事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「二度目の人生を異世界で」まいん氏著作が出荷停止:出版社のホビージャパンと表現の自由

 「二度目の人生を異世界で」のアニメが制作中止となったことに加え、原作者のまいん氏の著作について出版社が自主的発禁措置を取ったことが物議を醸しています。

この件も事実関係が誤解され、混同されているのでまずはそれを整理します。

その上で、表現の自由が護られなくなるという危惧があるのでそれについても言及します。

なお、アマゾン上ではKindleUnlimitedに登録していれば1巻は無料で見られるようになっていますし、Kindle版のダウンロードできるような画面表示になっています。
(動作検証はしていません)

※追記:二度目の人生を異世界で1 (HJ NOVELS)単行本もアマゾン上で購入できるかのような表記になっています(動作検証はしていません)

また、二度目の人生を異世界で 1 (MFC)という安房さとる氏が著者(原作者はまいん氏)の漫画版がKADOKAWA/メディアファクトリーから出版されており、こちらについては未だなんらの影響がないように見えます。 

時系列

  1. 4月中旬「二度目の人生を異世界で」のアニメ放送決定
  2. 5月末頃、原作者まいん氏のツイッターアカウントのツイートが騒がれる
  3. 6月5日、まいん氏の問題とされるツイートが削除され、謝罪ツイートとアカウント停止の意向が示される(←リンク)
  4. 6月6日午前10時、出演予定だった声優4名の降板が一斉に表明される(←リンク)
  5. 同日、アニメ制作側が放送と制作の中止を発表(←リンク)
  6. 同日、出版社のホビージャパンが作品の出荷停止を表明(←リンク)

なお、まいん氏がツイッターを削除し、謝罪をしていることに鑑みて、ここではスクショを晒すことは控えます。

アニメの制作中止について

アニメで配役があった声優数名が相次いで降板を表明しました。

声優の降板の理由は現時点で不明です。

アニメ自体は制作委員会が制作しており、ホビージャパンとは別主体であるため、小説の出荷停止措置との関連性は不明です。出荷停止措置の理由とは異なる理由で制作中止をした可能性もありますが、現時点で情報がないので踏み込みません(声優が4人も降板を表明したことが理由だとは思いますが)。

「二度目の人生を異世界で」の出荷停止措置の理由

出版社のホビージャパン(HJ)が原作ライトノベルを出荷停止をしたと報道されています。

ホビージャパンの見解の表明

同社HPの「HJノベルス『二度目の人生を異世界で』に関しまして」においては、以下の認識が表明されています。

  1. HJノベルス『二度目の人生を異世界で』に関して作品中の一部の表現が多くの方々の心情を害している実情を重く受け止めた
  2. 作品の内容とは切り分けるべき事項だが、別だが著者が過去に発信したツイートは不適切な内容であったと認識

これらは出荷停止の理由として明示されたものではないですが、1番目は出荷停止の理由の一つであるとしか思えません。

ただ、2番目は出荷停止の理由と関係があるのかどうなのか、不明です。単に認識を表明したに過ぎない可能性もあると思われます。現時点では断定できません。

まいん氏の問題とされるツイートは、「姦国の猿はほんとにシツケが悪いなぁ」「虫国のBBA」「蟲国の侵略行為は正当防衛とかぬかしてるぞ」などです。

HJは「ヘイト」だったから出荷停止をしたのか?

ここで、日本のメディア(特に朝日新聞)は「ヘイトや差別があったから」出荷停止したと断じています。

しかし、ホビージャパンの担当者はツイートに対する認識を問うた朝日新聞の取材に「差別を助長する意図はなかったが、表現的に無視ができない内容だった。多くの人の心情を害したと認識している」と述べています。

したがって、HJとしては、少なくとも著者のまいん氏のツイートが「差別やヘイトにあたるから」という認識ではないということが伺えます。

では、作品の表現はどのようなものだったのか?

これは中国メディアの記事等からうかがえます。

中国メディアが報じた「在异世界开拓第二人生」

「二度目の人生を異世界で」が中国で炎上している様子を詳細に論じているメディアがあります。

【环球网国际新闻(http://world.huanqiu.com)】

こちらのサイトでの言及のされ方は以下です。

  1. 主人公が殺害したのは中国人であると言える
  2. 中国人兵士の大量殺害を賞賛するとは反人間小説だ
  3. 当該作品は中国で多く流通していたが問題視されて読者が離れた
  4. フィクションだとしても手塚治虫基準に照らして許されない

それぞれについて突っ込みどころはありますが、記事全体を通して分かるように、どこにも「人種差別だ」とか「ヘイトだ」という論調はありません。「第二次世界大戦を美化するな」「南京虐殺や100人切りを想起させるもので不快である」という論調です。

つまり、日本のメディアが報じるような「ヘイトや人種差別だから出荷停止した」というのは、中国の反応をもってしても言えないということになります。

(仮にそう言えるとして)戦争を美化することや(戦闘行為とはいえ)大量の殺害を誇る行為を美化することと、ヘイトとは結びつきません。

ちなみにこのサイト、グーグル翻訳の中国語(簡体)で翻訳すると驚くほどきれいな日本語に訳されます。

全文載せるのは著作権的にアウトなので、ぜひとも各人が翻訳して読んでみてほしいです。

中国メディアで問題であるとされた表現

そして、具体的に問題であると指摘された表現は、主人公に関する以下のような文章です。

「二度目の人生を異世界で」の出荷停止

15歳で武者修行のために中国大陸に渡った。殺害人数は912人

その後、世界大戦に従軍、従軍期間中の殺害数は3712名

それを賞賛するようなコードネームがつけられる

生涯殺害数5730名

「中国大陸」に渡った後に「世界大戦」に従軍したという点、そして、漫画では主人公が来ていた服が旧日本軍のものであったことや主人公の年齢などから、中国での戦闘行為で中国人を大量に殺害したことを賞賛している内容である、けしからん、というわけです。

ファンタジーに対して何を言っているのか?と思うのですが、これを「中国での殺害を言っているのではない、デマだ!」と言うのは馬鹿バカしいですね。そう捉えることも十分可能。その上で、そう捉えた上での評価がおかしいという話です。

ヘイト・ヘイトスピーチ、人種差別の定義について

人種差別撤廃条約上の「人種差別」については上記にまとめてあります。

ヘイト規制法上の「ヘイトスピーチ=本邦外出身者に対する不当な差別的言動」は、デフォルメして言えば「一定の特定された個人や集団に対して地域社会から排除することを煽動する権利侵害行為」です。

これに対して、一般用語としてのヘイトスピーチはもっと広い概念であり、法務省も「明確な定義はない」としています。「差別」とも違います。ただ、差別とヘイトはしばしば同義として使用されている面があります。

公約数的な意味としては、特定の集団に対してその集団の属性を理由として何らかの危害を加える旨を告知したり、差別意識を助長したり、地域社会から排除する言動であると言えます。日本語の表記の通り、「憎悪表現」というものから離れた表現は、ヘイトではないと言えるでしょう。

「ヘイト」という言葉に明確な定義がないため、フェイクメディアは何かが起こると「ヘイトであるという評価」を加えて論じることが多いです。「ヘイト利権」と作るために躍起になっているのが伺えます。

今回の作品中の言及は、現実の中国人に対する憎悪を助長するような表現であるとは言えません。よって、法的な意味においても、一般的な意味においても「ヘイトスピーチ」が作中に含まれているとは言えません。

なお、まいん氏の問題とされるツイートは、法的な意味での人種差別やヘイトスピーチではありません。ただ、一般的な意味におけるヘイトスピーチと捉えることは可能であり、日本人の私が見てもこのような論評の仕方はいかがなものかと思うものでした。特に全世界に顧客を抱え得る日本のアニメの原作者の言動としてはいささか不注意であると言えるでしょう。

ソンミ氏について

ツイッター界隈では、なぜかソンミ氏(@SonmiChina)がツイッターで拡散した結果、支那人の怒りに火をつけたという因果関係が論じられていますが、時系列的に無理であり、事実と異なります。

今は削除されていますが、ソンミ氏がこの件を最初に取り上げたのは5月31日です。

再掲しますが、以下のサイトは5月30日にUPされています。他のサイトはそれ以前にUPされています。

この記事の中で既に中国のネチズンの間で騒がれていたということが記述されていますから「ソンミ氏が中国の世論を煽った」ということにはなりません。

ただ、こちらでは特定の文言で検索をかけたものをスクショに撮ったものをわざわざツイートしていることから、日本における議論の一定の方向付けはしていると言えるでしょう。

小括

  1. 「二度目の人生を異世界で」は小説版とマンガ版がある、出版社は別
  2. 今回出版停止となったのは現時点では小説版のみ
  3. 小説版の作品の内容が中国で問題視された
  4. 作者のツイートの内容が問題視された
  5. 小説版の出版社であるホビージャパンが出版停止した理由は現時点で不明確
  6. ホビージャパンも中国メディア・世論も、「ヘイト・人種差別だから」問題視したのではない
  7. 「ソンミ氏がデマを拡散した」「ソンミ氏が中国世論を焚き付けた」というのは無理がある

まずはこの事実関係の把握が基本です。

表現の自由の問題

さて、本件は「表現の自由を脅かす事案」であると言えます。

ただし、直接に憲法21条1項の表現の自由が問題になる事案ではありません。

憲法問題の適用範囲外

公権力側が国民の保護範囲にある権利利益を侵害する場合に憲法違反の話となります。

出版差し止めが可能となる基準について判示した判例で本件と近いのは、人格権に基づく請求によって流通していた小説の販売の差止決定をした「石に泳ぐ魚」事件の最高裁判決です。

しかし、今回は私人であるHJという当該作品の出版社たる企業が自主的に出荷停止をした事案であり、国家機関たる裁判所に対して差止めを求めたり裁判所が差止めをした事案ではありません。

本件の場合は、HJと著作権者のまいん氏との間の出版契約の問題です。

両者の間でどのような出版契約が交わされているのか?という点が不明確な以上、これより踏み込んで論じることはできません。

ただ、一般的には過去作品も含めた出版停止は異例であり、まいん氏側は何らかの請求ができそうな気がします。もっとも、まいん氏側は作品の修正による出版再開を目指していることをツイートしており、現時点では出版社側と争うことはしない方針のようです。

出荷停止の是非

従来、出版社は具体的個人の名誉毀損表現があるなど、よほどのことが無い限り表現の自由を守るために差止め要求には応じないという姿勢であるのが一般的でした。

更に、不適切な表現があったにしても、それは18巻にも渡るまいん氏の作品の一部のページの中の話です。その表現が不適切であるというならば、他の全ての巻の出荷停止をする必然性はありません。ここに、作品外のツイートを問題視していることの影響があるかもしれません。

しかも、今回出版社が問題視したのは5年前のツイートの発言内容です。過去の発言を取り上げて出荷停止判断において考慮したとすれば、おそらく初めての事例です。

なので、今回のホビージャパンの対応は異例のものとして受け止められています。

今回、作品やツイートによって誰か特定個人や団体の具体的な権利が侵害されたということは全くありません。それは既に示した作品の内容やツイートの内容からも明らかです。にもかかわらず、なぜHJはこのような対応をしたのでしょうか?

商売上の経営判断にかかわる話であると思われるので踏み込むのは避けますが、仮に「外国人や利権団体からの圧力に屈した」というのであれば、会社内部の判断の問題として片づけてよいものではないと言えます。

その場合は、昨年6月に一橋大学の学園祭で予定されていた百田尚樹氏の講演が中止になった事案と類似した事態と見ることが可能です。この件では、学園祭の主たる参加者ではない大学院生たる梁英聖の反対運動や、学外の者による圧力の影響がありました。

以下の記事では「苦情などの問い合わせは来ていない」とあります。

すると、「外部からの圧力」の可能性があるとすれば、一担当者レベルではなく経営陣レベルへのダイレクトな働きかけが考えられます。その場合は事実そのものを隠すでしょうね。ネット上では既にそのような情報もありますが、不確定です。

他にも中国ネットで大使館への通報呼びかけがあったようですが、今回の事に何か影響を与えたと直ちには言えません。

出版社の価値

本件は出版業界全体の存在意義が問われる事態に発展しかねない要素を含んでいます。

漫画家や絵師は出版社を通して出版した紙の本の印税収入が主な収入源であるのがこれまでの常識でした。

しかし、ポプテピピックで有名になったまんがライフWINなどのWEB漫画サービスがあり、さらにはnoteなどのWEBサービスを利用して個人が「出版」することが容易になっています。

このように、ニュースサイトやブログ掲載サービスを通さなくても、個人で簡単に記事を「販売」することが可能です。漫画も同じことができます。

もしも出版業界が作者の作品を簡単に出荷停止するという態度で、作者を守らない姿勢であるというなら、作者は自分で出版する方向に舵を切るでしょう。そのような世の中になれば、出版業界そのものが大打撃です。ホビージャパンの判断は、このような流れを誘発しかねないという危険性を孕んでいると言えます。

まとめ

  1. 本件は直接的には表現の自由という憲法上の権利の話というよりは、HJ社と著作権者まいん氏の間の出版契約の問題
  2. 当事者の出版契約の中身は分からないので、出版社の行為が違法かどうかは判断がつかないため、踏み込まない
  3. ただし、「二度目の人生を異世界で」の出荷停止の本当の理由が「圧力」であったなら表現の自由を揺るがす問題であるとともに、出版業界の存在意義が問われる話になる

本件で重要な動きがあればまた言及しようと思います。

以上

弁護士への「大量」不当懲戒請求:余命信者と佐々木・北弁護士の和解の論点

 

f:id:Nathannate:20180607003621j:plain

弁護士に対する「大量の」不当懲戒請求事案が発生し、一部の弁護士が懲戒請求者に対して訴訟予告をしたことで様々な議論がネット上で湧き上がっています。

しかし、未だに事実を把握しないで混乱したまま議論がなされている事に加え、法的素養や体系的知識の無い者がいいかげんな事を言っているので、状況は混乱してきたとも言えます。

この記事では不当懲戒請求事案の事実の概要と各所で論じられている論点について簡潔に紹介することを目的にします。

「大量の」懲戒請求事案の大枠

余命信者の弁護士への大量不当懲戒請求

弁護士への「大量の」懲戒請求事案の概要図

ある一つのブログによる懲戒請求の呼びかけがきっかけで、現時点で全国の弁護士会に約13万件もの懲戒請求がなされています。

ここでは全ての懲戒請求を網羅するのではなく、最も有名な佐々木・北弁護士の事案をはじめとして、ツイッター上で引き合いに出されることの多い弁護士の事案を紹介するにとどめます。

「余命三年時事日記」というブログが呼びかけた懲戒請求事由

「余命三年時事日記」(以下、余命ブログ)において、懲戒請求が呼びかけられたのが事の発端です。このブログは「余命三年」と謳っていますが、初代のブログ運営者の方が既にお亡くなりになられており、現在は二代目、三代目Aときて「三代目B」が運営しているとされています。氏名等は伏せられていますが、年齢は70歳くらいと言われています。

「憲法上認められない朝鮮学校への補助金支給を要求する声明を弁護士会が出したことに関与したこと」

これが一連の懲戒請求の発端となった懲戒事由です。事実経過の概要は以下です

  1. 日弁連をはじめ、各単位会(東京弁護士会や神奈川県弁護士会)が朝鮮学校への補助金停止に関する非難声明を出した
  2. 「余命ブログ」において上記声明が問題視され、懲戒請求の呼びかけがなされた
  3. 各弁護士会に対して①個別の弁護士に対する懲戒請求、及び②それとは別個に弁護士会に所属する弁護士全員の懲戒請求を求める申立が多数(別個の個人から960通)なされた
    ※佐々木弁護士に対しては3300件
  4. 懲戒請求の対象となった弁護士のうち、懲戒請求が不法行為であるとして懲戒請求者に対して訴訟提起、或いは訴訟予告と和解提案を行った

東京弁護士会に関しては余命ブログのこちらのページが確認できます。
魚拓:http://archive.is/8S3uc
ちなみに当該ブログでは検索窓がありますが、現時点で複数語での検索には対応していません。

今回の大量の不当懲戒請求事案の把握で注意すべきは以下の点です。

  1. 朝鮮学校への補助金支給声明を出した、或いはそれに関与した事が懲戒事由になるかどうかは現時点で不明
  2. 弁護士会の宣言に弁護士が関与したのかを検証していない者が多い
  3. 朝鮮学校への補助金支給声明を理由とした懲戒請求ではないものが多く含まれている

紹介する各弁護士に対する懲戒請求では、目を疑うような懲戒請求書が出てきます。

なお、弁護士会に所属する弁護士全員の懲戒請求については、各弁護士会が綱紀委員会による手続を進行させないということを決定しています。

日弁連大量懲戒請求への声明

https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171225.html

朝鮮学校への補助金支給について

憲法89条において、公金は公の支配に属しない事業に支出等をしてはならないと定められており、朝鮮学校は「公の支配に属しない」ため、朝鮮学校への補助金支給は違憲ではないか?と言われています。

ただ、これまで朝鮮学校に補助金が支給されていたものを支給停止とする措置が取られたこと、補助金の支給権限は国ではなく自治体にあり、自治体が補助金を支給しないとするのは違憲ではないが、補助金を支給することが違憲・違法になるものではないのではないか?という反論がなされています。

実は、普通の私立大学への補助金支給についても同様の問題点が指摘されています。

要するに、現時点で朝鮮学校への補助金支給が違憲・違法かどうかは確定していないということです。

東京弁護士会の佐々木亮、北周士の2人の弁護士への不当懲戒請求

余命信者の佐々木亮弁護士への大量不当懲戒請求

余命信者の佐々木亮弁護士への大量不当懲戒請求

佐々木亮(ささき りょう)=ささきりょう@ssk_ryo

北周士(きた かねひと)=ノースライム@noooooooorth

2人とも東京弁護士会の朝鮮学校への補助金支給提案には関与していません。

「関与していないという証拠を出せ」という人は一度これを読んでください 

佐々木・北両弁護士への懲戒請求の顛末

こちらのツイートに連なるリプ欄で事情が紹介されています。

北弁護士に関しては、佐々木弁護士のツイートに賛意を示したことを理由として懲戒請求がなされています。それがこちら。

以上より、佐々木・北弁護士への懲戒請求事案の概要は以下です。

  1. 余命信者が、佐々木弁護士に対して、弁護士会が朝鮮学校への補助金支給要求声明を出したことに関与したとして懲戒請求書が送付された(事実は、佐々木弁護士は関与なし)
  2. 佐々木弁護士が懲戒請求について根拠がないとするツイートをした
  3. 北弁護士が上記ツイートに対して賛成のツイートをした
  4. 余命信者が、北弁護士に対して、佐々木弁護士のツイートに賛意を示したことを懲戒事由とする懲戒請求を為した
  5. その他、意味不明な内容の懲戒請求書が送られる

要するに両弁護士は「完全なる被害者」であるという事が大前提ということになります。

後述しますが、不当な懲戒請求に対して不法行為であるとして訴訟を提起するのは判例上も認められています。 

提訴予告

現時点(2018年6月7日)ではまだ提訴していません。

提訴は6月末を予定しており、和解をする場合には訴訟を提起しないということ。

和解条件は弁護士一人あたり5万円=10万円の慰謝料相当の金額を支払えというもの。

この二人の弁護士の言動については様々な議論が行われているので改めて後述します。

東京弁護士会の小倉弁護士への不当懲戒請求

余命信者の小倉秀夫弁護士への大量不当懲戒請求

上記画像で示した小倉弁護士への懲戒請求書の一例はこちらです。

小倉弁護士もまた、朝鮮学校への補助金支給要求声明とは全く無関係です。

彼も同様に不当懲戒請求者に対して訴訟予告をし、和解提案をしています。

小倉弁護士の提案する和解金額は一人10万円です。

細かい和解条件はこちらにUPされているひな形で確認できます。
魚拓はこちらこちらです。

この和解条件についても疑問点はありますが、ここでは触れません。

神奈川県弁護士会の神原元弁護士への懲戒請求

ブログ記事のタイトルと異なり、この見出しには「不当」という文字が入っていないことに注意していただきたいです。

弁護士神原元@kambara7。懲戒請求の内容は以下のような文言です。

「違法である朝鮮学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず当会でも積極的に行われている二重、三重の確信的犯罪行為である」
魚拓:http://archive.is/DX4sS

これに対して神原弁護士は「少なくとも朝鮮学校補助金要求に関連して違法行為をした事実はまったくない」「存在しない事実について、あえて懲戒請求を申し立てていたことが明らかだ」としています。

現時点で、被告数や請求額などは明らかにされていません。

こちらは既に提訴済みです。弁護士会は綱紀委員会が懲戒不相当の決定をしています。 

こちらも訴訟前に和解提案をしていたようですが、条件は不明です。

このように、神原弁護士に関しては、彼は朝鮮学校への補助金支給に賛同していることから『懲戒事由が全くの事実無根』という事案ではないことがわかります。

朝鮮学校への補助金支給を求める言動が違法かというと、表現の自由があるので違法ではないです(断言)。それが弁護士として或いは一般的な話として適切な言動かどうかはともかく。

ただ、神原弁護士が言うような「存在しない事実について、あえて懲戒請求を申し立てていた」と言えるものかどうかは私は疑問です。「違法」は評価の問題ですからね。

ネット上で懲戒請求者に対して訴訟提起した弁護士が叩かれているのは、神原弁護士の事案と混同していることが往々にしてあるので注意すべきです。

その他の弁護士への懲戒請求

札幌弁護士会の猪野亨弁護士に対して懲戒事由として請求された事実は「言論の自由を逸脱しており、国策を害する発言である」というだけでのものであり、最高裁判例の基準に照らせば不法行為になります。

猪野弁護士は、懲戒請求者に対する訴訟提起はしない方針です。

全国13万件もある懲戒請求事案ですが、弁護士によって対応方針は様々なようです。

神奈川県弁護士会の嶋崎量弁護士も佐々木弁護士のツイートに賛意を示したことが懲戒理由として591件の請求を受けています。

懲戒請求者に対する訴訟宣言をしたことが懲戒事由だとして第二次懲戒請求も受けています。

大量懲戒請求を受けた弁護士の紹介についてはこの辺りに留めます。

懲戒請求が不法行為となる場合についての最高裁判例

最高裁は、弁護士への懲戒請求そのものが不法行為となる場合があることを認めています。不法行為となる要件についても判示しています。

最高裁判所第3小法廷 平成17年(受)第2126号 損害賠償請求事件 平成19年4月24日

「懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である。」

今回、朝鮮学校への補助金支給要求声明に関与していない弁護士(佐々木・北・小倉、各弁護士)に対する懲戒請求は、この要件に当てはまります。

なお、この判例を「過失」について述べたものと捉えたり、佐々木・北・小倉、各弁護士に対する懲戒請求は故意が無いなどと言っている者は衒学者なので無視します。

ささきりょう・ノースライム両弁護士の事案について

両弁護士の発言・行動については各所から批判がなされました。

一般人の懲戒請求者相手の訴訟提起そのものについて

橋下さんはこう言ってますが、こういう場合はどうでしょうか?

【一般人たる反日外国人が、保守派の弁護士に対して大量に不当懲戒請求を行った】

「一般人だから許される」という論は、この結論を受け入れざるを得ないということになります。たとえば支那で日本人の個人情報が大量に売買されていますが、日本人の個人情報を悪用した大量の不当懲戒請求も可能になるということになります。

これはどう考えてもおかしいので、この論に乗っかっている人は橋下さんに甘えているだけです。橋下さんは自らも弁護士なので、弁護士に対して自律を促すための表現だったのかもしれません。

弁護士である以前に、一人の人間です。訴訟を提起する権利は何人にもあるのであり(憲法32条)、それを弁護士だからと言って制限することは無理があります。

また、橋下さんの意図・目的は弁護士会の仕組みの改善なので、上記の意見は単なる議論のきっかけに過ぎないものだと受け止めています。他の観点について橋下さんのこの件に関する批判は傾聴に値します。

橋下さんは、『弁護士の負担は弁護士会の手続によるものだから、弁護士は弁護士会を訴えるべきで、懲戒請求者を訴えるのは妥当ではない』という趣旨の主張もしています。

判例とは異なる見解ですが、制度論としては十分あり得るものです。

なお、「訴訟予告そのものが問題である」と言う者は、一度冷静になって頂きたい。

いきなり訴訟を起こされるのと、その前に和解条件を提示して心の準備をさせることのどちらが嫌なのか?

請求額や和解金額が過大であるという指摘

こちらについては弁護士の中でも見解が分かれています。

相反する視点が2つあります。

  1. 賠償額は弁護士が受けた損害(実損と慰謝料)を填補するための範囲にとどまるのではないか
  2. 損害の填補だけでは不法行為者=懲戒請求者の負担が低額になってしまい、将来の不法行為の抑止の観点からもよくないのではないか?

この論点は難解なので、別途記事を書く予定です。

私は、弁護士には弁護士自治が認められていることから綱紀委員会が濫訴の防止の機能を果たすはずなのに、それを怠っているのではないか?という点から請求額が妥当かどうかを考えていきます。

訴訟提起に当たってカンパを募った点

神原弁護士のツイートは自身の事案についてのものですが、彼をして、カンパを募るのは十分な検討が必要、という認識であるということです。

カンパが「品位を失うべき非行」という懲戒事由にあたるかは議論の余地があります。

弁護士会の懲戒手続の仕組みについての批判

弁護士会は懲戒請求があった場合、申立書の写しを対象弁護士に交付しています。

このようなフローが個人情報保護法や公益通報者保護法の理念・精神に反するのではないか?というのが小坪慎也さんの問題意識です。

個人情報保護法違反になるかというとかなり疑問ではありますが、このような制度が好ましいかどうかという議論はあってしかるべきだと思います。

まとめ

  1. 佐々木・北・小倉弁護士は朝鮮学校の補助金支給要求声明と全くの無関係
  2. 佐々木・北・小倉弁護士は「被害者」であることが大前提
  3. 弁護士各人の事案はそれぞれ微妙に異なるため、安易に論じてはいけない。特に神原弁護士の事案と混同しないように。
  4. 一般人たる懲戒請求者に対する訴訟は許されないという論は、反日外国人による保守派弁護士への攻撃を許容する暴論

事実が整理されないで誤解・混同されたままいいかげんな事を言っている者が居るので注意しましょう。

各弁護士の懲戒事由とされたものは何なのか?各弁護士は懲戒事由に掲げられた行為を行ったのか?この事実を認識した上で、建設的な議論をしていくべきです。

※追記:違法適法・弁護士の品位・当不当の問題

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懲戒請求の問題について論じる場合、上記画像の3つの次元の話を切り分けて考えると議論が整理できます。ある行為について「問題だ」と言うとき、それはどのレベルの話なのか?無自覚なまま論じると議論がかみ合わなくなることがあるので気を付けましょう。

違法か適法かの次元

1番目の「違法か適法か」の議論は弁護士、懲戒請求者、弁護士会の各主体において論じられる話です。端的に法律の規定に反する行いをしているかどうかの話です。

ただ、「その行為は違法だとしても妥当である」という議論をしたい場合にはそれなりの根拠が求められるということになります。

弁護士の品位を失うかの次元

2番目は弁護士個人に特有の話です。ある行為が違法として損害賠償をくらったり刑罰を受けたりするまでは行かないにしろ、弁護士法に定められる懲戒事由には該当するのではないか?という議論の話です。

「違法であれば弁護士の品位を失うと言える」と一応言えると思います。

「違法だが、弁護士の品位を失うとは言えない」「弁護士の品位を失うが妥当」という領域があるのかどうか、私は知りません。

ここの議論は必ず通過しなければならない、というわけではありません。無視して1番目から3番目の次元の議論に移っても問題ありません。

妥当か不当かの次元

3番目は、1番目と2番目のフィルターをクリアして、現行法の枠組みの中では問題ないということになったとしても、「あるべき理想」から考えた場合にどうか?という議論の枠組みです。「立法論」「制度論」の話とも言えます。

このレベルの話は現行法には無いルールを適用すべき、あるいは結論を変えるべきという話ですので、現行法では義務のない行為を求めたり、違法となる行為を適切であると言及したりすることができます。

この枠組みを提示した理由

ツイッターなどで往々にして議論のすれ違いが起こるのは、この議論の次元がずれている場合が多いからです。

このズレは誰かに問題がない場合が多く、お互いに立場を明示することで不毛な言い争いは減ると思います。

弁護士の懲戒請求についてはそれなりに多くの一般人も論じ始めているので、建設的な議論をするために上記枠組みを意識して頂ければと思います。

以上

『朝日新聞が「隠蔽目的で」首相動静記事を削除』は不合理:KSL-Live!の分析を補強する

f:id:Nathannate:20180524001112j:plain

朝日新聞の2015年2月25日の首相動静記事が削除されている事に関して。

削除されていることはその通りですが(別の場所に移動)、「隠蔽目的で」削除されているという可能性は非常に低いです。

ネット上で「隠蔽目的」では?との指摘があり、有名な媒体としてはnetgeekやShare News Japanがその結論を前提に記事を書いたため、それらをSNS上で各人が引用したことで更に拡散されました。

しかし、KSL-Live!の検証によって、隠蔽目的で削除されたという可能性は非常に低いということが明らかになりました。

更に、netgeek以外にもツイッター上で証拠のWEB魚拓なるデマが再拡散されており、こちらは完全に捏造デマだということがKSLの検証によって明確になりました。

なお、他にも「B」を頭文字にするネットメディアが「意図的隠蔽」はデマだとする記事を書いてますが、KSLに後れること半日以上であり、証拠を示しているようで全く説明になってないものでした。

この記事はKSLの検証の補強をする後追い記事ですが、今後私たちがネット上の情報の扱いについてどのように注意していけばよいのかを整理していきます。むしろこっちが本編。 

KSL-Live!の検証の概要

上記の記事の概要は以下です。

  1. 21日夕方に「愛媛県の新文書」報道がなされる。
  2. ネット上で首相動静との比較対照が行われるが、情報源は首相動静をまとめていた個人ブログ
  3. 各所が情報源としている個人ツイート主は朝日新聞の2015年2月26日の記事は22日朝まで見れたと主張
  4. しかし、今日に至るまで、他に有力な証言者が存在しない
  5. その後、情報源の個人ツイート主が「証拠のWEB魚拓」なるものを同志が保存していたとしてUP
  6. しかし、そのWEB魚拓が捏造であることをKSLが検証

この辺りは詳しくはKSLさんの記事を参照してください。

朝日新聞が「隠蔽目的で」削除したのはデマなのか? 

netgeek、ネットギークの首相動静デマ

出典:netgeek.biz/archives/118939:時事事件の報道のための利用

この判断は私はKSLさんとは若干異なりますが、「そのような目的で最近削除した可能性は非常に低い」とだけ言っておきます。その理由は以下です。

  1. 最近の魚拓が存在しない
  2. 5月22日まで見れたと言う者がツイート主のみ(他の証言者も居ることには居るが、ツイート主にリプライをつけるだけで質問に答えず信憑性なし)
  3. そのツイート主が証拠として挙げたWEB魚拓が捏造
  4. 動機の欠如:朝日新聞自体が、当日の首相動静には安倍総理と加計孝太郎理事長が面会したという情報は無いという趣旨の記事を書いているため、首相動静の記事を消す理由がない
  5. 効果の不存在:朝日新聞の紙媒体では首相動静は残っているため、わざわざWEB上の情報だけ消しても証拠隠滅の目的が達成できない
  6. 朝日新聞の過去記事は約1年で自動削除となるものがほとんどであり、一部は残っているとしてもそれは例外であって、最近の記事が削除されていないと言う理由にはならない

ただし、本当にツイート主は削除前の記事を見たかもしれず、最近になって朝日新聞の担当者が削除されていないことに気付いて手動で削除したかもしれません。この可能性は極々低いですが残ります。

Share-News-Japanの朝日首相動静記事

出典:https://snjpn.net/archives/52328:時事事件の報道のための利用

しかしながら、原則としては「隠蔽目的」で朝日新聞が削除したと言う者が証拠を提示するべき状態なので、現状ではデマと呼んでもよい情況であると言えます。

なお、特設ページに移された首相動静は過去のものでも閲覧可能であることが分かっていますが、今回とは無関係です。

「証拠のWEB魚拓」という捏造デマ

f:id:Nathannate:20180524005048j:plain

こちらのarchive.todayが提供しているarchive.isの魚拓が「証拠のWEB魚拓」とされたものです(URL=http://archive.is/xYgkP)。

証拠のWEB魚拓はなぜデマなのか

右上の保存日時が2018年5月21日となっていることから、最近まで見れたのではないかと言われていますが、KSLさんが指摘するように完全なる捏造デマです。

まず、「原本」とあるhttps://www.asahi.com/articles/ASH2T677VH2TULFA02T.htmlこちらのURLが現在は削除されている朝日新聞の元のURLですが、右側を見ると2015年8月14日の保存となっています。注意してほしいのですが、こちらは上記の画像の魚拓元ではありません。

上記の画像の魚拓元は、赤枠の一番上のhttps://web.archive.org/web/20150814215204/https://www.asahi.com/articles/ASH2T677VH2TULFA02T.htmlというURLです。こちらのページは、Internet archiveが提供しているWaybackMachineというWEB魚拓です。

つまりはこういうことです。

  1. 2015年8月にWaybackMachineで魚拓が採られた
  2. 2018年5月にarchive.isでWaybackMachineのページが再度魚拓をとられた

要するに、「魚拓の魚拓」を見ているということになります。

そもそも、このページの上部にURLが3つも並んでいるのは異常です。

通常は1つの元URL(原本URL)しか表示されません。

なお「UTC」は「協定世界時」を指し、日本時間の「JST」より9時間遅い時間帯です(要するにイギリスのグリニッジ基準)。なので、上記の表示時間に9時間を足したのが日本時間での魚拓を取った時間です。

朝日新聞デジタルのサイトデザインが変更されている

そして、次の画像の緑枠を見ていただきたい。

f:id:Nathannate:20180524012250j:plain

これは2018年5月23日に魚拓を取った別の記事(http://archive.is/jEFVV)のものです。

「新規登録」「ログイン」「メニュー」という表示が、最初に示した魚拓と異なっていることに気が付きます。この部分は記事にかかわらず朝日新聞デジタルのページで統一された表記になっています。

f:id:Nathannate:20180524012735j:plain

こちらはまた別の記事https://archive.is/LU2sd:元URL=https://www.asahi.com/articles/ASL385T4VL38UTIL03N.html)ですが、2018年3月9日に魚拓をとったものです。森友文書の記事です。

5月23日にとった魚拓と同じ表示になっていますね。

つまり、5月21~23日の間にサイトデザインの変更があった可能性はゼロです。

よって、証拠のWEB魚拓とされたhttp://archive.is/xYgkPの魚拓と上記2つの魚拓には時間的な隔たりがあるということがこれで明確になりました。

したがって、証拠のWEB魚拓とされたhttp://archive.is/xYgkPは、22日朝まで2015年2月25日の首相動静が書いてある26日の記事が削除されていなかったことを示す証拠にはなり得ないということが分かります。

さらに、このような証拠は意図的に作られたということも明らかになりました。

ソーシャルランキングについて

朝日新聞の首相動静

これは先ほどの証拠とされたWEB魚拓http://archive.is/xYgkP)のページ下部ですが、ソーシャルランキングの欄を見ると、「万引き家族」の記事があります。これは今年春にパルムドールを受賞したドラマ映画ですから、最近になって保存されたものではないか?と思う人が出てきています。

しかし、注目すべきは、他のところです。アクセスランキングにはあの野々村氏の話題や安倍首相の戦後70年談話など、明らかに2015年の話題がランクインしています。

要するに、ソーシャルランキングが現在の話題だからと言って、魚拓が現在取られたと言うことはできないということです。

なぜソーシャルランキングの表示だけ異なっているのか?

朝日新聞の首相動静

こちらの魚拓は上記で示した森友文書の記事のページhttps://archive.is/LU2sd(元URL=https://www.asahi.com/articles/ASL385T4VL38UTIL03N.html)で、2018年3月9日(UTCでは8日)にとられたものです。アクセスランキングとソーシャルランキングは当時のものになっているのがわかります。

ここで疑問なのは、なぜ「証拠のWEB魚拓」とされたhttp://archive.is/xYgkPでは両者は異なっていたのか?ということ。

以下の森友文書の記事のページのWaybackMachine上のスクショ画像がヒントではないかと思います。

f:id:Nathannate:20180524020242j:plain

森友文書の記事のページをWaybackMachineで魚拓を取ると(URL:https://web.archive.org/web/20180308203746/https://www.asahi.com/articles/ASL385T4VL38UTIL03N.html)、アクセスランキングとソーシャルランキングはこのような見え方になります。

元URLはhttps://www.asahi.com/articles/ASL385T4VL38UTIL03N.htmlで同じなのに、ソーシャルランキングの見え方は2018年5月23日に話題になっているものになっています(アクセスランキングも若干違っているのは、魚拓が取られた時点が若干異なるからです)。

要するに、archive.isとは異なり、WaybackMachineの魚拓では、ソーシャルランキングは現在のものを参照するということです。

なので、「証拠のWEB魚拓」とされたhttp://archive.is/xYgkPでは、このWaybackMachineの魚拓上のソーシャルランキングの表記を魚拓として保存されたということではないでしょうか?

このあたりの仕組みについては明確には言えませんが、事実からはこのような推測が十分に可能でしょう。

小括

  1. 朝日新聞が「隠蔽目的で」首相動静の記事を削除したというのは、現時点ではデマと言ってよいが、そうではない可能性は理論上は残っている
  2. 証拠のWEB魚拓とされたものは、100%捏造デマ

今回の件によって、ネット上で「証拠」とされているものの信憑性判断について教訓を得ました。

ネット上の情報の証拠の信憑性判断

f:id:Nathannate:20180524005048j:plain

既に示しましたが、このような表記は明らかに異常です。

アーカイブ元のURLとして3つも表示されることは通常はありません。

このような魚拓が出された場合、信憑性は無いものとして扱うべきでしょう。

なお、WEB魚拓ではなく、通常の魚拓、いわゆるスクリーンショットについても、注意が必要です。

スクリーンショットも100%信用していいかというと、そうではないということです。おそらく改ざんの痕跡は残るのでしょうが、それを見抜ける人がどれだけいるかという話ですね。

このような可能性を考えながら、情報は精査していかなければなりません。

バイラルメディアについて

今回、バイラルメディアと呼ばれるサイトが安易な結論を元に報じていましたので触れざるを得ません。

バイラルメディアとは

バイラルメディアとは、普通のニュースサイトとは別の観点からの定義づけがなされているサイトを表す用語です。

通常のサイトは基本的に「検索流入」によるアクセスを主目的に記事を書きます。

しかし、バイラルメディアは「SNSからの流入」によるアクセスを主目的にする ものです。ここが違いであり、「このサイトはバイラルメディアだ」と言い切るのが難しい場合もあります。
※「まとめサイト」は基本的に検索流入を目指しているというのが一般的ですが、実態はよくわかりません。

SNS拡散による流入を目指すので(「バズ」を起こそうと意図的に行動している)、必然的にショッキングな映像、画像、キャッチーなタイトルや内容になる傾向があります。

ほぼ独自取材や分析がなく(一部あるが)、ネット上に「落ちている」情報を拾ってつなぎ合わせて記事を作成していることがほとんどです。

報道機関ではないバイラルメディア

もう一つの問題として、多くのバイラルメディアは、さも報道機関かのように錯覚するような体裁・デザインのものがあるということです。そのようなサイトであるにもかかわらず、住所氏名等が公開されていないサイトもあります。

バイラルメディアの社会的影響力がどれほどあるかは不明ですが、ツイッターで引用されている状況を見ると、ネット上ではかなりの知名度を誇るサイトがあるのも事実です。

上記の記事は、地方議員がそのようなバイラルメディアが無責任な報道を行っている例を元に、バイラルメディアを規制する必要性を国会議員に陳情しに行ったということを示すものです。

バイラルメディアとどうつきあっていくか

最初にバイラルメディアはショッキングな映像、画像、キャッチーなタイトルや内容になる傾向があると指摘しました。そのような煽動的なツイートや投稿を見たら、一度冷静になること、安易にシェアせず、時間を置いてからにするなど、個人が慎重な対応をするべきであるということになります。

たとえば、個人のツイートを「ネット上の声」として紹介することがあります。それはそれでいいのです。しかし、情報ソースとして、何らのソースを提示していない個人のツイートを用いている場合には、その記事は一旦は信用しないべきでしょう。今回もそのようなケースでした。

そして、そのような記事を著名人がツイート等で拡散していることもあるので注意です。

自分の記事をツイートしていて分かるのですが、リツイートされた数よりも記事に飛んで閲覧した人の数は少ないです。ですから、マスメディアはタイトル詐欺を行います。

拡散前に一度、記事を見ること。

これだけで、不用意にデマを拡散していくことは少なくなります。

私も記事を書いて発信していく以上、注意していきます。

以上

内閣府国政モニターの魚拓、キャッシュ:ヘイトや差別はあるのか

f:id:Nathannate:20180508121321j:plain

内閣府の国政モニターのサイトが2018年5月2日に突如公開中止となりました。

理由は「役割を終えた」とのことですが、正直、納得がいきません。

魚拓、キャッシュがあるので、掲載します。

全体の意見がどのような雰囲気だったのかをなんとなく見たい方向け。

意見の詳細は基本的に見れませんが、概要からもうかがえると思います。

なお、平成24年度分は詳細も見れます。

それから、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業のものは現在でも見れます。ただ、こちらも消される可能性があります。

まだ見れたときに収集した意見は以下参照

 

平成28年度分

国立国会図書館

http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11052011/monitor.gov-online.go.jp/html/monitor/index.html

平成28年3月1日時点のものです。平成28年度分のものは、こちらで見ることができます。こちらまで消されれば仕方ないですね。

ただし、このページからクリックで辿れるページが全て閲覧可能というわけではありません。過去のページは見れないこともあります。

元ページの魚拓

日韓関係:https://archive.is/AYYsk

平成27年度分以前

国立国会図書館2017年7月1日時点保存:http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10376261/monitor.gov-online.go.jp/html/monitor/h27/index.html
こちらで平成27年度分以前のものを全て見ることができるはずです。

国立国会図書館2015年8月1日保存:http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9480154/monitor.gov-online.go.jp/html/monitor/iken/index.html

これは念のため。

以下では元ページの魚拓を貼ります。

日韓関係

https://web.archive.org/web/20151004160418/https://monitor.gov-online.go.jp/report/kokusei201504201603/title.php?category1=5aSW5Lqk44O76Ziy6KGb&category2=5YyX5pyd6a6u5ZWP6aGM77yI5ouJ6Ie05ZWP6aGM44KS5ZCr44KA77yJ

安全保障

https://web.archive.org/web/20151004161343/http://monitor.gov-online.go.jp/report/kokusei201504201603/title.php?category1=5aSW5Lqk44O76Ziy6KGb&category2=5a6J5YWo5L%2Bd6Zqc77yI6ZuG5Zuj55qE6Ieq6KGb5qip44KS5ZCr44KA77yJ

防衛政策

https://web.archive.org/web/20151004163503/http://monitor.gov-online.go.jp/report/kokusei201504201603/title.php?category1=5aSW5Lqk44O76Ziy6KGb&category2=6Ziy6KGb5pS%2F562W

TPP等経済協力関係

https://web.archive.org/web/20151004165848/http://monitor.gov-online.go.jp/report/kokusei201504201603/title.php?category1=5aSW5Lqk44O76Ziy6KGb&category2=77y077yw77yw562J57WM5riI6YCj5pC6

北朝鮮問題

https://web.archive.org/web/20151004160418/http://monitor.gov-online.go.jp/report/kokusei201504201603/title.php?category1=5aSW5Lqk44O76Ziy6KGb&category2=5YyX5pyd6a6u5ZWP6aGM77yI5ouJ6Ie05ZWP6aGM44KS5ZCr44KA77yJ

 

平成24年度分の元ページの魚拓
※全体版ではなく、各月分から見ていけば見れます。

魚拓:https://web.archive.org/web/20160606071245/https://monitor.gov-online.go.jp/html/monitor/h24/iken/index.html

元URL:https://monitor.gov-online.go.jp/html/monitor/h24/iken/index.html

上記魚拓URLから見れなければ、元URLをWaybackmachineで入力してください。

なお、平成23年度分はモニターを募集していなかったようです。上記は平成23年3月までです。平成24年度分は、平成24年4月以降のものになります。

「偏り」が途中から生じたのか?

例えばバズフィードでは2016年に1回だけ国政モニターに参加した男性の主観的意見を紹介し、また、2015年1月に特定イデオロギーの者のブログで国政モニター参加の呼びかけがあったことが影響して意見が偏るようになったのではないか、というストーリーが描かれているふしがあります。
参考:www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/monitor-gove3?utm_term=.blMnBrybn#.wpXJrGm5J

そうだろうか?

上記平成24年度分のコメントの一例を画像にしました。クリックすれば拡大。

国政モニター魚拓

国政モニター魚拓

国政モニター魚拓

これヘイトや差別かはともかく、2015年以降(平成27年度以降)の呼びかけが「偏向」の理由というのであれば、2012年度(平成24年度)の時点との意見の差が無い事の説明がつきません。

「ネット右翼の呼びかけで国政モニターの参加者の母集団にそもそも思想の偏りが生じた」というストーリーは、これだけでも破綻していると言えるでしょう。

私は、上記のように「韓国人を全て排除しろ」などの意見には与しませんが、そのように主張する自由は日本人にあると考えています。また、ヘイト規制法によっても何ら制限されていないはずです。

ヘイトスピーチとは?

バズフィードには以下のような説明があります。

特定の国の出身者に対し、「叩き出せ」「帰れ」など、帰国や排除をうながすような文言は、ヘイトスピーチに当たる。これは、2016年のヘイトスピーチ対策法施行後、法務省も明言している。

これは全くの間違いです。

たしかに、法務省は「祖国に帰れ」などの文言がヘイトスピーチにあたると言っていますが、それはあくまでも「典型例」であって、そのような文言を使ったからと言って直ちにヘイトスピーチ規制法の禁止しているヘイトスピーチに当たるなどとは一言も言ってません。

ヘイト規制法にいうヘイトスピーチとは、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」です。

「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、【専ら】本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するものに対して差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動です。

要するに、単に「外国人だから」「外国出身者だから」「外国人の血を引いてるから」という理由に基づいて「帰れ」と言うならそれはヘイトスピーチですが、例えば違法な行為をした外国人や、迷惑な行為をしている外国人に対してそうした行為を理由に「帰れ」と言うことは至極当然の表現であるということです。

司法はそんな言われているような杓子定規な判断をしません。

もっとも、外国人が違法或いは迷惑な行為をしているからといって、軽軽に「祖国に帰れ」などと言うことは私も与しませんし、軽軽にそのような文言を使っているとなると、ヘイトスピーチと認定される可能性は高いと考えられるので注意しましょう。

まとめ

  1. 国政モニターは5月2日をもって非公開になった
  2. 魚拓やキャッシュから国政モニターは閲覧可能なものが一部ある
  3. ネットの呼びかけで意見が偏ったというのは誤り
  4. 問題視されている意見のほとんどはヘイトにはあたらない

以上

【Twitter】このメディアは、表示しないように設定したコンテンツが含まれているため表示されません。の解決方法

このメディアは、表示しないように設定したコンテンツが含まれているため表示されません。

このメディアは、表示しないように設定したコンテンツが含まれているため表示されません。】 という表示。

 

これはツイートを投稿した人の設定でそうなっています。

ここでは設定の変更方法を画像つきで説明します。

WEBブラウザとツイッターアプリとで扱いが異なるので注意してください。

※もしかしたら以下の記事が有効な人も居るかもしれません。

※2020年2月19日に最新VerのUIでの画像にしました。アップデートで設定が勝手に切り替わった可能性が疑われています。

パソコンでのツイッター画像・動画の投稿の設定

PC画面の場合について説明します。

1:プロフィール欄の設定とプライバシー


左側のプロフィールアイコンの下「もっと見る」をクリック

すると各種項目が表示されます。

設定とプライバシー」をクリックします。

2:設定とプライバシーのプライバシーとセキュリティ

	【Twitter】このメディアは、表示しないように設定したコンテンツが含まれているため表示されません。

プライバシーとセキュリティ」を押します。

すると各種設定項目が表示されるので、ページ下部にスクロールします。

3:「セキュリティ」項目

	【Twitter】このメディアは、表示しないように設定したコンテンツが含まれているため表示されません。

ページ下部にくると「セキュリティ」項目欄があります。

そのうち、「センシティブな内容を含む可能性のある画像/動画を表示する

という項目で設定ができます。

4:ツイートする画像/動画をセンシティブな内容を含むものとして設定する

このうち、「ツイートする画像/動画をセンシティブな内容を含むものとして設定する」という項目にチェックが入っていれば、それを外します。

これが自分のツイートを投稿するときに画像と動画がセンシティブ扱いされる原因です。

対応方法は以上です。

「センシティブな内容を含む可能性のある画像/動画を表示する」について

なお、「センシティブな内容を含む可能性のある画像/動画を表示する」の項目は、自分が他人のツイート画像動画を見る場合の設定項目です。

こちらについては以下で説明しています。

スマホ・携帯のコンテンツ表示の場合

スマホ・携帯(或いはタブレット)の場合、ツイッターアプリの場合とWEBブラウザからツイッターを見る場合の2種類あります。

WEBブラウザからツイッターを見る場合

 この場合はiOSのsafariから設定を行っています。

このメディアは、表示しないことを選択したコンテンツが含まれているため表示されません。

こちらがスマホで見たWEBブラウザのツイッター画面です。

左上のプロフィールアイコンをタップします。

 

このメディアは、表示しないことを選択したコンテンツが含まれているため表示されません。

設定とプライバシーをタップすると画面遷移します。

このメディアは、表示しないことを選択したコンテンツが含まれているため表示されません。

プライバシーとセキュリティをタップします。

このメディアは、表示しないことを選択したコンテンツが含まれているため表示されません。


ちょっと下にスクロールすると、PCのときと同様の設定項目があります。

ツイートする画像/動画をセンシティブな内容を含むものとして設定する」という項目にチェックが入っていれば、それを外します。

スマホの場合はこれでOKです。何か「変更を保存する」というボタンがあるわけではありません。

また、ブラウザでの設定なので、スマホとPCとで設定は連動しています。

別々に設定変更をする必要はありません。

ツイッターアプリでの場合

実は、ツイッターアプリではこの設定変更画面はありません。

デフォルトでどのような設定になっているのかはわかりませんが、もしもアプリだけを使っているという方はWEBブラウザで設定してみてください。

まとめ

  1. WEBブラウザの場合は所定の設定変更で対応可能
  2. ツイッターアプリの場合は設定変更不可能

今回問題になった現象以外にも、WEBブラウザ上で行える設定次第で解決可能な問題が多くあるように思います。

普段はアプリからツイッターを利用している方でも、問題が生じたらWEBブラウザからアクセスしてみてはいかがでしょうか?

以上