならないと思います。

*何度もいいますがこれは公式判断ではないので、参考程度にしてください。

※より詳しく知りたい方は、以下の総務省のページが参考になります。botについても記載があるものがあります。

総務省|現行の選挙運動の規制

総務省|インターネット選挙運動の解禁に関する情報

それでは。