事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

森ゆうこ議員「原英史は公務員だったらあっせん利得収賄罪相当」⇒免責特権の対象外か

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今年6月から毎日新聞だけが「特区ビジネス・特区審査隠し」問題として記事を書いているものに関して、森ゆうこ議員が国会で再度質問しました。

その内容が名誉毀損・侮辱に当たるものなのでもう一度この問題を整理します。

各者のツイッター上の発信や国会動画は以下参考:「毎日新聞を資料として質問し不正行為をしたと断定」 原英史さんが森ゆうこ議員に抗議 | 以下略ちゃんの逆襲 ツイッターGOGO

森ゆうこ議員の主張「原英史は公務員だったらあっせん利得収賄罪相当」


 動画の1時間23分頃からです。

国民民主党・森ゆうこ「誰が事業者の選定をしたのか?例えば加計学園」

安倍総理「分科会、区域会議、最終的には諮問会議で決める」

森「WGは決めてない、でも分科会メンバー見ると原英史。原さんが決めてる利益相反。国家公務員だったらあっせん利得、収賄で刑罰受ける」

なお、この資料の図を見れば分かりますが、原氏の顔写真が用いられているものは、毎日新聞の6月11日朝刊の紙面のものです。情報源は毎日新聞だということです。

毎日新聞「特区ワーキンググループが審査選定をしているのは不適切」「特区のコンサル会社が200万円受取り」

毎日新聞の記事の内容は以下でした。

国家戦略特区 政府ワーキンググループ委員関連会社 提案者から指導料200万円、会食も - 毎日新聞

政府の国家戦略特区を巡り、規制改革案を最初に審査するワーキンググループ(WG)の原英史座長代理と協力関係にあるコンサルタント会社が、2015年、提案を検討していた福岡市の学校法人から約200万円のコンサルタント料を受け取っていた。原氏は規制緩和の提案を審査・選定する民間委員だが、コンサル会社の依頼で、提案する側の法人を直接指導したり会食したりしていた。

原氏とWG座長の八田達夫氏は、毎日新聞に対して何度となく抗議をし、原氏と毎日新聞との間で名誉毀損の損害賠償訴訟が行われています。

【毎日新聞の捏造】原英史国家戦略特区ワーキンググループ委員と特区ビズの関係

「特区ビジネス社の経営とは無関係」「提案者への情報提供・助言はWGの本来業務」「WGは審査・選定はしない」

森ゆうこ議員の国家戦略特区に関する質問通告に関して – アゴラ

毎日新聞社とは訴訟係属中だが、訴訟で同社は、私が直接ないし間接に実質的に金銭を受け取ったことを報じたわけではないと主張。表向き記事訂正はしていないものの、報道内容の根幹部分を事実上はすでに撤回したとも受け取れる状態だ。

ところが、その後も、一部の国会議員の方々は「国家戦略特区利権隠ぺい疑惑 野党合同ヒアリング」を開催し、私が収賄罪相当の行為をしたなどと、事実無根の誹謗中傷発言を続けている。こうした発言をした議員には順次、訴訟を提起ないし準備中だ。

中略

1)特区ビジネス社の当時の経営者と面識があるが、それだけだ。私は、特区ビジネス社の経営に携わったことも、同社から一円ももらったこともない。知人の中に会社経営している人は数えきれないほど存在し、そうした数多くの会社の一つに過ぎない。

2)次に、国家戦略特区のプロセスで、提案者に情報提供・助言することは、特区WG委員の務めだ。知人だろうがなかろうが、私は、依頼があれば可能な範囲で最大限対応している。当たり前だが、それで報酬を受け取ることなどない。

特区ビジネス社やその顧客に対しても、情報提供・助言を行ったことがある。本来任務だから当然だ。それと、特区ビジネス社とその顧客との取引は、何も関係がない。いかなる観点でも、私が不適切な行為をしたと指摘されるいわれがない。

・特区ワーキンググループは特区諮問会議とは別の組織であって【提案者側

・特区ビジネス社の社長は原氏と別組織で一緒だが、特区ビジネス社の経営・運営とは何ら関係が無い。

関係図としては以下です。

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参考:原英史はコンサル会社との特区ビジネスで「収賄罪相当」「公平性の逸脱」なのか

毎日新聞は特区諮問会議が発足する前のワーキンググループの議事概要の配布資料の中で「WGにおいて選定する」という文言があることから、「ワーキンググループが事業者を選んでいた」「選定する側が助言をするのは利害関係人による利益供与だ」と言っています。

しかし、令和元年10月15日の参議院での答弁によれば、実態は「特区で扱う改革項目を選定する」という意味でした。

つまり、特定の「事業者」を選定するのではなく「規制改革項目を選定するという意味のようです。

実際上も、ワーキンググループで何らかの「事業者選定」をするという役割にはなっていません。

また、森ゆうこ議員は『「分科会」に原英史氏が居るから利益相反』と言っていますが、少なくとも広島県・今治市 国家戦略特別区域会議の今治市 分科会の議事要旨等を見る限り、事業者選定に関して原英史氏は関与してるとは認められません。

情報源の毎日新聞は訴訟で「原氏が200万円を受け取ってはいない」

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毎日新聞令和元年6月11日朝刊1面

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このような図を提示しておいて訴訟では「原氏は200万円を受け取っていない」と主張する毎日新聞

にもかかわらず、毎日新聞を情報源としている森裕子議員は「原氏は公務員だったらあっせん利得・収賄で刑事罰」と言っているのですから、何らの根拠も無く言っているに等しいです。

つまり、名誉毀損・侮辱に相当する行為を国会議員が国会の場で行っているということです。

森裕子議員は国会議員の免責特権の対象外か 

森裕子議員は国会議員の免責特権で守られるのでしょうか?

憲法51条の免責特権

憲法51条

両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない

したがって、今回の件では、国会議員である森裕子は名誉毀損の法的責任を問われないということが原則となります。 

先例となる最高裁判例では国の損害賠償責任が認められる余地がある

最高裁判所第3小法廷 平成6年(オ)第1287号 平成9年9月9日判決(判例の規範部分を抜粋)

国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、右責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。

つまり、国会議員による名誉毀損行為については議員個人の責任は認められないが、国家賠償請求は認められる余地がある、ということです。

このような事案について最近の事例としては高須院長が大西健介議員に対してCMが揶揄された事に対する名誉棄損訴訟がありますが、違法不当な目的が認められずに高須院長が敗訴しています。

今回の森ゆうこ議員は情報源である毎日新聞が否定しているにもかかわらず原氏個人の問題であるとして主張しているので、「違法不当な目的」或いは「虚偽であることを知りながら」事実を摘示していると言えるのではないでしょうか?

国=私たちの血税から支出されるだけか

しかし、それでも国家賠償責任が認められるだけであって、森ゆうこ個人には請求できません。つまり、私たちの血税からお金が出ていくだけであり、ダメージを受けるのは森ゆうこ議員ではなく国民です。

そのため、原英史氏は森裕子議員が除名になることを各方面に求めるようです。

なお、森ゆうこ議員を含め、何名かの野党議員は「野党合同ヒアリング」の場でも同趣旨のことを発言しているのですが、これが免責特権の対象になるのかは未検討です。

ただ、憲法51条の「議院」は場所的概念ではなく機能的概念とされるので、正規の手続ではない野党合同ヒアリングが「議院」における発言等とされるかは疑問です。

まとめ

森ゆうこ議員が情報源としている毎日新聞が訴訟の場で「原氏が金銭を受け取ったわけではない」と主張している上に、特区WGが「事業者の選定」を行ったという事実が示されたことはありません。「規制改革項目の選定」という意味です。

この話で国会の貴重な時間を奪うのは本当に血税の無駄でしかありません。

以上

はすみとしこ氏が表現の不自由展作品の画像をツイート

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はすみとしこ氏があいちトリエンナーレ、表現の不自由展~その後~の作品画像をツイートしました。

SNS投稿禁止は10月14日18時まで

 ただし展覧会会期終了後はこの限りではありません

という文言があるので、10月14日18時以降に作品の画像をSNS等で投稿するのは、議論に必要な限りでは問題ないでしょう。

はすみとしこ氏が表現の不自由展作品の画像をツイート:教育プログラムの中身

教育プログラムの中身は、単なるパネルでの説明書きでした。

「芸術が作られた背景を知りましょう」などと、芸術についての一般的な説明をしている風を装っていながら、 キム・ソギョン、キム・ウンソンの2016年の作品の意図とか書かれても意味が分かりません。

対話形式の説明書きも、おそらく捏造慰安婦像の鑑賞を念頭に置いたもので「傷ついている人の気持ちに寄り添った見方をしたいな」というごく一部の作品にしか適用されない(捏造によって傷ついてる人の気持ちに私は寄り添う)ような説明があります。

実行委員会の「表現させろ物乞い」と天皇コラージュ

「公金を使って公的施設を使っていても、表現の自由は守られるべきだ」 

彼らはこう言っています。

私もそれは賛成です。

しかし、私や多くの国民・河村市長が問題視しているのは、民間事業として公的施設を使って公金(補助金等)が支出されていることではなく、【公的機関が主体となって】【公共事業として】トリエンナーレ・表現の不自由展が運営されていることです。

そのような場面では憲法上の表現の自由の問題ではありません。

また、検証委員会の曽我部教授(憲法学)も基本的に契約関係の問題であり、憲法問題ではないと明言しています。

参考:河村市長、抗議の座り込み宣言:大村知事、実行委員会を開かず公開質問状も無視 

参考: 表現の自由の問題ではなく【政府言論】トリエンナーレ表現の不自由展中止

参考:トリエンナーレ検証委員会第2回:曽我部教授「基本的に契約関係・表現の自由がストレートに問題になる事案ではない」

天皇コラージュ作品については、既に表現の不自由展のHPで画像が公開されているので、取り上げることには何ら問題が無いでしょう。背景となった事件については下記で説明していますが、富山県美術館で焼却されたのは作品それ自体ではなく、富山県美術館が他の作品と一緒に収録した「図録」であって、作品そのものは第三者に譲渡されています。

「焼かれるべき絵」「時代の象徴=間抜けな日本人の墓」

「焼かれるべき絵」「時代の象徴=間抜けな日本人の墓」について。

政治プロパガンダ、日本dis、日本ヘイトである、という評価は措いておいて…

単純に作品が稚拙で何の面白みもなく、低クオリティである、という事に尽きます。

なお、外国国章損壊罪になるかどうかは以下で検討済みです。

日本で展示撤去されていない捏造慰安婦像

過去に東京都美術館から展示撤去をくらったのは、「第18回JAALA国際交流展-2012」に出品中だったKim Seo-kyeongの彫刻「a Figure of Young Girl」 です。

これはミニチュア像であり、実物大の慰安婦像そのものではありません

 

昭和天皇の肖像が含まれるモノを焼く映像作品は写真自体がNG

「映像作品は切り取られたものがSNSで拡散され誤解された」

 『「昭和天皇の肖像が焼かれた」は捏造フェイク』

このような「反論」がありますが、まぁ、詭弁・屁理屈でしかないですね。

明らかに昭和天皇の顔部分が印象に残るようにバーナーで燃やされ、さらにはその部分の灰が踏みつぶされているのは事実なんですから。

ところで、最初にこの映像を拡散したのは韓国メディアのKBSなんですが、そちらに対する抗議の声は聞こえてきません。なぜでしょうか?

なぜかハングルが

とまぁ、違和感を取り上げればきりがありません。 

はすみとしこ氏のツイートはこれだけではないし、ツイートにある以上のことについては文化人放送局ファンクラブの有料会員向け動画で話すようです。

以上

【令和元年台風19号】内閣府が災害対策本部を設置⇒今さら!遅い!という勘違いが相次ぐ

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令和元年台風19号の被害を受けて内閣府が災害対策本部を設置しました。

「今さら!」「遅い!」と言う勘違い、もうやめましょうよ。

安倍総理、内閣府に非常災害対策本部を設置

安倍総理が内閣府に非常災害対策本部を設置したのは、台風19号が過ぎ去ったあとの13日午前9時30分頃です。

安倍首相、非常災害対策本部の設置を表明 | 共同通信

速報時間は13日の 09:50 (JST)です。

こちらは9時36分です。

「いまさら?」「遅い!」という勘違いコメント

このタイミングでの非常災害対策本部の設置について、「いまさら?」「遅い!」などといって憤って見せている人たちがいます。

まぁ、災害が起こる度に繰り返されるいつもの風景ですね。

これはあまりにも無知から来る勘違いです。

災害対策基本法上の各種「災害対策本部」

内閣府が設置する「各種の災害対策本部」は災害対策基本法に根拠があります。

ただ、国=内閣府が設置するものと都道府県・市町村が設置するものとでは名称も設置要件も異なります。関係規定を並べます。

都道府県災害対策本部
第二十三条 都道府県の地域について災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるときは、都道府県知事は、都道府県地域防災計画の定めるところにより、都道府県災害対策本部を設置することができる。(以下省略

市町村災害対策本部
第二十三条の二 市町村の地域について災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるときは、市町村長は、市町村地域防災計画の定めるところにより、市町村災害対策本部を設置することができる。(以下省略

非常災害対策本部の設置)
第二十四条 非常災害が発生した場合において、当該災害の規模その他の状況により当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第四十条第二項の規定にかかわらず、臨時に内閣府に非常災害対策本部を設置することができる。(以下省略

緊急災害対策本部の設置)
第二十八条の二 著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第四十条第二項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣府に緊急災害対策本部を設置することができる。(以下省略

都道府県や市町村が設置するものは「災害対策本部」

内閣府が設置するものは「非常災害対策本部・緊急災害対策本部」です。

設置できる要件を見ると、都道府県・市町村と内閣府では違いがあるのが分かります。

災害の規模等から事後的に設置される内閣府の災害対策本部:激甚災害指定も同様

都道府県や市町村では【災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるとき】に設置可能です。

対して内閣府は【非常災害が発生した場合において、当該災害の規模その他の状況により当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるとき】です。

前者は「災害が発生するおそれ」「必要がある」で設置可能です。

後者は「発生した場合において」「特別の必要がある」ときに設置可能です。

要するに、内閣府が非常災害対策本部・緊急災害対策本部を設置するのは基本的に事後的であることが法律によって予定されているのです。

ここでの「災害対策」は「被害拡大防止」や「復興支援」と評価される事項にも渡る話であるということです。

これは激甚災害指定も同様です。「災害」には自然現象の規模だけでなく、「被害状況」も含めた意味があるということです。被害状況を把握できないのに激甚災害指定なぞできる訳がない。

現場の自治体の情報収集と判断が優先:設置の義務は無い

当たり前のことですが、地域の自治体の方が、国よりもその地域の事情について詳しく把握できる状況にあります。

ですから、まずは都道府県や市町村が「災害対策本部」を設置して対応し、その後に内閣府が非常or緊急災害対策本部を設置するというのは至極当然の話なのです。

自衛隊も、基本的には自治体からの要請を受けて部隊を派遣します。

なお、「災害対策本部を設置しなければならない」とはなっていませんから、設置の義務はありません。

そういった形式的な組織を作らなくとも、既に情報収集、対策を実行しています。

それまで何もしていない、ということではないのです。

「非常災害」とは

逐条解説災害対策基本法第3次改訂版 では、「非常災害」に指定されるのは諸般の事情を斟酌して決めるとあり、具体的な運用としては概ね以下の通りとあります。

①風水害の場合、死者・行方不明者が百人以上であり、かつ、全壊・流出戸数が百戸以上である場合

②死者・行方不明者が百人未満であっても、全壊・流出戸数が相当数に及ぶような場合(例としては昭和三十九年の新潟地震、昭和五十八年の三宅島噴火等がある)

③災害応急対策の実施の為特に必要がある場合(例としては、行方不明者の捜索の必要があった昭和五十九年の長野県西部地震がある。)

上記③以外は被害の規模を考慮した事後的な判断だということがわかります。

情報連絡室の設置・災害救助法の適用の閣議決定など

台風19号 政府「情報連絡室」で情報収集 自衛隊は即応態勢 | NHKニュース

大型で非常に強い台風19号が接近しているため、政府は今月8日に総理大臣官邸の危機管理センターに設置した「情報連絡室」で情報収集などを進めています。

総理大臣官邸では杉田官房副長官と沖田内閣危機管理監らが警戒に当たっています。

安倍総理大臣は官邸に隣接する総理大臣公邸で待機しています。

非常災害対策本部を内閣府に設置するよりはるか以前から総理官邸では「情報連絡室」を設けて情報収集に当たっていましたし、防災情報のページ - 内閣府を見ると災害救助法をどの地域に適用するかの閣議決定も行っています。

こういう事前の動きを見ずに「災害対策本部が設置されたか否か」で判断する1ビット脳は本当に害悪でしかありません。

つい半月前の千葉県の台風被害の際にもこのような視点で非難が浴びせられていましたが、現場からは以下のような指摘があります。

各省庁は既に「災害対策本部」を設置していた

内閣府が災害対策基本法上に明文の根拠がある非常or緊急災害対策本部を設置するのとは別に、各省庁において「災害対策本部」が設置されることがあります。

今回も、国交省において災害対策本部が11日の時点で設置されていました。

これは、災害対策基本法36条1項の所掌事務として各省庁の防災計画に基づいて設置されるものです。

(指定行政機関の防災業務計画)
第三十六条 指定行政機関の長は、防災基本計画に基づき、その所掌事務に関し、防災業務計画を作成し、及び毎年防災業務計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。

国土交通省防災業務計画(令和元年8月修正) - 国土交通省

第 3 節 国土交通省非常災害対策本部及び国土交通省緊急災害対策本部等

災対法第2条第1項に規定する災害(以下単に「災害」という。)が発生した場合において災害応急対策及び災害復旧のための活動を迅速かつ一体的に推進するため、「国土交通省災害対策本部の設置に関する訓令」(平成15年国土交通省訓令第8号)に基づき、非常災害が発生したときは国土交通省非常災害対策本部(以下「非常本部」という。)を、著しく異常
かつ激甚な非常災害が発生したときは国土交通省緊急災害対策本部(以下「緊急本部」という。)を、それぞれ臨時に設置するものとする。

施設等機関及び地方支分部局の長は、災害が発生するおそれがある場合若しくは災害が発生した場合に、所掌事務に係る防災対策を推進するため、必要に応じて、非常本部及び緊急本部に準じた組織(以下「災害対策本部」という。)を設置するものとする。また、必要に応じ、現地に災害対策本部に準じた組織を設置するものとする。

「災害が発生するおそれ」 の段階で「災害対策本部」を設置する、とあります。

こちらは予測した上で「事前」に設置するものであるということが書いてありますし、「設置するものとする」とあるので必ず設置されるものです。

では、どういう場合に「おそれ」があるのか?ということについては国土交通省災害対策本部設置基準 で細かく書いてあります。

なお、この防災計画と設置基準は各省庁によって異なります。

防衛省は災害対策本部を設置していないのか?という愚問

防衛省が災害対策本部を設置する場合というのは、かなり限定されています。

防衛省防災業務計画を見ると、予想される具体的な地震が指定されていて(南海トラフ地震など)それが発生した場合や「原子力災害」など項目が指定されている場合に災害対策本部が設置されます。

それ以外には、「災害が大規模な場合その他特に必要があるとき」「大規模地震対策特別措置法第9条の規定により警戒宣言が発せられたとき大規模地震対策特別措置法第9条の規定により警戒宣言が発せられたとき」に防衛省や現地に災害対策本部が設置されるようになっています。

また、防衛省自身が設置するもの以外に、「災害対策基本法上の非常or緊急災害対策本部が設置されたとき」にはそちらに人員を派遣することも行うようになっています。

災害対策室・災害対策連絡室の設置

第四 大規模災害時の措置

2 非常本部等への連絡員の派遣及び対策本部等の設置等
⑴ 災害の発生に際しては、必要に応じて、別に定めるところにより、統合幕僚監部に災害対策室(室長:統合幕僚監部運用部長)又は災害対策連絡室(室長:統合幕僚監部運用部運用第2課長)を設置するものとする。

「災害対策本部」という名称以外にも災害対策のために動く組織はあるのです。

政党の「災害対策本部」は任意の組織

国政政党や地方政党が「災害対策本部を設置」と言うことがありますが、これは法律上の根拠はありません。あくまでも任意の組織です。

別に、こういう名称の組織を設置していなくとも、災害対策・復興支援を行っている政党はあります。ここでも「災害対策本部を設置していないから何もしていない」などとは言えないということを付言します。

まとめ

  1. 災害対策基本法上の「災害対策本部」は都道府県と市町村
  2. 同法上、内閣府が設置するのは「非常災害対策本部」と「緊急災害対策本部」であり、基本的に被害の規模を斟酌して事後的に設置される
  3. 各省庁の「災害対策本部」は法律上ではなく各省庁の設置基準がある
  4. 政党が「災害対策本部」を設置することもあるが上記とは無関係で自主的に設置してるだけ

昨年の大阪の地震でも災害対策本部が設置された際の情報が錯そうしましたが、災害にかこつけて「権力批判をしてみた」という人たちが誤解を撒き散らすのは本当にやめてほしいと思います。

 以上

災害時無料Wi-Fi「公衆無線LANサービス00000JAPAN」の設置場所と接続方法と充電場所:MVNOも対象

saigai-muryouWiFi-00000JAPAN

災害時無料Wi-Fi「公衆無線LANサービス00000JAPAN

設置場所と接続方法を整理しました。

災害時公衆無線LANサービス00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)の利用条件

災害時公衆無線LANサービス00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)の接続には条件があります。

  1. 通信事業者が災害時指定をして各社が無料開放する
  2. ユーザーがWi-Fiスポットに行く
  3. 設定をする

これらが必要です。

普段は"au Wi-Fi Spot" など、各社の通信を使っている端末のみが対象になります。

災害時に「接続できない!」という人は、そもそもWi-Fiスポットに行っていない人がほとんどです。この点を無視してる記事が多かったので改めてこの記事を書こうと思いました。

NTTdocomo

ドコモからのお知らせ : 台風19号の接近に伴う公衆無線LANサービス「00000JAPAN」の開設について | お知らせ | NTTドコモ

サービスエリア | サービス・機能 | NTTドコモ

au by KDDI

支援について | 令和元年台風第19号に伴う支援について | KDDI株式会社

主なご利用スポット | au Wi-Fi SPOT: サービス・機能 | au

検索もできますが、「だいたいこういう施設・場所に行けばOK」という案内もあります。具体的な店舗名もロゴと一緒に書かれています。

また、充電設備が設置された場所もUPされています(令和元年台風19号関連)

softbank

台風第19号の接近に伴う1都5県での「ソフトバンクWi-Fiスポット」の無料開放について | お知らせ | ニュース | 企業・IR | ソフトバンク

ソフトバンクWi-Fiスポット | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク

MVNO端末も関係なく接続可能

このサービスはどの通信会社のケータイ・スマホでも無料で利用可能です。

そのため、これまでの説明はMVNO端末でも当てはまります。

「MVNOだから接続できない」ということは考えられません。

検索が面倒な人用の概説・まとめ

主なご利用スポットとしては以下になります(auページ参照)

  • 鉄道(車両/駅・構内)
  • バス
  • カフェ
  • ファーストフード店
  • レストラン
  • 空港ラウンジ(JAL)
  • ガソリンスタンド
  • コンビニ
  • デパート
  • 地下街

店舗自体が営業していない場合にどうなるのかは分かりませんので、注意です。

接続設定方法:類似名のネットワークに注意

スポットに行けば、いつものWi-Fi設定画面に候補として「00000JAPAN」が現れるのでそれを選択すればいいです。

※類似名のネットワークに注意

画像付で説明してるのがほしければ以下をどうぞ。

【台風19号】災害時に無料開放される公衆Wi-Fi「00000JAPAN」とは。使い方や注意点は? | ハフポスト

自治体のFREE Wi-Fi スポット

通信各社が提供しているFREE Wi-Fiスポット以外に誰でも使えるWi-Fiとして、各自治体が平時から提供しているFREE Wi-Fiがあります。

TOKYO FREE Wi-Fi

マップあいち

みやぎFree Wi-Fi公式ホームページ - 宮城県公式ウェブサイト

また、自治体によってはJapan Connected-free Wi-Fiサービスに統合している所もあるようです。

災害時の充電場所

支援について | 令和元年台風第19号に伴う支援について | KDDI株式会社

KDDIのように、充電場所を設置して周知している企業があります。

自治体が充電のための施設を設置しているかは分かりませんが、避難場所になっている場所がそうなのではないでしょうか?

災害時無料Wi-Fi利用時の注意喚起

総務省|00000JAPAN等により無料開放された無線LANの利用について (注意喚起)

通信の暗号化等のセキュリティ対策が講じられておらず、通信内容の盗聴や偽のアクセスポイントを用いた情報の窃取が行われるおそれがあります。そのため、個人情報等の入力は極力避けていただくよう、ご注意をお願いします。

セキュリティが弱いので注意喚起がされています。

ネット決済や会員登録など、個人情報を入力したりセンシティブな情報を扱う場面では使わない方がいいでしょう。

以上

韓国と台湾の訪日数が逆転:韓国人客半減でも旅行収支黒字は過去最高

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8月の台湾の訪日数が韓国を上回りました。

また、韓国人客は半減でも旅行収支黒字は過去最高になりました。

韓国人客半減でも旅行収支黒字は過去最高

韓国人客半減でも旅行収支黒字は過去最高 8月国際収支 - 産経ニュース

財務省が8日発表した8月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は2兆1577億円の黒字だった。貿易収支は509億円(前年同月は2556億円の赤字)と2カ月ぶりに黒字転換した。旅行者のお金の出入りを示す「旅行収支」は1518億円の黒字で、8月としては過去最高訪日客数は減ったが1人当たりの国内で使う消費額が上がった。

 観光客の数は前年同月比で2・2%減の252万100人と昨年9月以来、11カ月ぶりに前年同月を下回った。日韓関係の緊迫化が要因で、韓国からの観光客は前年同月比48%減の30・9万人と大きく減少した。

 ただ、韓国の観光客は1人当たりの消費額が少なく、消費額の多い欧米などの観光客数はこれまで通り堅調に推移した。

  1. 全体の観光客は2・3%減少
  2. 韓国人観光客は前年同月比48%減
  3. しかし旅行収支は8月過去最高の黒字
  4. 1人当たりの消費額が上がった

これは、1人当たり消費額が低い=客単価が低い韓国からの観光客が減ったものの、それよりも客単価が高い観光客が増えた結果であると言えます。

韓国人観光客の1人当たり消費額=客単価

JNTOの統計から以下の事実が分かります。

  1. 消費額の総額では、韓国人旅行客は2番目に多く消費
  2. 1人当たりの旅行支出は、韓国だけが5桁の消費額で、他は6桁の消費額
  3. 1泊あたりの支出額を比べるのは「0泊=日帰り」が多い韓国人の場合には「嵩上げ」になるため不適当

韓国人旅行客には日帰り客が多い、ということを直接示す統計はありません。

国全体の数値では「宿泊日数」と「3日以内滞在日数」の統計しか無いからです。

しかし、都道府県別の数値から概算することはできます。

また、日帰り客の消費額が低いのか?という事実確定も必要になります。

それを検証したのが以下の記事です。

 

その結果

  1. 日帰り客の消費額・消費単価はとても低い(一部地域除く)
  2. アジア諸国は日帰り客が世界全体と比べて多い
  3. 韓国人は他の近隣アジア諸国と比べて滞在日数3日以内の人数が10倍程度多い
  4. よって、韓国人は日帰り客がとても多いと考えられる
  5. 概算推定すると、年間200万人の韓国人が日本に日帰り旅行をしている

一部の地域や施設にとっては痛手でしょうが、全体として見れば「客は減っても利益は上がった」というのは一般的に良い傾向であると言えます。

なぜなら、客の受け入れにあたってもコストがかかるからです。

宿泊施設が低額支出者で満室になっているのと、空きは有るけど高額支出者に利用してもらえるのとでは後者の方が好ましいでしょう。 

韓国と台湾の訪日数が逆転

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https://www.travelvoice.jp/20191009-139026

【図解】韓国と台湾の訪日数が逆転、韓国路線の航空座席数と東アジア4市場の12か月推移をグラフにしてみた ―2019年8月 | トラベルボイス

日本政府観光局(JNTO)発表による訪日外国人数を東アジア主要4か国/地域(韓国・中国・台湾・香港)でみると、2019年8月(推計値)は日韓情勢の影響を受けた韓国は7月(7.6%減の56万1700人)よりもさらに低下し、ほぼ半減の48.0%減で30万8700人にまで縮小。2016年5月以来3年3か月ぶりの低レベルに落ち込んだ。

一方、台湾の8月は6.5%増の42万300人と上昇傾向を示し、2016年6月以来3年2か月ぶりに韓国超えを記録。

台湾の訪日数が韓国の訪日数を上回りました。

韓国発・日本着の航空座席供給数は、10月以降も約3割減となる見通しとなっているようですから、この傾向はさらに顕著になっていくでしょう。

以上

維新が大阪都構想での外国人参政権付与を進めているというデマ

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大阪都構想で外国人参政権を認めることを維新が進めているというデマがあります。

大阪都構想「外国籍住民にも投票権を」 在日コリアンら請願準備

大阪都構想「外国籍住民にも投票権を」 市民ら請願準備

外国籍の大阪市民も大阪都構想の是非を問う住民投票ができるよう、市民グループが国会や市議会に請願を出す準備を進めている。合言葉は「大事なことはみんなで決めよう」。14日に市内でトークセッションを行い、投票権拡大の議論を盛り上げたいという。

呼びかけ人には、劇作家の平田オリザさんや絵本作家の長谷川義史さんらが名を連ねる。その1人、コリアNGOセンター代表理事の郭辰雄(カクチヌン)さん(53)は、在日コリアン3世だ。

請願準備をしているのは在日朝鮮人らであるということです。

そもそも、大阪都構想に関する投票での外国人参政権は、外国人への投票権付与(市町村の議会の議員及び長の選挙権)そのものを法律で認めない限り不可能です。

大阪都構想の投票の法的根拠と外国人投票権

大阪都構想の法的根拠は【大都市地域における特別区の設置に関する法律】です。

「住民投票」というと沖縄県の辺野古移設を問う住民投票を思い浮かべる人が居ますが、あれは自治体が勝手に作れる条例に基づいて行われたものなのでまったく別です。

大都市地域における特別区の設置に関する法律

第七条 前条第三項の規定による通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、基準日から六十日以内に、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならない。

これを受けて【大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令】では

第四条 市町村の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、法第七条第一項の規定による投票の投票権を有する。
2 法第七条第一項の規定による投票には、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)に規定する選挙人名簿を用いる。

公職選挙法では以下規定されています。

(選挙権)
第九条 日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
2 日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

したがって、大阪都構想において外国人の投票権を付与するためには公職選挙法か大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令を改正しない限り不可能です。

国会マターということになります。

では、日本維新の会、大阪維新の会はそういう方針なのでしょうか?

大阪維新の会、橋下徹は外国人参政権を認めているのか?

  1. 橋下徹氏は特別永住外国人の制度を解消する方針
  2. ただの外国人に対する参政権付与には明確に反対
  3. 現行制度下においては特別永住外国人に限って「純粋な地域コミュニティールール作り」への関与は認める方針
  4. その中身には選挙権や公務就任権が含まれているのかは完全には否定されておらず不明
  5. ただし、仮に含まれていたとしても最高裁判例の枠を超えるようなものではない 
  6. 「橋下が特別永住者に選挙権を与えようとしている」はデマとは言い切れないが確定的でもない

まとめるとこのような状況です。

橋下徹氏としては少なくともただの外国人への参政権付与には明確に反対しており、特別永住外国人の制度を解消する方針です。

日本維新の会の憲法改正原案と外国人地方参政権

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日本維新の会の憲法改正原案

第95条
③自治体の議会の議員、知事又は長及び自治体の条例で定めるその他の公務員は、その自治体の住民であって日本国籍を有する者が、直接これを選挙する。

現在の憲法には地方自治体の選挙に関してこの国籍条項がありません。

それを日本維新の会の憲法改正原案では「日本国籍を有する者」と明記しています。

維新の会としては外国人への地方参政権付与をまっこうから否定しているわけです。

これを見ても、「維新が大阪都構想で外国人参政権を付与させようとしている」というのが無理筋だというのがわかります。

まとめ:「大阪都構想で維新が外国人参政権」はデマ

「大阪都構想で維新が外国人参政権」はデマです。

言い切ってよいでしょう。

誰も維新側の動きを証拠として出していませんからね。

以上