事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ヒロアカのキャラ「志賀丸太」が731部隊の「マルタ」連想だからというクレームに屈して差し替え

集英社ヒロアカ作者が名前差し替え

「ヒロアカ」のキャラ「志賀丸太」が731部隊の「マルタ」を連想させるものであるというクレームが中国・韓国側からあり、集英社と原作者がこれに屈して差し替えを決定したことを表明しました。

※追記:未だに謝罪を要求するアカウントが政治工作をしています。 

集英社と原作者「僕のヒーローアカデミア」のキャラクターの名前の差し替えを決定

これは最悪の対応だと思います。

特に少年ジャンプは「史実」と言っていますが、まったく「史実」ではありません。

「ヒロアカの志賀丸太という名前のキャラが731部隊のマルタを連想させる」というクレーム

韓国系や中国系のアカウントの言っていることを見ると、どうやら人体実験をする医者の名前が丸太なのは、731部隊の人体実験の被験者である「マルタ」を連想させるという理解のようです。

森村誠一の捏造本「悪魔の飽食」が認識が広まった原因

731部隊による戦争犯罪となる人体実験という言説は、森村誠一の捏造本「悪魔の飽食」の内容が言説が広まった大本の原因です。

人体実験の被験者を「マルタ」と呼んでいたという記述はここが有名です。

この本内容は都合よくロシア・チャイナ・韓国側の工作活動に利用されています。

※追記:当初エントリでは森村誠一の悪魔の飽食でしか見られない表現と書いてましたが、それ以前の作品でも731部隊関係かは不明だが被験者を「丸太」と表現していた作品が見つかりました。

※ハバロフスク裁判の公判記録で、英語版では"logs"、不二出版による書籍では「丸太」と記述されているものが見つかりました。初出はハバロフスク裁判の公判記録と言って良いでしょう。

しかし、ハバロフスク裁判そのものが日本人捕虜を思想洗脳した後に裁判にかけたものであると見られています。これを「史実」と言って良いのでしょうか?

731部隊による戦争犯罪となる人体実験という歴史捏造

よくネットで「731部隊による戦争犯罪となる人体実験」として挙げられる画像を指摘する人がいますが、典型的なキャプションだけ付け替えたフェイクであり、「済南事件」における日本人被害者の検視解剖を場面の写真がほどんどです。

韓国系のお気持ちヤクザ

韓国は普段から政府と連携しているネット工作集団"VANK"がサイバー攻撃を仕掛けたり日本国・日本人を貶める工作活動を海外で展開し、スポーツの場面での「旭日旗問題」を捏造しています。

今回がVANKに関係あるのかわかりませんが、韓国系の工作やってる連中は、VANKの行為で勢いづいて、日本に対しては強く出れば屈すると思い込んでる者が多いと思われます。

今回も「謝罪になっていない」などお気持ちヤクザの態度です。

少年ジャンプに努力・友情・勝利はあるのか

このようなクレームを許していたら、今後、些細なことについてまで同じ手段に出てくるに決まっています。

かれらの目的は「相手を屈従させること」ですので、それに乗っかってはいけません。

少年ジャンプには表現の自由を尊重する・真実を見極めようとする努力はあるんでしょうか?日本国に対する愛、日本国民に対する友情はあるのでしょうか?外国による工作に対して勝利しようとする姿勢はあるのでしょうか?

以上

不顕性感染=無症状病原体保有者の意味と感染力と新型コロナウイルス

不顕性感染=無症状病原体保有者からの感染力

不顕性感染=無症状病原体保有者の意味と

その状態の人から他の人への感染力はあるのか?について

不顕性感染=無症状病原体保有者の意味

不顕性感染とは、細菌やウイルスなど病原体の感染を受けたにもかかわらず,感染症状を発症していない状態です。不顕性感染 日本救急医学会・医学用語解説集魚拓

無症状病原体保有者とは「感染症の病原体を保有している者であって当該感染症の症状を呈していないもの」です。

両者は意味としては同じです。報道などでは「不顕性患者」「無症状感染者」と呼ばれることもあります。

不顕性感染は医学用語であり、無症状病原体保有者は感染症法6条11項に規定されている法律用語です。

医学判断と裁判所による法律判断は異なる結果になる場合があることに注意

「症状」はその人の主観的な感覚、兆候は客観的

「症状」とは頭痛や疼痛などその人でなければ感じることのできない主観的感覚です。

対して「兆候」は医者等が客観的に判別可能なある状態です。

ですから、「不顕性」「無症状」であったとしても、兆候があるということはあり得ます。ウイルス感染の場合にそのようなことがあるのかはわかりませんが。

不顕性感染=無症状感染の状態になることは通常の話

新型肺炎コロナウイルスの話で「不顕性感染」=「無症状感染」という言葉が出てくることがあります。

しかし、不顕性感染者=無症状感染者は新型コロナに特徴的ではなく、およそ世の中の菌やウイルスに感染した多くの人は不顕性感染の状態になるということは冒頭の日本救急医学会の画像の文言からも分かると思います。

問題なのは、不顕性感染者から他人に感染力を有するのか?ということです。

なぜ不顕性患者から他人への感染力が問題なのか?

感染症法では「患者」「疑似症患者」「無症状病原体保有者」を明確に分けています。

それによって適用される条文も異なり、強制措置がとれるか否かが変わってきます。

さらには入管法に基づく「上陸の拒否」の要件充足性にも影響してくると考えられます。入管法は明示的には症状が出ている者が対象で、不顕性患者は対象でない可能性があるからです。

中国人は現地の医療を信用していない者も多く、現地で医療費が無料だとしても、新型コロナだと分かった不顕性感染者の中には日本に渡航して治療を受けようとする者が出てくるおそれがあります。そもそも人口が多い国ですから考慮しなければなりません。

無症状病原体保有者からの感染力

第187回国会 衆議院 厚生労働委員会 第7号 平成26年11月13日

○新村政府参考人 私ども、専門家の御意見もお聞きして理解している範囲では、感染して、そしてその症状が出るまでは、人に感染することはない。
 無症状病原体保有者とおっしゃいます点に関しましては、恐らく、症状が出る前に人に感染することがあるのではないかという観点の御質問ではないかと思いますが、これまでの知見では、症状が出てから人に感染し得るというふうに理解しております。
 一方で、無症状病原体保有者というのは、症状が生じて、そして、治療等によって回復してきて、症状がなくなった場合でも、まだそのウイルスが体内にあるということを示していると聞いております。

無症状病原体保有者からの感染力という点で言えば、厚生労働省の健康局長からは「症状が出るまでは人に感染することはない」という認識が示されたことがあります。

今の政府がこのような認識なのかは不明ですが、感染症法の当該規定の立法時には、無症状病原体保有者からは感染力が無いという前提だった可能性があります。

不顕性感染者からの感染力

不顕性感染者から感染するのか否か、その力についてはウイルス毎に異なるようです。

ノロウイルスの不顕性感染者からの感染拡大

東京都感染症情報センター » ノロウイルスによる集団胃腸炎の発生・拡大への不顕性感染者の関与

ヒトからヒトへの伝播と考えられた施設内集団事例においても、非発症であった施設利用者および施設職員に不顕性感染者がみられる場合があり、これらの非発症者群と発症者群の糞便中に排出されるウイルス遺伝子量にも有意な差は認められなかった。

 これらの結果から、NVに汚染された食品の喫食や、介護行為や汚染施設の清掃などでおう吐物や糞便に接した時にNVに暴露されることにより、ある程度の割合で不顕性感染が成立するものと推定された。発症者と同程度のウイルス量を排泄している非発症者の存在は、調理従事者であれば新たな集団発生を起こす可能性があり, 介護などにあたる施設の職員であれば施設内流行の拡大に関与する可能性が考えられる。

感染力が強いと言われているノロウイルスの場合には、不顕性感染者からの感染拡大を起こす可能性が考えられるとする考察がなされています。

インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる頻度 

インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる頻度|Web医事新報|日本医事新報社

不顕性感染者がウイルスの高排出者であり,乾燥した環境下で,免疫力の低い感受性者が家族内のように比較的長時間,近距離で接触するような,特別な条件を備えた場合には感染が成立する可能性は否定できないが,現実的には感染が成立する場合は稀であると推測される。

インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる場合は極まれな状況が揃った場合でないとあり得ないという研究結果があります。

新型肺炎コロナウイルスの不顕性患者から感染するかは不明

新型コロナウイルス どれぐらい警戒したらいいの? 感染症のスペシャリストに聞きました BuzzfeedJapan 岩永直子

【岡部信彦(おかべ・のぶひこ)】川崎市健康安全研究所所長

潜伏期間中に感染させるというエビデンスはまだ出ていないです。またその時の感染力の強さについても不明です。それがないうちに、メディア言葉で「歩く感染源」だとか、不安を煽る言葉を使うのはやめてほしいですね。

経験則ですが、呼吸器感染症は、症状がある時に感染力が強くなります。SARSの経験でも、潜伏期間と非常に軽い期間はほとんどうつしていないことがわかっています。いずれも肺炎になってからうつし始める。だから重症者の早期発見が鍵を握るんです。

この法則が今回のコロナウイルスに当てはまるかはまだわかりません。でもこういう初期のわからない時期は経験則の応用が必要かと思います。

How Bad Will the Coronavirus Outbreak Get? Here Are 6 Key Factors - The New York Times By Knvul Sheikh, Derek Watkins, Jin Wu and Mika Gröndahl

But it is still not clear whether a person can spread the virus before symptoms develop, or whether the severity of the illness affects how easily a patient can spread the virus.

ある人が発症する前にウイルスをばらまくことがあるのか、それとも症状が重症であればあるほど患者がウイルスをばらまくのかについては未だに明らかになっていません。

新型肺炎コロナウイルスの不顕性患者から他の人に感染するかは不明のようです。

中国からの情報では不顕性感染者からも感染したというものもありますが、そのケースが本当だとしても医学的にそうであると言えるほどの状況ではないということは確かでしょう。

極めて限定的な環境においてのみ感染力を持つに過ぎない可能性もあるのですから。

エビデンスレベル

ここで紹介した研究がこのエビデンスレベル概念図のどこに位置付けられるかはわかりませんが、少なくとも下から3番目より上だと思います。

不顕性感染者の感染力については、検査をして感染者と分からないと直接的な研究ができず、被験者数が少ないため、なかなか実施困難なんだろうと思います。

そのため、確定的なことが言われることがないのだと思います。

感染するとしても、感染力は発症した場合と同じなのか、それともかなり低い割合になるのか、ということも調べる必要があります。

腸チフスのメアリー

ウイルスではなく菌の話ですが、不顕性感染=無症状病原体保有者の話として「腸チフスのメアリー」にも触れます。

メアリー・マローンという無症状病原体保有者からの感染

アメリカニューヨークにおいてメアリー・マローンという住み込み料理人が居ました。

20世紀初頭にニューヨークで腸チフスが流行していた時期、メアリーが雇われた家庭のほとんどで、彼女を雇用した直後に腸チフスが発生していることが判明しました。

彼女は腸チフスの症状を呈したことがなく、自身が保菌者であるという自覚がないまま生活をしてましたが、疫病調査をしていた衛生士が彼女の糞便中から腸チフス菌を発見したために市が彼女を強制隔離しました。

その後も1年以上にわたって腸チフスを輩出し続けていたたが、彼女は検査結果を理解せず、ニューヨーク市を相手に訴訟。注目を浴びたために料理の仕事に就かないことなどを条件に隔離病棟から解放されました。

しかし、偽名を使って料理人になり、そこでも腸チフスのまん延が発生したため再び隔離され、生涯をそこで過ごしました。

元祖スーパースプレッダー

元祖スーパースプレッダーと呼ばれたメアリー・マローンですが、死後の病理解剖によって、胆嚢に腸チフス菌の感染巣があり、菌が胆汁に混ざって腸に排出され続けていたとされました。

特殊な経過を辿らないとこのような状態にはならないため腸チフスの特徴として考える必要はないですが、本人の意思にかかわらずこのようなケースがあるということは人種差別・偏見の問題として知られるべき逸話とされています。

まとめ:不顕性感染者からの感染力の研究が待たれる

  1. 不顕性感染者=無症状病原体保有者が居るというのは通常のこと
  2. 不顕性感染者から他の人に感染するかが問題
  3. ウイルスによっては不顕性感染者から他の人に感染すると言い得るものと、現実的ではないものがある
  4. 新型肺炎コロナウイルスの不顕性感染者から他人へ感染するかは不明
  5. 不顕性感染者からの感染があるとしてもその力がどうなのか研究が必要
  6. 検査をして感染していることが分からないと調べることができないのでデータが少ないと思われる

もともと、どのウイルスも微量ながら不顕性感染の力を有しており、程度問題に過ぎないのではないかと思うのです。

ただ、新型コロナウイルスは潜伏期間が長いため、感染力を持っているとすればその間に周囲にウイルスをばらまくことになるため、警戒されています。

以上

「新型コロナウイルスは治癒後に再感染だからHIVエイズが関係!」⇒普通のウイルスも反復感染します

新型コロナウイルスは再感染する

「新型コロナウイルスは再感染する!」

だから何ですか?

安易にHIVエイズウイルスと関連付けないように

新型コロナウイルスは治癒後に再感染することがある

 「新型コロナウイルスは再感染することがある」

この情報は時事通信の1月31日の記事でもたらされました。

しかし、1月31日の中国国家衛生健康委員会の記者会見の中身はこうです

2020年1月31日新闻发布会文字实录魚拓

香港经济导报记者 治愈的人有哪些注意事项?

治癒した人にはどのような予防措置がありますか?

詹庆元 这个问题问的非常好,我们从一般的病毒感染规律来看,病毒感染之后都会产生一定的抗体,对人体产生保护作用。但是有的抗体可能持续时间没有那么长,所以这些已经痊愈的患者还是有再感染的风险,因此治愈的患者应该加强防护。

詹庆元 この質問はよく聞かれます。一般的なウイルス感染のパターンからは、ウイルス感染後に特定の抗体を産生し、人体を保護します。ただし、一部の抗体はそれほど長く続かないものがあるかもしれないため、回復したこれらの患者は依然として再感染のリスクがあるため、治癒した患者は保護を強化する必要があります。

新型コロナウイルス対策に関する記者会見の場ではありましたが、当該発言はウイルス全般に関するものに過ぎませんでした。

新型肺炎コロナウイルスに特徴的な再感染の頻度や再感染時の劇症化がある、などというデータが示されたわけではないのです。

一般的なウイルス感染後に再感染・反復感染のリスクがある 

要するに新型コロナウイルスに限らず、およそ世の中に存在しているウイルスというものは再感染することもあり得ると言っているに過ぎません。

「感染すると抗体ができて大丈夫になる」というのは絶対的なものではないということです。

そもそも治癒後というのは「病後」ですから、体力が落ちていて免疫力が衰えているのですから再感染のリスクがあるのは当たり前です。

RSウイルス・インフルエンザウイルス・普通のコロナウイルスも治療後の再感染の可能性

RSウイルス・インフルエンザウイルス・普通のコロナウイルスも治療後の再感染の可能性が指摘されています。

コロナウイルスの治癒後の再感染・反復感染

吉田製薬 Hospital Infection Control編集指導:根岸感染制御学研究所 所長・東京医療保健大学 名誉学長 教授 小林寬伊 先生

Coronavirus(コロナウイルス)はコロナウイルス科に属するRNA型ウイルスの総称で、エンベロープを有します。ライノウイルスと共にいわゆる鼻かぜ、つまり軽度のかぜ症候群、上気道感染の主な原因ウイルスですが、幼児において下気道感染をもたらす場合もあります。年間を通じてみられますが、冬季に多く発生します。ヒトの糞便からも検出され、ヒトは再感染を繰り返します

MERSやSARSもコロナウイルスですが、それ以外に通常のコロナウイルスは我々が単に「風邪」と呼んでるものの中に4種類あるのです。

新型肺炎コロナウイルスは5つ目になるかもしれませんし、SARSよりは致死率が低いものの少し危険なウイルスとして扱われるかもしれません。

RSウイルスの再感染・反復感染

丸石製薬株式会社

麻疹やムンプスとは異なり、感染しても十分な免疫が成立しないため、再感染を繰り返しますが、再感染のたびに症状は軽くなっていき、風邪症状だけで治まるようになります。
 しかし、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスに曝露して感染することによって、症状が重くなる場合があり、高齢者においても急性のしばしば重症の下気道炎を起こす原因となることが知られています。

RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)|厚生労働省

RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。

RSウイルス感染症の感染経路は飛沫感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。一方、再感染以降では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれてない年長児や成人が存在しています。

「RSウイルス」と聞くとなんだか大層なもののように聞こえますが、要するに我々が生涯にわたって「風邪」と呼んでいるものの原因である可能性の一つです。

インフルエンザウイルスの再感染・反復感染

「インフルエンザの反復感染について」 廣津医院 院長 廣津 伸夫

以上のように、インフルエンザは、乳児から年を経るごとに罹患率は高くなり、4 歳から 10 歳までは比較的高い罹患率を保ちますが、その間、反復感染も年齢が増すごとに増加し、10 歳では罹患者の半数に反復感染がみられています。その後、11 歳、12 歳と罹患率は減少傾向を示します。このことは、インフルエンザの抗原性が変化することによって再感染は起きるものの、感染を繰り返すことにより徐々にインフルエンザに対する免疫を確保していくことを示し、インフルエンザの罹患は、ウイルスの抗原性と自己の免疫が影響しあって成立すると思われます。

インフルエンザの場合は「抗原性が変化することで再感染が起きる」という書きぶりになっています。 

その他の感染症

そのほか、マイコプラズマ感染症、手足口病、ヘルパンギーナなど、再感染すると明示されている病気はいくらでも見つかります。

参考:学校において予防すべき感染症の解説

まとめ:再感染するというだけでHIVエイズウイルスと関連付けないように

  1. 「新型コロナウイルスは治癒後も再感染する」という情報はウイルス全般について述べられたものに過ぎなかった
  2. 世の中のウイルスには再感染するものは多い
  3. そもそも治癒後は病後なので免疫力が落ちているから再感染リスクが高いのは当たり前

「再感染するということは免疫がやられているからだ」

⇒だから免疫を攻撃するウイルスなんだ

⇒HIVエイズウイルスが組み込まれているんだ

このような思考回路でHIVと関連付けてる人が散見されますが、こういうストーリーは作りやすいため、陰謀論に使われています。

つい先日もインド工科大学の論文予稿で「新型コロナウイルスにHIV類似のタンパク質があるのを発見した」というものがありましたが、ゴシップサイトに『HIVウイルスが人為的に挿入されていた』という話に変換されて拡散された挙句、論文著者が撤回を表明しました。

以上

【時事通信の印象操作】「新型肺炎コロナウイルスは治癒後も再感染リスク」は誤解招く

時事通信「新型コロナウイルスは再感染リスク」

時事通信の記事において「新型肺炎コロナウイルスは治癒後も再感染リスク」と報道されました。

しかし、これは悪質な印象操作です。

追記:関連記事

「新型肺炎コロナウイルスは治癒後も再感染リスク」は誤解招く

新型肺炎、治癒後も再感染リスク 中国専門家:時事ドットコム

【北京時事】中国国家衛生健康委員会が31日開いた記者会見で、中日友好医院の※慶元(※簷の竹カンムリなし)医師は新型コロナウイルスによる肺炎に関し「感染後にできる抗体には長期間持続しないものもある。一度感染し治癒した患者にも再感染のリスクがある」と述べ、警戒を呼び掛けた。

感染後にできる抗体には長期間持続しないものもある」 「再感染のリスクがある

これを聞いてどう思ったでしょうか?

国家衛生健康委員会の記者会見の原文を見てみると、まったく違う印象になります。

時事通信の印象操作だった:中国国家衛生健康委員会の記者会見

2020年1月31日新闻发布会文字实录魚拓

香港经济导报记者 治愈的人有哪些注意事项?

治癒した人にはどのような予防措置がありますか?

詹庆元 这个问题问的非常好,我们从一般的病毒感染规律来看,病毒感染之后都会产生一定的抗体,对人体产生保护作用。但是有的抗体可能持续时间没有那么长,所以这些已经痊愈的患者还是有再感染的风险,因此治愈的患者应该加强防护。

詹庆元 この質問はよく聞かれます。一般的なウイルス感染のパターンからは、ウイルス感染後に特定の抗体を産生し、人体を保護します。ただし、一部の抗体はそれほど長く続かないものがあるかもしれないため、回復したこれらの患者は依然として再感染のリスクがあるため、治癒した患者は保護を強化する必要があります。

どうでしょうか。

「感染後にできる抗体には長期間持続しないものもある。一度感染し治癒した患者にも再感染のリスクがある」という言葉は

「一般的なウイルス感染のパターン」

という文脈において発せられたものだったのです。

「新型コロナウイルス」=「新型冠状病毒」についてはその後に言及しています。

新型冠状病毒感染,我们从临床上发现,主要还是累及肺,对轻症的患者应该没有后遗症,但是对于重症患者,可能在一段时间内会遗留一定的肺的损害修复的变化,比如肺纤维化。就我从临床的经验来讲,肺的修复能力是非常强的,绝大部分的肺纤维化都是可以修复的。但是对极重的,非常非常重的极少数的患者,可能会在比较长的时间内留下一点肺纤维化,我们要加强后期的随访。

  • 新型コロナウイルスは主に肺が関係する
  • 軽度の患者には後遺症はないはず
  • 重症患者は、肺線維などの損傷があるが、肺の修復能力は非常に強いのでほとんど修復できる。
  • しかし、非常に重症で非常に少数の患者については後遺症が残る

概ねこのような内容です。

ということで、時事通信の記事内容は、一般的なウイルスの通常の性質について言及した内容を、あたかも新型コロナウイルスの特別な性質を述べたかのように見せかけている点で、現在の状況に鑑みると悪質な印象操作です。

再感染・反復感染は通常のウイルスでもあり得る

「再感染があり得る」と言っても、それは通常のウイルスでも同様です。

まず、常識的に考えて、感染症に罹患した後は体力が弱っていますから、免疫力が落ちます。ですから、「回復後」というのは病気になりやすい状態であるということが一般的に言えます。

そして、再感染・反復感染するウイルスというのは、何も新型コロナウイルスに限ったものではありません。

RSウイルス・インフルエンザ・コロナウイルスの再感染

Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 | かぜ症候群の原因ウイルス

Coronavirus(コロナウイルス)はコロナウイルス科に属するRNA型ウイルスの総称で、エンベロープを有します。ライノウイルスと共にいわゆる鼻かぜ、つまり軽度のかぜ症候群、上気道感染の主な原因ウイルスですが、幼児において下気道感染をもたらす場合もあります。年間を通じてみられますが、冬季に多く発生します。ヒトの糞便からも検出され、ヒトは再感染を繰り返します

RSウイルス 丸石製薬株式会社

インフルエンザの反復感染について 廣津医院 院長 廣津 伸夫

RSウイルス・インフルエンザ・コロナウイルス、それぞれにおいて、再感染することは普通にあり得ると書かれています。

時事通信の報道で騒ぎ立てる必要なんて何もないのです。

以上

『黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法・脱法行為の疑い』への疑問

黒川検事長の定年後の勤務延長

東京高等検察庁より

安倍内閣が黒川検事長を6か月間「勤務延長」することを閣議決定した件。

これを違法ではないかとする言説に疑問があるので指摘します。
※このエントリは当初より大幅修正しています。

国家公務員法と検察庁法の定年と退職日の規定

検察官は一般職の国家公務員なので、基本的に国家公務員法の規定が適用されます。

国家公務員法 

(任命権者)
第五十五条 任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。

第二目 定年
(定年による退職)
第八十一条の二 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する
○2 前項の定年は、年齢六十年とする
省略
(定年による退職の特例)
第八十一条の三 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。

ただし、検察官の退官については別途、検察庁法に規定があります。

検察庁法

第二十二条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。

検察官の任命権者は内閣、各大臣にあり、定年の規定は国家公務員法、検察庁法には「退官」ですが検事長の定年は63歳とされています。

検察庁法の「退官」と国家公務員法の「定年」の関係は一見すると分かりませんが、「退官」は「定年即退職」の意味のようで、運用もそのようになっています。

f:id:Nathannate:20200204223753j:plain

官報:令和2年1月21日(本紙 第173号)

黒川検事長の63歳の誕生日は2月8日であることからこの日に退官することになっていました。そこで、今回は国家公務員法81条の3の「定年による退職の特例」を適用したのでしょう。

しかし国公法81条の3は「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において」と書いているので問題になります。

人事院の通達は検察庁法22条を「別段の定め」としている

人事院定年制度の運用について】という通達を見ると、検察庁法22条が国家公務員法81条の2第一項の「別段の定め」であると書かれています。

そのため、検察官には国公法81条の3第一項の勤務延長の規定が適用されないのではないか?という指摘があります。

森まさこ法相は国公法83条の3第1項の適用を主張

法務省の森まさこ法相は検察庁法に該当する規定が無い場合には国家公務員法が適用されると考えているようです。

『黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い』

黒川検事長の定年後「勤務延長」の適法性に疑問を呈している指摘は以下。

黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い(郷原信郎)

しかし、この「前条第1項」というのは、同法81条の2第1項のー省略ーという規定であり、この規定で「法律に別段の定めのある場合を除き」とされている「別段の定め」が検察官の場合の検察庁法22条である。検察官の場合、定年退官は、国家公務員法の規定ではなく、検察庁法の規定によるものであり、81条の2の「第1項」の規定によるものではない

また、渡辺輝人弁護士が、国側がよく引用してくる、つまりは公権解釈を記したと思われる『逐条国家公務員法<全訂版>』(学陽書房 2015年)を引用しつつ郷原氏の指摘を補強しています。

安倍政権による東京高検検事長の定年延長は違法ではないか(渡辺輝人) 

なんと、検察官の定年については、国家公務員法の定年の定め自体が適用されないのです。
 国家公務員の定年延長は次の条文である国公法81条の3で定められていますが、当然ながら同条によって定年延長が認められるのは、「前条第一項の規定により定年で退職することとなる職員である。」(698頁)とされます。

さて、これは争いがありうるとは思いますが、内閣の側に立って適法となるロジックを考えてみました。

検察庁法に勤務延長の規定がなくとも適用排除する趣旨ではないのでは?

国公法81条の3第一項の勤務延長の規定の「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合」について。

これは、「別段の定め」に勤務延長の規定があることを想定した文言であり、その場合には特別法たる「別段の定め」における勤務延長の規定に依るべきということを示しただけであって、「別段の定め」に勤務延長の規定が無い場合に国公法の勤務延長の規定を適用することを排除する趣旨ではないと考えるとどうでしょうか?

国公法は検察庁法だけを見ているわけではなく、多数存在する(或いはこれから作られる)行政の組織法を視野に入れているはずで、国公法が措定している「別段の定め」とは、特別法たる組織法において勤務延長の規定がある場合が標準になっているのではないでしょうか。

公権解釈=国の考えを記したと思われる『逐条国家公務員法<全訂版>が『同条によって定年延長が認められるのは、「前条第一項の規定により定年で退職することとなる職員である』と記述しているのもそのような意味と捉えれば矛盾は生じません。

こう考えると「前条第一項の規定により」という文言と抵触すると考えるかもしれませんが、81条の2第一項の文言を以下のように理解すればどうでしょう?

第八十一条の二 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは…

↓↓↓

第八十一条の二 職員は、法律に別段の定めのある場合はその規定により、そうでない場合は、定年に達したときは…

こう理解すると「前条第一項の規定により」の対象には検察庁法22条も含まれることになり、国公法81条の3第一項に反することにはなりません。

この場合、わざわざ「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合」と書いた意味は何か?、つまり、「前条第一項の規定によ」らない退職とは何か?という話になりそうです。

しかし、これは例えば定年後、退職日までに自主的に退職するような場合や、国公法第八条一号の「第五条第三項各号の一に該当するに至つた場合」などを除外する意味を持つことになると言えば良いんじゃないでしょうか?

検察庁法32条と国家公務員法附則13条

検察庁法22条の位置づけも、「別に法律を規定することができる」という国公法の附則を受けて、その定年と退職日に関してのみ規定しただけであって、勤務延長の規定を設けなかったことが直ちに国公法83条の3第一項の適用を排除する趣旨ではないのではないでしょうか。

検察庁法 

第三十二条の二 この法律第十五条、第十八条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十五条の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。

国家公務員法 附則

第十三条 一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則(人事院の所掌する事項以外の事項については、政令)を以て、これを規定することができる。但し、その特例は、この法律第一条の精神に反するものであつてはならない。

国家公務員法

第一条 この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。

沿革的には検察庁法が先にできて国公法の「定年」規定は後にでき、勤務延長の規定はそれに伴って規定されたものという経緯があります。

そのため、検察庁法をベースに考えるべきで、特別法たる検察庁法に勤務延長の規定が無い以上は勤務延長はできないのだとする見解も出てきそうです。

しかし、国公法は国家公務員の「各般の根本基準」なので、それが改正された以上、検察庁法が規定していないものもカバーして検察官に適用されると考えるのが通常じゃないでしょうか?

検察庁法の定年の趣旨から疑問視する方向

黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い(郷原信郎)

検察庁法が、刑訴法上強大な権限を与えられている検察官について、様々な「欠格事由」を定めていることからしても、検察庁法は、検察官の職務の特殊性も考慮して、検事総長以外の検察官が63歳を超えて勤務することを禁じる趣旨と解するべきであり、検察官の定年退官は、国家公務員法の規定ではなく、検察庁法の規定によって行われると解釈すべきだろう。

郷原氏(渡辺弁護士も同様の認識だろう)は、検察庁法の趣旨をこのように解するとすれば、定年後の勤務延長は認められるべきではないと考えているのでしょう。

しかし、仮にそれが正しいとしても勤務延長を1年を超えない範囲で行ったとしても、検察官の職務の特殊性から要求される要素(それが何かは不明だが)を毀損するとは思えません。

逆に、どんな場合であっても勤務延長を認めないとすることは柔軟性に欠け、国家運営・司法行政にとって潜在的なリスクがあることになってしまいます。

国公法1条が「職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的」としていることからも許容される考え方ではないでしょうか?

よって、私はこの点からの指摘も不当だと思います。

「公務の運営に著しい支障が生ずる十分な理由」はあるのか?

しかし、定年による退職の特例の規定は「その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」にのみ認められるようになっています。

今回の黒川検事長の退職日の特例は朝日新聞の報道によると「カルロス・ゴーン被告の事件の捜査」が原因とありますが、この報道が本当だとするとちょっと「十分な理由」があるかどうかは疑問です。

それとも、他の理由があるのでしょうか?

「特例」を定めた規定ですから、この点は安倍内閣はきちんとした説明ができなければならないと思います。

黒川検事長が退職日の特例の後に検事総長に任命された場合は脱法行為か

更には、仮に「十分な理由」があるとして、メディアが「黒川検事長を検事総長に任命するためだ。検事総長なら定年が65歳だからだ」と指摘するように安倍内閣が黒川検事長を検事総長に任命した場合の妥当性はどうでしょう?

既に63歳の定年を迎えた後に検事総長に任命された前例があるのかは調べてませんが、この場合には「脱法行為」と言われても仕方がないんじゃないでしょうか?

定年を延長したのではなく、定年による退職日を延長したに過ぎないわけですから。

このような理解で追及するのであれば私はアリだと思います。

以上

インド論文著者が撤回表明「新型コロナウイルスにHIVタンパク質が挿入」はフェイク・デマ

インド工科大学の新型コロナHIV類似たんぱく挿入論文の著者

 「新型コロナウイルスにHIVタンパク質に似たものが挿入されている」という趣旨の論文がbioRxiv(バイオアーカイブ)という論文予稿の保管サイトにUPされていた件。

論文著者の一人が「現在のバージョンを撤回する」とコメントしました。

インド工科大学の論文著者「新型コロナウイルスにHIVタンパク質に似たものが挿入」⇒誤解避けるため撤回方針

 

"Prashant Pradhan",という名前の論文の筆頭著者がbioRxivの論文ページのコメント欄に以下投稿しました。2月2日6:15:25 UTCの魚拓 撤回前の論文

This is a preliminary study. Considering the grave situation, it was shared in BioRxiv as soon as possible to have creative discussion on the fast evolution of SARS-like corona viruses. It was not our intention to feed into the conspiracy theories and no such claims are made here. While we appreciate the criticisms and comments provided by scientific colleagues at BioRxiv forum and elsewhere, the story has been differently interpreted and shared by social media and news platforms. We have positively received all criticisms and comments. To avoid further misinterpretation and confusions world-over, we have decided to withdraw the current version of the preprint and will get back with a revised version after reanalysis, addressing the comments and concerns. Thank you to all who contributed in this open-review process.
: Authors of the Manuscript

大要、「陰謀論に立ち入ることは意図していませんし、そんな主張はしていません、批判には感謝している、さらなる誤解や混乱を避けるために、プレプリント(査読前の予稿)である現在のバージョンを撤回し、再分析後、改訂版で戻ってきます。」と言っています。

「HIVたんぱく質類似のもの」に過ぎず「人為的な挿入」とは言っていない

上記でも指摘しましたが、仮にこの論文が正しくとも以下が言えます。

  1. 著者らは「HIVウイルスのタンパク質類似のもの」としか指摘していない
  2. 人為的に挿入されたとは書いていない(元々考察の部分での話)

論文が正しくても「HIVウイルスのタンパク質が挿入されている」という科学的事実が明らかになるわけではないし「人為的に挿入されている」という科学的事実が明らかになるわけではないということです。

「新型コロナにHIVウイルスが人為的に挿入」はフェイク・デマ扱いでよい

「新型コロナにHIVウイルスが人為的に挿入」は今の所は「フェイク」「デマ」の扱いです。元の論文ですらそんなことは言っていないのですから

このような言説が広まったのは海外ではzerohedgeというツイッターから永久凍結を食らった悪質なブログが直接的な表現で、日本国内ではInDeepという陰謀論サイトが仄めかす形で拡散したからです。

このような情報の伝達の仕方からも、到底信用ならない「言説」であるということになります。

以上