事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

仙台市の交番で警察官が刺殺され、容疑者も発砲され死亡した事件は正当防衛?警察官職務執行法7条について

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仙台市の交番で巡査長が刺殺され、駆け付けた巡査部長が容疑者に発砲して射殺するという事件が起きました。

これについて「発砲した警察官には正当防衛が成立するべき」という意見がみられますが、法的には正当防衛は検討されない可能性もあります。

警察官の発砲事案における判例と判断過程について整理していきます。

刑法195条:特別公務員暴行陵虐致死罪

(特別公務員暴行陵虐)
第百九十五条 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する。
2 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。

警察官による発砲を受けて死亡者が出た場合、発砲した警察官は特別公務員暴行陵虐罪や刑法199条の殺人罪に問われることになります。

警察官側は、刑法35条等に該当するとして罪の不成立を争う事になります。

刑法35条と36条の正当防衛

第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

正当防衛について定めているのは刑法36条です。

しかし、その前に刑法35条があり、そこでは

  1. 法令に定められている行為
  2. 正当な業務による行為

これらの場合には「罰しない」とあります。

では、警察官の発砲はというと、1番の「法令による行為」と扱われています。

正当防衛と警察官職務執行法7条各号

警察官職務執行法

第七条 警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。但し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条(正当防衛)若しくは同法第三十七条(緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
一 死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。
二 逮捕状により逮捕する際又は勾引状若しくは勾留状を執行する際その本人がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。

警察官が発砲を許されるのは刑法35条の法令による行為として、警察官職務執行法7条本文に「武器を使用することが出来る」とあるからです。 

ただし、但書では「人に危害を与える」には、以下のいずれかの場合に当たらなければはならないとなっています。

  1. 正当防衛(刑法36条)に当たる場合
  2. 緊急避難(刑法37条)に当たる場合
  3. 警察官職務執行法7条1号に当たる場合
  4. 警察官職務執行法7条2号に当たる場合

では、警察官の発砲事案では、どれを検討するべきなのでしょうか?

警察官が発砲して死亡者が出た事件

警察官が発砲して死亡者が出た事件としては以下があります。

  1. 三菱銀行人質事件
  2. 瀬戸内シージャック事件
  3. 奈良県大和郡山市警察官発砲致死事件
  4. 栃木県中国人研修生死亡事件
  5. 河瀬駅前交番警察官射殺事件

その他発砲事件については以下サイトがまとめています。

警察官の拳銃・ピストル発砲事件と暴発事故の一覧 - いちらん屋(一覧屋)

ここでは、最近の奈良と栃木の事案について確認しました。

発砲事件の判例の判断

奈良地方裁判所平成24年2月28日判決平成22年(わ)第81号では、窃盗犯人が車で逃亡しており、途中で公務執行妨害罪にあたる兇悪な態様の行為をしていたので、さらなる逃亡を阻止するために車に対して発砲し、犯人が死亡したというケースでした。

ここでは最初に警察官職務執行法7条1号該当性を検討し、同条に当たる事を認定した上で正当防衛についても検討して成立すると裁判所は判断しています。

警察官職務執行法7条1号と刑法36条の正当防衛のいずれが成立しやすいのかは分かりませんが(警職法は「兇悪犯」という縛りがあり、必ずしも正当防衛と単純比較できない)、刑法35条の方が条文として先に来ているので、そちらを先に検討したというだけなのかもしれません。

一方、栃木県中国人研修生死亡事件の控訴審である東京高等裁判所 平成23年12月27日判決平成23年(う)第587号では、拳銃を奪おうとした公務執行妨害の現行犯に対して発砲した事案ですが、正当防衛に当たるとして警察官は無罪となりました。

これは、公務執行妨害罪が「三年以下の懲役若しくは禁錮」の罪であるところ、この事案では警察官職務執行法7条1号の「長期三年以上の…兇悪な罪」に当たらず、正当防衛の主張しかできなかったのでこのような判示になったということだと思われます。

警察官等けん銃使用及び取扱い規範

なお、拳銃の使用と取扱いについては、【警察官等けん銃使用及び取扱い規範】及び【警察官等けん銃使用及び取扱い規範の解釈及び運用について】という規則が定められています。

判例はこの規範については触れていません。

仙台市の交番で警察官刺殺犯人に対する発砲事件の扱い

再掲

巡査部長が別の部屋に移動したところ、怒鳴り声と争うような音が聞こえたため戻ると、清野巡査長が血を流して倒れていたという。

 清野巡査長のそばに男も倒れていたが、男は刃物とモデルガンのようなものを持って立ち上がった。巡査部長は警告したが、襲いかかってきたため発砲した。

これだけを見ると(そしてこの記事の通りの事実関係があったとすると)、本件の警察官については警察官職務執行法7条1号、正当防衛の両方が成立すると思われます。ただ、詳細な事実関係を確定しないとどうなるかが分からないということは言っておきます。

また、産経新聞の記事ではこのように警察官の行為の「正当性」が推しはかることができる記事になっていますが、他の媒体では巡査部長が警告した事実や男が刃物とモデルガンのようなものを持っていたという事実が書いていないものもあります。

このような記事の「つくり」は取材能力のせいなのか、国家権力側を悪人に仕立てたい意図があるのか分かりませんが、ざっと見た感じでは産経新聞の記事の方が発砲時の状況を詳細に書いているというのが特徴です。

まとめ:警察官発砲事件では正当防衛が認められる傾向

  1. 刑法35条に法令による行為は罰しないと規定されている
  2. 警察官職務執行法7条に武器使用(発砲)が認められる条件がある
  3. 警職法7条では正当防衛と同条1号の該当性が本件では問題になる
  4. 判例はいずれも認める傾向にある
  5. 本件は正当防衛も警職法7条1号も認められそう

法的には正当防衛は検討されない可能性がある、と冒頭に書きましたが、実際には警職法7条に「正当防衛に当たる場合」も含まれているため、警察官の発砲事例では正当防衛が関係してくるので、「正当防衛か否か」と考えることは何らおかしなものではありません。

以上

2011年の「大学院、来年度から修士論文不要に」という日経新聞の記事が再々拡散

来年度から大学院で修士論文不要
2018年9月18日、ツイッター上で「修士論文不要」がトレンド入りをしました。

これは「大学院、来年度から修士論文不要に」という日経新聞の記事が元なのですが、この記事、【2011年10月26日付】なんですよね。

どうしてこうなるのか?現在はどうなっているのか?を調べました。

実は数年置きに何回も拡散されている「修士論文不要」

2011年の記事がなぜか2015年、2017年にも拡散されていたというのは興味深い現象です。

この件でツイートしている人を見ると、50%は見出しだけ見てリンク先に飛んでいないと思われるものが占めます。

日経新聞のサイトのつくりが誤解のもと?

来年度から大学院で修士論文不要

日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG26049_W1A021C1CR8000/

魚拓:http://archive.is/317Lr

archive.isでは昨年、WaybackMachineでは魚拓は何回も取られています。おそらくツイッター上だけでなく色んなところで再拡散されているのでしょう。この件でアフィリエイトがはかどるわけもなく、この話をネタにしているサイトも見当たりません。

では、なぜこうなるのか?

一つには、日経新聞WEBの「つくり」が、読み手が誤解するところがあるからと思われます。

上図を見るとわかりますが、記事本文の日付はしっかりと2011年のものですが、「日本経済新聞」のタイトル下に本日の日付がついています。また、右側の株価表記の欄も、本日の日付です。

これが悪いということではなく、こういう表記によって、誤解する人が多いのではないかと思います。

それにしても、なぜこの記事だけが拡散されるのかは不明です。

現在の大学院の修士論文は?

修士論文不要博士論文研究基礎力審査

文部科学省:http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigakuin/detail/1318971.htm

平成24年から、博士課程履修者に向けた博士論文研究基礎力審査を実施することが可能な制度が導入されているようです。

これはかねてから存在していた「修士論文に代わる特定課題の研究成果の審査」とも別個のものです。「修士論文不要」はこの記事がリリースされる2011年の以前からも存在していたということです。

いずれにしても、すべての修士課程修了予定者が対象ではないということは注意が必要です。

まとめ:博士論文研究基礎力審査を平成24年から実施しているところもある

  1. タイトルだけで反応していないか
  2. 記事の日付を確認しているか
  3. 現行制度を確認しているか

ネット上をみると、「この制度は廃案になったのだろう」というものもあって気になって調べたらこの通りということです。

この記事に脊髄反射しているようではメディアや煽動者が行う【時系列詐欺】に騙されてしまうので、気を付けていきたいと思います。

以上

総務省URLがTwitterでスパム認定されていた理由の一つが分かった件

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先日、総務省のURL"soumu.go.jp"がツイッター上でスパム認定されているということについて、その挙動等を調べた結果を記事にしました。

本日になって、スパム認定されている間接的な原因の一つが分かりましたので報告いたします。

スパムリンクデータベースに総務省のURLが登録

ブログのURLがTwitterでスパム扱いされてから解決まで - EspLogというブログでは、TwitterはSpamhausのリストデータをもとにリンクの安全性を確かめているようでであるということを指摘しています。ここに登録されていると、「ブラックリスト」となってしまうようです。

その上で、URLVOIDというページでのスパムリスト確認を行っていました。こちらでは"soumu.go.jp"はスパムリスト登録されていません。

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しかし、このブログでも紹介されているThe Spamhausというリストには登録されていることを発見しました。

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The Spamhaus:https://www.spamhaus.org/query/domain/Soumu.go.jp

おそらく、ここに総務省のドメイン"soumu.go.jp"が登録されていることが、ツイッター上で総務省のリンクがスパム扱いされている原因の少なくとも一つではあると思います。

総務省にはTwitter等複数チャネルから解消するよう連絡

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データベースに登録されている場合、そのドメインの所有者からの連絡であれば解消要請をする連絡フォームがあります。自分が被害を受けたらここから連絡すればいいのでしょう。

こういうことはたまにあるのか知りませんが、とりあえずe-GovやTwitterアカウントからsoumu.go.jpがThe Spamhausに登録されていること、解消方法について連絡しました。

ブラックリストデータベース

どうやらブラックリストを扱っているサイトはSpamhausに限られないようです。

なぜ総務省のURLがSpamhausに登録されたのか?

正直、そこまで調べることはできませんし、そんな意欲は無いのですが、フォロワーさんが興味深い推理を行っています。

 

これはもう推測の域を出ないのですが、 迷惑メールは普段から公共機関のメールアドレスには大量に送られているでしょうし、何とも雲をつかむような話です。

以上

追記:リストからは削除、しかし削除扱いの現象は残っている

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16日夜7時に確認したら、リストから削除されました。総務省が対応したのでしょうか?よって、「総務省のURLに飛ぶと警告が表示される」現象については解決されました。

しかし、もう一つの問題である「政治資金収支報告書のURLの内、特定のURLを含むツイートが削除扱いになっている」現象については未だ解決していません。

@chairtochairさんが投稿したツイート:https://twitter.com/chairtochair/status/958085103770456064が本人以外の者にとっては削除扱い(存在していない)という現象です。

このツイートに含まれているURLは、http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20161125/3198500018.pdfです。

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この【再掲】ツイートは、http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20161125/3198500018.pdfのURLを含んで投稿したものを、URLを削除しただけのものです。

【再掲】ツイートは問題なく表示される、soumu.go.jpは問題ない。他の政治資金収支報告書のURLも問題ない。

ということは、このURLあたりがピンポイントで狙われている可能性を考えてしまいますが、慎重になるべきでしょう。

 

 

総務省のURLがツイッターでスパム認定されていた件

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2018年9月15日現在、なぜかツイッター上から総務省のURLに飛ぼうとすると、警告されるようになっています。

この件についてフォロワーさんとあーだこーだ確認した結果を報告いたします。

総務省のsoumu.go.jpすべてが対象

最初は、総務省の政治資金収支報告書のリンクを貼ったツイートを投稿していた方が気づいたので狙い撃ちかと思いきや、soumu.go.jpのドメイン全体がダメな判定を受けるということです。

とはいえ、「無視して続ける」を押せばリンク先に飛べるのですが、なんとも不思議です。

soumu.go.jpを含むツイートができない

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現在、soumu.go.jpをハイパーリンクとなる形で含むツイートは、投稿自体ができません。これはスマホアプリ、ブラウザ、PCからでも同じです。

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若干、表示が異なる場合もありますが、表示が異なる条件はよくわかりません。

ツイッター上の話なので、URLを直打ちしたり、ネット検索からたどれば当該ページはふつうに見れます。

既存のsoumu.go.jpを含むツイートは見れたり見れなかったりする

こちらの場合、短縮URLになっているからでしょうか?問題なくツイートは表示されます。リンク先に遷移しようとすると警告画面になりますが、警告を無視して続けるをクリックすれば大丈夫です。

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また、中にはツイートの表示はsoumu.go.jpであるが、一端"t.co"に遷移した後に警告画面が出るものがあります。この場合のツイートは表示されています。
※追記:ツイッター上にハイパーリンクしたURLは、一度t.coなどに遷移しているようです。参照:Twitterのリンクサービス(http://t.co)について

しかし

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当該ツイートのURL:https://twitter.com/chairtochair/status/958085103770456064

特定のsoumu.go.jpを含むツイートは、ツイッター上では存在しないのと同じ扱いになっています。ちなみに、このブログを書いているときに上記ツイートを貼り付けた際も、ツイートの内容は表示されず、URLの形式でしか貼り付けできませんでした。

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魚拓を採ろうとしても存在していないことになっています。

消された扱いになるツイートをsoumu.go.jpのリンクを消しただけのツイートは、まったく問題なく見れます。

本人であれば閲覧可能

 

どうやら他人ではなく、当該ツイートをした本人であれば、ツイートは存在しているように見えるとのことでした。第三者的には存在していないということに、謎です。

 

他の政府系サイトは大丈夫

 

なぜ総務省だけ?

Facebookからは問題なくリンク先に遷移

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フェイスブックからは何らの警告も無しに遷移できました。

ただ、フェイスブック⇒ツイッター連携をしていても、この投稿はツイッター側には反映されませんでした。

対処方法:短縮URLか、ハイパーリンクにならない形で

たとえば"h"を抜いた形でURLをハイパーリンクにならないように投稿すれば、soumu.go.jpを含んでいてもツイートが削除扱いにはなりません。

それから、総務省のツイートからは、短縮URLで遷移するようにすれば、削除扱いにならないと思われます。

まとめ:原因不明!

同様の現象は、前々から一部存在していたようです。

この挙動も人によって異なる模様。

時間が経てば解決する類の話なのか、総務省のドメインがもはやツイッターからスパム認定されているからなのか。

結局のところよく分かりませんが、「誰かが通報している」という可能性は一旦頭から消した方がいい気がしています。

以上

※追記:警告の問題とツイート削除の問題は別?

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これは9月15日午後1時以降のツイートですが、総務省のツイートで政治資金収支報告書のものを貼っているのに、普通に見れます。元のツイートは未だ見れません。

こうした状況からは

  1. 総務省のURLリンクに遷移すると警告が表示される現象
  2. 総務省の特定のURLリンクを含むツイートが他人からは削除扱いになる現象

この二つの問題が発生しており、特に2番目の状況になるのはかなり限定された条件だということが分かります。

そうすると、「特定の内容のツイートだから」が原因の候補に再浮上してきます。

ただ、それも断定はできません。

謎は深まるばかりです。

朝日新聞鮫島浩が北海道地震でも捏造:「電力供給が脆弱なのは原発に固執してたから」

朝日新聞鮫島浩 

 

朝日新聞の鮫島浩がまたデマを吐いています。

朝日新聞鮫島浩のツイート

魚拓:http://archive.is/1BRP6

「電力供給体制が脆弱なのは原発を停止しているからではなく原発に固執しているから」

これは完全なるデマです。

「電力供給が脆弱なのは原発に固執してたから」という嘘

魚拓:https://web.archive.org/web/20180909031623/http://www.hepco.co.jp/energy/fire_power/ishikari_ps/index.html

石狩湾新港発電所1号機は、2014年8月から土地造成工事や地盤改良工事などの準備工事を開始し、2015年8月に電気事業法に基づく工事計画の届出を行い着工いたしました。2018年度下期の試運転を経て、2019年2月の営業運転開始を目指します。

原発に固執していたなら、なぜ火力発電所を建設していたんですかね?

発電所を作るのにどれだけ年数を要するか分かってるんですかね?

だから朝日新聞は読まれなくなってるんですよ。

泊原発の地点の震度は2。アエラ「電源喪失の危険」

泊原発が「外部電源」喪失したのは火力発電その他の電力供給が無くなったからであって、原発による発電供給が絶たれたからでも、設備の脆弱性が問題だったのではありません。泊原発は現在、3号機の新規制基準適合性審査中であり、稼働していません。

稼働中の場合、原子炉の冷却には原子力発電による電力供給によって行われるのであって、今回の地震による外部電力喪失とは関係ありません。北海道地震によって外部電力喪失したときの原子炉の冷却には、予め用意されていた非常用電源によって電力供給されていました。

AERAは朝日新聞が女性向けに発行している週刊誌ですが、朝日新聞社全体でこのようなデマを災害に乗じて流していることは許し難い行為です。

以上

石破茂が菅野完のインタビューに答える:政治倫理の問題?

f:id:Nathannate:20181129133408j:plain

魚拓:https://web.archive.org/web/20180908055635/https://hbol.jp/174352

自民党総裁選に出馬する石破茂が菅野完氏のインタビューを受け、その内容がハーバービジネスオンラインで公開されています。

しかし、この行為はどう理解すれば良いのでしょうか?

菅野氏の現状と政治倫理について考えていきます。カテゴリは随筆。精密な検証はしていません。

菅野完氏:アメリカにおける傷害罪で起訴逃亡中

菅野完氏はアメリカで傷害罪で起訴され裁判に出廷せず逃亡中です。

魚拓:http://archive.is/cQbp8

魚拓:http://archive.is/yoFMW

魚拓:http://archive.is/ssDuJ

本人も事実は認めています。

これは週刊現代が報じたことで明らかになったものですが、菅野氏がメディアに出るきっかけとなった森友学園問題において菅野氏を重用した大手メディアがこの件を取り上げることはありませんでした。

石破茂がインタビューを受けることは違法ではないが

禁錮以上の刑であれば執行猶予でも公務員は失職しますが、たとえ菅野氏がアメリカテキサス州で傷害罪で起訴され、逃亡中だとしても、菅野氏からのインタビューを受けることは何ら違法ではありません。石破氏本人が何か犯罪をおかしたわけではありませんからね。

ただ、何かダメなような感覚はあるでしょう。

たとえばホリエモンも刑事犯として服役しましたが、刑期を終えた後はふつうに経済活動を行っています。前科があるからといってその者とビジネス関係を持つことが妨げられる法的根拠はありませんし、服役中の者と話をしてはいけないということはありません。

唯一、暴力団とのみ、関係を持っていたら違法になる程度でしょう。

しかし、石破氏がハーバービジネスオンラインで対談している相手は未だ罪を償っていない者であり、ホリエモンなどとは一線を画す必要があると考えられます。

また、在宅起訴されて裁判中である刑事被告人とも異なり、アメリカで罪が確定している者の話しであること、事後的に犯罪者となった者ではないことも、余り例のない現象だと思います。

「犯罪者」と対談することが政治倫理に反するのか?

 「犯罪を犯して逃亡中の身」というと、2018年9月現在はとある事件の指名手配犯を思い出してしまいますが、要するにそのような人物と公的な立場にある者が対談しているということに違和感を持つのは通常の感覚だと思います。

しかし、公務員だからといって「犯罪者と対談してはいけない」という規定はありませんし、通報義務は犯罪をまさに認知した時点の話しですから、菅野氏の件は無関係です。犯罪者のインタビューに対応する事が公務員の職務の公正性を害すると直ちに言えるとは思えません。

また、犯罪を犯して服役中の者は選挙権を停止させられますが(公選法11条)、表現の自由はありますし、誰かに対してインタビューすること自体まで禁止されることはありません。今回の場合も、犯罪者の発言内容を事実として取り上げているのではなく、聞き手に徹している中での発言があるだけです。

違法の話でないなら道徳・倫理の話になりますが、関連規定について調べました。

政治倫理綱領と行為規範

政治倫理綱領

政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。
ここに、国会の権威と名誉を守り、議会制民主主義の健全な発展に資するため、政治倫理綱領を定めるものである。

一、われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。

一、われわれは、主権者である国民に責任を負い、その政治活動においては全力をあげかつ不断に任務を果たす義務を有するとともに、われわれの言動のすべてが常に国民の注視の下にあることを銘記しなければならない。

一、われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。

一、われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。

一、われわれは、議員本来の使命と任務の達成のため積極的に活動するとともに、より明るい明日の生活を願う国民のために、その代表としてふさわしい高い識見を養わなければならない。

政治倫理規範

第一条 議員は、職務に関して廉潔を保持し、いやしくも公正を疑わせるような行為をしてはならない。

第二条 企業又は団体の役職に就いている議員は、当該企業又は団体に関し政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律の規定により関連会社等報告書を提出すべき場合を除き、当該企業又は団体の名称、役職等を議長に届け出なければならない。

第三条 議員は、議長又は副議長の職にある間は、報酬(自己の事業に係るもの及び金額が年間百万円以下のものを除く。次項において同じ。)を得て企業又は団体の役員等を兼ねてはならない。

2 議員は、常任委員長又は特別委員長の職にある間は、報酬を得てその所管に関連する企業又は団体の役員等を兼ねてはならない。

第四条 議員は、全会派の一致をもつて遵守すべき事項を申し合わせた場合は、これに忠実に従わなければならない。

第五条 行為規範の実施に関する細則は、議長が定める。

行為規範の実施細則があるようですが調べられませんでした。 

これらの規範自体が抽象的であり罰則があるわけでもありません。「犯罪者と関係を持ってはいけません」とは書いてません。

こうしてみると、「相手が犯罪者だから」という理由でインタビューに応じたことについて非難を受けるべき政治倫理の逸脱はあったのだろうか?と思ってきます。

なお、閣僚については「大臣規範」がありますが、利害関係人との饗応を避けるべきという規定等はありますが、相手が「犯罪者だから」という理由で何か非難を浴びるような規定ではありません。

「犯罪者」に対する嫌悪感はどこから?政治倫理とは?

今回は「犯罪者に対して便宜を図った」や「犯罪者から支援を受けた」でもなく「犯罪者のインタビューに応じた」のみであり、それが何故悪いこととされるのか、改めて考えるとよくわかりません。

そうであるとはいえ、やはり違和感を持つのが通常の反応でしょう。

それは「政治倫理に反しているから」なのか、「一般的な道徳・倫理観念からして避けるべき事態」だからなのか。後者だとしたら、なぜ犯罪者からインタビューを受けてはいけないのか。

ちょっと立ち止まって見ると、そういう問題を投げかけられた気がする事案です。

※追記

数名の方と意見交換した結果、「許し難い」ものの要素が浮かび上がってきました。

菅野氏に着目した視点では「単に犯罪者である」という事ではなく

  1. 犯罪行為の数、内容
  2. そのうちのアメリカでの犯罪は逃亡という形で償っていない状態

1,2のような背景を有する人物であることが「許し難い」ものの一要素なのだと思います。「本来は娑婆の空気を吸ってはいけない人物であるにもかかわらず、のうのうと表社会で活動していること」が非難されるべき内容の中心にあるような気がします。

石破氏の側に着目すると

  1. インタビューを受けることは「そのような人物」の「利益」になる行為である
  2. 石破氏は国会議員であり、政治家は立法権を有するからより廉潔性を保たなくてはならず、「そのような人物」の「利益」になる行為は許されない

概ね、こうした価値判断が根底にあるようだと思いました。

ただ、「そのような人物」が「利益」を得るようなインタビューを受けることがなぜ廉潔性の観点から悪い評価を受けるのかは未だに言語化できていません。

おそらくですが、石破氏がインタビューを受けることは「本来娑婆の空気を吸ってはいけない人物が表社会で活動することに加担することになるから」であると思われますが、いかがでしょうか?

そこには「表社会でのうのうと生活すること」への寄与が本質的な非難対象のような気がします。それを「利益」と呼んでいるのだと思います。

以上