事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【正体表す】HSを許さないかわさき市民ネットワークが日本国民へのヘイト禁止に反対

ヘイトスピーチを許さない川崎市民ネットワーク

HSを許さない かわさき市民ネットワークが日本国民へのヘイト禁止に反対しました。

正体をあらわしましたね。

その論理もいろいろおかしいので整理します。

ヘイトスピーチを許さない かわさき市民ネットワーク

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ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワークが反対しているのは川崎市の自民党が「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(案)」に対して提出した附帯決議です。

日本国民たる市民も罰則対象となる改正を視野に入れる附帯決議

川崎市ヘイト規制条例附帯決議

自民党提出の附帯決議案では、「日本国民たる市民に対しても不当な差別的言動が認められる場合には、本条例の罰則の改正も含め、必要な施策及び措置を講ずること」という文言があります。

共産党やHSを許さないかわさき市民ネットワークは、この文言について反対を主張しているのです。

その反対の理由は、私からすればかなり疑問です。

共産党・公明党・立憲会派は反対

ttps://kawasakiar.tumblr.com/:魚拓はこちら

この付帯決議(案)に他会派は、「条例案の基となった国のヘイトスピーチ解消法に『日本国民への差別的言動』は含まれない。削除すべきだ」(共産)、「解消法から逸脱しており到底受け入れられない。法改正なしに『罰則の改正』など条例でできるはずがない」(公明)、「解消法の付帯決議と同様のものなら許容範囲だが、現状の案では賛成できない」(みらい)など反対を表明。

共産党・公明党・みらいなどの会派の主張はおおむね「法令を逸脱するから」というものです。

しかし、これはおかしなことです。

附帯決議は法令を逸脱する?

附帯決議は『日本国民たる市民への罰則を設けろ』ではなく、『日本国民たる市民に対しても不当な差別的言動が認められる場合には、本条例の罰則の改正も含め、必要な施策及び措置を講ずること』を求めているだけです。

要するに、条例の施行後に状況の変化=立法事実があれば、条例の改正によって「日本国民たる市民」への不当な差別的言動も罰則対象にするよう改正しましょうと言ってるにすぎません。

もともと、川崎市側がヘイト規制条例で罰則・インターネット表現規制をすることについての立法事実は「地域の実情」に鑑みてのことであるということを表明しています。

いわゆるヘイト規制法では「地域の実情に応じて」対策を講じることも許容されていますから、罰則を設けること自体が法令の逸脱ではないならば、これは法令の範囲内であるハズです。

そして、11月には小野田議員の質疑に対して森まさこ法相が「本邦外出身者に限らずいかなる対象にも差別的言動は許されない」趣旨と答弁してるのですから、法律が変わらなくとも条例を改正することはできるハズで、「法律の範囲を逸脱」していることにはならないハズです。

したがって、この附帯決議に反対する理由なんて、【日本属性者が気に入らない】以外には存在しないと思うのです。

正体表す:やはり日本属性者を萎縮させる目的だった

なぜ、彼らは「全ての人」に対する不当な差別的言動を罰則対象にすることには反対するのでしょうか?

やはり、日本属性者を萎縮させる目的だったとしか考えられません。

ヘイトスピーチ界隈では朝鮮総聯の息がかかった弁護士などが工作をしており、「ヘイトスピーチとはマイノリティに対するものである」などという国際的には通用していない理解を日本で広めようとしています。

参考:神奈川新聞「日本人ヘイトはありえない」に対する不都合な真実

正体をあらわしたなという気がします。

自由民主党 川崎市支部連合会:hissyou-tousen@jiminkawasaki.jp
※自民党川崎市議団のHPは運営を終了しているようです。

以上

共同通信ヘイト問題取材班 「歴史改ざん主義者に対する抵抗」「慰安婦文書を掘り起こした」

『在青島日本総領事館の文書において、慰安婦を「兵70人に1人」を要請するという記述があった』と共同通信で報じられた件について。

共同通信ヘイト問題取材班という、共同通信の社会部や地方支社局の社員が運営していると自称するアカウントが妙なことを言っています。

共同通信ヘイト問題取材班 慰安婦文書を「掘り起こした」

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以下記事でも指摘しましたが、共同通信が12月7日に報道した慰安婦関連の文書というのは、既にほかの媒体でも言及されていたものですし、既にネット上で閲覧可能だったものです。

関連:望月衣塑子「共同通信角南記者の特ダネ」⇒慰安婦資料は既に2017年週刊金曜日の今田氏の記事でも

共同通信の元記事では「内閣官房が2017,18年に集めた」ことを報じているだけです。

元記事自体には共同通信が「この資料は新事実であり、それを自分たちが最初に報じた」とは書いていません。

国立公文書館 アジア歴史資料センターでネット閲覧可能

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アジア歴史センター レファレンスコードB06050090800

国立公文書館アジア歴史資料センターで「社会問題諮問委員会関係一件」と検索するとヒットする資料があります。

そのうちの「第二巻/分割3 レファレンスコード:B06050090800」に共同の記事にあるような「陸軍側は兵員七十名に対し一名位の酌婦を要する」という記述がある文書があります。

誘拐が社会問題になっていた

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アジア歴史センター レファレンスコードB06050090800

同じ資料の中の内務省警保局長による文書には「恰も軍当局の了解があるかの如き言辞を弄する者も最近各地に頻出しつつある」とされ、その文脈で「醜業」(売春業)を目的とする女性の渡航制限をせよと書かれているものがあります。(共同の記事の中でも触れられている)

「醜業」という単語は何度も出てきますが、いわゆる「性奴隷」の用法ではなく単に売春業を意味することは文脈から明らかです。

また、売春業に売り渡される女性の誘拐が社会問題になっていたことも伺えます。

在南京領事館の7月1日付の資料では以下書かれています。

在南京日本総領事館

アジア歴史センター レファレンスコードB06050090800

内地親元より捜査願、または本人あるいは親元より、かかる醜業、不承諾による帰郷取り計らい願など殺到の状況

「内地」とは日本列島(特に本州)を指す言葉であり、要するに大和民族たる日本人女性(朝鮮半島出身者も当時は日本人だったということは忘れられているので強調する)であっても、「その意に反して」連れ去られている例があったということです。

そして、そうした状況を日本政府は重く見て、酌婦業=売春業に就こうとする場合には本人のみならず親権者の承諾を求めたりするなどの規制を敷いていたことが書かれています。

つまり、共同通信が報じた資料は、それ自体は日本軍が組織的に強制連行をして性奴隷化をしたなどということを示唆する証拠などではなく、むしろそれを否定する間接事実を指している資料なのです。

政府は慰安婦の存在は最初から認めている

日本政府は慰安婦の存在や軍が慰安所を設置管理していたことは認めています。

朝日新聞の誤報によって拡散された韓国の言う慰安婦問題とは「①日本軍が組織的に②女性を強制連行して③性奴隷にした」というものであり、河野談話はこれを認めたものではありません。

まとめ:複数のフェイク

まとめると、共同通信の報道にまつわる話は、以下のようなフェイクが織り交ぜられています。

  1. 新事実ではまったくないものを新事実だと言う或いはそうであると読者が受け取るよう誘導する
  2. 資料から読み取れる内容と逆の理解に誘導する
  3. 「慰安婦問題」を、まるで軍が慰安所を運営していた事自体が悪であるという論調で論じる

歴史改竄を行っているのはどちらなのか。

以上

望月衣塑子「共同通信角南記者の特ダネ」⇒慰安婦資料は既に2017年週刊金曜日の今田氏の記事でも

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望月衣塑子記者がまた事実と異なる内容をツイートしました。

また、前提となる共同通信の慰安婦に関する記事の性質についても整理します。

共同通信「軍関与を補強」望月衣塑子「角南記者の特ダネ」

慰安婦「兵70人に1人」と記述 外務省文書、軍関与を補強

旧日本軍の従軍慰安婦問題を巡り、関連する公文書の収集を続ける内閣官房が2017、18年度、新たに計23件を集めたことが6日、分かった。うち、在中国の日本領事館の報告書には「陸軍側は兵員70名に対し1名位の酌婦を要する意向」「軍用車に便乗南下したる特殊婦女」などの記述があった。「酌婦・特殊婦女」は別の報告書内で「娼妓と同様」「醜業を強いられ」と説明され、慰安婦を指している。専門家は「軍と外務省が国家ぐるみで慰安婦を送り込んでいたことがはっきり分かる」と指摘する。

この記事に対して東京新聞の望月衣塑子記者が「共同通信の角南記者の特ダネ」というツイートをしました。

それに対して、今田真人氏から突っ込みが入りました。

今田真人「初出は週刊金曜日」

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今田真人氏によれば、今回内閣府が入手したと報じられた文書のうち、「在青島日本領事館」の文書は、週刊金曜日や彼の著作「極秘公文書と慰安婦強制連行 外交史料館等からの発見資料 [ 今田 真人 ]」で既に紹介している文書であるという指摘があります。

つまり、「共同通信の特ダネ」などというものではないということです。

週刊金曜日2017年11月24日号

在青島領事館・慰安婦・週刊金曜日今田真人

週刊金曜日2017年11月24日号30頁

週刊金曜日2017年11月24日号の該当ページです。

「陸軍側は兵員70名に対し1名位の酌婦を要する意向」について確かに載っています。

ここで紹介されている文書は「昭和13年・社会問題諮問委員会関係一件」とされ、「兵員70名に対し1名」の部分は週刊金曜日では昭和13年6月29日付の在青島総領事の文書とされています。

国立公文書館 アジア歴史資料センターの【社会問題諮問委員会関係一件 第二巻/分割3】のPDF115頁に掲載されています。

在青島日本総領事館:慰安婦兵70名に一人

アジア歴史センター レファレンスコードB06050090800

「醜業」とは「売春業」のこと

しかも、週刊金曜日の記事内では以下書かれています

1938年当時、日本政府は内地から中国へ連行する「慰安婦」女性について、21歳以上で、かつ「事実上醜業(売春業)を営む者」などの制限を課していた(38年2月23日、内務省警保局長発の通牒=97年の政府公表資料)

「慰安婦」にされた日本内地女性の家族にとってこの連行は誘拐であり、女性本人にとっては詐欺被害であった。38年7月1日付の在南京総領事の文書にこうある。

内地親元より捜査願、または本人あるいは親元より、かかる醜業、不承諾による帰郷取り計らい願など殺到の状況」

「醜業」とは「売春業」のことであり、決して「性奴隷」の意味ではありません。
※記事中の()内は今田氏が記述か。警保局の原文には「醜業」のみ。

また、外務省内でも日本列島(内地)出身の女性も騙されて誘拐されていることが社会問題であるという認識であったことが分かります。

昭和13年2月23日の内務省警保局長発の通牒は、国立公文書館 アジア歴史資料センターの【社会問題諮問委員会関係一件 第二巻/分割3】で閲覧可能です。

軍当局の了解があるかの如き言辞を弄する者も

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アジア歴史センター レファレンスコードB06050090800

昭和13年2月23日の内務省警保局長の文書について。

ここでは「恰も軍当局の了解があるかの如き言辞を弄する者も最近各地に頻出しつつある」とされ、その文脈で「醜業」を目的とする女性の渡航制限をせよと書かれています。

よって、日本軍が組織的に強制連行をしたことの証拠などではなく、むしろそれを否定する間接事実を指している資料なのです。

三一書房「角南記者にも献本している」

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今田真人氏の著書『極秘公文書と慰安婦強制連行』の出版社である三一書房から、角南記者に献本しているという指摘がありました。

よって、角南記者がこの資料は少なくとも今田真人氏が既に発見しているものであるということを知らないはずがなく、望月記者の「共同通信角南記者の特ダネ」というのは事実に反することになります。

そもそも、この資料は国立公文書館でネット上で公開されているものであり、アップロードの時期如何では「今田氏が最初の発見者」と言うのもおかしな話になる可能性があります。

新たな事実ではないものを殊更に報じる共同通信

共同通信が報じているのは「内閣官房が2017、2018年に入手した」ことです。

在青島日本領事館の文書が新たに見つかったとは書いていません

なぜ、わざわざ報じるのか不思議で仕方がありません。

ネット上では「新事実が見つかった」と反応している人が多数発生しており、そういう者が出てくるように狙っているのでしょう。

ニュースではないものをニュース性のあるものとして報じたり、過去に報道した記事のタイムスタンプを更新してさも最近の事実であるかのようにして記事をSNS等に拡散するということを共同通信が行っていることが不破雷蔵氏から指摘がありましたが、もはや常態化してるのでしょう。

タイムフェイク記事を連発する共同通信 - 【ネタ倉庫】ライトニング・ストレージ

河野談話における「日本軍の関与」と慰安婦問題

河野談話における「日本軍の関与」とは、日本軍が慰安所を運営していた事実、その中で業者や親に騙され、意思に反して連れてこられた女性らが稼働していた事実を指し、これまで日本政府は否定したこともありません。慰安所が軍隊によって設置されていたというのは世界各国で行われていたことであり、それ自体を非難対象にするのは無意味です。

他方、朝日新聞の誤報によって韓国が騒ぎ立てている慰安婦問題」とは、「①日本軍が組織的に②女性を強制連行して③性奴隷にした」というものであり、河野談話はこれを認めたものではありません。

特に日本軍が組織的に強制連行をしたということは、朝鮮人女性の証言のみであり、何らの文書も示されていません。しかも朝鮮人女性の証言はコロコロ変わっているので、とても信ぴょう性がありません。

以上

浅田均「森ゆうこは刑事責任に問われないと知って凶悪犯罪に及ぶ触法少年と同じ」

浅田均「森ゆうこは触法少年」

日本維新の会の浅田均議員が「森ゆうこは刑事責任に問われないと知って凶悪犯罪に及ぶ触法少年と同じ」と指摘しました。

その通りだなと思う一方で、下手をしたらそれ以上に悪質だと思います。

なぜそう思うのかを説明します。

浅田均「森ゆうこは刑事責任に問われないと知って凶悪犯罪に及ぶ触法少年と同じ」

森ゆうこ議員は毎日新聞の記事を根拠として、原英史氏に対して「公務員ならあっせん利得・収賄罪にあたる」などと発言し、これが名誉毀損にあたるとして抗議を受けていました。

さらに、森ゆうこ議員は上記事案に関連してタイムスタンプが捏造されたツイートを元にして、「高橋洋一氏に質問通告内容が漏洩した」などと国会で発言し、それがネット上で指摘されたのちの12月に入ってからも再度上記趣旨の発言をしました。
 

よって、これは意図的に虚偽の事実について、犯罪行為と知りながら発言しているとするほかありません。

浅田均議員は「森ゆうこは刑事責任に問われないと知って凶悪犯罪に及ぶ触法少年と同じ」と指摘していますが、私は今後の状況によってはそのような触法少年よりも悪質だと思います。

国会議員の免責特権と少年法

国会議員は憲法51条で院内での発言は責任を問われないと規定されています。

少年法は14歳未満の者による犯罪行為は刑事罰を科さないとあります。

少年法(審判に付すべき少年)
第三条 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する
一 罪を犯した少年
二 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年

しかし、「家庭裁判所の審判に付する」とあるように、刑事責任は問われませんが、一定の処分が為される余地があります。

少年院送致などの保護処分もある触法少年

少年事件の手続きの流れを見ると分かりますが、14歳未満の少年であっても、家庭裁判所の審判を受けた後には保護処分として保護観察・児童養護施設送致・児童自立支援施設送致があり、さらには少年院送致もあります。

少年院送致を受ければ個室寮での生活から始まり、調査等を経て集団生活をしていくことになり、数年間の更生教育を受けることになります。

保護処分は罰を与えるものではなく更生を期して行われるものですが、少年院送致は自由を拘束する点で、事実上、一定の不利益を与えるものと言えると思います。

これに対して、国会議員が故意に犯罪に相当する演説等を「院内」で行った場合には、何らの処分を受けることもありません。

触法少年による故意の犯罪よりも悪質だと思うのは、こういうところからです。

これに対する唯一の措置は、国会における懲罰の対象になることしかありません。

懲罰を求める請願が無視される可能性

国会が自律的に森ゆうこ議員に対して懲戒処分をしないので、原英史氏は国会に対して森ゆうこ議員に対する懲罰を求める請願を日本維新の会の協力もあって提出しました。これは憲法16条で認められている権利行使です。

しかし、請願を議題として採択するためには、「全会一致」でなければならないというのが国会の慣例となっています。

これは憲法や法律では求められていない要件であり、相当の理由があって形作られた慣例であろうと思われます。

ただ、今回の請願は特定会派の議員の懲戒を求めるものですから、その会派が採択に反対すれば審議不成立となります。これでは「事実上、私人が国会での人権侵害に抗する術が一切な」くなると原英史氏が指摘しています。

これがまかり通るなら、森ゆうこ議員は触法少年よりも悪質だと言う他ないでしょう。

森ゆうこ議員の懲罰請願:全会一致ではなく多数決をお願いしたい – アゴラ

まとめ:触法少年より悪質な森ゆうこを自民党は容認するのか

自分が絶対に法による処罰を受けず、何らの権利制限も受けないことを知りながら犯罪行為をする点で、森ゆうこ議員は14歳未満の触法少年と同一視されるべきですが、触法少年は刑事処分はなくとも少年院送致があり得るため、懲罰を受けないのであれば、森ゆうこの悪質性はそれ以上であると言わざるを得ません。

国会の多数派である自民党はこれを見て向ぬふりをするのでしょうか?

元はと言えば、この話は原英史氏が国家戦略特区のワーキンググループ座長代理という立場であり、規制改革に絡んだ話だということが忘れ去られています。

常識で考えれば、国会の多数派が懲罰を決めればできるのに、堂々と懲罰相当の行為をしているということは、多数派である自民党内に森ゆうこら既得権官僚側の利に沿う言動をする者を支持・容認する議員が居ると考えるのが筋です。

「安倍政権の改革本気度が問われている」とアゴラの新田さんが指摘しているのは、そういう点からも正しいと言えるでしょう。

以上

石垣のりこ「憲法秩序と相入れない人物に発言の機会は与えられない」⇒これ自体が憲法秩序に反してます

石垣のりこ議員、高橋洋一さんをレイシスト・ファシスト扱い

石垣のりこ議員ツイッターから引用して改変

石垣のりこ議員が高橋洋一氏に関して「憲法秩序と相入れない人物に発言の機会は与えられない」とツイートしました。

この発言自体が日本国憲法の秩序に反してます。

石垣のりこ議員 高橋洋一氏に「レイシズム」「ファシズム」

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発端となったツイートでは、石垣のりこ議員が高橋洋一氏を名指しして「レイシズム」「ファシズム」には加担しないと言っているものです。

当然これに対しては高橋氏本人から抗議と根拠の明示が要求されています。

「憲法秩序と相入れない人物に発言の機会は与えられない」

「憲法秩序と相入れない人物や組織に発言や正当化の機会は与えられない」

石垣のりこ議員のこの見解は、要するにそのような発言をした者は一般の者とは違って原則的に不自由であり、口をつぐんでいろ、ということを意味します。

この発言自体が日本国憲法の秩序と相入れません。

日本はドイツのような「たたかう民主制」 の立場ではない

たたかう民主制(たたかう民主主義)とは、一般に民主主義そのものを否定するような自由・権利までは認められないとする考え方を指します。

たとえばドイツ連邦共和国基本法18条では「憲法が保障する権利を、自由で民主的な体制を破壊するための闘争に濫用する者は、これらを制限される」と規定されています。

日本国憲法の場合は憲法尊重擁護義務があるのは公務員等であり、一般国民は直接的な法的義務を課されているわけではありません。

国民も一定の場合には公共の福祉による制限を受けるとされていますが、それは主張の種類が憲法秩序破壊であるか否かによって変わるものではなく、すべての場合に共通したものです。

ドイツでは共産党(KPD)の組織が禁止された

政党の内部秩序は民主制の諸原則に合致していなくてはならない(基本法21条1項)

この規定に基づき、暴力主義革命を主義主張としていたドイツ共産党(KPD)は違憲判決を受け、解体されました。何らかの暴力による攻撃の事実があったのではなく、単にそのような主義主張であった、ということだけで違憲とされました。

なお、後継団体(公式には後継ではないとされているが)であるドイツ共産党(DKP)は現在でも存在しているが、政治的な勢力は弱く、連邦憲法擁護庁からは左翼過激派・反憲法的組織として監視対象になっています。

日本共産党の暴力革命の主張も日本国憲法では表現の自由がベース

日本共産党の暴力主義革命の主張も(現在は表立って主張していないが、完全否定もしていない)、日本国憲法下では一応は表現の自由の範疇であり、そのような主張をすること自体が違憲・違法になるとはされていません。

石垣のりこ議員の「憲法秩序と相入れない人物や組織に発言や正当化の機会は与えられない」という見解は、日本共産党もその主張自体によって解体されるべきということになるが、それでよいか?

まとめ:石垣のりこ議員の発言自体が憲法秩序と相入れない

普通はある意見の表明に対して、なんらかの批評や相手方からの反論など意見の流通が為されることで何が真理であるかが明らかになるのであり、それが(少なくとも日米式の)民主主義社会の基本です。

つまり「間違った意見だから」という理由で国家が表現を規制してはならないのです。

ところが、国会議員という権力者側にある石垣のりこ議員は、「反論を封じる」ことでまさにそれをやっていることになります。

「たたかう民主制」を採ってない日本においては、このような態度自体が憲法秩序と相入れないものです。憲法尊重擁護義務(憲法99条)違反であるともいえるのではないでしょうか?

そして、当然ながら、高橋洋一氏が「ファシスト」「レイシスト」と評価されるような言動をしたという事実はありません。

以上

罰則つき川崎市ヘイトスピーチ条例の問題:条例制定権の逸脱?

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川崎市長提出の議案157号「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例案」

罰則付きであることが問題視される川崎市ヘイトスピーチ条例ですが、憲法違反の可能性について整理しました。

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(案)
※「条例素案」の内容はパブリックコメント後に修正されている部分がある

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例では「被害救済」のための措置と「罰則対象行為」と「規制対象行為」が別々に規定されています。

これらの分類は重要です。

罰則対象になるのは川崎市内において拡声器を使うなどの手段によりデモ行為等を行うという類型の本邦外出身者に対する不当な差別的言動です。

川崎市内・類型・手段という限定がついています。

対して、公表や拡散防止措置の規制対象になるのは、そうした限定の無い本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行う「インターネット表現活動」です。

本邦外出身者に対する不当な差別的言動」は、いわゆるヘイト規制法によって「専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」と定義されているものをそのまま使っています。

本題に入る前に自治体が条例によって刑罰を規定することについて確認します。

憲法94条 「法律の範囲内で条例を制定することができる」

日本国憲法 第九十四条
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

憲法94条 では法律の範囲内で条例を制定することができるとあります。

自治体を規律する一般法として地方自治法があるのでそちらの規定を確認します。 

地方自治法14条で自治体が刑罰を定めることができる

第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
○2 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
○3 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮こ、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる

地方自治法14条3項では自治体は一定の刑罰を科すことができるとあります。

川崎市のヘイト規制条例は「50万円以下の罰金」なので、これには反しません。

どうも、この辺りから勘違いしてる人がネット上には居るのでここで明確にします。

ただし、ここでも「法令に違反しない限りにおいて」とあるため、刑事罰を設けることがいわゆるヘイト規制法の趣旨に違反しているのではないか?という問題があります。

関連して、条例制定権の限界について判示した最高裁判例があります。

徳島市公安条例事件最高裁判決での条例制定権の範囲

最高裁昭和50年9月10日 昭和48(あ)910

普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによってこれを決しなければならない。

徳島市公安条例事件と呼ばれる最高裁判例では、条例制定権の範囲について、上記の考えのもと、以下の基準によって判断するとされました。

  1. ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうる。
  2. 特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によつて前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときは国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。
  3. 両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によつて全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるとき国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。

まとめると、法律にある事項を規律する明文規定があるか否か⇒ない場合には1.

ある場合には2,3の話に。法令と条例が同一目的か否かで2と3が分かれる。 

このような判断構造になっています。

条例で刑罰を定めるのはヘイト規制法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)に違反するのか?

いわゆるヘイト規制法と呼ばれる【本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律】では以下書かれています。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条 省略
2 地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。

同法では基本的施策として「相談体制の整備「教育の充実等」「啓発活動等」が掲げられていますが、刑罰を設けることは書かれていません。

何らかの罰則を設けることは、少なくとも法律レベルでは行わないという考えがあるからです。

ヘイト規制法の立案者の一人である西田昌司の見解

190 参議院 法務委員会 10号 平成28年04月26日

○西田昌司君 なかなか一言で答えられるような質問をされていないんですね。
 それで、先ほど私は、民進党が出されているのと変わらないというのは、その方向性の話なんですね。それで、ちょっと思い出していただきたいんですが、平成二十七年の八月六日、参議院法務委員会、この本委員会で、これは仁比議員から質問があって、小川議員がこういうふうに答えられているんですよね。
 してはならないという差別的行為をしたということがあっても、この法律で、つまり皆さん方が出された法律で、直ちに刑罰を科するという構造にはなっておりません。また、刑罰を科さないというだけでなくて、この法律をもって直ちに何らかのそうした差別的行為が行われたことに対する行政的な措置がなされるという意味の規制があるという趣旨でもございません。これは、ですから、具体的な処分がなされるというのではなくて、あくまでも、してはならないという理念を定めて、その理念に基づいて、これからの国の施策あるいはこれからの立法や条例の制定におきまして、様々なそうした行政の分野、立法の分野におきまして、この理念を生かした形で行ってほしい、こういう意味で理念を定めた理念法でございますと答弁をされているのは小川委員であります。まさに我々が言っているのも同じことを言っているわけです。

ヘイト規制法の立案者の一人である西田昌司議員の見解としては、法律では規制を設けないことを意図しているということは述べられています。 

ただ、条例レベルでは禁止するということは明確に述べておらず、他の立案者も存在するため西田議員の意思が絶対というわけでもありませんし(参議院立法で、提案者は「愛知次郎外2名」とある)、司法判断がある場合でも立法者の個人的な意見が必ずしも採用されるものではありません。

川崎市ヘイトスピーチ条例で刑事罰を設けることは条例制定権の逸脱なのか?

さて、ここまで整理してきたことから、川崎市のヘイトスピーチ条例で刑事罰を設けることはいわゆるヘイト規制法と矛盾抵触して条例制定権を逸脱しているのでしょうか?

私は、かなりグレーだと思います。

ヘイト規制法の趣旨目的

理念法であるいわゆるヘイト規制法は総則の第四条で「国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施」するとされ、第二章 基本的施策の項では「相談体制の整備・教育の充実等・啓発活動等」が国と地方公共団体の責務として規定されているだけです。

つまり、罰則・規制という【行為者】への応報に着目したものではなく、【被害者】の救済に着目したものであると考える余地があります。

川崎市の条例案では「全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され」ることを目的として、市が人権侵害を受けた者に対する相談の実施その他必要な支援に努めることとされていますが、これは被害者救済を念頭にしているからです。

また、いわゆるヘイト規制法の成立の背景には人種差別撤廃条約の存在があります。

人種差別撤廃条約とracialdiscrimination & hatred

日本国が人種差別撤廃条約4条(a)及び(b)を留保しているのは、これらの規定が「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」、「人種差別の扇動」等につき処罰立法措置をとることを義務づけるものであるがゆえに、憲法の保障する集会、結社、表現の自由等を不当に制約することにならないか、刑罰の対象となる行為とそうでないものとの境界がはっきりせず、罪刑法定主義に反することにならないかなどについて極めて慎重に検討する必要があると考えられたからです。

そして、人種差別=racial discrimination と憎悪=hatredはこの条約では分けて書かれていますが、いずれも「マイノリティに対する行為」とは書かれていませんし、一般的にもそうした理解は誤りです(そういう事にしようと現実を改変しようとする者は居る)。

参考:神奈川新聞「日本人ヘイトはありえない」に対する不都合な真実

すると、「罰則対象行為を定めていること」は、法が「いかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨」であることと矛盾抵触することになる可能性があります。

さらには条例制定権を逸脱して法令違憲であるかはともかく、少なくとも運用次第では適用違憲になる可能性があると思われます。

刑罰法規の明確性

なお、「刑罰法規の明確性」の問題があると言われますが、これは日本属性者(本邦内出身者)が日本属性を理由に排斥され、且つ、捜査機関が行為者を逮捕起訴をした場合に初めて問題になるのであり、かなり現実のハードルは高いと思います。
(抽象的違憲審査制を取らない日本の司法制度のもとでは、具体的な被害者が出てからでないと裁判所は憲法判断を行わない。)

条例において「罰則対象行為から一部の者に対する行為を除外していること」が違憲であると主張するということは、つまりは既存の刑罰法規の対象にならない日本属性者への「不当な差別的言動」を、文言上は除外されているにもかかわらず刑罰対象にすることであり、憲法31条から導かれる刑罰法規の明確性の観点からは無理筋なんじゃないでしょうか?

インターネット表現活動を規制するのは条例制定権の逸脱なのか?

刑事罰を設けることとは別に、公表等の措置を講じることが条例制定権の逸脱になるのではないかという問題もあります。

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(案)

 (インターネット表現活動に係る拡散防止措置及び公表)
第17条 市長は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用する方法による表現活動(他の表現活動の内容を記録した文書、図画、映像等を不特定多数の者による閲覧又は視聴ができる状態に置くことを含む。以下「インターネット表現活動」という。)のうち次に掲げるものが本邦外出身者に対する不当な差別的言動に該当すると認めるときは、事案の内容に即して、当該インターネット表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずるものとする。
⑴ 市の区域内で行われたインターネット表現活動
市の区域外で行われたインターネット表現活動(市の区域内で行われた
ことが明らかでないものを含む。)で次のいずれかに該当するもの
ア 表現の内容が特定の市民等市の区域内に住所を有する者、在勤する
者、在学する者その他市に関係ある者として規則で定める者をいう。以
下同じ。)を対象としたものであると明らかに認められるインターネッ
ト表現活動

この点については大阪市のヘイトスピーチ規制条例の問題点について論じた以下の記事で指摘しています。

端的に言えば、地方自治法14条では地方自治体は「法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる」とあるところ、地方自治法2条2項は「地域における事務」と法律で定められたその他の事務を処理するとされていますが、インターネット表現活動規制は法律で定められたものではないので「地域における事務」として行われようとしています。

しかし、条例の適用は原則的に自治体の領域内の事柄に対して行われるものであって、インターネット規制は国が本来果たすべき役割であり、川崎市外での行為を捕捉するような属人的な規定はそもそも「地域における事務」とは言えず、地方自治法14条・憲法94条に違反しているのではないか?というのが結論です。

罰則つき川崎市ヘイトスピーチ条例は条例制定権の逸脱?

  1.  条例で「罰則対象行為を定めていること」は法と矛盾抵触する可能性
  2. インターネット表現活動を規制する行為のうち、川崎市外における川崎市民等に対する言動を捕捉する規定は「地域における事務」ではない可能性
  3. 具体的な適用が違憲になる可能性

これらの疑問については、国会レベルでも、大阪市議会や成立過程の議論、東京都議会や川崎市議会でもまったく触れられていません(一部で理解が浅い議員による憲法94条違反の指摘があったが、議論は深まらなかった)。 

以上