事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

憲法2条「皇位は世襲のもの」と大日本帝国憲法の「万世一系」の定義・意味とは

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皇位継承問題において憲法2条の「皇位は世襲のもの」の定義が問題視されることが在り得ます。

女系天皇や女性宮家、直系優先主義に変更しようとする者がこの概念を捏造しているおそれがあるため、基本的な理解を整理します。

憲法2条「皇位は世襲のもの」の定義・意味とは

憲法2条の「皇位は世襲のもの」とは【歴史上、天皇が一定の血縁関係にあるものにより継承されてきたこと】を指します。

皇族以外の者が突然やってきて跡取りとなって継ぐことを排除するということとの対比において、皇統が親子や兄弟姉妹の血縁関係によって構成される皇族の中から継承されていくことを意味します。

学説上で簡単に説明されたものとして「専ら血統に基づいて一定の血縁関係にあるものが何らかの地位に就くこと」というものがあります。*1

「皇位は世襲」は今上天皇を指すか、歴代の天皇を指すか

ここでいう「皇位」は当然ながら歴代の天皇についての説明です。

具体的な当代の天皇=今上天皇を指すものではありません。

皇室法概論ー皇室制度の法理と運用ー 39頁

天皇という存在を歴史的にとらえ、天皇が君主としての側面を有し、かつ象徴的存在であったことを勘案し、憲法は天皇が有する「象徴」としての面を天皇の中心的在り方と考え、同第一条により天皇を確認的に象徴であると定めたと解し、また、同第二条は、歴史的に皇位が世襲により継承されてきたことを背景に、天皇の地位は世襲により継承するものであると確認的に定めたと解する

連綿と続いてきたものの総体を表すものであって、「点」としての存在を指すものではありません。よって、たとえば「世襲」についての次項のような認識は間違いです。

津村啓介議員の「世襲」=今上天皇との親等

魚拓:http://archive.is/TncEh

これは憲法2条の「皇位は世襲」の対象を今上天皇であると曲解した上で、更に「世襲」を「親等」の意味であるとして扱っています。

こんな珍説を唱えるマトモな人間はいませんし、ましてや「世襲」と「親等」の日常用語としての意味ともズレがある用法ですから、トンデモ論の類です。 

「世襲」は男系に限られ女系は含まれないか

現行憲法=日本国憲法に関する議論を見ていきましょう。

臨時法制調査会の議論

皇室法概論ー皇室制度の法理と運用ー 332頁

一方、女性天皇を認めるべきでないとする見解は、歴史・伝統を論拠としており、昭和二十一年一〇月二十二日の臨時法制調査会第三回総会において第一部会長代理(関屋貞三郎委員)は、「併しながら我が国肇国以来の万世一系と申しますのは男系に依るものでありまして、此のことは歴史上に於きましても客観的事実でありまして女帝〔「女系」の誤りか…引用者注〕は唯皇位世襲の観念の中には含まれて居ないと云うことも申し得ることと思はれるのであります、斯様な次第で女帝〔「女系」の誤りか…引用者注〕に依る皇位継承は認め難いと云ふことが部会の結論でありました。。…改正憲法の所謂男女同権の原則と云ふものは…日本国の象徴たる地位と云ふ特殊性に依る特例は当然予想し得られるものと解し得るのでありまして、皇統を継承するものは男系の男子に限ると云ふ従来の原則を堅持することの結論に達して居る次第であります」(芦部外『全集1・典範』九一頁)と報告している

まず、上記の内、『「女系」の誤りか』という部分については芦部本の誤りでしょう。

高尾亮一が憲法調査会に委属されてまとめた「皇室典範の制定経過」 でも同じ発言が収録されていますが、その部分は「女系」になっていることと、文脈からもこれは女系と判断されるからです。

その上で、当時の臨時法制調査会では「世襲」には「女系」は含まれておらず、男系男子のみが「世襲」を意味すると解するという答弁があったということです。

では、それとは別機関である帝国議会ではどうだったか?

帝国議会検索システムで辿ることが可能ですので見ていきましょう。

帝国議会での金森徳次郎大臣の答弁「法律問題として自由に考えてよろしい」

第90回帝国議会 衆議院 帝国憲法改正案委員会 8号 昭和21年07月08日

○酒井委員 現行憲法では、皇位の繼承は世襲であると云ふ條件と、皇男子孫が之を繼承すると云ふ状態になつて居り、さうして恐らく此の世襲であると云ふことだけは次に出來るであらう所の皇室典範の一つの條件となることと思ひまするが、皇男子孫と云ふものを草案では特に省いたと云ふ理由が何かございますか

○金森國務大臣 此の憲法の他の條文にもありまするやうに、男女の性から來る諸般の變化は、根本的な支障がない限りは其の差別を置かないと云ふことが、物の本體と思ふ譯であります、そこで皇位の繼承に付きましても、皇位と云ふことの根本の性質と組合せて、如何に此の問題を扱ふかと云ふことは、新しい問題として之を研究しなければならぬと思つて居ります、さう云ふ研究をも含みつつ、此の第二條には其の制限が除かれて居りまするが故に、憲法の建前としては、皇男子、即ち男女の區別に付きましての問題は、法律問題として自由に考へて宜いと云ふ立場に置かれる譯であります、實際どうなるかと云ふことは是からの問題であります、其の意味に於て文字のないことは理由がある譯であります

「男女の区別」 は法律問題(皇室典範で定める)であると言っています。

つまり、憲法上、「世襲」による継承には男女が含まれていると言っています。

別の答弁もあるので見ていきます。

男系男子という限定はないという答弁

第90回帝国議会 貴族院 帝国憲法改正案特別委員会 9号 昭和21年09月10日

○佐々木惣一君 それで第二の問題と致しまして皇位繼承の資格と云ふことに付て御尋ね申上げたいのです、是は私は皇位繼承と云ふことをちよつとどう云ふ意味、是は今の法典がありますから、まあそれは宜いです、止めて置かう、其の中の一點として皇位繼承の資格と云ふものに付きましては、今囘の憲法草案には實質的に何の規定もないのですね、「皇室典範の定めるところにより」とはありますのです、固よりそれはあるけれども、併しながら世襲のものであつて、國會の議決した皇室典範の定めるところにより」とあるのですが、そこで先づ世襲のものであると云ふことは一體どんなものでせう、どう云ふ意味なんでせうか、所謂今日の現行憲法に於ける萬世一系と云ふのと違ふのでありませうか、違はないのであるか、是は細かなやうなことですが大事なことですからどうか…

○國務大臣(金森徳次郎君) 本質的には現行の憲法と異なる所はないと考へて居りまます、唯現行憲法は萬世一系と云ふが如き多少比喩的な文言を使つて居りまして、現實的なる言葉ではありませぬ、それを現實世界の素朴なる言葉に表はすと云ふことが主眼となつて居ります

○佐々木惣一君 比喩的と仰しやるのは私には分らぬのですけれども、萬世一系と云ふのは此の帝國憲法で始めて出來た言葉ではなくして、それ以前から使つてある、それには實質が入つて居る、即ちどの系統、どの家の方と云ふ、所謂皇祖皇宗、祖宗の皇統に屬すると云ふことは、萬世一系と云ふ文字に入つて居る、單に世襲と云ふことではない、萬世一系と云ふのはどの系統に屬するかと云ふやうなことと無關係で、唯世襲とあるのでありませうかと云ふことを御尋したのであります、世襲と言つても祖宗の皇統に讓る所の其の世襲と云ふ意味であるか、萬世一系と云ふのはちやんと實質が入つて居る、帝國憲法に於て始めて出來た文字では實際はありませぬ、それは重きを置くものから言へば非常に重大な所です、それはまあそれで宜いと致しまして、それからもう一つの點は「世襲のものであつて、」「皇室典範の定めるところにより」と申しまするが、それならば世襲のものであると云ふこと、是は議論にも何にもなりませぬ、さうだと仰しやればさうである、男系の男子と云ふのは男子でなくとも宜いかと云ふことです皇室典範さへ決まれば問題でも何でもありませぬ

○國務大臣(金森徳次郎君) 男系の男子と云ふことは第二條には限定してありませぬ、其の趣旨は根本に於て異なるものありとは考へませぬけれども、併し時代々々の研究に應じて或は部分的に異なり得る場面があつても宜いと申しますか、さう云ふ餘地があり得ると云ふ譯で斯樣な言葉になつて居ります

○佐々木惣一君 要するに其の時時の事情に應じて皇室典範で總て定めさせる、斯う云ふ意味でありますか

○國務大臣(金森徳次郎君) 左樣でございます 

○佐々木惣一君 其の點に付きましては私は意見を言ふのぢやありませぬ、ぢやさう解釋致しまして、唯此の憲法にももう少し實質的のものが入つて宜いぢやないかと思ひますけれども、例へば男子と云ふやうなもの以外に女子と云ふものを認めるか認めぬかと云ふやうなことは、是はどうも或は大臣の仰しやるやうに其の時々の事情に依つて皇室典範で決めても宜いと云ふこと、實は私自身も其の意見ですが、併し男系か女系かと云ふこと位は、是は皇室典範で自由に定め得ると云ふことは餘り廣いかと思ひますけれども、それは御趣旨は分りましたからそれで宜しうございますが、そこで三點になりますけれども、皇室典範の性質と云ふことをちよつと御尋ね致したいと思ひます、それで御存じのやうに國務大臣の從來の御説明ですつかり分つて居りますから、私は非常に有難いのです、皇室典範は皇室の私法でなく、國家の國法だと云ふことがはつきり憲法でも御説明でも出て居ります、此の問題に付ては私自身も皇室の私法的のものでなく、國家の國法だと云ふことから或有力な學者のひどい反駁を受けて居る位でありますから…、併し此の點に付ては私ははつきりした金森さんの御説明に滿足をして居るのです、處がそれはそれで宜いのでありますが、御尋ね致したいのは、皇室典範と云ふのは矢張りさう云ふ特別の形式なのでありますか、唯普通の法律と同じやうなものであるか、それならば別に「皇室典範の定めるところにより」と云ふやうに憲法に規定しないでも、別に法律を拵へて、皇位繼承等に關して法律第何號なり、或は其の法律の名稱を皇室典範法と、斯う云ふ風に決めても宜いと思ひますが、兎に角皇室典範は議會の議決に依るのだけれども、皇室典範と云ふ、何かさう云ふ特殊の法があるかの如く思はれるのは、此の憲法の規定ではさうではないのでせうね 

金森大臣は「男系男子に限定していない」としながら「その趣旨は根本において異なるところは無い」と言っています。

これは「男系女子」は認めたと言えるでしょうが、果たして「女系」を認めたと言えるのでしょうか?

質問者の佐々木惣一は「併し(しかし)、男系か女系かと云ふこと位は、是は皇室典範で自由に定め得ると云ふことは餘り廣い(余り広い)」と言っており、懸念を示しているのが分かります。

ただ、「趣旨は分かったので」といってそれ以上問い詰めることをしなかったことから、佐々木としては「女系は除かれた」と理解したのかもしれません。

 

さて、上記の帝国議会の議論は昭和21年の9月までの議論であり、先に挙げた臨時法制調査会は同年の10月でしたので、時系列としては「女系は皇位継承の観念に含まれて居ない」と明言した臨時法制調査会の方が後です。

その後の帝国議会の答弁で政府の認識を見てみましょう。

その後の帝国議会の答弁

91回 貴族院 本会議 6号昭和21年12月16日

(国務大臣)金森徳次郎 

固より皇位繼承に付きましては、是は法律で定まることではありまするけれども、其の根本の原理は萬世一系の世襲と云ふことに原理があらうと存じます、而も萬世一系の世襲と云ふことはどう云ふことかと言へば、若し是が具體的にがつちり定つて居りまするものならば、今日皇室典範を制定する趣旨も實は沒却されます、併し是が中が非常に重大なるものでありまするならば、萬世一系と云ふ趣旨が沒却せらるるのでありまして、私共は過去の歴史と國民の信念とを綜合致しまして、萬世一系と云ふ根本の原理を確實に把握しつつ、之に對して諸般の面から來る所の角度から適切なる若干の改正は爲し得るものと、斯う云ふ風に考へまして、本格的にはもう容易に動かぬものである、併し派生的なものに付きましては十分研究をして妥當なる結論を導かなければならないのであります、處が、其の見地に立ちまして、女子に皇位繼承の資格を認むるかどうかと云ふことになりますと、實は幾多の疑惑が起つて來るのでありまして、男系でなければならぬと云ふことはもう日本國民の確信とも言ふべきものであらうと存じます、又歴史は一つの例外をも之に設けて居りませぬ、此の點を守ると致しますると、何故に男系を尊重し女系は此の繼承の範圍に置かないかと云ふことの問題が現れて參りまして、此の問題を的確に結論を作つて行きますると、自然現實の女子たる方が皇位繼承を爲さるることが適當かどうかと云ふ論點に多くの研究問題を提供することになる譯でありまして、例へば其の見地から女子の御繼承を認めますると、それから先に男系の皇統が流れ出すべき餘地が止りまするので、其處に一つの論點が考へられます

これは直接的には皇室典範についての議論ではありますが、直前には「万世一系の世襲」と言う文言も出てきており、憲法上の議論も含めて論じていると理解できます。

金森大臣の答弁はこの後も縷々続くのですが、女帝を認めてもその先で男系が途絶えること、順位をどう決定するのかが問題になり、歴史上の女性天皇の研究が進んでいないこと、現時点で女性天皇を認める必要性はない、という旨を言っています。

憲法上の「世襲」の中身を具体的に確定しなかったのは「女系が含まれるから」ではなく、重大な問題であるために十分な検討が必要なところ、現時点では研究不足であるために(女系も排除はしないものの)、その内容を確定するべきではないというニュアンスが読み取れます。今後の議論によっては流動的であると言っているようです。

「女系が含まれている」の意味内容

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このように、一連の金森大臣の答弁によれば、女帝を認めるかどうかは「世襲」の解釈論としては有り得るが、女系は対象外であると考えていた可能性が高いと言えます。

答弁では「女系」が解釈論として検討されているかのようですが、それは女帝を認めた後の世継問題として必然的に議論対象になるためであって、念頭にあるのは「男系でなければならないが、男系の女帝は許されるべきか」という問題意識であったと言えそうです。 

つまり、「女系が含まれている」ということの意味は、上図の左側のように確固として存在しているのではなく、右側のように未確定、判断保留であるという意味である可能性があるのです。

これ以降の「世襲」の解釈に関連する答弁はこちらにまとめています

※追記:明治の旧皇室典範制定際する議論で、原案に対する修正案が議決された際、原案を考案した井上毅と修正案の提案者の見解や審議過程においても「皇統には女系は含まない」という認識で一致していたことからは、新憲法の議論においても女系は含んでいないと解すべきということになります。既述の認識は、新憲法の議論だけ見た場合のものでした。

大日本帝国憲法「万世一系」と「皇位は世襲のもの」の違い

なぜ「万世一系」から「皇位は世襲のもの」に表現が変わったのか。

その両者に意味の違いはあるのか。

既に金森大臣の答弁で表れていましたが、「本質的には現行の憲法と異なる所はないと考へて居りまます、唯現行憲法は萬世一系と云ふが如き多少比喩的な文言を使つて居りまして、現實的なる言葉ではありませぬ、それを現實世界の素朴なる言葉に表はすと云ふことが主眼」と説明されています。

また、それ以降の国会において少し踏み込んだ説明がありました。

87 参議院 内閣委員会 7号 昭和54年05月08日

○野田哲君 
 明治憲法では、まず第一番目に、天皇について「万世一系ノ天皇」こういう表現があったわけですが、現在の憲法ではそういう表現はなくなっておりますが、この「万世一系」というのは、これはどういう意味ですか。旧憲法にあらわされていた万世一系というのはこれはどういうことですか。
○政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げますが、旧憲法第一条は、ただいま御指摘のように「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」と書いてあったわけなんですが、この言わんとするところは、皇位の世襲はこれは永遠に行われるべきものであるという思想をここへ端的に出したんだろうと思います。ちなみにいわゆる明治憲法の起草者である伊藤博文の憲法義解というのがございますね。この憲法義解の第一条のところを読んでみますと、「恭て按ずるに、神祖開国以来、時に盛衰ありと雖、世に治乱ありと雖、皇統一系宝祚の隆は天地と興に窮なし。本条首めに立国の大義を掲げ、我が日本帝国は一系の皇統と相依て終始し、古今永遠に亙り、一ありて二なく、常ありて変なきことを示し、以て君民の関係を万世に昭かにす。」こういうふうに説明してございます。これによって御推察願いたいと思います。
○野田哲君 永遠に続くという意味合いだということですが、じゃそれまで、明治までもそういう形で、一系という形で続いてきたと、こういう意味ですか。
○政府委員(真田秀夫君) 御質問の趣旨は、わが国の建国以来明治までと、こういう御趣旨でございましょうか。
○野田哲君 そうです。
○政府委員(真田秀夫君) 恐らく旧憲法の起草者はそういう思想を持っておったんだろうと思います。
○野田哲君 一系というのは、どういう続き方を一系と言うんですか。
○政府委員(山本悟君) まあ、一系という言葉、なかなかむずかしい内容もあろうかと存ずるわけでございますが、きわめて端的に申し上げまして、世襲により代々続いていくと、これは血統によって続いていくと、こういうような関係にありますことが一系ということによってあらわされているというように存じます。

要するに「言い換え」に過ぎず、明治憲法と現行憲法とで中身が変わったということではないというのが改めて示されています。

まとめ

  1. 歴史上、天皇が一定の血縁関係にあるものにより継承されてきたことが「世襲」の意味
  2. 決して今上天皇を起点として親等を意味するものではない
  3. 憲法2条の「世襲」には男系男子という限定は無いが、それは女帝の可能性を認める趣旨であり、女系は認められていない可能性が高い
  4. 大日本帝国憲法の「万世一系」と現行憲法の「世襲」には本質的違いは無く、言い換えただけ

皇室の議論においては、基本的な定義を捏造し、誤魔化す者が女系天皇や女性宮家を提唱し、或いは悠仁親王殿下よりも愛子内親王殿下の皇位継承順位を上位にしようと画策している者がいます。

明確な議論が無いため「そういう考えもあるのか」と思いがちですが、これまでの議論を踏まえて考えるべき物事を独自の理論で覆そうとする者の術中に嵌らないように気を付けるべきでしょう。 

以上

*1:佐藤功「憲法(上)」

自民党の宇都隆史「官邸の制止にもかかわらず非公式会談」岩屋防衛相に怒り:韓国レーダー照射問題

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自民党の宇都隆史議員が岩屋防衛相に対して、首相官邸が制止したにもかかわらず韓国側と非公式会談をしたことについて「怒りを覚える」という言葉を使って非難しているという報道があります。

彼の出演している動画等では、報道に見られるよりも具体的な主張をしているので、中身を確認していきます。

宇都隆史議員が自民党部会で岩屋防衛相を追及した内容

宇都隆史議員のフェイスブックで具体的に書かれています。

自民党「国防部会・安全保障調査会」において、先日のシャングリラ会合の結果報告が行われた。
注目の議題は、「日韓防衛相会談」の非公式懇談である。
私から、怒りを抑えながら強烈な批判をしつつ、以下の内容を詰問しました。
①防衛省の「非公式」の定義を示せ。
②非公式会合に至った経緯
③政府内の調整すり合わせ(特に官邸・外務省)キチンとしてから行ったのか。
④どのような事前準備をして臨んだのか。(写真・握手・笑顔・ぶら下がりは想定内か?)
防衛省からの回答は、全てうやむやで、何を言ってるかわからない最低のものでした。
よって、参議院の外交防衛委員会において、徹底的に追及することを布告しておきました。
また、委員会後に、皆さんにもご紹介したいと思います。

報道で出ていた「選挙に影響する」と発言したのも宇都議員ですね。

以下の動画で「大きな声を挙げさせて頂いたのは私だけです」と言ってますからね。

【宇都隆史】岩屋防衛大臣の暴走、“非公式”日韓防衛相会談の素人仕事[桜R1/6/6]

岩屋防衛大臣は官邸の制止を無視して非公式会談?

自民・宇都氏「怒りに身が震える」 岩屋防衛相を批判

首相官邸が制止したにも関わらず岩屋氏が熱望して非公式会談が行われたとして「パフォーマンス的に頑張っているように見せたい。どこの大臣だ」と語気を強めた。

非公式会談が行われた経緯については宇都議員がチャンネル桜の動画でより詳しく述べています。

【宇都隆史】岩屋防衛大臣の暴走、“非公式”日韓防衛相会談の素人仕事[桜R1/6/6] - YouTube

私がいろんなところから情報を確認して聞いたところによると、まず官邸サイドは絶対に会っちゃいかんと、今会うタイミングじゃないと、やめろと再三にわたって官邸サイドから言われた
ー中略ー
今会うタイミングじゃないという話だったのに、どうしてもやりたいと、大臣の熱烈な希望によって、ではもう最低非公式だという話に、どうやらなったようなんであります。

はい。

政府・官邸側は最初は制止してましたが、最終的には「非公式ならやむを得ない」という判断がなされていたようですね。

決して「官邸の意向に反した」のでは無かった訳です。

ここは誤解を招きそうですね。

官邸側がやめろと言っていたということは、非公式会談を行うこと自体に否定的な議員もいることから可能性はあるものだと思いますが。

岩屋大臣が韓国の「指針」の撤回要請

哨戒機問題後初の韓日国防相会談…日本は謝罪の代わりに不満だけ話す(1) | Joongang Ilbo | 中央日報

哨戒機問題後初の韓日国防相会談…日本は謝罪の代わりに不満だけ話す(2) | Joongang Ilbo | 中央日報

岩屋防衛相はこの日の会談後に記者らと会い、「レーダー照射事案に対する日本の立場は昨年1月の最終の立場そのまま。真実はひとつしかない」と話した。当時日本は「危険な飛行はなく、むしろ哨戒機が威嚇を受けた」と主張した。岩屋防衛相はこの日の会談後に記者らと会い、「レーダー照射事案に対する日本の立場は昨年1月の最終の立場そのまま。真実はひとつしかない」と話した。当時日本は「危険な飛行はなく、むしろ哨戒機が威嚇を受けた」と主張した。
  さらに日本はこの日の会談で韓国の新指針に言及し、事実上撤回を要請することもした。これは韓国軍当局が哨戒機問題後に偶発的な衝突を防止するために作った対応マニュアルを意味する。日本は「韓国が新指針を立てて海軍艦艇から3カイリ以内に入ってきた軍用機には射撃統制レーダーを利用した照射を警告することにした」と主張している。岩屋防衛相は「該当指針も会談議題とした」と話した。結果的に謝罪や遺憾表明どころか両国がそれぞれ言うべきことを言ったという意味だ。

韓国軍の「新指針」とは、「海軍艦艇から3カイリ以内に入ってきた軍用機には射撃統制レーダーを利用した照射を警告」することを内容とするものです。

これは常識からは在り得ないものなのですが、防衛省としてもこの指針について一度言及しておくべきだと考えたのでしょう。

日本のメディアはなぜかこの点を報道しません。

日米韓防衛相会談

防衛省・自衛隊:日米韓防衛相会談

3か国の閣僚は、その他の地域安全保障問題についても議論し、法の支配に基づく秩序の重要性について同意した。3か国の閣僚は、航行及び上空飛行の自由が確保されなければならず、全ての紛争は、国際法の原則に従って、平和的手段により解決されるべきであることを再確認した。加えて、3か国の閣僚は、地域における各国間の防衛に関係する信頼醸成が重要であるとの認識を共有するとともに、それらの努力を制度化するために協力を強化することにコミットした。

非公式会談を行った後に「紛争は国際法の原則に従って」ということを韓国を交えた中で 言及したことの意味は大きいでしょう。

「レーダー照射問題も国際法に則って考えろよ」

このように釘を刺したという意味があるでしょう。

しかも、アメリカもいますからね。

国際法の原則に照らすということは、自衛隊の哨戒機の飛行経路や高度などの飛行態様もまったく危険ではなかったということで、韓国側はこのコミットメントとの整合性を取らざるを得ない立場に追い込まれたとも言えるのではないでしょうか?

レーダー照射の防衛省資料:自衛隊機は国際民間航空条約の適用対象?

国際民間航空条約第二付属書へのリンクと航空機・艦船の安全について

まとめ

  1. 非公式会談は官邸の意向に反してはいない
  2. 岩屋大臣は韓国側の新たな主張に反論していた
  3. 日米韓防衛相会談では「国際法に則れ」という釘を刺していた

岩屋大臣が笑顔で握手していることをどう捉えるか?

「自衛隊員が危険に晒されたのにヘラヘラしやがって」と思うのか

「韓国側に真綿締めしてて暗黒微笑ですねぇ」と思うのか

たしかに身体の角度などを見ると不用意だったと思いますし、甚だ誤解を与える不注意な態度だと思います。

いずれにしても、岩屋大臣に対してまったく批判が無いよりも、ある程度の批判はあった方がいいと私は思いますので、この事案の評価は冷静に見極めるべきだと思いますね。

岩屋防衛大臣は罷免するべきか:韓国レーダー照射事件再発防止・「棚上げ」への対応

自民党部会で韓国側との非公式会談について岩屋防衛相批判:その行動の妥当性について

以上

丸山ほだか議員の糾弾決議案全文・譴責決議案と辞職勧告決議案も:なぜか毎日は有料記事

丸山ほだか議員の糾弾決議案が全会一致で可決されました。

これまで提出された各種決議案の全文リンクを紹介し、議員辞職を求めることについての考えを披歴します。

丸山ほだか議員の糾弾決議案・譴責決議案・辞職勧告決議案

第198回国会 議案の一覧

こちらの最下部に以下の決議案が全て掲載されています。

議員丸山穂高君の議員辞職勧告に関する決議案
議員丸山穂高君譴責決議案
議員丸山穂高君糾弾決議案

丸山ほだか議員の糾弾決議案の全文掲載

議員丸山穂高君糾弾決議案(第一九八回国会、決議第四号)

 議員丸山穂高君は、「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」に参加した際、憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返し、事前の注意にも拘わらず、過剰に飲酒し泥酔の上、禁じられた外出を試みて、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべき行為を行い、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を著しく失墜させたと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。
 よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。
  右決議する。

     理 由
 去る五月三十日の議院運営委員会理事会における政府関係者の説明によれば、議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、事前に事業の趣旨や注意事項について十分に知らされていたにも拘わらず、五月十一日に、ホームビジット先のロシア人島民宅で過剰に飲酒し、宿舎である「友好の家」に戻った際、禁じられている外出を強く希望し、そのために、政府同行者に議員が外出しないよう監視させる業務を強いる結果になったほか、食堂内で、コップで机をたたき、大声を張り上げ、団長に対する報道関係者の取材を妨害し、団長に対して、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」、「戦争しないとどうしようもなくないか」などと信じ難い暴言を吐いた。その後も、他の団員ともみ合いになり、自室に戻った後、再び出て騒いで、職員が戻るように促す、ということを翌日午前一時まで続け、その際、「私は会期中は不逮捕特権で逮捕されない」と述べたり、およそ品位のかけらもない卑猥な言葉を発したりするなどの多大な迷惑行為を行い、翌日には団員たちから、最も重要なロシア人島民の方々との交流会への参加の自粛を求められ、参加しなかったとのことである。丸山君の行動は、一歩間違えば日本とロシアの重大な外交問題に発展しかねない問題行動であり、これまで関係者が営々と築き上げてきた北方領土問題の解決に向けた努力を一瞬にして無に帰せしめかねないものであり、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。また、かかる常軌を逸した言動は、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべきものであり、その卑猥な言動に至っては、議員としてというよりも人間としての品位を疑わせるものである。
 本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠き、およそ品位のかけらもない議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶める結果となったと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。
 よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。
 以上が、本決議案を提出する理由である。

毎日新聞はなぜか有料記事に

「議員としてというよりも人間としての品位を疑わせる」丸山議員糾弾決議案全文 - 毎日新聞魚拓はこちら

毎日新聞は衆議院が公開していてネットで無料で閲覧できるものを、なぜか有料記事内のコンテンツでしか見れないようにしています。本当に姑息ですね。

その辺はBuzz Feed Japanなどはリンクも貼って紹介しており、好感が持てます。

丸山穂高参議院議員は議員辞職をするべきか

丸山ほだか議員の問題は酒のせいではない:ロシアに謝罪の維新批判発言

丸山ほだか議員の「戦争発言」は憲法尊重擁護義務違反なのか

この問題は個人が個人の立場として辞職すべきか否かを論じる分には自由です。

ただ、国会として辞職を促すのであれば、明確な根拠を示すべきだと思っていました。
(憲法99条「違反」という理屈は論外)

たとえば丸山議員の今回のケースは何ら罪に問われたものではありませんが、事実を見ていくと記者の取材を遮っており、業務妨害として不法行為となる可能性を否定できない態様になっていると思います。

また、各種報道では卑猥な言動など、非常識な行為があったとされています。

構成要件には該当していないと思われますが、行為の実質としては軽犯罪法で禁止されているものと、いったいどれほど異なるのかという気がします。

軽犯罪法

五 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた

十四 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者

三十一 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者

この点、糾弾決議案では譴責決議案等に比べて、以下の指摘がありました。

また、かかる常軌を逸した言動は、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべきものであり

国会が議員辞職を求める根拠・基準を設定するべきか

ただ、なぜ議員辞職に値するのかというのは基準がないため曖昧になっています。

橋下氏は基準がない中での辞職要請は反対であるという立場ですが、では、基準を設けるべきなのか?ということは考えなければならないと思います。

一定の基準を設けた上で、「衆議院の品位を著しく貶めた者」というような裁量の余地のある基準を設けるのか、そのような裁量の余地のない基準を設定するのか。

いずれも弊害があると思われます。

「院外」の行動?先例に照らしてどうか

「院外」での行為だから関係ないという人も居ますが、懲罰事犯ではあるものの、先例があります⇒target="_blank"懲罰事犯 - Wikipedia

過去にはアントニオ猪木議員が「議院運営委員会に許可なく、無断で朝鮮民主主義人民共和国に渡航・訪問したため」という理由で30日間の登院停止処分を受けています。

院内での言動か否かは決定的な事情ではないと言えるでしょう。

特に今回の丸山氏の立場は「内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたもの」ですから、否定する理由としては弱いでしょう。

まとめ

丸山議員自身は糾弾決議が可決してもこの通りです。

私は丸山議員が辞職するのはロシア側に変なメッセージを与えると思うので反対です。

ただ、彼自身が「言論の自由」や「不逮捕特権」を取材時の発言や弁明書で振りかざしているのはまったくもって不適切であり、仮に次回の選挙で彼の出馬した小選挙区に私が居り、他に維新の候補者が居る場合には、決して彼には投票はしません。

以上

自民党部会で韓国側との非公式会談について岩屋防衛相批判:その行動の妥当性について

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岩屋大臣の韓国防衛相との非公式会談について自民党部会で非難されました。

このこと自体の妥当性に触れていきます。

自民党部会で岩屋防衛大臣が非難される

自民部会で岩屋防衛相批判、日韓会談「怒り禁じ得ない。選挙にも関わる」 - 産経ニュース

「安易にすべきでない」日韓防衛相非公式会談に自民会合で批判 | NHKニュース

  • レーダー照射問題だけでなく、『徴用』をめぐる問題で韓国側がきちんと対応しないかぎりは非公式であれ、会談すべきではなかった
  • 政府全体の評価として選挙にも関わってくる
  • レーダー照射問題で、韓国側は日本の反論を恣意的(しいてき)に使ってきた。そういう相手だということを十分認識して対応してほしい(小野寺前防衛大臣)

報道に表れた「批判」の中身は、これらだけです。

「レーダー照射問題を事実上棚上げ」はメディアの評価

岩屋防衛大臣は罷免するべきか:韓国レーダー照射事件再発防止・「棚上げ」への対応

上記記事でも指摘しましたが、「事実上の棚上げ」や「事実上不問に付した」という言葉はメディアの報道には上がっていますが、現実に誰かがそういう評価をしているという話はありません。

岩屋大臣の行動は安倍総理の方針の一環であるはずです。

でないなら閣内不一致という意味において更迭案件でしょう。

韓国に対しては北朝鮮に対する防衛協力の可能性は残しておかなければならないので、完全にシャットアウトするのは良くないという方針でしょう。

実際、NHKの記事の最後には背広組と思われる者の見解が添えてありました。

これに対し防衛省の担当者は「北朝鮮への対応を考えると、韓国との連携は大事で、岩屋大臣も『さまざまな問題があるからこそ胸襟を開いてトップどうしが話をすることが重要だ』という思いだ」と説明し、理解を求めました。

もっとも岩屋大臣が笑顔を見せたり握手をする際に体を傾ける角度が相手よりも深い写真を撮られ、それを韓国の国防省が各報道機関に提供していることからは、そのような行動は不用意であったと言えるでしょう。

自民党の批判は正当か

ただ、今回の自民党ような批判であればむしろ好ましいものであると言えます。

そもそも状況が整っていない中で非公式とはいえ韓国側と防衛省のトップが会談するのは控えるべきだったという指摘や小野寺大臣の言うように韓国に揚げ足を取られないように注意すべきというのは正当です。

こういう批判が党内から無いようでは、逆に韓国側が勘違いしますからね。

韓国側は日本側の世論や政府内の動きをチェックしています。 

いわゆる保守論客と言われる方も岩屋大臣を痛烈に非難していますが、その中身が妥当であるかはともかく、その「行動」の妥当性はあると思います。

G20での日韓首脳会談、公式の防衛大臣会談はどうなるか

これだけ日本国内でレーダー照射問題に関して状況が整っていない中で非公式会談を行ったことが批判されているのですから、G20での日韓首脳会談の可能性はどうなるのでしょうか?

会談のセッティングそのものの可能性もそうですが、仮に行われるとして、その内容についても自民党内で反発を見せたことが影響しそうです。

普通に考えて、レーダー照射の事実そのものが無かったという態度ではまともな会談にはならないでしょう。

それを韓国側に示したという意味で、自民党内での岩屋批判は意味のあるものだと思います。

まとめ:岩屋防衛相への度重なる批判やデマ

岩屋大臣に関してはIRカジノ法案の成立に尽力した者であることから「パチンコ議員」などと揶揄されてきましたし、ツイッターではつい先日、「岩屋の嫁は韓国人だ」という根拠無しの妄言が振り撒かれていました。
(特定機密保護法において親族の国籍が適性検査の対象になっている)

そもそもIRカジノについてデマが横行しているので、SNSで「パチンコ議員」などと言ってる者の信憑性は、以下の記事に照らして考えてみてほしいと思います。

IR政策の基本:IRカジノとパチンコ・スロットに関するデマ

以上

岩屋防衛大臣は罷免するべきか:韓国レーダー照射事件再発防止・「棚上げ」への対応

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岩屋防衛大臣の韓国レーダー照射問題に関する発言等に対して「罷免すべき」だという主張がなされていますが、果たしてそれでいいのでしょうか?

未来志向を「棚上げ」とするメディアの論調

韓国国防相と笑って握手している場合か…岩屋防衛相、韓国レーダー照射を勝手に“棚上げ”で大炎上! 識者「現場の士気は完全に下がっている」 (1/3ページ) - zakzak

日韓防衛相“レーダー照射”後初の非公式会談、問題を事実上棚上げ(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

「本当は、真実は1つしかないということだと思うのですが、では話し合えば、どちらかが譲って答えが出てくるのかというと、ちょっとそういう状況ではない」(岩屋毅 防衛相)

「韓国から謝罪がなかったにも関わらず岩屋は許すかのような表現でけしからん」

このような論調が一部でありますが、岩屋大臣の発言を動画で聞くと、「韓国相手にまともな話合いができるとは到底思えない」というニュアンスが伝わってきます(笑)

再発防止は「不問に付す」「棚上げ」ではない

6月1日:韓国、レーダー照射認めず平行線 日韓防衛相が非公式会談 - 産経ニュース

レーダー照射問題をめぐり、岩屋氏は再発防止を要請。鄭氏は「照射はしていない」と否定し、議論は平行線をたどった。

この時点では韓国の鄭防衛相は事実関係そのものを否定しています。

これは従来の韓国軍の態度と同様です。

6月4日:レーダー照射問題“韓国から再発防止の考え引き出せた”防衛相 | NHKニュース

岩屋大臣は閣議のあと、記者団に対し、「レーダー照射問題について、日本政府の見解を改めて伝え、再発防止を強く求めた。残念ながら認識の一致に至らなかったが、会談終了後、チョン国防相も『こういう事案が起こらないようにしたい』と話していた」と述べ、韓国側から再発防止の考えを引き出せたと一定の成果があったという認識を示しました。

「こういう事案が起こらないようにしたい」というのはレーダー照射事案についてのことだと信じたいが、そうだとすれば、再発防止というのはレーダー照射の事実を前提にしているので、日本側としては上出来でしょう。

この話がなぜ「事実上不問に付した」「棚上げ」と言われているのか不思議です。

防衛省は最初から再発防止が狙いで謝罪は求めていない

防衛省・自衛隊:韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案

防衛省としては、韓国駆逐艦による海自P-1哨戒機への火器管制レーダー照射について、改めて強く抗議するとともに、韓国側に対し、この事実を認め、再発防止を徹底することを強く求めます。更に、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。

勘違いしている所があるようですが、日本としては韓国に謝罪など求めていません

最初から、再発防止を求めているのであって、それ以上は期待していません。

そして、実務者レベル(自衛隊ー軍同士)での協議は諦めましたが、文民同士での協議は閉ざしているわけではありません。

日本は韓国だけを相手にするのはとっくにやめている

防衛省のレーダー照射問題の動画が数か国語に翻訳されたことなどからもわかるように、日本国は韓国政府との1対1との関係で韓国が変わることを期待していません。

これは当たり前の話で、相手がレーダー照射の事実そのものを無かったと言い張っていたのですから、当事者同士の話し合いが成立するわけがないのです。

そんな無意味なことをしてる暇なんてありません。

そこで日本は韓国と利害関係を共有していない世界各国に対して、韓国への風当たりが強くなるように振る舞っているのです。

これは徴用工問題においても同様で、だからこそ国際司法裁判所への提訴を前提とした仲裁手続きを行っています。

朝鮮人戦時労働者(徴用工)差押え後の協議要請は請求権協定通り

アジア安全保障会議で各国に呼びかけをしていることからも推し量ることができます。

北朝鮮監視強化に韓国を引きずり込む岩屋防衛大臣

岩屋防衛相 北朝鮮監視強化で中ロに加え韓国にも連携呼びかけ | NHKニュース

「現状に潜む最大のリスクは、昨年来の米朝協議の重要な基礎である国際社会の団結が、北朝鮮の非核化に向けた具体的な取り組みの前に緩むことだ。いわゆる『瀬取り』など、制裁逃れに対する国際的な監視の強化に向けて、日本は、アメリカやオーストラリアなどと協力に乗り出しており、北朝鮮問題に直接的な関わりを持つ韓国、中国、ロシアなどには、国際的な公共の利益を見据えた一層の連帯を呼びかけたい」と述べ、中国やロシアに加え韓国にも連携を呼びかけました

どう考えても韓国が「瀬取り」に加担していることは分かりきっているところに、こうして釘を刺しているところからして、岩屋大臣が韓国だけを相手にする戦略は採っていないというのがわかります。

韓国が勘違いし続ければ真綿で締めるように国際関係での立場が苦しくなるだけです。

実際に今年10月の海上自衛隊の観艦式に韓国を招待しないなど、それ相応の扱いは既に行っているのです。ASEAN+8ヶ国の防衛大臣会合にの韓国におけるセッションには日本だけ不参加ということをしてもシンガポールセッションには参加したように、日本の韓国への扱いは国際的にも受け入れられていると言えるでしょう。

海自観艦式、韓国を招待せず レーダー照射で溝 - 産経ニュース

岩屋大臣:自衛隊がADMMプラス「釜山沖訓練に参加」はフェイクなのか?

レーダー照射問題における安倍総理・河野外務大臣との連携

日韓外相会談、事実上の決裂! 「事の重大性を理解していない!」河野氏が韓国外相を“一喝” G20までに対応策迫る (1/3ページ) - zakzak

また、韓国との懸案事項は何もレーダー照射問題だけではないわけです。

軍事問題以外にも外交問題があり、そちらは強い態度を示しています(当然だが)

何でもそうですが、相手に「逃げ道」を作っておかないと誘導もできません。日本は韓国側に対して、防衛省ルートでは連携の道はあることを示しているんだろうと思います。

実際、軍事関係で連携できなくなったら北朝鮮に対する圧力を高めることはできませんからね。ここでも韓国だけを見て行動しているのではダメであるということが言えます。

この方針は当然、安倍総理の方針でしょう。そうでなければ閣内不一致ですからね。

内閣として安倍総理大臣の方針の元に連携して行動しているということを考えないと、こういう発想になりますよね。。。

韓国メディアの論調

日방위상 "한일 국방장관회담서 레이더 갈등 재발 방지 요구" | 연합뉴스

特に勝ち誇った様子も無く、事実関係を淡々と報じています。

韓国メディアの記事を読んでいて気づくのが、日本メディアがどう報じているのか、日本の世論はどうなのかということも記述されているということです。

岩屋大臣を非難しないというのもどうなのか

岩屋大臣をまったく非難してはいけないとは思いません。

「現実は中和される」ものなので。

日本国内から批判がまったくなくなった場合には、逆に韓国側に誤解を与えるような気がします。なので、各論者がどういう意図で岩屋大臣を非難しているのかということは念頭に置いた方がいいと思っています。

百田氏が安倍総理の任命責任について触れているのはマトモでしょう。

岩屋防衛相の「態度」は誤解を与える

このサムネ画像は「韓国国防省提供」とありますが、韓国にとって都合のいい絵面なんでしょう。

5月30日のDHC虎ノ門ニュースで李相哲氏が言っていたように、韓国人はお辞儀をする際には決して相手よりも深い角度にしないようにしているので、この写真からは日本側が譲歩したような印象を与えるものになっているのでしょう。

そういう意味で岩屋大臣の態度は不用意だと思います。

まとめ:罷免は早過ぎでは?

  1. 日本・防衛省は最初から再発防止を求めており謝罪は求めていない(謝罪は意味がない)
  2. 日本は韓国だけを相手にすることはとっくに諦めている(説得は無理)
  3. 日本は国際社会を巻き込んで東アジアの防衛問題に対応しており、韓国の扱いはその一環に過ぎない
  4. 岩屋大臣を非難する論調が世の中にまったく無いというのもどうかと思う
  5. 岩屋大臣の「態度」は不用意だった

「事実上棚上げ」「事実上不問に付す」

これらはすべて、メディアが追加した評価文言です。

そのような報じ方をしなければスルーしていた人も多いでしょうね。

そういう言葉だけに反応して非難しているのだとすれば、それは間違いです。

以上

日本維新の会はなぜ音喜多駿を公認したのか

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日本維新の会が音喜多駿を参議院東京選挙区の候補者として公認しました。

維新の柳ケ瀬裕文氏は比例区での出馬ですがなぜこうなったのかを整理していきます。

日本維新の会が音喜多駿を公認

元々、両氏は都議会において会派を組んでいました。

都議会の維新はやながせ氏しか居なかったので、都民ファーストの会を脱退した後の音喜多氏と組むことで影響力を得ようとしていました。

北区長選挙でもやながせ氏は音喜多氏を応援していました。

そういった間柄の柳ケ瀬裕文氏から維新からの参院選出馬要請があり、音喜多氏は当初は固辞していたが、最終的にその「熱意」から翻意して受諾するに至ったという経緯が語られています。

馬場幹事長も同席の上なので、維新の上層部でも合意形成された決定です。

なぜ柳ケ瀬氏が出馬するのか

現職の都議である柳ケ瀬氏が出馬するのは、「自分も責任を取るため」という旨を本人は発言していましたが、東京維新の会の者として票を集めることのできる人間が他に居なかったというのが実情ではないでしょうか。

そこには東京維新の会の幹事長としての総合判断もあったと思います。

維新全体として見れば、参議院選挙において勝負に出たということだと思います。

なぜ、やながせ裕文が比例、音喜多駿が小選挙区なのか

東京の比例区の票田を掘り起こすためです。

柳ケ瀬氏が本命であり、音喜多氏はそのための存在です。それは音喜多氏も十分、理解しています⇒おときた×やながせ【出馬会見反省会】 - YouTube

残念ながら維新の会は大阪では強いですが、地方では弱小です。

それは東京でも同じで、都議会議員選挙で維新から出馬した者で都議会議員となったのは、柳ケ瀬都議しかいませんでした。

その他、東京都の区市町村の議員に名を連ねる維新の党員はたった16名です。

これは、新興勢力である「NHKから国民を守る党」よりも少ない人数です。

ですから、圧倒的な知名度不足、サポートする人員の物量不足が現状です。

音喜多氏を公認する以外に、音喜多氏が結成した「あたらしい党」の党員とそのスタッフも選挙協力するということになっているので、東京維新としては援軍ができたということでしょう。

東京維新は小選挙区で勝てない

2016参院選 | 参議院選挙 | 選挙アーカイブス | NHK選挙WEB
朝日新聞デジタル:東京 - 開票速報 - 2013参院選
2017衆院選 | 衆議院選挙 | 選挙データベース | NHK選挙WEB
2014衆院選 | 衆議院選挙 | 選挙アーカイブス | NHK選挙WEB
第46回衆議院議員総選挙 - Wikipedia(2012年衆院選)

維新の会結党以来の東京の国政選挙結果ですが、小選挙区で勝ったのは衆参合わせて唯一、柿沢未途氏のみです。

これは今回も織り込み済みで、当選すれば大勝利、落選しても維新としては傷まない外様の候補を立てたというのが実際でしょう。

他の維新の議員からの評価

足立氏は基本的に辛目の評価ですが、音喜多氏に維新の看板を背負わせることについて維新側からの肯定的な評価もあるということは確かです。

まとめ:維新にとってはデメリットを上回ったか

 

音喜多氏に関しては過去の維新に対する発言や、「あたらしい党」の活動資金としてクラウドファンディングをしたことやその使途、あたらしい党の党規を変更して二重党籍を可能にしたことなど、追求しようとすれば数多くの問題があります。

そういったデメリットを考慮しても、参院選挙で議席を確保し、改憲勢力を増していきたいという維新の一種の覚悟の現れなんじゃないでしょうか。

以上