事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

アメリカ大使館が中国共産党によるウイグル人弾圧を描いたマンガを紹介

清水ともみの中国共産党によるウイグル弾圧を描いたマンガをアメリカ大使館が紹介

アメリカ大使館が中国共産党によるウイグル人弾圧を描いたマンガを紹介しました。

ここでは作者の清水ともみさんのその他作品も紹介します。

アメリカ大使館が中国共産党によるウイグル人弾圧の実態を紹介

ウイグル人迫害を発信する日本の漫画 « American View

アメリカ大使館公式マガジンである「アメリカンビュー」において、作者の清水ともみさんのマンガが掲載されています。

中国共産党によるウイグル人弾圧の様子を詳細に描いています。

これは必見です。

ウイグルマンガ「私の身に起きたこと」各国語版

ウイグルマンガ「私の身に起きたこと」 | | ワピピ!

こちらには日本語、英語、繁体字、トルコ語、アラビア語、ウイグル語など、各国語に翻訳されたものが掲載されています。

清水ともみ 氏のその他の作品

もともとは2019年8月にリリースされたマンガでした。

noteでもマンガをUPしているようです。

私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~|清水ともみ|note

現在は香港デモに関するマンガも書いているようです。

「香港に栄光あれ」|清水ともみ|note

清水ともみ氏を支援したい方はnoteページ下部から「サポートする」で可能です。

また、過去作品がAmazonで購入可能です。

リンクを貼って「被リンク」を増やして欲しい

チャイナによるウイグル人弾圧・虐殺に関しては、大手メディアも報じています。

しかし、その具体的な実態を報じているとは到底言えず、多くは「海外メディアが報じていました」というレベルです。内容も、かなり踏み込んでいるかと思えば実際はまったくそうではないということが、いろいろ調べていくと分かると思います。

そういうページが「ウイグル人 弾圧」などの検索結果の上位に来ているので、おそらく多くの人はあまり問題意識を持たないと思います。

そこで、清水ともみ氏やアメリカ大使館の先述のページのURLをブログ等で貼って紹介すれば良いと思うのです。リンクを貼れば「被リンク数」が増大してGoogleが「優良なページ」と認識しやすくなるからです。「はてなブックマーク」をすることでも効果があります。SNS拡散では一過性なもので終わりますが、検索上位になるということは継続したアクセスが見込めるということになります。

注意点は、単にリンクを貼るだけのページを作ると質の低いページからのリンクとして評価が下がる可能性があるのと、SNSで拡散するだけでは被リンク効果はまったく無いということです。

ブログやYoutubeチャンネルを開設してる方は是非ともやってみていただきたいです。

以上

【ヘイトスピーチ解消法】西田昌司、矢倉克夫は「立法事実」の意味を理解していないのでは

西田昌司のヘイトスピーチ解消法の立法事実の誤解

いわゆる「ヘイト解消法」の立法担当者である自民党の西田昌司、矢倉克夫が審議において答弁していましたが、彼らの発言からは「立法事実」の意味を理解していなかった疑惑があります。

立法事実の意味とは

ヘイト解消法の立法事実

憲法の諸問題520頁 芦部信喜 合憲性推定の原則と立法事実の司法審査

「立法事実とは何か」というとき「法律を制定する場合の基礎を形成し、それを支える事実、すなわち、その法律制定の背景となる一般的な社会的・経済的・科学的事実」であるとよく言われますが、憲法の諸問題―清宮四郎博士退職記念 (1963年)における芦部の論考がもとになっています。

「事実」とありますが「現実に社会で発生した具体的事件」のみを意味しません。

「一般的な」というのは当該事案において一回限りで発生した事象=司法事実ではなく、社会がそのような現実になっているという抽象化された状態を指します。

この説明だけだと何を言ってるのかわからないと思いますのでより具体的に言います。

立法事実とは【法の目的と手段と結果の因果関係の想定】です。

誰でもアクセスできるモノとしては薬事法違憲判決の判示を見れば分かります。

より詳しくは以下でまとめています。

ヘイトスピーチ解消法の立法事実に関する西田昌司・矢倉克夫の答弁

第190回国会 参議院 法務委員会 第8号 平成28年4月19日

○西田昌司君 在留資格無関係というのは、つまり、私が言っているのは、適法に居住している人は当然ここで、日本の国に居住する権利があるわけでございます。しかし、適法でない方は、これは国の法律によって本国に送致されてしまうという形になるわけであります。ですから、法律がしっかり機能していますと、本来不法な方はおられない形になってくるわけなんですね。
 今現在またやっているのも、現実問題起こっている立法事実としては、適法に住んでおられる在日コリアンの方々がそういうヘイトスピーチの被害を受けておられると。ですから、そういう立法事実に鑑みこの法律を作っているわけでありまして、もとより、だからといって、先ほどから言っていますように、適法に住んでいない方々にヘイトスピーチをやってもいいとか、そういうことを言っているわけではもちろんございません。

中略

○西田昌司君 我々側としましては、今目の前で行われてきたこの在日コリアンの方々に対するヘイトスピーチをいかにして食い止めるかという、そこを立法事実としてこの法律を作ってきたわけでございます。

第190回国会 衆議院 法務委員会 第19号 平成28年5月20日

○矢倉参議院議員 本邦外出身者にまず規定をしている意味なんですけれども、これは理念法であります。理念法であるということはやはり、国民全体の意思としての発言や理念というふうなものをしっかりと表現をする、であるからこそ、どういう共通の事実に基づいて、国民全体が、このような言動は許されないというところの事実が、立法事実としてはやはり大事であるというところはあると思います。
 そう考えると、立法事実として今まで考えられていたのが在日朝鮮や韓国の方々、京都朝鮮第一初級学校事件のような、そのような立法事実から考えて、本邦外出身者という言葉を、限定を入れさせていただいたところであります。
 ただ、この趣旨は、それ以外の者に対するこのような不当な差別的言動というのが許されるという趣旨ではないということは、理念法のたてつけからもやはり明らかであるというふうに思っております。

第192回国会 参議院 法務委員会 第11号 平成28年12月1日

○西田昌司君 省略

そこで、ただ、一つは立法事実の問題で、ヘイト法の場合には明らかに、今も残念ながらそういうことをする人がいるんですけれども、白昼堂々とそういうことをやっている人間がいるんですけれども、片っ方のこの同和差別については、立法事実としてどういうことを考えておられるのかということなんですね。同和差別が今なおあるということなんですけれども、その辺のところ、簡潔にお答えいただきたいと思います。

第190回国会 参議院 法務委員会 第13号 平成28年5月12日

○西田昌司君 この法案は、先ほどから説明してまいりましたように、いわゆる地域社会に適法に居住する本邦外出身者に対する不当な差別扇動でありまして、米軍の反対運動、基地反対運動とは、全く立法事実としてそういうことは想定しておりません。 

西田昌司議員、矢倉克夫議員の答弁からは、いわゆるヘイト解消法【本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律】の立法事実として、京都朝鮮学校事件によって在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチが行われていたことを指しているのが分かります。

しかし、これはたった1回しか発生していない具体的な社会的事件です。

もちろん、この事件を念頭にしてヘイト解消立法をすること自体を責めることはできませんが、具体的な事件それ自体は立法事実ではなく、単なる立法の「動機」や「きっかけ」に過ぎません。
※ただし、「立法事実を補助的に基礎づける」「立法事実の一部を構成する」と言うことは可能

それらと本来の「立法事実」がごちゃ混ぜに理解されているような気がします。

どうも、「立法事実」という単語が現れた国会議事録を見ていると、勘違いしている(理解が不十分)国会議員が多いと思われます。 

少なくとも「具体的な事件が無ければ立法事実は無いと言える」は明確に誤りですし、「具体的な事件があるのだから立法事実はある」とは必ずしも言えないのです。

立法事実を社会で現実に発生した具体的事件と捉える不都合

立法事実を社会で現実に発生した具体的事件そのものと捉えると不都合が生じます。
※具体的事件も「立法事実を補助的に基礎づける・一部を構成する」と言うことは可能(参考)だし、それらの事件が多数積み重なって抽象化された総体としては立法事実そのものと言える

  1. 既成事実をでっち上げてしまえば規制できてしまう
  2. 具体的事件が起こってからしか立法できないので後手後手になる

京都朝鮮学校ヘイト事件(「襲撃」事件とも言われるが、敷地内に入ったわけではない)は在特会という一団体が引き起こした1回限りの事件ですが、たとえばそういう行為をするように団体を金で動かすことができれば「立法事実」ができてしまうことになります。

また、具体的な事件が起こって認知されてからでないと「立法事実が無い」ということになり、後手後手の対応になります。

たとえば、「外患誘致罪」を構成する社会的な事件は発生していませんが、現行刑法にしっかりと規定されています。これが立法事実が無いとされることは将来的にも無いでしょう。

ヘイトスピーチ解消法の立法事実とは

では、ヘイトスピーチ解消法の立法事実とは何かと言えば、立案者が念頭に置いた目的と手段と結果の因果関係の想定をまずは考えることになります。

ヘイト解消法の規定を見れば、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消」が目的です。

そのための手段として「本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されないという理念を定め、及び国等の責務を明らかにし、基本的施策を定め」ています。

そして、それによって不当な差別的言動が解消方向に向かう(因果関係が想定される)ということはおそらく裁判所も認定するでしょう。

日本人(より正確には日本属性者)に対するヘイトは許されないというのはヘイト解消法の立法事実には無い」などと言われるのはこうした理由からです。

しかし、立法前の段階において「日本属性者に対するヘイトは立法事実が無い」などと言うことはできないハズです。

また、ヘイト解消法が成立した後であっても、日本属性者に対するヘイトを解消する立法をすることは妨げられていません。

さらに、全国の自治体の条例において現行のヘイト解消法をベースに条例制定をするべき必然性はありません。傍証として、大阪市のヘイト規制条例はヘイト解消法よりも先に可決・成立しているのです

そのため、大阪市のヘイトスピーチの定義は、国のヘイト解消法の本邦外出身者に対する不当な差別的言動とは異なる文言になっており、日本人へのヘイトスピーチも対象になっているとQ&Aで明記されています。
※なお、日本人といっても「本邦外出身者属性を有する日本人」のみが対象であって(例えば にしゃんた氏や大坂なおみ選手など)、純日本人が対象になっていないのではないかという懸念は理屈上は残っている。

西田昌司、矢倉克夫は「立法事実」の意味を理解していないのでは

「立法事実」を検索語にして国会議事録を漁ると平成10年以降に幾何級数的に増加しているのが分かります。

その中でも「具体的な事件」そのものを指して立法事実と呼ぶような「立法事実」の理解が危うい者が散見されます。

議事録を見ていると、いわゆるヘイト解消法の立案者である西田昌司、矢倉克夫は、「立法事実」の意味を理解していないままに日本属性者に対するヘイトを捕捉しないアンバランスな法律を作ったとしか思えません。
※参議院法案提出者としては愛知治郎も含む。また、議論の沿革としては前国会に野党法案として実質審議した法案があり、魚住裕一郎、有田芳生、三宅伸吾、仁比聡平らも広く立法に関わった者に含まれている。この中で立法事実について正しく理解していると思われるのは共産党の仁比聡平くらいしか居ない。

以上

レバノンに逃亡したカルロスゴーンを保釈した裁判所と警察・出入国管理庁の責任

保釈中のカルロスゴーン、レバノンに逃亡

カルロスゴーンを保釈した裁判所と警察・出入国管理庁の責任について思うところを書いていきます。

被告人カルロスゴーンがレバノンに逃亡

Le Figaro - Actualité en direct et informations en continu

ゴーン被告が声明「私はレバノンにいる」 | NHKニュース

レバノンメディアがカルロスゴーン氏がレバノンに居ることを報じ、フランスフィガロ紙が報じていました。

法務省、出入国管理局、検察、弁護士も把握せず

日産 ゴーン元会長レバノン到着か 海外渡航禁止の保釈条件 | NHKニュース

「カルロスゴーン」の名前での出国が確認できないということから、別名での出国か、まったく異なる不正な出国手段を用いたということになります。

入国管理局が把握していないということは、不法出国ということであり、保釈条件に違反するとともに旅券法違反ということになります。

弁護団としてはせっかく保釈を取ったのにどうしたものかと考えていると思います。

ゴーン被告人を保釈をした裁判所と逃亡のおそれ

ゴーン被告人を保釈をした裁判所に責任があるのかどうかはわかりませんが(法的な責任は無い)、逃亡のおそれがあることは、ある程度仕方がないというのはその通りだと思います。

裁判官 島田一による裁量保釈

保釈許可決定 被告人 カルロスゴーン ビシャラ

刑事訴訟法上、保釈不許可の理由に「逃亡のおそれ」はありません。

刑訴法89条の権利保釈の条文からは条文上は「保釈が原則」なのです。
(実態は逆転しているが。だからこそ「人質司法」などと揶揄されている)。

刑訴法90条の裁量保釈には「逃亡のおそれ」等を「考慮」して「保釈許可ができる」とあるだけで、不許可の「理由」として「逃亡のおそれ」があるわけではないというのは、法律上の説明としては山口弁護士の言ってることで間違いないです。

ただ、現実には保釈請求時に裁量保釈を念頭に逃亡のおそれが無いことを主張することもあり、裁判所内部でその点は検討されているはずです。

それにしても、上掲の保釈許可決定書に「逃亡のおそれが低いことを記述していない」というのは、気になるところです(実務上そういうものなのでしょうか?)

保釈金15億円は没取

逃亡は保釈取り消し事由なので、今後は保釈が取り消され、保釈金が没取(没収ではない)され、おそらく全額の15億円が国庫に納められるでしょう。

ゴーン氏にとっては15億円すら安いものだったのかもしれません。

保釈者を視察する警察の責任

犯罪捜査規範

第十七章 保釈者等の視察
(保釈者等の視察)
第二百五十三条 警察署長は、検察官から、その管轄区域内に居住する者について、保釈し、又は勾留の執行を停止した者の通知を受けたときは、その者に係る事件の捜査に従事した警察官その他適当な警察官を指定して、その行動を視察させなければならない
2 前項に規定する視察は、一月につき、少なくとも一回行うものとする。

警察官はカルロスゴーンを「視察」 していたハズです。

犯罪捜査規範上は「少なくとも月に1回」ですが、本件においてはどれくらいの頻度行っていたのでしょうか?

検察・警察は秋元司議員のチャイナ企業疑獄事件の捜査に力を入れているので、そちらに人員を割いていた中、年の瀬というタイミングを狙われたのかもしれません。

地方空港の国際線・国内線の扱いが曖昧でプライベートジェットの出国を許したという指摘

ホリエモンが指摘していますが、地方空港の国際線・国内線の扱いが曖昧であるため、入管がチェックする機会も無くプライベートジェットでの出国を許したのではないかと推測がされています。

こういう事が可能ということは、日本がスパイ天国であることの証左でしょう。

ただ、ここまでの可能性を考慮して裁判所が保釈可否の判断をするべきかと言うと、何か違う気がします。警察の視察、出入国回りのチェック体制でどうにかするしか無いのではないでしょうか?

その上で、今後はカルロスゴーンのような人物が保釈請求した際にはコネクションを駆使して逃亡を図るおそれが高いという判断をするべきでしょうが、それを普通の被告人に対してまでも一般化するのは避けるべきだと思います。

レバノンとは容疑者引渡条約(犯罪人引渡条約)を結んでいない

日本とレバノンは容疑者引渡条約(犯罪人引渡条約を結んでいないので、日本は任意にレバノン政府に対して要求することしかできないということになります。

ゴーン氏はフランス・ブラジル・レバノン国籍を持っていると言われていたので、レバノンに逃亡する可能性はあると認識されていたはずですが、フランスの経済紙レゼコーでは「ゴーン元会長はトルコを経由して30日夜にレバノンの首都に到着した」と書いているように、無関係の国を経由すれば怪しまれないのでしょう。

また、MTVによれば「楽器を移すための箱に入れて日本から出発した」とあります。

X線検査は強制処分なので令状が必要であるという判例があるので、どうしたものやら。

日産カルロスゴーンの犯罪容疑事件は日本とレバノンの法務当局同士のやり取りに左右されることとなりました。

以上

韓国憲法裁判所の日韓合意判決文(決定要旨)法的拘束力なしは「約束を守らない」ではない

韓国憲法裁判所の日韓合意・判決文・決定文・決定要旨・判決要旨

韓国憲法裁判所で日韓合意に関する決定文が出て、法的拘束力が無いとしたことについて「やっぱり韓国は約束を守らない」「韓国司法もおかしい」「日本に不利」という声がありますが、これは違うと思います。

韓国憲法裁が日韓合意の違憲審査を却下

[速報]「韓日慰安婦合意、違憲性判断の対象でない」 韓国憲法裁が却下 | 聯合ニュース

【ソウル聯合ニュース】韓国憲法裁判所は27日、慰安婦被害者らが旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の韓日政府間合意の違憲性判断を求めた訴えに対し、「違憲性判断の対象ではない」とし、却下した

韓国憲法裁が日韓合意の違憲審査を「却下」したことが報じられて騒がれてますが、どうも、この意味があまりよく理解されてないようです。

次項は「憲法裁判所」と「却下」だけでピンと来る人にとっては不要な説明です。

韓国憲法裁判所と訴訟要件

韓国では日本の最高裁にあたる大法院とは別個に憲法裁判所があり、ドイツの司法制度と類似していますが、実は韓国も抽象的違憲審査制がありません

そのため、具体的な権利利益の被害者であると主張する者が、その手続内で法規の違憲性を主張しなければなりません。

韓国憲法裁判所の組織と権限 國分 典子では憲法裁判所の権限が書かれています。

今回は韓国の憲法裁判所法68条の「憲法訴願」の「1項訴願」の手続であるため、『公権力の行使または不行使により、憲法上保障された基本権を侵害された者』でなければ訴訟要件を欠くことになっています。

この訴訟要件を欠くといわゆる「門前払い」となり「訴え却下」となります。

訴訟要件を具備する場合には本案(中身)審査となり請求棄却or請求認容となります。

今回はもちろん訴え却下でした。

日韓合意の法的拘束力についての判決文(判決要旨)

헌법재판소 전자헌법재판센터:韓国憲法裁判所HPに判決文(決定要旨)があります。
※法律用語として正しくは「判決」ではなく「決定」ですが判決と呼ぶ人が多いので一応記述している。

そこでは条約とそうではない合意とを明確に区別し、日韓合意は文書を交わしていない口頭形式(外相の記者会見)だったことや、合意の内容では韓日両国がいかなる権利と義務を負うかが不明であることなどを理由として、法的拘束力を認めませんでした。
なお、日本も韓国も条約は国内法と同一の効力を有するものとなっている。

ざっくりとした説明は以下でまとまっています。

4年前の「慰安婦合意」、法的効力ない | Joongang Ilbo | 中央日報 

「韓国は約束を守らない」ではない

韓国憲法裁判所が「日韓合意には法的拘束力はない」と判示したことについて、「やっぱり韓国は約束を守らない」と評している人が居ます。

また、韓国側にシンパシーを持つ者で「韓国憲法裁判所は日本に不利な判断をした」と評している人が居ます。

これらは両方とも違うと思います。

このような外交上の合意まで司法判断が及ぶとなると、外交上の裁量の余地がかなり狭くなるということになることが指摘されています。

国と国同士(政府は行政権)が合意した内容について、なんでもかんでも片一方の国の司法権が勝手に有効・無効などと判断してしまうと、ろくに約束もできないことになるのはおかしいので、正当な指摘だと思います。

法的拘束力のない「政治的合意」

条約法に関するウィーン条約(条約法条約)第2条1項には、『この条約の適用上、 (a)「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意(単一の文書によるものであるか関連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名称のいかんを問わない。)をいう。』 とあるように、日韓合意が条約ではないというのは明らかなので、それでも法的拘束力があるのかが争点となっていました。

「法的拘束力があると主張してるのは元慰安婦側」 ということです。

法的拘束力のない「政治的合意」だというのは日韓両政府の共通認識です。

ですから、日本政府は法的拘束力の有無が韓国の裁判所で認定されようともされなくともどうでもよいのです。

いずれにしても日韓両政府が約束をしたということ、約束は守るべきであるということは変わりないのですから。

日本政府も憲法裁の判決は「当然」

韓国憲法裁、「日韓合意は違憲」却下…元慰安婦ら訴え : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン

木宮正史・東大教授(朝鮮半島地域研究)は「外交的に決着した『日韓合意』が憲法裁の審理対象になれば、司法が外交に介入することになりかねず、妥当な判断だ。『元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)』問題がある中、日韓関係にさらに悪影響を及ぼす事態は避けられた」と指摘している。

   ◇

日本政府は、韓国憲法裁の請求却下について、「当然の結論だ」と受け止めている。

日本政府も憲法裁の判決は「当然」と受け止めていることが報道されています。 

安倍政権を支持する者の多くが「韓国憲法裁判所が法的拘束力が無いと判示したのは、約束を守る気が無いからだ」と言っているのが見受けられますが、こうした日本政府の態度と矛盾することになっているのですが、気づいているのでしょうか?
行政府(ムンジェイン政権)の方針はともかく、憲法裁判所の判決からはそのようには言えない。

日韓合意の法的拘束力を問うた質問主意書に対する日本政府の答弁

衆議院議員井坂信彦君提出日韓合意の法的拘束力に関する質問に対する答弁書 

一及び二について
 平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意(以下「当該合意」という。)については、同会談で岸田外務大臣が尹炳世韓国外交部長官と協議を行い、韓国政府としての当該合意に対する確約を直接取り付けたものであり、また、同長官は、同会談後の共同記者発表の場で、当該合意を日韓両国民の前で、国際社会に対して明言した。さらに、当該合意は、同日の日韓首脳電話会談でも確認された。
 したがって、政府としては、韓国政府の明確かつ十分な当該合意に対する確約を得たものと受け止めている。
三について
 政府としては、日韓両政府がそれぞれ当該合意を着実に実施することが重要と考えており、引き続き、韓国政府と緊密に連携していく。

日韓合意の法的拘束力を問うた質問主意書に対する日本政府の答弁でも、日本政府は「法的拘束力がある」とは言っていません。

これは、法的拘束力が無いのは当然ですが、「無い」と言ってしまうと「約束を守らなくても良い」などとくだらない反対解釈をする輩が出てくるおそれがあるので、法的拘束力について触れないようにしたのだろうと推測されます。

「国家間合意を遵守すべき」なのは変わらない

国と国との「約束」にたとえ法的拘束力が無くとも、「約束は守るべき」という原理原則は変わりません。

韓国の憲法裁判所は「法的拘束力が無いから勝手に破棄して良い」「日韓合意は実質的に無効」などとは一言も言っていません。それは日韓のメディアが勝手な評価をしたり、日韓の対立を煽ってアクセスを稼ごうとしているだけに過ぎません。
韓国側が「実質的に無効化された」と言って合意の履行を逃れようとしているという態度自体が国際社会からは軽蔑の目で見られることになるだけ

日韓のメディアがいい加減なことを言って混乱を招いているだけだということは実務者レベルでは共通認識で、たとえば輸出管理・ホワイト国除外の問題でもCISTECがメディアの報道に呆れて対抗するためにパワーポイントスライドを作ってまで苦言を呈していました。

以上 

「このツイートは表示できません」ツイートが表示されない原因と対処方法

ツイッターの不具合

「このツイートは表示できません」となっている原因はツイッター全体の不具合かもしれません。

※2020年10月16日の障害に関連して検索されてる方が多いので以下で整理

【2020年10月16日】Twitter障害について:「通知はまだ届いていません」

「このツイートは表示できません。」という表示

「このツイートは表示できません。」という表示は突然出現します。

この表示になる場合として

  1. 当該ツイートが通報されている
  2. ツイッター側から不適切と判定されている
  3. ユーザの設定によって表示されないようになっている

これらの可能性が考えられます。

シャドウバンされていないか調べる

「最新のツイートしか見えず、それ以前のツイートは存在しないことになっている」ような場合は、「シャドウバン」の一形態なので、そのアカウントがピンポイントで対象になっているということです。

Twitter Shadowban Testで自分のアカウントのチェックができます。

先にこちらを調べると絞り込みができると思います。

旧UIの時のまとめですが以下で書いています。

ツイート自体はTLからも閲覧可能、リプ欄から元ツイートが見えない

このツイートは表示できません。

このように、ツイート自体は当該アカウントのトップページ等から閲覧可能であるが、リプ欄から元ツイート側に辿ろうとすると閲覧できないようになっているという状況です。

この場合はユーザ設定ではなく、別の可能性と考えるべきだと思います。

ユーザー設定のプライバシーとセキュリティ⇒セキュリティの項目で

  • センシティブな内容を含む可能性のある画像/動画を表示する⇒チェック
  • ツイートする画像/動画をセンシティブな内容を含むものとして設定する⇒チェックなし

このようになっているにもかかわらず非表示になっている場合には、ユーザ側の設定の問題ではないということになります。

ツイッター全体の不具合が原因かもしれない

結局、ツイッター全体が何らかの不具合が起きていて、その影響で無差別にそうなっているだけである、という可能性があります。

ツイッター全体の不具合であるかどうかを判別する方法としては、ツイッター検索窓に「このツイートは表示できません」や「ツイート 表示されない」などで検索をかけて、近いうちに多数のユーザが同様の悩みを訴えているかどうかを調べることだと思います。

今回(2019年12月27~28日)も、多くのユーザにおいて表示されないことを呟く人がいらっしゃったので、そういうことだと思います。

リンクを貼っているツイートが対象かもしれない

ツイートが表示されない原因と対処方法

今回の事象に遭遇したユーザを調べたら【そのほとんどが元となるツイートにリンクを貼っている】ということに気づきました。

あるユーザのリンクを貼ったツイートが非表示になったら、それに紐づいているそのユーザ自身のリプライも全て非表示になるということかもしれません。

まとめ:対処法は「待つ」しかないかもしれない

実は27日の夜に私がシェアしたツイートのリンク先に遷移しようとするとツイッターの警告画面になるということがありました(それは一時的ですぐに警告画面はなくなった)。

おそらくこの頃のツイッターはそういう状況なんだろうと思います。

今後も同様の事象があれば、単なるツイッターサービス全体の不具合であるということで、「待つ」ということが最良の対処法なんだろうと思います。果報は寝て待て。

以上

保守速報への大阪市ヘイト条例適用は違憲違法の可能性?

保守速報の記事やコメントが大阪市ヘイト規制条例に言うヘイトスピーチに当たるとして、管理人の氏名が公表されました。

保守速報への大阪市ヘイト条例適用は違法の可能性があります。

大阪市が条例上のヘイトスピーチと認定した保守速報の文言

保守速報のヘイトスピーチ

大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例に基づくヘイトスピーチの公表(案件番号「平 28-6」)

まぁ酷い文言がありますね。

これを見ながら、大阪市のヘイト規制条例に言う「ヘイトスピーチ」の定義はどうなっているのか確認しましょう。

大阪市ヘイト規制条例のヘイトスピーチの定義

大阪市ヘイト規制条例のヘイトスピーチの定義は、いわゆるヘイト解消法の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは異なります。

「特定人等」が対象

条例2条1項アでは、「特定人等」として「人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人」と、「当該個人により構成される集団」が規定されています。

要するに、特定人と特定人が所属している集団に対するヘイトスピーチが禁止されています。

でも、ちょっと考えると、この規定は変です。

「当該個人により構成される集団」とは?

条例には「人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は当該個人により構成される集団」と書いてあります。

人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は集団」ではありません。

集団の場合には、「当該個人により構成される」集団でなければなりません。

通常の日本語の理解ではたとえばAさんという特定の人種民族属性を有する人が居て、そのAさんが構成員である、とある集団が「当該個人により構成される集団」であると考えることになります。

『いやいや、そのような属性を持つ人間、という意味で「個人」なんだから、Aさんなどという個別の人格を有する登場人物がなくても、〇〇人という意味の表現であれば良いんだよ』

このような指摘がありそうですが、では、そうすると「個人」って何でしょうか?

およそ「〇〇人」という表現をする場合、既にある国籍or民族集団であるという前提が含まれています。そうである以上、「個人」が「〇〇人」を意味するとは考えられません。

したがって、「〇〇人という意味の表現であれば当該個人に該当する」という解釈は成り立たないということになります。

公表された保守速報の記事の文言では「〇〇人」など集団を指す文言はありますが、特定人格を有する個人名が出てきていませんから、ヘイトスピーチには当たらないのでしょうか?

保守速報のページの文言はヘイトスピーチに該当しない?

ところが大阪市が紹介した保守速報の頁にある文言はあれが全てではないでしょう。

どうやらある事件のとある人物(在日韓国・朝鮮人の人でしょう)の言動がベースとなっていて、それに対する言動と思われるからです。

公表文にある文章が全てではなく、引用元や保守速報のコメント欄の前後の文脈で必ず特定の人物の名前が存在しており、それと関連して行われた投稿であると考えられます。

そうすると上記で指摘したような話にはならず、公表された文章は「朝鮮人」等の集団の表現であったとしても、それはあくまでも個別の人格を有する人が属するという前提が文脈から読み取れるので、ヘイトスピーチに該当しないと言うことはできないのではないでしょうか?

条例のインターネット規制の条項が憲法94条違反?

前々から指摘してきていますが、大阪市のインターネット表現に対する規制は地方自治法上の「地域における事務」ではなく、憲法94条の条例制定権の逸脱ではないかと思います。

インターネットは大阪市の市域外で行えるものであり、自治体の領域外の話は「国と自治体の役割分担」を越えたものであると考えられるからです。

この点の先例は無いので未知数ですが、保守速報が争うとすればこの点しかないと思います。

保守速報への大阪市ヘイト条例適用は違憲・違法の可能性?

ヘイトスピーチに該当するとされた保守速報の削除されたページを知らないので判断できませんが、それを知っている人なら、大阪市によるヘイトスピーチの認定が正しいのか間違っているのか、明らかに判断できるはずです。

保守速報への大阪市ヘイト条例適用が違法である可能性は、憲法94条違反かどうかによると思いますが、いろいろとハードルが高そうです。

以上