事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

加計学園の岡山理科大学獣医学部の図書費用水増し疑惑について

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黒川敦彦らの「今治加計獣医学部問題を考える会」が、岡山理科大学獣医学部を運営する加計学園を刑事告発する「予定」だと言っています。

加計学園:理事長と学園を詐欺容疑で刑事告発へ 市民団体 - 毎日新聞

加計学園側は事実無根であるとして不正を否定しています。

黒川らの主張は刑事告発をするには不十分であり不自然なところがあるので指摘します。

また、テレビ朝日は黒川らの主張を全面的に採用してニュースを報道している点も紹介します。

黒川敦彦らの主張:「本代が水増しされている」

加計図書費水増し

今治加計獣医学部問題を考える会

魚拓:http://archive.is/5DYAE

以下の図に示すように、加計学園が平成29年度の図書費に9928万円を見積もって補助金を受けているのは事実です。

黒川らは、独自の計算方法で図書の平均額を算出し、その総数をかけた数値が3417万円である、だから水増し請求である、という主張です。 

加計学園の岡山理科大学獣医学部の図書費見積もり

加計学園の図書費見積もり

http://www.dsecchi.mext.go.jp/1710nsecchi/06kake.pdf

文部科学省のサイトでは加計学園が岡山理科大学獣医学部の諸経費を見積もったものがあります。

このうち、黒川らが問題視しているのは「設備経費ー設備ー図書」となっている項目の平成29年度の金額9928万円についてです。

しかし、この「図書」項目は「図書の整備に要する経費」として計上されています。

「図書費」とは「図書の整備に要する経費」

加計図書費水増し請求というデマ

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/09/26/1334531_1_1.pdf

これは単なる「図書購入費」のみを指すものであるとは一般的に考えられません

「整備」に要する「経費」ですからね。

「校地の整備に要する経費」が学校敷地の購入費のみを指すでしょうか?

「校舎の整備に要する経費」が学校の建物の購入・建築費用のみを指すでしょうか?

図書館で本を借りた方なら、誰もが背表紙や裏表紙にラべルやバーコードが貼り付けられているのを見たことがあるハズです。たとえば以下の画像です。

加計図書費水増し請求というデマ

当然、この処理をするということは、データベースに登録する必要があります。

よって、このような作業に要する費用も含まれていると考えられます。

他にも図書に要する費用はあると思われます。

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http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/09/26/1334531_4_1.pdf

形式上、経費の見積もりを記入する様式の記載例では図書欄は「〇〇冊」という記述の仕方になっています。

しかし、それは図書の量に応じて上記のような作業も増えていくことが分かるからであり、「〇〇冊」という書き方になっているからといって直ちに図書購入費用のみを指すとは到底思えません。

こんなことはまともな常識があれば思いつくハズですが、黒川らはなぜか「図書購入費」のみを計算して「それとズレているから水増しである」と断定しているのですが、不思議で仕方がありません。

自動車を購入したことはありますか?

自動車を購入したことがある方なら理解できると思いますが、「自動車の車体の価格」だけでは自動車は買えませんよね?

自動車の車体本体価格に加えて、車検費、整備費、ディーラー登録費、自動車税、自動車重量税…etc…を含めたものが自動車の購入価格の全体を構成します。

黒川らが言っているのは、300万円の自動車を購入している者に対して「車体の市場価格は200万円だから100万円が水増しされている!」と言っているようなものです。

テレビ朝日がモーニングショーで「黒川説」に基づく放送

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ちなみに、このニュース番組をyoutubeに丸々UPしているのは、立憲民主党の福田つよし議員。許可は取っているのだろうとは思いますが…

魚拓:http://archive.is/AdWwq

テレビ朝日のモーニングショーでは10分以上にわたって「黒川説」を紹介し、更に図書が少ないことを取り上げて問題視しています。

岡山理科大学獣医学部の図書数は1学部の開学初年度のもの

テレビ朝日の番組内では、加計学園の図書が8700冊「しか」無い事をも問題視していました。

比較として帯広畜産大学の21万冊や日本獣医生命科学大学の9万4000冊を取り上げていました。

しかし、帯広畜産大学は約70年、日本獣医生命科学大学は前身も含めれば約120年の歴史があります。

帯広畜産大学は獣医学部以外の農業系の学部もあります。

こうした比較は意味がありません。

しかも加計学園は来年には1万2000冊、6年後には10万冊を揃える予定であるとしています。

現状が不十分であるというのはその通りだと言えますが、わざわざ全国ネットで問題視するのはなぜでしょうか?

また、「獣医学部に無関係な本も置かれている」と言っていますが、そんなものどこの大学の図書館にもありますよ。オープンアクセスになっている大学図書館を利用してみれば直ぐに分かる話です。

まとめ:岡山理科大学獣医学部の図書費水増し疑惑は根拠薄弱

  1. 加計学園が文科省に申請した図書費とは「図書の整備に要する経費」である
  2. 単に「図書購入費」のみを指すとは常識から言って到底考えられない
  3. 黒川らは図書購入費のみを算出し、それとの乖離のみを持って水増しと断定している
  4. テレビ朝日は黒川らの主張を取り上げるが検証していない
  5. 黒川らは刑事告発は未だ行っておらず、「予定」だと言っているに過ぎない

なぜ根拠薄弱であることが濃厚である主張をテレビ朝日は取り上げたのか?

なぜ告発すらしていない段階でテレビ朝日は取り上げたのか?

疑惑は深まるばかりです。

以上

あたらしい党:音喜多駿(おときたしゅん)の東京都議会での業績を確認しよう

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コラじゃありません。

元都民ファーストの会の東京都議会議員のおときた駿都議が新党を設立しました。

さらには東京都北区の区長選挙について出馬の要請があると言います。
※出馬の「意向を固めた」ということではないようです。

これを機に、おときた都議の都議会での所業を振り返りましょう。

元都民ファーストの会の音喜多駿:「土壌Xデー」という妄想

水面下交渉の新事実「土壌Xday」。安全・安心の政治利用は、浜渦・石原都政から始まっていたのでは | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

都議会の百条委員会が紛糾したのはおときた都議のこの質疑が大きいです。

東京都議会豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会速記録第五号 2017年3月11日(土)

おときた駿
「東京ガス側から提出された資料から、我々都民ファーストの会は驚くべき新たな事実を発見いたしました。
それは、浜渦副知事が都の環境確保条例と国の土壌汚染対策法の成立を、ある意味では利用して東京ガスに圧迫あるいは脅迫ともとれる交渉を行って、強引に土地の売却を承諾させていた可能性を示唆するものです。」

「東京都と東京ガスの交渉において、都側の赤星理事は、浜渦副知事からの指示として、土壌汚染 X デー、あるいは、 Xデーという単語を用いて、この日、これは土壌Xデーですね、を迎えれば、土壌問題が噴出し、東京ガスが所有する土地の価格が下落する。結論さえ出せば、石原知事が安全宣言で救済するから、早急に結論を出すように、などと伝えている様子が克明に記録をされています。」

これに対して関係者はそのような事実を否定しました。

また、音喜多都議が「東京ガスから提出された資料」と言っているものは一体何なのかについては河野ゆうき議員が指摘しています。

豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会速記録第八号平成二十九年三月十九日(日曜日)

○河野委員

「Xデー」・・・「これは東京ガスの HP に載っている資料で・・・・ X デーというのは、私はどう見ても、この東京ガスが自分たちでこれからやろうとする、要するに東京都の環境確保条例を先取りして、これから自主的に土壌調査結果及び汚染土壌対策を発表する日のことをいっていると思います。
・・・土壌対策法・・・あたかもそれによって土地の値段が下落して、それを使っておどしているかのようなストーリーは、私にとってはまるでこれは小説でありました。
・・・このメモは、東京ガスの提出の段ボールの中に入っておりました。しかし、いつ、どこで、誰が出席して、誰が書いたのか、出どころも不明です。ほかの東京ガスの書類とは違い、異質なものでした。・・・・このメモを、ことさら取り上げるようなメモではないと。」

土壌Xデーという音喜多都議の見立て(妄想)については、同じく都議の川松真一郎氏が以下の記事で詳細に検討しています。

音喜多氏が提起した「土壌Xデー」は一体何だったのか – アゴラ

事実はむしろ、真逆で、東京ガスが、法の制定に先んじて、自ら策定する土壌対策を、自らの判断で発表する日のことである。 そして、この X デーという言葉は東京ガスの中で使われていた用語であり、東京都の担当者は知らない用語であって、そのことを赤星証人に念のため確認したのです。

したがって都の職員が知りもしない「東京ガスの用語Xデーという言葉で東京ガスを脅す」ということなどあり得なかった、このことを4月4日の証人尋問で、赤星証人に確認するためにメモを引用したに過ぎません。

また、メモについては「いつ、どこで、誰が出席して、誰が書いたのか、出どころも不明」なため、東京ガスに確認を依頼したのですが「不明」という回答であったと漏れ伝わります。東京ガスが提出した資料であることは間違いないのですが、資料としての信頼性は他のものとは異なる事は揺るぎないファクトと言えるでしょう。

要するに怪文書に過ぎないものを立派な資料として「証拠」と呼び、その「証拠」に基づいて「土壌Xデー」なる事実が存在していたかのように振る舞っていたということです。

これは、現在加計学園問題とマスメディアが騒いでいるように、怪文書に過ぎないものを「証拠」と称して「追及」する報道が為される先駆けとなった事案です。

ちなみに、河野ゆうき議員はおときた氏によって懲罰動議が出され、可決されました。

都議会での偽証罪認定

豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会速記録第十三号平成29年5月24日(水)

おときた委員
確かな公的記録の存在、加えて百条委員会における証人の証言、この二つがそろったことで、濱渦氏がもっともらしく主張していた発言の数々は、偽証の疑いが極めて濃厚であると断じざるを得ません。
 同様に、交渉の責任者として証人尋問された赤星理事も確認書の存在を否定していることは、記録の存在から、その矛盾、偽証の疑いは極めて強いといえます。

メモを確かな公的記録の存在と言い、濱渦武生、赤星経昭両氏に対して偽証認定をすることに賛成の立場でした。

さらに、おときた都議は以下発言しました

  また、調査、尋問の過程において、一部の議員から公的記録の存在を疑問視する発言があったり、あろうことか、委員会をつかさどる委員長がその職責を放棄して任を投げ出すなどといった信じがたい行いも発生しました。これらの行為は、都議会の総意で設置された本特別委員会の権威を著しく毀損するものであり、その責任は極めて重いということを、ここで改めて申し述べておきます。

その結果↓↓↓↓↓↓↓↓

濱渦武生、赤星經昭両氏の不起訴決定(嫌疑不十分)

本人は反省しているようです。

激減した報道量…百条委員会の告発における浜渦・赤星氏の「不起訴処分」について | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

「あたらしい党のおときた駿」になるか?

魚拓:http://archive.is/3UUwV

おときた都議自身、都民ファーストの会での言動については反省している面もあると言っています。

過去の失敗から学んで健全な政治を行うことができるのか?

「あたらしいおときた駿」になることを祈念して本稿を締めたい。

以上

fetch as googleエラーの原因と対処法:件数と時間制限があるgoogle search console

fetch as googleエラーが発生しました。しばらくしてからもう一度お試しください

Google search console の"Fetch as google"機能を使ってる方へ。

「エラーが発生しました。しばらくしてからもう一度お試しください」

この表示が出た際、以下の認識を持っておくといいと思います。

  1. 一定時間内のリクエスト数に上限があると認識すること
  2. 制限は日付が変わると解除される
  3. 制限は24時間待つことで解除される

以下では2018年10月現在の"Fetch as google"の上限数の仕様と思われる挙動と、なぜそうなっているのか、一定の分析を試みます。

「エラーが発生しました。しばらくしてからもう一度お試しください」は上限数に達している場合が多い

まず、"Fetch as google"のリクエストは

【一定時間内のリクエスト数に上限がある】

これを認識してください。

エラーが発生してリクエストができないというときのほとんどが、この一定時間あたりの上限数を超えたリクエストをしようとしている場合です。

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このURLのみをクロールする」にチェックを入れたものが12個

このURLと直接リンクをクロールする」にチェックを入れたものが3個

どうやらこの2種類のリクエストは別個に扱われているため、「このURLのみをクロールする」でエラーが出たら回避策として「このURLと直接リンクをクロールする」にチェックを入れれば3つまでリクエストできるということが分かります。

エラーの原因:リクエスト上限数が1日or24時間で設定

上図では「このURLのみをクロールする」が3時間以内に12個リクエストが有効になっていますが、これは日付を跨いでいるからです。

同じ日付中にリクエストできる上限数は11個です。

エラーが出た場合、この時間を経過してから再度リクエストすれば大丈夫です。

※同じ日付で20時間しか経過してませんでしたが再度リクエスト可能になった例を確認しました。よくわかりませんが、「一定時間のうちのリクエスト上限数がある」ということだけは確かです。

fetch as googleに件数制限がある理由

別に中の人に聞いたわけではありませんが、リソースの限界が理由でしょう。

無制限にクロールリクエストが通るとしたら、クローラ―がいろんなサイトにクロールしに行かなければならなくなりますよね。

そうすると、クロールが滞ったり、行き届かないところが出てきます。

そうなることが無いように制限を設けているのだと思います。

このような制限はBingのクロールリクエストにおいても同じですね。

Bingは1日10件、月50件の制限があります。

「一時的にアクセスできません」の場合

リクエストステータスが「一時的にアクセスできません」となる場合があります。

この場合、再度リクエストをしていけば大丈夫です。

Serch Consoleのヘルプには「サーバーからの応答に時間がかかりすぎる」「連続したリクエスト」が原因の場合があると書いてあります。

私の場合は、「ネット回線が切れてしまった」のが原因と思われます。
「サイトの表示速度」はあまり関係がある場合は少ないと思います。早いページにエラーが出て、遅いページはエラーが出ないことなどありましたし。

それ以外の場合はわかりませんが、このステータスにはそんなに神経質になる必要はないでしょう。

まとめ:上限数によるエラーの対処法は「待つ」のみ

過去記事のリライトを猛スピードでやっている、という場合でない限りあまり遭遇しない現象でしょうし、その場合は計画的にリクエストすればいいのではないでしょうか。

以上

東京都ヘイトLGBT条例の制定過程がブラックボックス:情報公開はどこへ?

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東京都ヘイトスピーチ・LGBT条例(東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例(169号議案))が可決されました。

本条例が審議された日の質疑から、本条例の問題点について指摘していきます。

条例案の提示後に質疑が行われたのは【東京都議会総務委員会平成30年10月2日(火)】のみです。

 東京都のヘイトスピーチ・LGBT条例の問題点については以下で触れています。

「ヘイト」に日本人が保護対象になるか?

答弁を聞いている限り、どうやら日本人は保護対象にならないようです。

また、この点を補う附帯決議も提案されませんでした。

そもそも、日本人が対象になるのか?という点について質問をしたのが【総務委員会平成30年6月22日(金)】の早坂義弘委員の質疑のみです。

総務委員会平成30年6月22日(金)

○早坂委員 -省略ー
 ここで、一つ指摘しておきたいことがあります。
 都内における我ら日本人に対するヘイトスピーチも、野方図であってよいわけがありません。しかしながら、この部分は、なぜかこの条例案概要からは欠落していることを指摘しておきたいと思います。これはとても重要な部分だと私は考えます。他人にされて嫌なことは他人にしてはならない。当然のことであります。
 そこで、ヘイトスピーチに関する東京都の見解について伺います。

○仁田山人権部長 東京二〇二〇大会の開催を控え、ホストシティーとして、今後ますます多くの外国人の方が訪れることになります。このような状況の中で、東京において、お互いの個性を尊重し、認め合う共生社会を実現していくことは不可欠でございます。
 特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは、品格ある国際都市東京としてあってはならず、許されるものではございません。ホストシティーとして、ヘイトスピーチ解消法を具体化するため必要な取り組みを条例で示す中で、ヘイトスピーチが決して許されるものではないことを発信してまいります。

早坂委員の質疑が雑駁なのは、この時点では「条例案の概要」しか提示されておらず、条例案という形での条文が出来上がっていなかったからです。

仁田山人権部長は、「日本人は対象になるのか?」について言及していません。

10月2日の鈴木章浩(自民)委員の質問『なんで「オリンピック」と冠して人権施策のうち外国人の人権とLGBTの2項目だけなのか?』に対しては、「オリンピックは外国人が来るから」「これだけで終わるわけではなく他の人権施策も今後行っていく」と回答しています。

答弁者は10月と同じですので、 本条例が日本人を保護対象としていないことが分かります。

条例案の審議の過程が不明であり、期間が短い

本条例の制定過程は以下です。

  1. ヘイト・LGBT条例案の「概要」提示(方針のみ条文無し)
  2. 6月5日パブリックコメント募集開始
  3. 第二回定例会の質疑
  4. 6月30日パブリックコメント募集終了
  5. 9月14日条例案提示
  6. 10月2日第三回定例会総務委員会の質疑
  7. 10月3日総務委員会採決
  8. 10月5日本会議採決

これを見ると分かるように、条例案の原文が提示されてから議会で審議を行ったのは、10月2日のたった1日のみです。3日と5日は実質審議はしていません。

審議が十分でない上に、条例案の決定過程もブラックボックスです。

鈴木委員の質疑に対する答弁によれば、4番目のパブリックコメント募集終了以降、専門家や有識者を集めた審議会等(条例案の内容をどう決定するかの会議)が開かれていません。

単に、「個別に専門家やLGBT当事者の意見を伺った」とだけ答弁しています。

これは大阪市ヘイト規制条例の制定過程と比較すれば非常に閉鎖的であると分かります。

大阪市はヘイト規制条例の策定の際は専門家で構成される「検討部会」とその他有識者で構成される「審議会」で複数回議論が重ねられて条例案が議会に提出されていました。

以下の図を見れば5か月の期間、検討部会と審議会を複数回重ねて議論していたころがわかります。議事録或いは議事要旨も非公開措置が一部とられている部分以外はすべて公開されています。

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ちなみに、パブリックコメント募集中に私が東京都に電話で確認した際には「議事録を公開する予定は無い」とは聞いていました。

しかし、まさか審議会すら開かれてないとは思いませんでした。

審議が不十分な点は複数の議員から指摘がありましたが、継続審査動議も付帯決議も否決されました。

都民等に対する表現活動の「等」とは?

本条例抜粋

第十二条 知事は、次に掲げる表現活動が不当な差別的言動に該当すると認めるときは、事案の内容に即して当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずるとともに、当該表現活動の概要等を公表するものとする。ただし、公表することにより第八条の趣旨を阻害すると認められるときその他特別の理由があると認められるときは、公表しないことができる。
一 都の区域内で行われた表現活動
二 都の区域外で行われた表現活動(都の区域内で行われたことが明らかでないものを含む。)で次のいずれかに該当するもの
ア 都民等に関する表現活動
イ アに掲げる表現活動以外のものであって、都の区域内で行われた表現活動に係る表現の内容を都の区域内に拡散するもの

条例12条1項2号アが対象にしている「都民等」に関する表現活動の「等」とは何を意味するのか?

まさか他の自治体の住民が「等」に含まれることもあるのか?と質問されてましたが、そうではありません。

これは個人に限らず、「法人や団体等の個人以外の主体も含む趣旨」であるという旨の答弁がありました(質問者も答弁者も明確にしていないが、そうとしか思えない)。

そうすると「構成員には東京都民は含まれないが、都内に拠点を置く外資系企業」に対する言動も、ヘイト規制の対象になるということになりそうです。

東京都はオリンピック委員会の下部組織か?

西沢けいた委員の質疑で「オリンピック憲章が変った場合には、本条例は変更されるのか?」という旨の質問がありました。

仁田山人権部長

本条例案はオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指すものであり、憲章の改正があった場合にただちに改正が必要とは考えておりませんけれども、憲章の改正の内容によって個別具体的に判断するということになるというふうに考えております。

これはヤバいですね。

東京都はオリンピック憲章が変ったら、それと連動して条例も変える必要が出てくる可能性があると言っています。

つまり、東京都の法体系はオリンピック委員会の下位に属すると言っているに等しいです。

オリンピックが東京で開催決定される前から、東京都総務局人権部 じんけんのとびら | 東京都の人権施策に表れているように、東京都は主体的に人権施策に取り組んできました。

にもかかわらず、なぜわざわざオリンピックにかこつけて条例制定を目指すのでしょうか?

いや、百歩譲って、条例名に「オリンピック」を冠しても、条例制定の動機にオリンピックの開催があっても良いでしょう。

しかし、条例の存立基盤をオリンピック憲章と紐づけるという状況は、あまりに異常です。(しかし、この点が将来争点となることはあまり考えられないので、実際上は問題が表面化することは無いと思われますし、そうなった場合に裁判所が違った判断をする可能性はあります)

なお、川松真一朗議員をはじめ、自民党会派の議員は国会のレベルでヘイトスピーチ規制法についての法案が提出される予定があるのに、それを待たずに都の条例レベルで先に規制内容を決めるのは拙速ではないか?という指摘もしていました。

まとめ:情報公開はどこへ?

都の職員の答弁を聞いていると、「情報が降りてきていない」印象を持ちました。

小池都政は「情報公開」を謳っていたにもかかわらず、大阪市との比較でも明らかなように、ブラックボックスが多すぎて情報公開には程遠い現状であると言わざるを得ません。

豊洲移転延期問題が終息しても、まだまだ小池都政の問題は山積です。

以上

「豊洲移転問題」を振り返る:土壌Xデー、ベンゼン100倍、浜渦氏の偽証罪告発など

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http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/

築地市場の豊洲への移転が行われ、2018年10月11日に豊洲市場が開場しました。

本来であれば2016年11月に移転されていたはずのものが「延期となっていた問題」について、どういう事態があったのか、本ブログの過去記事から簡単に紹介します。

「地下水が汚染」「ベンゼンが100倍の濃度」

 地下水の水質環境は豊洲市場に影響を与えるものではないということを示しています。

こちらは法的に、地下水が環境基準に適合することが豊洲市場への移転開始の条件ではないということを示しています。

おときた駿都議による「土壌Xデー」メモの信憑性

おときた駿都議が東京ガスが提出した書類の中から「土壌Xデー」と書かれたメモを見つけたことから、「東京ガスが土壌汚染問題が噴出する前に東京都が土地を売り払う魂胆だった」「これを当時の都の役職者が意図的に行っていたため問題だ」というストーリーを作ったことです。

最終的に、この騒動は元東京都副知事であった浜渦武生氏を虚偽答弁で告訴するまでに至りました。

浜渦武生、赤星経昭の偽証罪告訴→嫌疑不十分不起訴

元東京都副知事の浜渦武生と元都政策報道室理事の赤星経昭が、東京都の「百条委員会」の証人喚問において虚偽答弁をしたとして、東京都議会が彼らを偽証罪で告発することを決議した事案です。

ここでは百条委員会とはどういうものか、という一般的な事柄についてもまとめています。

最終的に、両氏は検察が嫌疑不十分で不起訴としました。

石原慎太郎元東京都知事の百条委員会招致

石原慎太郎元都知事を証人喚問して質疑が行われましたが、共産党の都議は印象操作に走るなど、都議会にとって時間の無駄でした。有益な質疑はまったくといっていいほどありませんでした。

やながせ裕文都議の提言と行政が採れる選択肢

小池都知事に対して、当時の都議会議員で誰も苦言を呈さなかったわけではありません。

東京維新の会で唯一当選したやながせ裕文都議は、豊洲市場への移転を早期に実現するようにと提言していました。

2017年夏の都議会議員選挙で都議会の構成が変わる前の都議による移転提言としてはこれくらいしか見当たりません。

最後に:小池百合子都知事個人の責任は

小池都知事は現在、移転延期判断が違法であり裁量の逸脱濫用だとして築地市場の業者含む都民から住民訴訟の渦中に居ます。

この裁判の結末によっては、小池都知事個人に対して500億円以上の損害賠償額が認定され、彼女個人が債務を負うことになります。

首長の行政判断が違法となり個人が賠償請求を受けたものとしては、国立市マンション訴訟の上野元市長の事例が有名ですが、延滞金を含む総額約4500万円は市民らのカンパもあり、現在は完済しています。

さて、小池都知事にはカンパしてくれる人は現れるのでしょうか?

※追記:小池都知事本人への賠償請求を都に求める住民訴訟は棄却

移転が遅延したことによる小池都知事本人への賠償請求を都に求める住民訴訟は棄却されました。

東京地方裁判所 平成31年2月26日判決 平成29(行ウ)568

以上 

「沖縄の基地負担割合は日米共用施設含めると全基地面積の〇〇%」論は悪手である

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「沖縄の基地負担は米軍専用施設だと約70%であるが、日米共用施設を含めると全基地面積の〇〇%である」

この主張は悪手です。

どう問題なのか説明します。

沖縄県の米軍基地面積の割合の計算方法

「米軍基地の面積」を論じる際には2つの種類の基地があることを認識すべきです。

  1. 米軍専用施設(米軍が管理して専属的に使用する施設)
  2. 米軍一時使用施設(自衛隊が管理して一時的に米軍と共用する場合もある施設)

1番の米軍専用施設は、日米地位協定の第2条1-aに規定されているものです。第2条4-aと併せ読むことで、米軍が管理して専属的に使用する施設だということが分かります。

2番は、日米地位協定の第2条4-bに規定されるているものです。「日米共同利用施設」と言われることもあります。

米軍専用施設の沖縄県の基地面積割合

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平成29年の沖縄県の資料では70.4%(188,222千平方メートル)

平成30年の防衛省のホームページでは70.28%(184,961千平方メートル)

となっています。

日米共用施設も含めた沖縄県の基地面積の割合 

平成29年の沖縄県の資料では日米共用施設が0.3%であり、米軍専用施設を併せて19.2%となっています。

平成30年の防衛省のホームページでは19.1%となっています。

これをもって「実は、負担は大したことがない」と言う者は、県の面積に占める割合を考えているのでしょうか?

県面積に占める基地面積の割合

沖縄県の面積は2,281平方キロメートルです。
※平方メートルで表すと2,281,000千平方メートルになります(1㎢=1000000㎡)

日本国全体の面積は平成29年時点で377,973平方キロメートルです。

よって、日本国全体の沖縄県を除く面積は平成29年時点で375,692平方キロメートルです。

次に、沖縄県のデータをベースにすると日米共用施設も含めた沖縄県の面積に対する基地面積の割合は8.3です。

沖縄県以外の日本国にある日米共用施設も含めた基地面積は792,799千平方メートルです。

よって、沖縄県以外の日本国の面積に対する基地面積の割合は0.2%です。

沖縄が比較的負担が大きいというのは、日米共用施設を勘案しても変わりません。

小括:日米共用施設を含めた大きさに意味はあるのか?

日米共用施設を持ち出したところで、沖縄県の面積ベースの基地負担が全国と比べて重いということは明らかです。

しかも、「日米共用施設も含めると〇〇%だから~」という主張に対しては、以下のような指摘が為されるのが落ちです。

そうか。じゃあ日米共用施設も減少させましょう

日米共用施設論者は、こういう議論の土壌にわざわざ上り込んでいるということが分かるでしょうか?

そもそも「基地負担」と言われているのは、米軍という外国の軍隊が駐留しているからこそ、そのような形容がなされているハズです。自衛隊基地は「負担」ですか?

それに、「基地負担」は一般的に面積が多い少ないということ以上の意味合いで使われています。それについて次項で説明します。

「基地負担軽減」は「米軍基地削減+不利益除去」

 「基地負担」は面積比を指すだけにはとどまりません。

たとえば沖縄県宜野湾市長だった佐喜眞淳氏の国会質疑では以下のような意味で「基地負担」と言っています。

189 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 7号 平成27年06月17日

○参考人(佐喜眞淳君) ー省略ー
普天間飛行場のKC130の件でございますけれども、私は着実に負担軽減に結び付いているものだと理解をしております。ただ、結び付いているというだけでございますからゼロではない。まだまだ騒音問題、特に夜間飛行の問題とか、あるいは、この地図でお分かりのように、宜野湾市というのは国道三三〇と国道五十八号線、あるいは県道三十四号線と県道八十一号線、それが宜野湾市の移動する大動脈なんですけれども、今人口が増え、那覇は通勤圏になっておりますので、渋滞が常にあるんですね、慢性的な渋滞も起こってくる。いわゆる騒音だけとか危険性だけではなくて、町づくりに対してのやはり負担も我々として感じていると。
 ですから、できるだけそのような負担、目に見えない負担というものも含めながら、危険性の除去、基地負担軽減というものを一歩一歩前に進めていただきたいというのが私どもの素直な気持ちでございます。

また、全国知事会においても、騒音被害も含めて実質的な基地負担であり、それを軽減することを政府に求めています。

平成30年防衛白書でも、ヘリコプターの飛行経路の限定・変更による危険性除去を負担軽減と表現しています。

したがって、「基地負担軽減」とは「米軍基地面積の削減+住民の被る一切の不利益を除去すること」を意味します。

「日米共用施設を含めれば〇〇%~」論は、ともすればこのような意味での基地負担を無視した主張に繋がりかねないものです。

沖縄は戦略的要衝、基地面積が大きいのは当たり前 

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防衛白書では以下のように指摘しています。

沖縄は…戦略的に重要な目標…安全保障上極めて重要な位置にある。こうした地理的特徴を有する沖縄に…米海兵隊をはじめとする米軍が駐留していることは、日米同盟の実効性をより確かなものにし、抑止力を高めるものであり、わが国の安全のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与している

 一方、沖縄県内には…多くの在日米軍施設・区域が所在しており、在日米軍施設・区域(専用施設)のうち…約70.6%が沖縄に集中し、県面積の約8%、沖縄本島の面積の約15%を占めている。このため、沖縄における負担の軽減については、前述の安全保障上の観点を踏まえつつ最大限の努力をする必要がある

沖縄県の土地の面積に対する負担が大きいことは事実です。

ただ、それは【安全保障における戦略的要衝】に位置するからです。

それは『悪いこと』なのでしょうか?

「基地面積を全国で同じようにしなければならない」などという要請はあるのでしょうか?それは正当でしょうか?

「全国の他の自治体と比べて面積が大きいから不公平だ」という議論に乗っかってはならないというのが分かるでしょうか?

そこから逃げて「いや、実は数字上は土地面積の負担が軽いんだ」なんて言ってみたところで、言い訳をして沖縄を軽視していると思われるだけではないでしょうか?

防衛白書は、「沖縄県の負担の軽減については、安全保障上の観点を踏まえつつ最大限の努力をする必要がある」と言っています。つまり、基地の面積が多くても住民が被る不利益をできる限り減らしましょうということです。

このような態度が正当でしょう。

沖縄県の防衛範囲の広大さ

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なぜ沖縄県は土地に占める米軍施設の割合が大きいのか?

それは戦略的要衝であること以上に【防衛範囲が非常に広大であること】に起因します。

東西約1000キロ、南北約400キロにもなる、広大な海域を含めた沖縄の面積は、本州、四国、九州を合わせた広さの半分にもなるのです。

沖縄県のWEBサイトにあるように、沖縄の防衛範囲はとてつもなく広いというのが分かります。

しかし、それに対して土地は少ない。

どうしても土地に対する基地の割合が高くなるというのは仕方がないというのが分かるでしょう。

これを米軍専用施設ではなく、「日米共用施設も含めた」基地面積を問題視してしまうとどうなるでしょうか?

安全保障上、危険性を増大させるということがわかるでしょう。

「日米共用施設も含めれば面積は〇〇%だ」論は、このような意味で害悪なのです。

「日米共用施設の基地面積は〇〇%」論は悪手:防衛白書の態度が正当

再掲 防衛白書

 一方、沖縄県内には…多くの在日米軍施設・区域が所在しており、在日米軍施設・区域(専用施設)のうち…約70.6%が沖縄に集中し、県面積の約8%、沖縄本島の面積の約15%を占めている。このため、沖縄における負担の軽減については、前述の安全保障上の観点を踏まえつつ最大限の努力をする必要がある

防衛白書は日米共用施設の基地面積を問題視するのではなく、「米軍専用施設」を問題視しています。

考えてみれば当然のことで、日米共用施設は自衛隊施設ですから、「我々日本国の本来の防衛基地」です。これも含めて削減するのは外国勢力の思うつぼでしょう。

米軍という、外国の軍隊が駐留しているという現状は、将来的に解消されるべきであるというのは、各所で一致した見解です。

よって、実は、米軍専用施設の基地面積の割合が高いことを問題視して、それを解消する努力をすることは、日本国が真に独立することに寄与します。

問題視することの裏にある底意が、まったく別のところにある者も居ますが、それはそのような動機が悪いのであって、米軍基地面積を削減し、住民の不利益を除去することは、全国民が一致して取り組むべき課題であるという認識を持つことが重要です。

以上