事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

世耕大臣vsエアコンデマおばさん(バスタブデマおばさん):自衛隊の仮設風呂設置について

自衛隊倉敷市仮設風呂

魚拓:http://archive.is/6f6BG

#エアコンデマおばさんというハッシュタグで有名なこのツイート。

クーラー(エアコン)については以下の記事でデマであることを説明しました。

そうしたら「風呂についてはどうなんだ?」という反応があったので、本来明確なデマなので説明不要な風呂についてもカンタンに整理していきます。

自衛隊による仮設風呂の設置場所

倉敷市仮設風呂自衛隊

倉敷市においては、真備総合公園体育館駐車場と第二福田小学校に自衛隊による仮設風呂設置がなされています。上図は倉敷市のHPです。

  1. 真備総合公園体育館の風呂の開設は7月10日
  2. 第二福田小学校の風呂の開設は7月11日 
  3. 安倍総理は真備総合公園体育館には視察に行っていない
  4. よって、「安倍総理の視察に合わせて優先的に」というのはデマ

以上、証明終了です。

安倍総理が視察をした7月11日の首相動静

魚拓:http://archive.is/yeHJW

魚拓:http://archive.is/v9nIy

エアコンデマおばさんによるバスタブデマ

視察は何のために行うのか?

通常は「現地の公約数的な状況が反映されている場所」や「重要な地点」を選択します。総理が行くから設備を整えるというなら、いったい安倍総理は何を基準に視察場所を決めてるのか?

  1. 視察場所の設備や状況等を確認する⇒視察を決定する
  2. 視察場所を決定する⇒設備を整える

2番の判断過程を取る意味がわかりません。バスタブデマおばさんの言動は、因果関係を逆さまに歪曲する手口です。

仮に、「総理が行くところに設備を設置する」というなら、岡田小学校に風呂を設置しなかったことはどう説明するのでしょうか?

こういう考え方が基本であり、通常であり、原則です。

それから外れる異常な推論過程や結論を支持したいのであれば、それを主張する側が相当の根拠を示さなければなりませんが、そうしたものはありません。

まとめ:紫野明日香氏は確信的(革新的)

そもそも、エアコンデマおばさんの「倉敷の友人」は、第二福田小学校に居ながらにして、「優先的に」設置されていると考えられるように広範囲の情報を得る術を身に着けていたということになります。

しかし、そうすると、広範囲の情報を把握できたにもかかわらず、先に10日に開設される真備総合公園体育館の仮設風呂については知らなかった、ということになります。

「倉敷の友人」がそう思ったというのは仕方がないとしても、それを事実の指摘の引用の形で発信した紫野明日香氏は、明確にデマ拡散者です。

以上

Twitter社が偽のフォロワーを削除:あのアカウントのフォロワー数はどうなったか?

f:id:Nathannate:20180713163639j:plain

ツイッター社が偽のフォロワーを水増ししている場合に、フォロワーが削除されるようにしたと発表しました。7月12日以降に適用とのこと。これにより、何等不正を働いていない一般人でも約6%のフォロワー数が減る見込みとのことです。

あの有名アカウントがどうなったのか?調べてみたら、面白い現象をみつけました。

津田大介のフォロワー数

津田大介フォロワー数水増し

魚拓(2018年6月 日時点):

https://web.archive.org/web/20180608065349/https://twitter.com/tsuda?lang=ja

フォロワー数を買っているのではないか?と言われている者の筆頭が津田大介氏です。

津田大介氏のフォロワー数のピークがいつだったかはわかりませんが、今年の6月時点では160万8千アカウントもありました。

米国ツイッター社が該当する地域のカリフォルニア時間の12日が始まる前後に彼のフォロワー数に変化があるのか調べてみました。

この時点で、160万2千フォロワーになっており、約6千フォロワーが減っていたことになります。

少し面白い現象がありました。 

本当に偶然なのですが、一旦フォロワーが減った後に、1分間(59秒以下)に約300アカウントも増えていたのです。これはどういうことなんでしょうか?

結局、津田大介氏のフォロワーは約2万削除されたにとどまりました。これだけを見れば減少幅は6%の範囲内なので、通常の減少ということになります。

しかし、途中で1分も経たないうちに300アカウントも増えたのは気になります。

 

今後のツイッター社の偽フォロワーへの対応

変更は数日のうちに施行されますが、Twitterは問題のある行為をするアカウントを一早く察知するアプローチを継続するため、今後もフォロワー数の減少が発生する可能性があります。

今回の減少で下げ止まりするという類のものでなく、今後も偽アカウント対策によってフォロワー数が減少する可能性があるということです。

SHARPの場合

なんと、SHARPが企業アカウントに減少数の公表を呼び掛けていました(笑)

これに呼応して返信欄には各社から状況報告が上がっています。

ちゃっかりあずきバーの宣伝を忘れない井村屋

なお、「人事ったー」に登録している場合、事後的に検証可能のようです。

私は登録していないので確認できません。

多くの企業アカウントは就業時間の17時の時点の情報を上げていますが、この段階ではまだ変更が反映されていない場合もあるのではないかと思います。井村屋さんのように、日付を跨いだら減っていた、という報告をするところが多いようです。

SHARPが作ったこの流れに乗っかった結果、むしろフォロワー数が増えたという報告もありました。

まとめ:みんなそんなに減ってない

目の付け所さんがこうおっしゃっているので、必要な人はどうぞ。

それにしても、多くのアカウントが減っていない中で、数万のフォロワーが減っていたアカウントは一体なんなんでしょうか?

今後も要注目だと思います。

以上

世耕大臣vsエアコンデマおばさん:安倍首相の被災地視察と学校クーラー設置の関係

f:id:Nathannate:20181129142127j:plain

安倍総理が2018年7月11日、西日本豪雨による被災地である岡山県に視察に行きました。

それに関連して、以下のようなツイートがなされ、世耕大臣が反論しています。

魚拓:http://archive.is/6f6BG

避難所になっている学校における話であるということがわかります。ネット上では「#エアコンデマおばさん」というハッシュタグまで作られています。

魚拓:http://archive.is/lBiHJ

この世耕大臣の反論に対して、非難する言説が多数上がっています。

果たして世耕大臣の発言は適切だったのか?

クーラーが安倍総理のために優先的設置され、慌てて準備されたものなのか?

世耕大臣を支持・非難する言説は正当なのか?

これらについて整理していきます。

安倍総理が訪問した学校:首相動静より

魚拓:http://archive.is/yeHJW

魚拓:http://archive.is/v9nIy

新聞社の把握した首相動静も同一です。「学校」の中で安倍総理が視察したのは以下の二つの小学校であるということがわかります。いずれも岡山県倉敷市真備町の避難所です。

7月11日の午前11時6分に市立第二福田小学校

7月11日の午後0時36分に市立岡田小学校

この二つの小学校について、クーラー設置の状況はどうだったのでしょうか?

被災地:岡山県・広島県・愛媛県のクーラー設置整備状況

魚拓:http://archive.is/EJRWg

7月9日の午前10時34分。このツイートがエアコン・クーラーに関する世耕大臣の最初のツイートです。ここから時系列順に世耕大臣のエアコン・クーラーに関するツイートを見ていきます。

魚拓:http://archive.fo/cIura

用語が新聞などの媒体で異なりますが、スポットエアコン=スポットクーラーと見て間違いありません。岡山県倉敷市真備地区の避難所について言及しています。

 魚拓:http://archive.fo/zXLKM

7月9日の午後6時20分。岡田小学校と二万小学校の名前があります。

魚拓:http://archive.fo/yCnFJ

地域が変わりますが、広島県の熊野町体育館にエアコンが到着して稼働していたようです。これは重要です。

魚拓:http://archive.fo/dAUa8

7月9日午後6時24分のツイートです。この時点で第二福田小学校が「到着予定」となっていることは後で再掲します。

魚拓:http://archive.fo/NEQHq

これも重要です。倉敷市の避難所、つまり真備地区の小学校を含む場所へのスポットエアコン配送トラックは、水島地区の3避難所に先に到着したということです。

魚拓:http://archive.fo/2f6Q8

7月9日午後10時32分。倉敷市の真備地区にスポットエアコンが到着。

薗小学校と二万小学校が先に到着して運び入れをし、岡田小学校はその後になっています。

魚拓:http://archive.fo/Ul1Dz

7月9日午後11時00分。

魚拓:http://archive.fo/Xt0FE 

魚拓:http://archive.fo/2HjI7

岡山県真備地区のクーラー設置状況です。岡田小学校、薗小学校、二万小学校の3か所について、クーラーが「稼働済み」ということがわかります。また、福田第二小学校が含まれている水島地区も、クーラーが稼働しているということです。7月10日の午前6時36分のツイート。※倉敷市の避難所一覧はこちら

これ以前の午前中に業者が来て施工したということはあまり考えられないので、前日の夜のうちに施工したと考えるのが筋です。

広島県の地域のクーラー設置状況。真備地区以外にも設置・稼働していることがわかります。

愛媛県地域のクーラー設置状況

世耕大臣の時系列ツイートは以上です。

経済産業省の情報

f:id:Nathannate:20180713125729j:plain

経済産業省の「7月5日からの大雨に係る被害・対応状況について(7月9日(月曜日)14時00分時点)」というページによると、上図のように7月9日中に岡山県真備町、広島県地域にクーラーが到着見込みとあり、世耕大臣のツイートと整合性があります。魚拓:

https://web.archive.org/web/20180713043525/http://www.meti.go.jp/press/2018/07/20180709008/20180709008.html

※曜日が間違っています。7月9日は月曜日、10日は火曜日です。

f:id:Nathannate:20180713130505j:plain

また、7月10日(火曜日)20時00時点のページでは、同日19時時点の情報として、岡山県倉敷市真備町や広島県の地域に向けたクーラーが到着、一部稼働済みとなっています。魚拓:

https://web.archive.org/web/20180713043514/http://www.meti.go.jp/press/2018/07/20180710008/20180710008.html

世耕大臣のツイートは公的な情報と一致しているということがわかります。

西日本豪雨倉敷市真備地区クーラー設置

時間が遡りますが、7月9日の7時の時点で、初めてクーラーの供給計画がUPされています。この段階で2000台以上のクーラーを供給予定であり、朝に要請があれば同日夜に到着予定とあります。

山陽新聞の情報

魚拓:http://archive.is/OmXG1

こちらを見ると、福田第二小学校のみ、スポットクーラーの情報が書かれていますが、「蒸し暑い」とあります。7月9日の午後4時時点の情報です(記事は午後8時頃更新)。世耕大臣のツイートでは、午後6時24分の時点で福田第二小学校に「到着予定」となっており、食い違いがあります。

ただ、これが事実だとして、 福田第二小学校にクーラーが到着していたとしても「蒸し暑い」状況だったということです。整備業者の到着が遅れており、意味をなしていなかったということになります。

山陽新聞が間違いだとか、世耕大臣の情報が遅れているだとか、ここで検討するつもりはありません。山陽新聞の「クーラーがあった」情報は事実として良いでしょう。そうだとしても、『クーラーが稼働できる状況にあったのか?』ということが重要であり、それは9日の間に多くの避難所で達成されていたということです。

福田第二小学校のみ「他よりも優先して稼働状況にあった」と主張したいのであれば、その事実を指摘すればよい。そういった情報は、どこにもありません。それに、同じく安倍総理が視察予定だった岡田小学校にクーラーの情報がなかったことの整合性はどうとるのでしょうか?

小括:エアコンデマおばさんは反省を

  1. クーラーは広域に設置される予定で動いており、実際にも設置・稼働された
  2. 真備地区に限定しても多くの避難所にクーラーが設置・稼働されていた
  3. 安倍総理が視察した第二福田小学校、岡田小学校が先行してクーラー配置・稼働されていたという事実はない
  4. 「アピールのために慌てて」配備されたということはなく、計画的に配備の予定が組まれていた

仮に、実際に安倍総理が視察予定の学校のクーラーが先に稼働していたとして、時間にして数時間という違いでしかありません。そうした違いを殊更に取り上げて「優先」と評価するのは異常だと言わざるを得ません。

エアコンデマおばさんの「倉敷の友達」がなぜ「優先的に」「慌てて」と思ったのか?

好意的に見れば、「倉敷の友達」は事前に11日に安倍総理が視察に来るという情報を得ており、その中でおそらく9日の夜にエアコンの設置をテキパキと施工する業者の方々の努力が、「慌てて」いると映ったのだろうと推測します。

しかし、それ以上に「アピールのため」「優先的に配置された」と考える神経は何なんでしょうか?思い込み以外の何物でもないのであって、客観的な情報からもずれています。このような言説が被災地に広まることでの悪影響が心配されています。

デマ情報の悪影響

#エアコンデマおばさん が共産党の活動家かどうかはわかりませんが、しんぶん赤旗で取り上げられたり、共産党主催の講演会に登壇する人物ではあったようです。今回の件が共産党の関わりがあるとか言うつもりはありませんが、背景事情としては看過できないものになっています。

避難所で不公平感が生まれるとどうなるでしょうか?

ただでさえ普段かかわりのない人たちと共同生活を送ると言うストレスが溜まっている中で、不満が増大させられる類のデマ情報が流されるのは本当に許し難い行為です。

 

個人の感想だから真摯に受け止めるべき?

 

東日本大震災のときも、熊本地震のときも、個人が「友人から拡散希望です!」などといったデマが拡散されました。それについては、私たち一人一人の国民が散々反省と警戒をしてきたではないですか。

なぜ今回の件のみ、「個人の感想」(感想にとどまらないという点について後述)ということで免罪符を与えようとしているのでしょうか?そのような言説はデマの拡散に加担していることと同義です。

魚拓:http://archive.is/rY5dD

デマ情報に基づく要望に応えるべき、などという義務は存在しません。

「感想」であり、「事実に対する評価の話」としたいようですが、「あれアピールのために慌てて準備したんだよ。」という言葉が単なる感想ではなく事実(虚偽の)の指摘であるというのは明らかです。

世耕大臣の言動は適切だったか?

国の側、政府の側は個人のデマ情報を咎めてはいけないという思想の持ち主の様です。

広島県警のこれなんかまさに個人のデマ情報を国の側が思いっきり否定しているのですが、その事自体は何ら問題ではないでしょう。犯罪についてのデマを放置することが猜疑心を生み、捜査に支障を来していたのですから。

しかも、世耕大臣の指摘は、政府の保身というだけにとどまりません。

エアコン・クーラーの設置・稼働のための整備は、多数の民間事業者の努力によって実現できました。今回のデマは、そのような「市民」の努力すら貶める行為であるということに気付かないのでしょうか?

紫野明日香氏の擁護にオールスター終結

魚拓:http://archive.fo/pxStn

単なる感想であり、デマの定義から外れるからデマじゃない?

デマの定義が「相手を貶めるため悪意をもって意図的な嘘をつくこと」であるなら、今回の情報は明確にデマです。

「優先的に」「アピールのため慌てて」とわざわざ言うことが何か公共の利害のために必要な情報でしょうか?この時点で「相手を貶めるため悪意を持って」と受け止めざるを得ません。

相当の根拠もなく、単に「明日安倍総理が視察に来る」「通常は行われないクーラー設置が行われた」という事実から、「アピールのため」と思い込むことは、多々あるでしょう。

しかし、そのような思い込みを他人である紫野明日香氏が何らの検証もなく発信することは、明らかに意図的です。「あれアピールのために慌てて準備したんだよ。」と言っていた、という文面は、事実の指摘の引用です。

よって、「単に感想を述べただけ」ではなく、事実として情報発信していることになります。

被害が少ない避難所というパワーワード

この問題設定がおかしいということは誰でもわかるでしょう。

「①比較的被害が少ない避難所」とかいうパワーワード。

避難所の被害が大きいってどういう状況でしょうか?

避難所は災害の影響を受けにくい立地にあるからこそ避難所として機能しています

倉敷市の避難所一覧を見ればわかりますが、避難者の数=被害が多かった地域として、水島地区と真備地区は抜きんでています。つまり、避難者が多い場所に優先的に設備を配置していたということがわかります。

これだけでも現状認識が間違っているということがわかります。

そして、紫野明日香氏のツイートで問題視されているのは、①「安倍総理が来る避難所に優先して」②「アピールのために慌てて」エアコンを設置したという主張です。

そして③が単なる感想ではないことは指摘した通りです。

弁護士と名乗る者の事実誤認

魚拓:http://archive.is/Ylkip

魚拓:http://archive.fo/2f6Q8

「クーラーの到着」 の時点をもって「設置」とするならば、「9日(月)の夜の段階でクーラーが設置されていたのは第二福田小学校のみ」というのは明確に事実に反します。同日中に薗小学校と二万小学校にも到着しています。

「クーラーの稼働」の時点をもって「設置」とするならば、山陽新聞の記事を見てもクーラーが到着しているはずの第二福田小学校も「蒸し暑い」となっていることから、「クーラーの稼働」は行われておらず、よって「設置」もされていなかったことになります。結局、稼働が行われた具体的な時点は不明ですが、翌日朝には多くの避難所で稼働していたことがわかります。

魚拓:http://archive.fo/sqjPr

魚拓:http://archive.fo/2HjI7

再掲ですが、世耕大臣のツイートは10日の午前6時36分です。

「元ツイートが指摘する状態(第二福田小学校のみクーラーが設置)は、10日の午前までは続いていたはず」と言うのは、事実と異なります。

したがって、この弁護士と名乗る者の言っていることは明らかにフェイクです。

まとめ

  1. エアコン・クーラーが安倍総理視察の学校に優先的に配置されたというのは明確にデマ
  2. 世耕大臣の対応は正しい
  3. デマを擁護する者も事実誤認が甚だしい

災害をダシにして政権批判することはやめましょう。

以上

 

「タガが外れた」金竜介弁護士に対する在日コリアンという国籍民族を理由とする大量懲戒請求?

f:id:Nathannate:20180713034350j:plain

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180712/k10011530601000.html

2017年11月から12月にかけ、余命ブログに起因して金竜介弁護士をはじめとする在日コリアン弁護士に対する大量懲戒請求(950人)がなされたため、懲戒請求が違法であるとする訴訟が提起されました。

この訴訟の問題点を整理していきます。

なお、同じ東京弁護士会の佐々木亮・北周士、小倉秀夫、嶋崎量各弁護士らに対する大量懲戒請求は別の時期に行われており、別個のものとして扱います。

在日コリアンという国籍民族を理由とする大量懲戒請求?

懲戒事由とされる文章には以下のような事柄が書かれていたとのことです。

弁護士ドットコム

「違法である朝鮮学校への補助金交付の会長声明に賛同、容認、その活動を推進することは、弁護士の確信犯的犯罪行為である。利敵行為としての声明のみならず、直接の対象国である在日朝鮮人で構成されるコリアン弁護士会(原文ママ)との連携も看過できない。この件は、別途外患罪で告発している。あわせてその売国行為の早急な是正と懲戒を求めるものである」

これは、他の大量懲戒請求の事案とほぼ同じ内容の懲戒事由の文面であり、特に違いはありません。違いがあるとすれば、次のような事があったということです。

朝日新聞

同じ時に請求されたのは同会の役員ら10人と、金弁護士ら1文字の姓の弁護士8人だったという。

弁護士の名簿は日弁連の弁護士情報・法人情報検索で調べることができます。

ざっとそれっぽいワードを入力すると、東京弁護士会には少なくとも30人程いらっしゃるようです。

金竜介弁護士はこれらの事実から、「ただ日弁連の名簿から名前で選ばれた」「国籍ないし民族を理由として懲戒請求しており、人種差別にあたる」「1文字の姓の弁護士を選んで、懲戒請求をしている。明らかな人種差別だ」などと主張しています。

さて、これは人種差別なのでしょうか?

金竜介弁護士に対する余命大量懲戒請求は人種差別か?

前提として、人種差別かどうかがなぜ問題になるのか?ということを示します。

人種差別と慰謝料の増額事由

金竜介弁護士は、記事の中では朝鮮学校無償化について反対や賛成の意思を表明しているわけではありません。したがって、この懲戒請求は他の何らかの理由で金弁護士が朝鮮学校無償化に賛成していると余命氏が推測していたと考えられます。

金竜介弁護士が朝鮮学校無償化について何ら関係ないというならば明らかに不当な懲戒請求であり、懲戒請求者に対する損害賠償請求は認められるのは間違いありません。

そして、そこに人種差別的な要素が含まれていると裁判所が認定した場合、慰謝料の増額事由として算定される可能性があります。それは実際に昨年の保守速報の判決で行われました(ただし、「人種差別だから違法」なのではなく、侮辱表現の一部として人種差別の要素が含まれている場合に慰謝料の増額事由として扱われるに過ぎない)。

しかし、果たして今回の事案では人種差別があったのでしょうか?

余命氏の「朝鮮系」からの推論過程

金弁護士らに懲戒請求をした理由として余命氏が考えていたと思われる、あり得る推論過程は以下でしょう

  1. 名前が1文字ということは朝鮮系の出自であると推認される
  2. だから、朝鮮に対してシンパシーを感じてると推認される
  3. だから、朝鮮学校への補助金支給に賛成をしていると推認される
  4. よって、違法な補助金支給を要求していたので懲戒事由にあたる

このような思考過程(かなりいいかげんな)と思われますが、1⇒2、2⇒3の推論は人種差別なのでしょうか?ヘイトの法律上の定義や人種差別の条約上の定義はここでは問題にしません。ここでは「実質的に出自を理由に攻撃していると言えるかどうか」で考えていきますし、過去の裁判例もそのような判断様式であると思われます。

まず、名前からある種の国籍や民族的背景を推察することは、当たり前の行為として行われています。名前が朝鮮系に特有のものだから、ルーツがそちらにあるため、朝鮮に対して共感しているだろうと推測することは、素朴な感覚の範疇と言えます(それが妥当かどうかは別にして)。

そして、朝鮮に対して親しみの心情を有しているのならば、朝鮮学校への補助金支給については賛成をしているだろうと考えることも、在り得ないほど無理な推論ではないといえます(この推論には大きな飛躍があり、思い込みが強いと言えますが)。

よって、これらの推論過程では実質的に出自を理由に攻撃していると言えず、人種差別が含まれないということになります。

補助金支給と憲法89条

では、4の「違法な補助金支給」はどうでしょうか?

同じく大量懲戒請求を受けている神奈川弁護士会の神原弁護士は、「補助金支給が違法であるという事実はない」と主張していますが、これは事実ではなく法的な「評価」の話です。憲法89条の公金支出規制に抵触するのではないか?と一般的に言われていることであり、日本人が通う一般的な私立大学への補助金支出について議論が盛んに行われている問題領域なのです。

『「朝鮮学校への補助金支給を求めること」に対して非難することは人種差別である』

朝鮮学校の側はこのような主張をしていますが、朝鮮学校は「各種学校」という区分であり、学習塾などと同列の区分です。他の区分の学校よりも補助金支給の条件が厳しいと思われます。もちろん、各種学校だから補助金が絶対に支払われないなどということはありませんが(ネット上に良くあるデマの一つ)、日本人が通う学校等に対してですら、必ず補助金が出るということはありません。

補助金の支出には種々の条件が設定され、それをクリアすればいいだけの話。

「子どもの学ぶ権利がー」と言われますが、朝鮮学校に通う子どもたちは、別の学校で学ぶことまで妨げられているわけではありません。したがって、補助金が支出されなかったとしても、子どもの学習権が侵害されるということは在り得ません。

仮に補助金が支給されなかったことで経済的に朝鮮学校に通えなくなったとしても、それは「学校選択を間違えましたね」という話です。

このようにして、「朝鮮学校に補助金が支出されないのは人種差別である」『「朝鮮学校への補助金支給を求めること」に対して非難することは人種差別である』などという主張は、荒唐無稽であるということは火を見るより明らかです。

もちろん、「朝鮮学校に補助金が支出されないのは人種差別である」と主張すること自体は自由であり、なんら違法ではありませんが。

別の推論過程と余命信者

とはいえ、仮に以下のような思考過程が認定されたらどうでしょうか。

  1. 名前が1文字ということは朝鮮系の出自であると推認される
  2. だから気に入らないから懲戒請求してしまえ
  3. 懲戒事由としては朝鮮学校の無償化要求をしたということにすればいいだろう

仮にこういう思考過程が認定されれば、人種差別の要素があると認定される可能性は高いです。

しかし、余命大量不当懲戒事案は、懲戒請求者が特に何も考えず単に「他にも請求者がいるし余命が言ってる事だし」との安易な理由でやってるだけと思われるので、人種差別の意図が認定されるとは到底思えません。

人種差別の意図があるとしても、それは余命氏です。彼の著作には在日コリアン弁護士協会の代表を務める金竜介弁護士の名前が挙げられています。余命ブログでは在日朝鮮人を殊更に敵視する記事が多数エントリされていますが、そのことだけをもって懲戒請求者が朝鮮人であるということをもって敵意を向けているということにはならないのではないでしょうか。

余命信者は特に確認もせずにコピペで懲戒事由を記述したような者達です。そうした背景を深く考えずに懲戒請求をしたと考えるのが筋です。余命信者は、これまでにも同じ懲戒事由で多数の日本人の弁護士に対しても懲戒請求をしているのであり、金弁護士の懲戒請求のタイミングでも、東京弁護士会の(日本人と思われる)役員と同時に懲戒請求しているので、一緒くたに考えていたと考えるのが筋でしょう。

なぜ役員以外は8名なのか?については、余命氏の検索能力の問題だと思います。

あくまでも「朝鮮学校無償化に賛成している者」に対する懲戒請求であって、「朝鮮系の出自を持つ者」に対する懲戒請求ではないと思います。これは、人種差別が認定された保守速報の事案との対比においても理解できるところだと思います。

保守速報対李信恵の事案における人種差別認定

保守速報対李信恵大阪高裁判決文

保守速報対李信恵高裁判決文

https://drive.google.com/open?id=1dEsm9qVB3FyCCwVOk9kQSfSUFPBMQlxi

保守速報の記事(ネット上の声の再利用)に関する李信恵からの訴訟につき、人種差別表現があると認定されていました。どうしようもないネットメディアや個人が人種差別の論点についてだけは何故か掘り下げることなく、一般的な罵詈雑言の文言のみを取り上げていますが、この裁判で重要なのはヘイト規制法施行後に人種差別となるかどうかの判断に影響があるのか、ということです。

人種差別とされた文言等

具体的には「トンスル」「火病」は朝鮮人を侮辱する際に用いられる文言であるということ、通名を殊更に揶揄することが人種差別の要素があるとされています。

また、①「日本は怖い国ですね。早く自分の国に帰りましょうね。」②「違法移民なんんだよね、居座ってるだけで」「一時的に死なないように慰留認めてるだけなんだから」「帰ってくれ」③「日本が嫌いなら出て行けばいいだけの話」というツイート群が人種差別とされました。その他の攻撃的なツイート群からも、朝鮮人に対する攻撃の意図が認定されています。

特殊な用語や通名の揶揄については理解できますし、ツイート群についても、「なんだかんだ言ってるけど結局は朝鮮人であるということだけで攻撃してるでしょ」と言われてしまうのは仕方がないと思います。本当に何らかの犯罪行為があって、それを理由に「帰れ」という文言が使われているとしても、他の文言から「結局は朝鮮人であるというだけで攻撃」していると判断されてしまう可能性もあります。

ただし、よく「朝鮮の工作員」という単語が記事に上がったりしますが、この点が人種差別であるとされたわけではありません。この部分は一般的な侮辱の文言として処理されているに過ぎません。

金竜介弁護士の訴訟提起は弁護士のタガが外れてしまっている

さて、金竜介弁護士の懲戒請求事案では、上記のような文言があったのでしょうか?

少なくとも会見の記事を見る限り、そのような文言があったという事実は確認できません。単に「名前が1文字の弁護士をまとめて選んで懲戒請求した」という事実だけで人種差別であると認められるかというと、かなり疑問です。

金弁護士は「被差別カード」を振りかざして慰謝料額を水増しさせようとしてますが、保守速報の事案の様な要素は今のところ見出せません。金弁護士のように何でもかんでも「被差別」のカードを使って訴訟提起するというのは、弁護士のタガが外れてしまっていると思います。

まとめ

  1. 金弁護士に対する懲戒請求の理由は、これまでのものと同じ
  2. 人種差別はそれだけで違法となるものではないが、慰謝料の増額事由になる
  3. 今回の事案は、「朝鮮学校無償化に賛成している者」に対する懲戒請求であって、「朝鮮系の出自を持つ者」に対する懲戒請求ではないと考えられる
  4. 保守速報の事案と比較すると、人種差別を伺わせる事実が不足している

不当な懲戒請求はもちろん許されませんが、「被差別カード」を濫用して慰謝料額を増額させようとする行為もまた慎んでいただきたいものです。

以上

「共産党が募金から経費を引いている」はデマなのか:維新松井知事の指摘

 

日本共産党の旗、ロゴ

魚拓:http://archive.is/vkEhS

「共産党に募金すると経費が差し引かれる」

このような情報がありますが、共産党は「すべて被災地などに届けました」と言っています。

この話をどのように整理すればいいでしょうか。

また、一般的な募金における寄付金の扱いについても紹介していきます。

共産党が募金から経費を引いている事実

共産党募金経費

実は、共産党自身が募金総額の内訳として経費を計上しているということを公表しています。魚拓:http://archive.is/YrQsb

上図は東日本大震災のときのものですが、募金の種類が2つあることに注意。

1つ目は東日本大震災救援募金という一般的な募金。これは総額10億円以上が集まり、被災地の自治体やその他に対して約6億円が充てられています。その他は支援物資やマンパワー用、諸経費に充てられている事がわかります。

2つ目は被災地「党」活動支援募金という共産党員のための募金。「常任活動家などの生活援助」という項目が気になりますが、共産党内部の話なので気にしません。ここについて非難する資格があるのは、共産党員だけでしょう。

このように、明確に募金総額から経費に充てられている分があるということを共産党自身が公表しています

ここまでの文章において、私は何も「評価」を加えておらず、事実だけ述べている事に注意して頂きたいです。

維新の会の松井知事の指摘はデマなのか?

魚拓:http://archive.fo/RfBTP

日本共産党は松井知事の指摘はデマであると言っていますが、松井知事は募金の一部が経費であると言っているだけで、それが何か悪いことなのかという評価を加えていません。他の方法に依る場合に比較して、経費が引かれるので、募金をする人はそれを認識した上で募金しましょうと言っているに過ぎません。魚拓:

http://archive.fo/0hCNy

松井知事も、決して「懐に入れている」と言っているのではありません。そんなことを弱者の味方を標ぼうしている共産党がしているハズがないと思うのですが。あくまで募金活動を運営するのに必要な経費として使用されている事実を指摘しています。

むしろ共産党の記事中の以下の文章が気になりますね。

2年前の東京・品川区の演説会での募金活動や後援会交流決起集会での募金活動については、他の募金と一体に集めたことは正しくなかったと認め、集まった全額を救援募金として被災地に届けたことを付記しておきます。

こういうことをしているから、「中抜きしたのでは?」と疑いをかけられてしまうのではないでしょうか?

「全額を被災地に届けている」は誤解を招く

共産党募金経費

共産党は松井知事に反論している文章の中で、「東日本大震災では10億円を超える募金が託され、すべて被災地の自治体などに届けました」と言っています。

さすがにこれは無理でしょう。誤解を招く。

とはいえ、無意味な批判をするのもやめた方がいいです。

まず、「自治体など」とあるのはあまり気にしない方がいいです。厳密に自治体が主体と言っていいか微妙な組織に対しても義援金が渡るのは通常の話です。ここに何が来るのか気になるなら寄付者が聞けば良い。

「支援物資の購入」項目では、一応すべてが被災地のために購入されたと考えられるので、これもいいでしょう。

「ボランティアなどによる救援活動」項目も、マンパワーを供給したという意味において、募金が被災地に届けられたと言い得ることになります。

「同情するなら人をくれ!」

という場合が復興初期には発生します。家屋の中に入り込んだ細かい瓦礫を掻き出すためには機械ではなく手作業になるため、多くの人手が必要です。したがって、募金の全てが金銭化されて自治体に送られるよりもむしろ良い結果となることがあります。人を送るのにも輸送費がかかるのです。

さて、「資材・郵送料等の諸経費」の項目は、流石に「すべて被災地の自治体などに届けました」は無理です。

共産党の意識としては被災地復興のために行動した結果なのだから、すべての募金について被災地用に使用したと考えているのでしょうが、事実として募金額そのものやマンパワーに変化したものが被災地の自治体等に行き渡っているわけではありません。

したがって、松井知事に対して「デマ」だと言う指摘は、おかしいということになります。

共産党の募金活動は評価されるべき

共産党が募金活動をしなかった場合に比して被災地には金、人、物が供給されているのですから、その活動自体は評価されるべきです。

しかし、募金の使途について話を盛っても意味がないし、外部からの指摘をデマであると断定するのも、「後ろ暗い何かがあるのではないか?」と閲覧者が感じてしまうおそれがあるため、有益であるとは思いません。

共産党は「攻撃を受けた」と認識しているようですが、過剰反応ではないでしょうか?

こうした認識の上で、ボランティア活動費に2億円というのは詳細な内訳は何か?その金額は妥当なのか?という検証をすればよろしいのではないでしょうか。

それにしても、最後の一文が気になります。

お預かりした募金は、日本共産党の政治活動のための資金とは区別し、その全額を被災者の救援に充てます。

「政治活動のための資金とは区別し」というのは、ネット上での各所からの指摘を意識したものなのか、それとも…

募金団体と寄付者の認識の齟齬が問題

さて、私はここまで「募金額の全てが義援金たる金銭として被災地に送金されていないこと」については何も問題視していない事に気づいているでしょうか?

 

募金団体が募金の存在とその目的を宣伝することで、「よし!募金してみよう!」と思う層が発掘されるのですから、被災地にとっては有益なわけです。また、有名な団体が募金を扱うことで、信頼感があるというのも事実です。募金を集めても安全に寄付対象の組織や個人に届ける管理が行き届いていなければ、募金は成り立ちません。その際にかかった経費分については、過剰な割合でない限り許容されるべきでしょう。

問題は、多くの人が「募金額は全て義援金たる金銭として被災地に送金される」と思い込んでいるにもかかわらず、募金団体がそのような事に限られないということを周知、説明してこなかったということにあると思います。

ここの認識の乖離を埋めるためには、募金団体の側(今回で言えば共産党)が募金を集める際や事後的にしっかりと説明するべきでしょう。そのような前提が共通認識としてあれば、今回のような「過剰反応」は起きなかったのではないでしょうか?

もちろん、金銭化されていないのであれば当然「中身」がどうなのかは気になります。

そこについては説明する義務が募金団体にはあると言えるでしょう。

日本ユニセフや日本赤十字の場合

実は、募金団体が募金額の一部を諸経費に充てているということは当たり前の話です。

むしろ、「募金団体の活動費は募金額から充ててはいけない」となると、きちんとした管理運営をする募金団体がなくなる危険があります。

日本ユニセフや日本赤十字なども募金についてやり玉に挙げられることが多いですが、結局のところ募金団体と寄付者の認識に乖離があることが問題だと思います。

魚拓:http://archive.is/ndbST

途上国支援のプログラムをしっかりと専門性をもって運営し、ファンドレイジングまでやろうと思えば、このくらいは間接経費としてかかることは、知っておいたほうがよいだろう。日本人は寄付といえば無償ボランティアですべて運営されるべきと考える人が多いが、そういった考えはかえって寄付がちゃんと効果的なかたちで使われない方向になりかねないことも理解しておいたほうがよい。

この記事がよくまとまっていると思いますが、ネット上にある日本ユニセフ叩きについて、どの辺りまで正当性があるのかというのは、かなり疑問があります。

唯一、この記事でも指摘しているように、間接費が約20%かかっていることについて「その割合・額はもう少し低廉に抑えられないものだろうか?」という問題意識は正当であると思います。

共産党の募金の扱いについても、このような認識を持った上で論じられるべきだと思います。

まとめ

  1. 共産党は募金の一部から経費を充てているというのは事実
  2. 松井知事はデマを言っているのではない
  3. 募金がすべて義援金として金銭化する必要はない
  4. 共産党は他人を攻撃する暇があるなら募金の使途を堂々と説明すればよい
  5. 「募金から経費が出るのはおかしい」という認識はむしろ危険
  6. 募金額と経費の割合を問題視するのは正当な行為

募金活動をしてる者を殊更取り上げて非難するというのは方向がずれてると思います。

同時に、募金団体は金銭を託されているのですから正確に説明する必要があるでしょう。

以上

NHKの受信契約義務:アンテナやTVだけでは不要:NHKが映らないテレビ


ソニーから「NHKが映らないテレビ」が発売されます。

この機会に、NHKと受信契約を結ばなければならない条件を確認しましょう。

ソニーのNHKが映らない「テレビ」はチューナーがない

「テレビ」と言われていますが、チューナーがありません

要するに電波を受信する機構がない箱ものです。

つまり、NHKどころか民放各局の放送電波も受信できないということになります。

しかし、Androidアプリが内臓されているため、TVer(ティーバー)などの民放番組アプリを導入すれば、「ネット回線で」番組を見れるということになります。

さて、「TVがあればNHK受信契約をしなければならないのではないか?」と思う方もいらっしゃると思います。

その必要はありません。受信契約を締結する義務が発生する条件を見ていきましょう。

NHK受信契約義務が発生する条件

関係する規定と判例を確認しましょう。

放送法と日本放送協会放送受信規約:受信機の設置

放送法

第六十四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

日本放送協会放送受信規約

(放送受信契約の成立)
第4条 放送受信契約は、受信機の設置の日に成立するものとする。

放送法と日本放送協会放送受信規約では、「受信機(設備)設置」が受信契約の要件とされています。

では、何を持って受信機(設備)の設置とされるのか?

具体的にアンテナがどうとかテレビがどうということではありません。

判例を見ればわかります。

判例による受信契約義務発生=受信機の設置=「視聴可能性」

東京高等裁判所 平成23年(ツ)第221号 放送受信料請求上告事件 平成24年2月29日

受信料債権は、現行法上、私人間の契約に基づく債権と構成されておりー中略ー受信料とは文字どおり受信(視聴可能性)の対価であり、受信と受信料に対価性があることは明白である。

受信料債権が何によって発生するかを判示した判決ですが、「電波を受信したこと」 でもなく「現実の視聴」でもなく「視聴可能性」との対価であると言っています。
※地方によっては異なる判断をする裁判所があるかもしれません。少なくとも関東圏内では東京高裁の判断が規範性を有します。

つまり、「NHKの放送を視聴できる可能性がある限りにおいて」、受信契約をする義務があるということです。したがって、たとえば一定の条件の元ではイラネッチケー(関東向け関西向け)を配置することで受信契約の義務が発生しないと考えられています。

したがって、ソニーの「テレビ」はそもそも放送電波を受信できないので、視聴可能性がゼロだから、受信設備の設置とは認められず、受信契約の締結義務はないということになります。

イラネッチケーについて詳しくは以下参照

アンテナやTVだけでは契約義務有りとは言えない

f:id:Nathannate:20180704153420j:plain

「マンションにアンテナがあるから契約義務がある」

「BSアンテナがあり、TVがあるから必ずBS放送も受信義務がある」

これらは全て嘘です。

NHKの集金人と名乗る者などがこのような言葉で法律を振りかざしてくることがあるようですが、法的には契約する義務は全くないということになります。仮に視聴可能性が無いにもかかわらず、そのような事を言っている者があなたにNHK受信契約を迫ってきたならば、録音して詐欺未遂で告発しましょう。

普通に考えれば分かる話ですが、マンションに地上波とBSアンテナの両方があったとしても、TVなどの受信機がなにもなければ放送を視聴できる可能性は無いのですから、受信契約の義務はありません。

また、アンテナがあってTVなどの放送受信機はあったとしても、受信機には地上波チューナーのみがありBSチューナーが無い場合には、それも視聴可能性は無いということになります。

さらに、BSチューナーがあったとしても壁にある端子と受信機を繋ぐケーブルが無ければ、それもまた視聴可能性は無いということになります。TV視聴機能付きPCなどは、このような状態で使用している方も多いと思われます。

その他、状況によっては契約義務があるかの判別がつかない場合もありますので、この場合は集金人と名乗る者が契約義務があると言っても信用しない方がいいです。

まとめ

  1. ソニーが発売するテレビはチューナーがないため民放も映らない
  2. ただし、アプリケーションを導入すれば一部、番組が見られる
  3. 受信契約の法的義務は「視聴可能性」の有無で判断される
  4. アンテナや受信機の存在のみでは視聴可能性の有無は決まらない 

追記:ただ、訴訟の実際上は受信機の存在が認められれば視聴可能性が「推認される」可能性もあるので、そこは注意です。

その場合は視聴可能性が無いことの立証責任が国民側に課されることになります。

立花考志さんのNHKとの争いでTVがあっても受信契約の支払い義務があるとはならなかったものの中には、TVのチューナーを破壊したものがあります。その事案ではその動画が「証拠」になったと思われます。

なので堂々と「受信機があるけど視聴可能性はないから大丈夫」とNHK側に言うようなものではありません。

以上