事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「表現の不自由展」で撮影OKだがSNS投稿禁止の意味不明さ:ネットの炎上対策のため?

f:id:Nathannate:20190802175432j:plain

あいちトリエンナーレの表現の不自由展ブースにおいて撮影ルールが設けられてます。

この理屈、ちょっとおかしくないですか?

「表現の不自由展」で撮影OKだがSNS投稿禁止

「表現の不自由展」、写真投稿ダメ 「炎上」の波及懸念:朝日新聞デジタル

1日に開幕する国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介さんが31日、記者会見を開き、企画展「表現の不自由展・その後」の会場では、来場者が作品の写真と動画をSNSに投稿することを禁止すると明らかにした。「ネットの炎上」が進行し、展示会の安全にまで影響が及ぶことを避けるためという

炎上対策と言いますが、何かがおかしいです。

表現の不自由展なのにネットの炎上対策のため?

表現の不自由展は、これまで美術館等で展示が認められなかった・撤去された作品を敢えて集めているそうです。

すると、そういった作品をより多くの人たちに見てほしいと考えるのが自然なはず。

なのにネット投稿はダメって意味不明で矛盾してませんか?

「表現の不自由」を批判しておきながら、閲覧者には表現を規制するって…

いや、「有料だから」「足を運んでみてほしい」というなら禁止の理由もわかるのですが。

芸術表現に仮託した政治的主張と侮蔑的表現

結局、彼らは芸術表現をしたいのではなく

「公的な場所で慰安婦像を展示したったwザマァwww」

をやりたいだけとしか思えません。

公的な場所で展示したという実績が作れれば良い訳で、表現を伝える事は二の次でしか無い。そう思わざるを得ません。

結局KBSが報道してる

韓国KBSが報道して、ばっちり撮られてます。

SNSに投稿してクレームが来たらそれが芸術作品に?

この展示を写真に撮ってSNSに投稿してクレームが来たら、それを芸術作品として展示すれば良いのでは?

その他、この展示の問題点については以下でまとめています。

以上

天皇コラージュ事件の大浦信行作品があいちトリエンナーレで出展:昭和天皇の御影を焼却

f:id:Nathannate:20190802140251j:plain

天皇コラージュ事件で用いられた大浦信行作品が「あいちトリエンナーレ」で出展され、さらに昭和天皇の御影を焼却する演出が為されています。

あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」で昭和天皇の御影を焼却する内容が出展

大浦信行 | 表現の不自由展・その後

明らかに昭和天皇の御影が焼却されている演出がなされています。

国際現代美術展の「表現の不自由展・その後」というブース

f:id:Nathannate:20190802113408j:plain

問題の展示はあいちトリエンナーレのうち、国際現代美術展の中の「表現の不自由展・その後」という出展ブースにおけるものです。

したがって、それ以外の展示作品に対して非難を加えることになる言動は的外れであり、たとえば「あいちトリエンナーレを中止しろ」などというのは論外です。

大浦信行の「遠近を抱いて」は天皇コラージュ事件の作品

f:id:Nathannate:20190802134005j:plain

https://censorship.social/artists/oura-nobuyuki/

f:id:Nathannate:20190802133947j:plain

https://censorship.social/artists/oura-nobuyuki/

大浦信行 | 表現の不自由展・その後

本作は1975年から10年間ニューヨーク滞在中に制作され、1986年、富山県立近代美術館主催「86富山の美術」で展示される。1993年、大浦は制作の意図を次のように語った。

「自分から外へ外へ拡散していく自分自身の肖像だろうと思うイマジネーションと、中へ中へと非常に収斂していく求心的な天皇の空洞の部分、そういう天皇と拡散していくイマジネーションとしての自分、求心的な収斂していく天皇のイマジネーション、つくり上げられたイマジネーションとしての天皇と拡散する自分との二つの攻めぎあいの葛藤の中に、一つの空間ができ上がるのではないかと思ったわけです。それをそのまま提出することで、画面の中に自分らしきものが表われるのではないかと思ったのです。」(大浦信行「自分自身の肖像画として―作家の立場から」、1993年6月6日、富山近代美術館問題を考えるシンポジウム)

本作は展覧会終了後、県議会で「不快」などと批判され、地元新聞も「天皇ちゃかし、不快」などと報道し、右翼団体の抗議もあり、図録とともに非公開となる。93年、美術館は作品売却、図録470冊全て焼却する。その後、6年越しで争った作品公開と図録再版の裁判も敗訴する。2009年沖縄県立博物館・美術館「アトミックサンシャインin沖縄」でも展示を拒否されている。

大浦信行の作品は名古屋高裁 金沢支部 平成12年2月16日 平成11年(ネ)第17号 で事件となった「天皇コラージュ事件」で出展されたものと同じものです。

今回はさらにそれを焼却されているエフェクトまでつけて展示したということです。

出展者自らが、「天皇を素材として利用している」ことを認めています。

※追記:焼却された素材が大浦信行の作品であることは分かりますが、焼却される描写をして今回新たに展示したのが大浦であることはまだ分かっていません。昭和天皇に関係する作品・作者としては、他にも「嶋田美子 焼かれるべき絵」などがあり、誰の手による映像であるかは留保を付けさせていただきます。

「焼却」は富山美術館が「大浦作品」に対して行ったものを再現しただけ?

さて、出展者の言い訳としては「焼却している演出は、富山美術館が大浦作品を焼却処分にしたことを表現するものであって、昭和天皇の御影そのものを燃やすことで何かを表現するものではない」と言ってくることが考えられます。

確かに「富山美術館が焼却処分をした」というのは事実です。

しかし、焼却は大浦作品の作品が掲載された「図録」が対象であり、作品そのものが焼却されたわけではありません

さらには、焼却処分は公開されたのではなく事務処理として行われたものです。

それをわざわざ人前に出して単に燃えている様を見せつけることは、「作品が焼却された」というメッセージ性よりも、「映っている対象が燃やされている」という意味合いにしか受け取れないでしょう。

一般人は天皇コラージュ事件なんて知りませんからね。

芸術祭側「昭和天皇をモチーフやテーマにした作品ではない」

あいちトリエンナーレでの昭和天皇の写真燃やした疑惑 芸術祭側が否定 - ライブドアニュース

1日に名古屋市などで開幕した国内最大規模の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、昭和天皇の写真を燃やしたかのような映像や、慰安婦像が展示されているとの指摘がネット上などに流れ、国会議員や地方首長らが事実確認を行うと反応している。

 同芸術祭の広報担当者は取材に、2点の展示物とも、指摘されているようなテーマの作品ではないと説明した。

 「昭和天皇の写真」と疑われている作品については「ご覧になった方がそのように感じられたのかもしれません」としたうえで、昭和天皇をモチーフやテーマにした作品ではなく、制作過程においても昭和天皇の写真を燃やすなどした事実はないと説明した。

 また「慰安婦像」ではないかと指摘されている作品についても、テーマが違うとし、名称も「平和の少女」であるとした。

 現状、展示は継続するとしている。

「モチーフ」「テーマ」をどのような意味で用いているかは定かではありませんが、昭和天皇の御尊顔のみを切り出して素材とした作品が存在していることは明らかであり、さらにそれを焼却している演出をしていることも明らかです。

言い逃れをしようとして必死のようです。

以上

あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」の昭和天皇写真焼却と慰安婦像の展示と津田大介の言い訳

f:id:Nathannate:20190802113408j:plain

あいちトリエンナーレ2019の展示作品の中に、昭和天皇の御影を焼却する映像と平和の少女像と題する慰安婦像として使われている像が展示されている問題について。

トリエンナーレ事務局や愛知県美術館に作品展示の基準について伺いました。

この事件の問題点を整理します。

あいちトリエンナーレの概要

f:id:Nathannate:20190802113408j:plain

最初に大切な構造を示します。

国際現代美術展の「表現の不自由展・その後」というブースの作品

あいちトリエンナーレ2019では大別して国際現代美術展、映像プログラム、音楽プログラム、パフォーミングアーツ、ラーニング等があります。

今回問題となっている展示物は国際現代美術展の枠組みの中の「表現の不自由展・その後」というブースで出展されているものです。

この点が文化庁の助成金が出る事になっていることとの関係で重要です。

文化庁:2019年度文化資源活用事業費補助金日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業

f:id:Nathannate:20190802114152j:plain

2019年度「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業(文化資源活用推進事業)」採択一覧では、トリエンナーレでは「国際現代美術展開催事業」に助成金が出る事になっています。

これは言うまでもなく「表現の不自由展・その後」のブース以外のためにも使われているものなので、文化庁が助成金を出すことになっていること自体を問題視することはできません。

文化庁文化資源活用推進事業募集案内では、個々の出展について文化庁が審査するようにはなっていません。それは継続して開催されている事業全般についての助成金のためですから、その点はおかしなことではありません。

※追記:助成金は採択はされましたが、その後、諸々の手続きと事業実施後に支払われる性質のものでした。関連表現を訂正します。

愛知トリエンナーレ全体を否定してはいけない

ざっと構造を見てきましたが、非難の対象は「表現の不自由展・その後」というブースの主催者・個別の展示物であり、あいちトリエンナーレ全体を止めろだとか言ってはいけないということが分かると思います。

愛知県や名古屋市からも助成金が出ることになっているようですが、これも「あいちトリエンナーレ」全体に対するものであって、作品そのものに対して出ているものではありません。

この視点に立って、本件の展示物が展示されたことの問題点を指摘していきます。

昭和天皇の写真焼却と慰安婦像の展示:津田大介は否定するも

あいちトリエンナーレでの昭和天皇の写真燃やした疑惑 芸術祭側が否定 - ライブドアニュース魚拓

なお、芸術祭側は「昭和天皇ではない」「慰安婦像ではなく平和の少女像だ」と否定しているとしていますが、作家の大浦信行の出展である「遠近を抱えて」は昭和天皇をモチーフとしているとされて憲法判例にもなった事件にもなりました。

出展作家 | 表現の不自由展・その後

タブー破り、日本最大の芸術祭で展示される“少女像”(ハンギョレ新聞) - Yahoo!ニュース

先月、ドイツのドルトムントで「日本軍性奴隷制と女性人権」をテーマに開催された「ボタリチョン」に展示された平和の少女像。今回「あいちトリエンナーレ2019」で展示される少女像と同じ形だ=キム・ウンソン、キム・ソギョン夫妻提供

ドイツで既に「日本軍性奴隷制」と結び付けられて展示されていたものですから、今更「慰安婦像ではない」は通用しません。

東京都美術館では「平和の少女像」が撤去

さらに、今回展示された慰安婦像は、2012年8月に東京都美術館で開催された「第18回JAALA国際交流展-2012」に出品中だったものの、美術館が「東京都美術館 公募団体展募集要項」の「特定の政党・宗教を支持し、又はこれに反対する等、政治・宗教活動をするもの」に抵触する可能性があることから展覧会主催者側が自主規制をしたという経緯があります。

東京都美術館の検閲に対する抗議行動

表現の不自由展 - 今回、東京都美術館で展示撤去された《平和の少女像》や実物大の像(FRP)の出展作家のお二人キム・ソ... | Facebook

平成 27 年度 東京都美術館 公募団体展 募集要項

10.使用承認の取消

(1)次の事項に該当する場合は、使用承認の取消、又は使用の制限、若しくは停止すること
があります。

⑦ 特定の政党・宗教を支持し、又はこれに反対する等、政治・宗教活動をするもの

作品展示の基準はあったのか?

トリエンナーレ事務局と愛知県美術館に聞きました。

トリエンナーレ事務局の説明

  1. 作品の選考・展示は美術監督である津田大介とそのスタッフに一任
  2. 表現の不自由展の作品はその良し悪しではなく議論の提供のため、という津田監督の談
  3. 今回問題となっている作品については事前に懸念があるということを報告していた

今回のために何か作品展示の基準・撤去の基準を示した規定があるとか契約が交わされたとかは無いそうです。

津田大介の説明は、「それってあらゆる展示作品もそうだよね」という話です。

芸術作品としての良し悪し」と「社会的に許されるかという意味での良し悪し」は別物です。「良し悪しを判断してもらうために展示」という理由で社会的に許されない展示物を展示する理由として主張することはできません。

問題はそういった事前判断の審査基準が何ら存在しなかったということです。

事務局側が「懸念を示し」たとしても「禁止する基準が存在しないので」と言われて終わりになってしまいますから。

今回の展示は愛知県美術館ギャラリー(愛知芸術文化センター8階)に展示されているので、愛知県美術館についても話を伺いました。

愛知県美術館の基準

愛知県美術館の、あいちトリエンナーレとは切り離された一般的な展示基準について。

「公安衛生法規」に触れなければ展示可能、とのことでした。

今回のトリエンナーレに合わせてなにか別途の審査基準を設けたということはないそうです。

どの法規が問題になるかは個別判断なのでこの場で問題となる法規を言うことはできないということでした。まぁ、それはそうでしょう。

そこで、一般的によく問題となる愛知県青少年保護育成条例を見てみます。

愛知県青少年保護育成条例の「有害図書」指定基準

f:id:Nathannate:20190802120940j:plain

愛知県青少年保護育成条例6,7条の有害図書類に関する規制

  1. ①著しく性的感情を刺激するもの
  2. ②残虐性を有するもの
  3. ③自殺又は犯罪を誘発するおそれのあるもの

以上が個別指定の対象。包括指定は性行等に限定しています。

今回の問題の展示物は、これらにはあたらないので、愛知県美術館としては何ら問題がないものとして扱っているのでしょう。

その点は、規定がそうなっている以上、仕方がありません。

公の施設を利用し、助成金が出ている事業には別途の基準が必要では?

以上、今回の展示の審査基準は、一般的な法規に照らせば違法ではないということになります。

しかし、公の施設を利用し、助成金が出ている事業については、別途の基準を設けて、それに該当しないか否かの審査が必要なのではないでしょうか?

そういう意味で、あいちトリエンナーレの事務局(愛知県の職員側)の行動には、不適切な点があったと言えるでしょう。

天皇コラージュ事件と地方自治法の正当な理由

なお、有名な天皇コラージュ事件というものがあります。

大浦信行の作品は、まさに天皇コラージュ事件で問題視されたものです。

富山県美術館に昭和天皇のプライバシーを侵害するコラージュ作品が展示され、反対運動が起こった結果、美術館が本件作品を他に譲渡し、図録を焼却することを決定したことが表現の自由、鑑賞する権利、知る権利等の侵害だとして市民から提訴された事件です。

美術館側は地方自治法244条2項の「正当な理由」に基づいた行為であり違法性はないと主張しました。

富山地裁では無効確認・義務づけ訴訟は却下されましたが、美術館側に対する損害賠償のみは認められました。しかし、名古屋高裁ではそれも棄却されました。

名古屋高裁 金沢支部 平成12年2月16日 平成11年(ネ)第17号  

そこで、県教育委員会による本件作品の特別観覧許可申請の不許可、県立美術館及ひ県教育委員会による本件図録の閲覧の拒否について、地方自治法二四四条二項の「正当な理由」が認められるか否かについて検討するに、県立美術館としては、購入・収蔵している美術品や自ら作成した美術品の図録については、前記特別観覧に係る条例等の規定を「知る権利」を具体化する趣旨の規定と解するか否かにかかわらず、観覧あるいは閲覧を希望する者にできるだけ公開して住民への便宜(サービス)を図るよう努めなければならないことは当然であるが、同時に美術館という施設の特質からして、利用者が美術作品を鑑賞するにふさわしい平穏で静寂な館内環境を提供・保持することや、美術作品自体を良な状態に保持すること(破損・汚損の防止を含む。)もその管理者に対して強く要請されるところである。これらの観点からすると、県立美術館の管理運営上の支障を生じる蓋然性が客観的に認められる場合には、管理者において、右の美術品の特別観覧許可申請を不許可とし、あるには図録の閲覧を許否しても、公の施設の利用の制限についての地方自治法二四四条二項の「正当な理由」があるものとして許される(違法性はない)というべきである(この点について、原判決が示した「美術館が管理運営上の障害を理由として作品及び図録を非公開とすることができるのは、利用者の知る権利を保障する重要性よりも、美術館で作品及び図録が公開されることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避、防止することの必要性が優越する場合であり、その危険性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、客観的な事実に照らして、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である」との基準は、憲法二一条が保障する「集会の自由」を制約するおそれのある事案については相当であるが、本件のような美術品及びその図録の観覧あるいは閲覧に関する事案については厳格に過ぎて相当でないというべきである)。

今回の事件も、「県立美術館の管理運営上の支障を生じる蓋然性が客観的に認められる場合」には、県側が「正当な理由」に基づくとして撤去をしても、違法性はないということになります(※追記:今回は地方自治法244条の話にならない可能性もある。)

しかし、天皇コラージュ事件では「県立美術館等に対し、執ような抗議、抗議文の送付、県立美術館館長等との面談の要求、本件作品等の廃棄や県立美術館長の辞任等を求める右翼団体による街宣活動、富山県立図書館における本件図録の破棄事件、県知事に対する暴行未遂事件などが相次いで発生しており、さらに、公開派による本件非公開措置に対する抗議行動があった」という事実がありました。

暴力的な行為まで発生して欲しくはありません。

天皇コラージュ事件は補助金が出ていなかったという点は本件との違いでしょう。

まとめ

  1. 当該展示は現時点では何らかの基準に抵触しているわけではない
  2. 展示をやめさせるには「美術館の管理運営上の支障を生じる蓋然性が客観的に認められる」状況を作るか、「自主的に」撤去してもらう方法がある
  3. いずれにしても、公の施設を利用し、助成金が出る事業であるのに、あらかじめ基準を決めていなかったことは問題

いくら表現の自由だからといって、今回のような展示物は侮蔑的であり、芸術として認められてはいけないでしょう。

以上

朝日新聞がこっそり修正:「日本は5倍負担を」記事でボルトンの発言と報道

f:id:Nathannate:20190731220514j:plain

在日米軍の日本側負担について「日本に5倍を要求」という記事が各紙で踊っていますが、その中で朝日新聞がこっそり修正していました。

修正前:ボルトンが言っていた

米軍駐留費「日本は5倍負担を」 ボルトン氏が来日時に(修正魚拓)
土佐茂生=ワシントン、牧野愛博 2019年7月31日14時00分

トランプ米政権のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が先週、日本を訪問した際に、在日米軍の日本側負担について、現状の5倍となる巨額の支払いを求める可能性があることを伝えていたことがわかった。米政府関係者が朝日新聞の取材に明らかにした。同盟国の負担増が持論のトランプ大統領による交渉前の「言い値」とみられるが、日米同盟に悪影響を及ぼす可能性がある。
 ボルトン氏は国家安全保障会議(NSC)のポッティンジャー・アジア上級部長とともに、7月21、22日に来日し、河野太郎外相や谷内正太郎国家安全保障局長と会談。朝日新聞の取材に応じた米政府関係者によると、この際に日本側に増額を要求したという。
 「思いやり予算」と呼ばれる在日米軍駐留経費の日本側負担は2016~20年度の5年間で総額9465億円に及ぶ。現在の協定はオバマ政権時に結んだもので、2021年3月末に期限を迎える。新たな協定を結ぶ日米の交渉は来年から本格化する見通しだ。

ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が在日米軍の日本側負担について、現状の5倍となる巨額の支払いを求める可能性があることを伝えていた、とあります。

修正後:関係者が言っていた

修正後の記事ではこうなっています。

米軍駐留費「日本は5倍負担を」 ボルトン氏が来日時に(修正後の魚拓)
土佐茂生=ワシントン、編集委員・牧野愛博 2019年7月31日21時15分

トランプ米政権が、在日米軍駐留経費の日本側負担について、大幅な増額を日本政府に求めていたことがわかった。各国と結ぶ同盟のコストを米国ばかりが負担しているのは不公平だと訴えるトランプ大統領の意向に基づくとみられる。来年にも始まる経費負担をめぐる日米交渉は、同盟関係を不安定にさせかねない厳しいものになりそうだ。
 複数の米政府関係者によると、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月21、22日に来日し、谷内正太郎国家安全保障局長らと会談した際に要求したという。今後の交渉で求める可能性がある増額の規模として日本側に示した数字について、関係者の一人は「5倍」別の関係者は「3倍以上」と述べた。ただ、交渉前の「言い値」の可能性もある。
 米メディアは3月、トランプ政権が駐留経費の総額にその5割以上を加えた額の支払いを同盟国に求めることを検討していると報道。現在の5~6倍に当たる額を要求される国も出てくるとしていた。

「ボルトンが言った」 ではなく、「トランプ政権が伝えた」という形にこっそり変更になっています。しかも、確認した相手は「関係者」であり、誰の発言なのかがわかりません。

いずれにしても、「5倍」を撤回するつもりは無いようです。

それにしても、発言の主体が変わったのですから、別記事を打つなり訂正した旨を表示するべきではないでしょうか?

菅官房長官は「ボルトン大統領補佐官の発言」を否定

菅 官房長官 在日米軍の駐留経費負担増の要請「事実はない」 | NHKニュース

アメリカのボルトン大統領補佐官が日本側に、在日アメリカ軍の駐留経費の負担額で大幅な増加を求める可能性があると伝達していたと一部で報じられたことについて、菅官房長官は事実関係を否定したうえで「日米両政府の合意に基づき適切に分担されている」と述べました。

アメリカのボルトン大統領補佐官が先週、日本を訪れた際に、在日アメリカ軍の駐留経費の負担をめぐり、日本側に対し現状の5倍の負担額を求める可能性があると伝達していたと一部で報じられました。

これについて菅官房長官は、臨時閣議のあとの記者会見で「そのような事実はない」と否定したうえで、「現在、在日米軍駐留経費は、日米両政府の合意に基づき適切に分担されていると考えている」と述べました。

菅官房長官はボルトンの発言としての「5倍要求」を否定していました。

ただ、他の政府関係者が発言をしたかどうかを否定したものではないので、その可能性は残っているでしょう。

「日本の負担5倍」は不可能

f:id:Nathannate:20190731213233j:plain

「日本側の負担」が何を指しているのか不明ですが、在日米軍関係経費の日本側負担分のすべてを指すとすると、日本側の負担割合は約75%なので、それをさらに5倍にするというのは在日米軍の規模をとんでもなく増やさない限り有りえないので、不可能です。

その時点で信憑性に疑問があり、「ディール」の一環として見るとしても有りえない発言です。

まとめ:日経新聞でもこっそり修正

朝日と同じようなこっそり修正方式は、日経新聞もやっていました。

これは別の話ですが、ロイター通信の報道が元ネタでした。

アメリカ絡みでこのような報道が相次ぐというのは、どういうことでしょう?

以上

菅官房長官:米の仲介案提示「事実ない」:ホワイト国除外延期記事を日経新聞記事が差し替え

f:id:Nathannate:20190731144131j:plain

ロイターが報じた「政府高官がホワイト国除外延期を促す」報道を、日本のメディアがそのまま報道していた件。

菅官房長官が否定してから面白い動きがありました。

日経新聞の例を挙げます。

日経新聞:米、日韓に「休止協定」提示 関係悪化の歯止め狙う

米、日韓に「休止協定」提示 関係悪化の歯止め狙う

【ワシントン=中村亮】米政府高官は30日、元徴用工訴訟問題や日本の輸出規制などを巡って対立が深まる日韓両政府に対し、交渉のために一定期間は新たな対抗措置を取らないよう取り決める「休止協定」への署名を検討するよう提案したと明らかにした。ロイター通信が伝えた。北朝鮮や中国への対応に向けて強固な日米韓同盟が必要だと判断し、仲介に乗り出したとみられる。
同高官は協定に関して日韓が協議する時間を稼ぐことが目的だと説明した。協定の有効期間は定めず、日韓が抱える問題を根本的に解決するものではないとも指摘した。
ポンペオ米国務長官が8月1日にASEAN地域フォーラム(ARF)が開かれるバンコクで日本の河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談することも明らかになった。日本政府は輸出管理上の信頼関係があると認めた「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を2日にも閣議決定する方向で調整している。ポンペオ氏はその直前に両国外相と会い、関係悪化を食い止める糸口を探るとみられる。
トランプ政権は当初、歴史問題などがからむ日韓問題への関与に慎重な立場をとっていた。だが日韓関係の悪化に拍車がかかると、米国務省高官は26日に「両国の緊張を懸念している」と語った。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も7月下旬に日韓を訪れていた。
トランプ大統領は19日、日韓の緊張緩和に向けた仲介を韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領から依頼されたと明らかにし、日本からも要請があれば仲介を検討する考えを表明していた。

この記事ですが、実は7月31日の菅官房長官の午前中の記者会見後に内容が差し替えられています。

日経新聞:米、日韓対立仲介の意向 ホワイト国除外延期促す

米、日韓対立仲介の意向 ホワイト国除外延期促す

【ワシントン=中村亮】ポンペオ米国務長官は30日、輸出規制や元徴用工訴訟問題で対立が深まる日韓両政府に対し、仲介に乗り出す考えを示した東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に参加するためバンコクに向かう機内で記者団に明らかにした。「両国はすばらしいパートナー国だ。前進する道を見つけるよう勧める予定だ」と述べた。日韓の関係悪化を食い止める糸口を探るとみられる。
日米韓3カ国は31日、8月2日にバンコクで3カ国外相会談を開く方向で調整に入った。ポンペオ氏が、日本の河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会って関係改善に向けて調整する。ポンペオ氏は「両国にとって望ましい落としどころが見つかるよう手助けができれば、それは米国にとっても明確に重要なことだ」とも述べた。
ロイター通信は30日、米政府高官が、日韓両国が一定期間は新たな対抗措置を取らない「休止協定」への署名を検討するよう提案したと報じた。日本政府は8月2日にも、輸出管理上の信頼関係があると認めた「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定する方向で調整しており、延期をうながす内容とみられる。
同高官は協定に関して、日韓が協議する時間を稼ぐことが目的だと説明した。協定の有効期間は定めず、日韓が抱える問題を根本的に解決するものではないとも指摘した。
トランプ政権は当初、歴史問題などがからむ日韓問題への関与に慎重な立場をとっていた。だが日韓関係の悪化に拍車がかかると、米国務省高官は26日に「両国の緊張を懸念している」と語った。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も7月下旬に日韓を訪れていた。
トランプ大統領は19日、日韓の緊張緩和に向けた仲介を韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領から依頼されたと明らかにし、日本からも要請があれば仲介を検討する考えを表明していた。

両者は同じhttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO48000050R30C19A7000000/ というURLです。

菅官房長官:米の仲介案提示「事実ない」 

令和元年7月31日(水)午前 | 令和元年 | 官房長官記者会見 | ニュース | 首相官邸ホームページ

米の仲介案提示「事実ない」 菅官房長官、日韓対立めぐり - 産経ニュース

菅義偉官房長官は31日午前の記者会見で、日本の輸出管理の厳格化に韓国が反発している問題をめぐり、米政府高官が日韓に仲介案を提示したとの一部報道について「そのような事実はない」と述べた。その上で「さまざまな問題について、一貫した立場に基づき韓国側に適切な対応を強く求めていく考えに変わりはない」と強調した。

 ロイター通信は、米政府高官が30日、日韓が交渉を通じて対立を解消する協定に署名するよう提案する考えを示したと報じた。

 一方、ポンペオ米国務長官はタイ・バンコクで開催が見込まれる河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相との日米韓外相会談で日韓の仲介に乗り出す意向を示した。菅氏は「米国との間では、わが国の一貫した立場や考えを累次伝達し、常日頃から緊密に連携している」と説明。「今後もわが国の立場に対し、正しい理解が得られるように努める」と語った。

まとめ:ソースロンダリング

速報! フェイクニュース確定 :: 渡邉哲也の今世界で何が起きているのか :: ウェブマガジン配信サービス「フーミー」

こちらで一連の報道の元URLがまとめられていますが、日本のメディアが海外メディアの情報源を確認せずに引用して違ったら修正すればいいやというスタンスでやってるというのがわかります。

まぁ、単に「海外メディアがこう報じていた」という記事はネット記事ではありふれたものなんですが、日経はその中でも、自社の主観による分析を加えている点で、ちょっと酷いことになってます。

以上

メディアはれいわ新選組を「れ新」「れ組」と報道するべき

これ、ホントその通りだと思います。

メディアはれいわ新選組を「れ新」「れ組」と報道するべき

維新代表、介助費「自己負担で」 初当選のれいわ議員に | 共同通信

日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は30日、参院選でれいわ新選組から初当選した木村英子氏(54)ら、重い障害のある議員2人の介助費用について「どなたにも適用できるよう制度全体を変えるならいいが、国会議員だからといって特別扱いするのは違う」と述べ、自己負担で賄うべきだとの考えを示した。市役所で語った。

「れいわ新選組」という名称で政党の届出をしている以上、正式名称としてはそれを使わざるを得ないのですが、略称についてまで「れいわ」を使うのは本当に止めてほしいと思います。

れ新」「れ組」でいいでしょう。

政党の略称は選挙の投票時には正式に決定されますが、平時はそうする必要はありませんから。

令和という時代を汚す政党としての名称

元号は日本人全員が大切にしてきたものです。

特定の政党が元号を名称に使用することに嫌悪感を持つ人は多いでしょう。

私立の高校・大学でも元号を用いるところがありますが、それらはずっと続いていくものであってその時代に設立された事を示すものとして、なんとなく許容されてきた感はあります。私もそこには違和感は感じません。

しかし政党は自民党以外はことごとく分裂・消滅しています

そういう種類の集団の名称として使われるのは何か嫌だ、というのは自然な感覚でしょう。

さらは党首の山本太郎は園遊会で当時の天皇陛下(上皇陛下)に手紙を無理やり渡すという暴挙に出た人物です(上皇陛下は受け取ったが中身を見ていないとされている)。

そんな人物が元号を冠する名称を自身の政党につけているというだけで、それはもう、身の毛もよだつ思いです。

話題性ということ以上に、令和という言葉・時代を汚す目的でそのような名称にしているのではないかと思われれも仕方がありません。

言葉は人の思考を拘束する

上記記事で私は「終戦記念日」という言葉を書いていたことに気づき、ついさっき「終戦の日」と修正しました。

無意識のうちに、一般的に使われている用語を用いてしまったようです。

言葉は、使う人・目にする人の思考を拘束します。

言葉による洗脳・誘導は、だから恐ろしいのです。

メディアは不用意な言葉の用法による報道をしないで欲しい。

以上