事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

グッデイで和光葬儀社「肺炎が昨年の3倍」はデマ?情報提供した背景

4月22日のグッデイで和光葬儀社の渡辺社長が「肺炎が昨年の3倍」と言っていたことに対してデマだと評価する人が居ますが、直接メールでやりとりしたのでその結果を整理します。

4月22日グッデイの放送「肺炎が昨年の3倍」

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4月22日直撃LIVEグッディ!

4月22日グッデイの放送では、和光葬儀社の渡辺智史社長へ取材したところ、「肺炎が昨年の3倍」 になったという指摘が取り上げられました。

この件について私も和光葬儀社様に質問しました。

和光葬儀社の渡辺智史社長からの回答

私からは「比較したデータの時期」と「具体的な件数」をお伺いしました。

和光葬儀社の渡辺智史社長からいただいた回答は、「2019年10月.11月.12月(約100件データ)肺炎4件と、2020年1月.2月.3月(約100件データ)肺炎11件」を比較した結果、約3倍と言及したとのことでした。

また、連絡を取り合っている東京の葬儀社の方も「増えている」認識があるとも伝えられました。

この結果を考えてみます。

「前年比」として異なる時期を比較するのは妥当なのか

2019年の10~12月と2020年の1~3月の比較を「前年比」として比較するのは妥当なのでしょうか?

これを判断するために「肺炎死」の統計の取り方まで調べました。

誤嚥性肺炎は2017年に「肺炎」と別枠に:年間13万人の肺炎死

肺炎死亡率が増加、急減した理由【平成の医療史30年◆呼吸器編】|平成の医療史30年|医療情報サイト m3.com

実は「肺炎死」の統計の公表の仕方は変わっています。

2017年には「誤嚥性肺炎」が「肺炎」から独立してデータが公表されるようになりました。それ以前から誤嚥性肺炎の統計は取られていましたが、2016年は4万人弱の数字となっています。 両者合わせて約13万人もの死亡者が出ています。

私から和光葬儀社にこの点も確認したところ、上記の「肺炎」には『誤嚥性肺炎は含まれていない、細菌性肺炎・肺炎でお亡くなりになられた方である』ということでした。

ですので、誤嚥性肺炎以外の肺炎につき、季節による増加傾向があるのかを調べてみました。

「肺炎」は1~3月に3~4割増える傾向

肺炎そのものの月別死亡の統計があります。

以下は「肺炎」と「誤嚥性肺炎」とが独立して計上されている統計になります。

2018年:人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡 5-18  死因(死因簡単分類)別にみた死亡月別死亡率(人口10万対):https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411662

2017年:人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡 5-18  死因(死因簡単分類)別にみた死亡月別死亡率(人口10万対):https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003214726

これを見ると、「肺炎」は1~3月に多くなっており(次いで12月)、それ以外の月と比べて3~4割増し、10~12月と比べると2~3割増しになっているのが分かります。

他方で「誤嚥性肺炎」は一年を通して発生件数にばらつきがありません。

小括:和光葬儀社の言う「3倍」はデマではないが

和光葬儀社の言う「3倍」はデマではありませんが、「肺炎死」のマクロの統計を見てみると、季節によって数字が上がる時期があるのであって、比較対象として10~12月と1~3月を比べるのは少し不適当な気がします。

ただ、2~3割増しであるはずのところが約3倍(厳密には2.75倍)になっていることは、この標本数だと季節性の誤差の範囲に過ぎない可能性もありますが、現場が注意を向けることはありうることだと思います。

そして、このような発信をした背景が分かりました。

横浜市では新型コロナの御遺体の火葬を断る葬儀社が?

和光葬儀社の渡辺社長からは「横浜市の新型コロナ感染者の御遺体の火葬について「役所」から相談があり、他の葬儀社では請けてもらえないため探している、専門知識がない葬儀社では請けて頂けないとのことなので私たちが請けなくてはと思っている」という現状をお聞きしました。

市営の斎場ではそういった理由での受け入れ拒否は無い・葬儀社に関して何か取りまとめをする部署が無いということを横浜市の健康福祉局の方からはうかがっていますが、民間の葬儀会社においてどういう実態となっているのかについては保健所に確認中です。新たな事情が分かれば追記します。

新型コロナによる死亡者の火葬請負をお断りされる葬儀社もあるというのは、その葬儀社において感染対策の準備が整っていない事が示唆されます。そのため、仮に肺炎死された御遺体が新型コロナに感染していた場合に対策不十分となってしまい、その葬儀社の方が危険に晒されてしまうと思います。

この辺りは別の原因で来院した患者が後に新型コロナ感染者と判明した場合の病院側と同じようなリスクであると言えそうです。

その意味で、肺炎死が増えているという内容が特定業種の方(葬儀関係者等)に伝わることは、彼らに対して行動を促すことになるのだろうと思います。渡辺社長としてはそういう思いで情報提供したのでしょう。

ただ、グッディの番組中でも昭和大学医学部客員教授の二木芳人氏が「新型コロナは空気感染するものではないため、遺体からは体液以外にウイルスが飛び出るということは無く、非透過性納体袋に適切に収めれば問題はない」旨指摘しています。

マクロの肺炎死亡者統計から見る新型コロナ肺炎死亡者数の予測

誤嚥性肺炎を除く9万人の肺炎死亡者の3ヵ月分は2万2500人ですが、昨年(の10~12月)に比べて新型コロナウイルスによる影響で3倍も肺炎による死者が増えているなら、マクロの数字としても7万人弱の肺炎死亡者の増加として表れてこないとおかしいですよね。

国立感染症研究所がインフルエンザ・肺炎死の統計を出しているのですが、それを見ると明らかにそういう傾向は無いです。

インフルエンザ関連死亡迅速把握システム

今冬のインフルエンザについて (2018/19 シーズン)

ということで、少なくとも「約3倍」というのはあくまでも和光葬儀社における数字であって、日本全体でそのような数字で増加しているかどうかは、今の時点からも否定できるでしょう。このデータからでは2~3割の季節性の増加分に十分吸収されていると考えられます。

※国立感染症研究所のデータは「死亡」の定義が異なるため他の統計の数字と比較することができない(どういう定義なのかは不明)。

※なお「東京都は閾値を超えている」ということから新型コロナの影響を仄めかす人が出てきそうですが、東京都は昨年も閾値を超えているし他の新型コロナ流行都市で閾値を超えていない所もあることから、ここからそのように推測することは不可能。

グッデイはなぜ別の情報を取り上げなかったのか

標本数が1社だけであれば誤差がある可能性を考えるものです。

統計の数字などを調べることなく「3倍」だけを取り上げてなんの意味があるのか。

グッデイはなぜ別の情報を取り上げなかったのでしょうか。

まとめ

  1. 和光葬儀社の言う「3倍」は、2019年10~12月と2020年1~3月との比較
  2. 誤嚥性肺炎を除く肺炎は1~3月には2~3割増加するのであり、誤差の範囲内の可能性が高い
  3. いわゆる「隠れコロナ死」に対する他の同業者への注意喚起になればという背景があった
  4. グッデイは1社の話を聞いただけで何も報道の役割を果たしていない

感染症法30条3項では、墓地埋葬法の特例として死亡後24時間以内の火葬が認められていることや、新型インフル等特措法では火葬が間に合わない場合の規定があることから分かるように、感染症に対する社会の対応としては葬儀社の役割もまた大きいものです。

そうした現場の苦労がある反面、別の「現場」では「日本政府は隠蔽している」などという誹謗中傷があり、しかもCNNの記者などがそれを仄めかす発信をしており国際的な情報汚染が起こっています。

グッデイの放送はその観点から無視できないのでここで詳細に取り上げました。 

以上

ひろゆき名言「賭博麻雀屋をやりたい」

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ひろゆき氏が国際カジノ研究所長の木曽崇氏に絡んだ件ですが、お互いが引用リツイートで会話しておりスレッドになってないので両者の会話が断片的にしか認識できていない人が多いので、ここでまとめます。

ひろゆき名言「賭博麻雀屋をやりたい」

魚拓

ひろゆき氏の名言「賭博麻雀をやりたい」はこのツイートです。

引用してる記事は木曽崇氏のパチンコに関する法的概念説明なので、「責任者やってもらえないですかね?」の名宛人は木曽崇氏です。

それに対して木曽氏が以下反応しました。

「賭博麻雀屋をやりたい」が発端という大前提

両者の会話の出発点は「賭博麻雀屋をやりたい」というひろゆき側の発言。

これが大事です。

賭博」の確定的な定義が示されることはありませんが、概ね【偶然性に左右される勝負の結果によって負けた方は財物を失い勝った方は財物を得る仕組みの争い】と言えるでしょう。

「遊技の結果に応じて賞品を提供」しない「賭博」とは?

魚拓 

「遊技の結果に応じて賞品を提供」しない「賭博」とは何でしょうか?

ちょっと想像できませんよね。

だから木曽氏も「イメージが湧かない」と指摘してます。

「プレイ時間に比例して賞品が変わっていく麻雀屋」

魚拓

魚拓

「プレイヤー同士で競技をして飛ぶまでの時間を争う形式とかだと「遊技の結果」として判断されてしまう」という木曽氏の仮定は、「賭博麻雀屋」というひろゆき氏の最初の発言が前提にあるわけです。

ひろゆき氏の言及対象が何なのか会話を成立させるために探りを入れているのであって、「ひろゆき氏の言ってないことを勝手に想定してる」などというものではないというのは会話の発端を見れば明らかですが、途中から見た人にはわかりにくいのかもしれません。

ひろゆき名言「木曽さんは間違い」

魚拓

ここで会話が成立していないのが明確になります。

魚拓

ひろゆき名言「風営法19条」

魚拓

ここでひろゆき氏が反応することを止めています。

で、それ以降は木曽氏以外の一般アカウントに対して返信をしまくっています。

風営法19条がどうの、という話は後述。

信者向けのツイートに走るひろゆき氏

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http://archive.is/iamjR

それまで木曽氏に対する言動に終始していたひろゆき氏ですが、以降はリプライ欄にコメントしていた一般アカウントに対してコメントをしています。

で、その中の一人に私(Nathankirinoha)も居たわけです。

ひろゆき氏の言動がおかしいのは2点あって

  1. 自分から「賭博麻雀屋やりたい」と言っていたことから始まってる会話のすれ違いを相手のせいにしている
  2. 麻雀屋で賞品提供が可能である根拠を風営法19条に求めだした

で、2番はもう専門家からは「議論資格無し」とみなされる話なのです。

風営法23条の議論なのに19条を持ち出して自滅

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 (昭和二十三年法律第百二十二号)令和元年六月十四日公布(令和元年法律第三十七号

(遊技場営業者の禁止行為)
第二十三条 第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
二 客に提供した賞品を買い取ること。
三 遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物(次号において「遊技球等」という。)を客に営業所外に持ち出させること。
四 遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。
2 第二条第一項第四号のまあじやん屋又は同項第五号の営業を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。
3 第一項第三号及び第四号の規定は、第二条第一項第五号の営業を営む者について準用する。

「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」というのは風営法23条の議論だったのですが、何を考えたのかひろゆき氏が風営法19条を持ち出しました。

しかし、この規定はひろゆき氏の主張をなにも補強しません。

(遊技料金等の規制)
第十九条 第二条第一項第四号の営業を営む風俗営業者は、国家公安委員会規則で定める遊技料金、賞品の提供方法及び賞品の価格の最高限度(まあじやん屋を営む風俗営業者にあつては、遊技料金)に関する基準に従い、その営業を営まなければならない。

19条は「遊技料金に関する基準に従え」と書いてありますが、それは決して『「賞品の提供方法」については麻雀屋が自由に決められる』ことを意味しません。

結局は23条の「遊技の結果に応じて賞品を提供」か否かの話になるということです。

これさえなければ単なる「すれ違い」で収まったものを。

まとめ:ひろゆきの論破力

 「賭博」は概ね【偶然性に左右される勝負の結果によって負けた方は財物を失い勝った方は財物を得る仕組みの争い】と理解されてるが、これが「遊技の結果に応じた賞品提供」ではない場合というのは、いったい全体どういうものなんだ?(反語)

というのがひろゆき氏のツイートに投げかけられた疑問なわけで、そこはついぞクリアーにはなりませんでした。

元々「パチンコ屋」に関する木曽氏の記事に対してひろゆき氏が「麻雀屋」を持ち出して、それとの平仄で「いってることがおかしい」と論破したかったのでしょうが、法規制がパチンコ屋と麻雀屋とで異なることから、最初から成立しない議論をふっかけていた、ということです。

以上

厚生労働省は新型コロナ感染者の外国籍者数を把握できていなかったのか

 

やはり厚生労働省は新型コロナ感染者の外国籍者数を把握していなかった疑惑が出てきました。

新型コロナ感染者の外国籍者数を把握してない自治体も

長島議員から、厚労省のHPにある新型コロナウイルスの感染者の日本国籍者と外国籍者に関して『国籍を確認している自治体とそうでない(そこまで手が回らない)自治体があり、未確認を全て「国籍確認中」と記載している』という報告がありました。

『「国籍確認中」という表現は誤解を生んでいる』というツイートを合わせて理解すると、どうも、国籍確認のために時間がかかっているのではなく、そもそも国籍確認を業務として扱っていない、という指摘に読めます。

これは従来の説明と少し異なっており、不信感を持たざるを得ません。

「国籍確認に時間がかかっている」という説明だった

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3月中旬まで、厚労省は外国籍者の確定数を明示していませんでした。

詳細1:厚労省は日本の新型コロナウイルスの外国人感染者を誤魔化している

詳細2:厚生労働省が新型コロナ感染者の外国籍者数を公開

その内実として「日本国籍者以外の者は大半が国籍確認中の者」「PCR検査は匿名化しているので、感染が分かったら自治体を経由して国籍等の報告が来る」「国籍確認のために時間がかかっている」と言われていました。

で、 私も自治体から直接上がってくる報告書を数日分、全部見てみました。

すると、半数は国籍を報告していないが、半数は報告していました。

その半数の自治体報告中では、外国籍者はせいぜい1日に数人であり、通常は0人の日が多いということから、厚労省が外国人の数字を公開したあとも、概ねそのような数字で正しいと考えていました。

外国籍か否かの有無を最初の報告書に記載していない自治体も、後に判明次第まとめて厚労省に報告していると思っていました(公表していないだけと思っていた)。

しかし、そもそも国籍を把握していない自治体があるとは思いもよりませんでした。

国籍確認にかかる日数がどんどん延びている

ちょっと気になる点が。

厚労省の説明では国籍確認中の者の大半は日本国籍者であるということでしたので、これと同等の感染者数であった日を遡ってみることで、国籍確認のために要する日数が分かります。

4月頭までは、これは3~4営業日でした。

しかし、21日の場合には10日まで遡ります。実に8営業日、11日もかかっています。

4月は転出入が多いことや、最近の感染者数の増加のために確認に時間がかかっているということから、ある程度は仕方がないと思っていたのですが、これは不審に思わざるを得ません。

欧米人の死亡率が異常に高いのは基礎疾患が多いからという指摘

「なぜ外国籍か否かに拘っているのか?」

こう思う人も居ると思いますが、それは「感染源の把握」のためと「後学のために情報を取っておかないとダメだろう」という2方向の可能性から、データを取るべきだと考えているからです。

前者の視点は、2月頭までは中国人の観光客の感染者とその濃厚接触者の感染が中心であったので意義があるものでした。日本国内で感染拡大し欧米からの持ち込みが増えた3月中旬以降にはあまり意味を成さなくなってきた面もありますが、感染者が少ない自治体ではなお意義のある報告です。実際、仙台市は英国パブのクラスターが発生しました。

後者の視点は、前々から注目されていた通り、欧米人は肥満などの基礎疾患持ちが多いので重症化しやすい・死亡率が高くなっているのではないか、ということが数字でも表れてきました。

新型コロナウイルスは、いかに感染し、そして重症化するのか? そのメカニズムが研究で明らかになってきた|WIRED.jp

・若者を含む肥満の人たち
ところが、英国と米国での感染が広まっていくうちに、比較的若い患者の重症化も報告されるようになってきた。両国の医師たちによると、集中治療室(ICU)に運ばれる患者はたいてい肥満の男性だという。

これまでの研究では、肥満は糖尿病、高血圧、心疾患などの病気を併発しやすいことがわかっている。世界各国の肥満率を見ると、中国は6.2パーセント、イタリアは19.9パーセント、英国は27.8パーセント、米国は36.2パーセントとなっている。ちなみに日本の肥満率は4.3パーセントである。

英国の大学の調べによると、73パーセントの(集中治療室に運ばれた)重症化患者は男性で、73.4パーセントが肥満だったと伝えられている。また一部報道によると人工呼吸器を付けている50歳未満の患者の90パーセントは肥満」だという。この性差とBMI(体格指数)は特筆すべきものだ。

「このウイルスは恐ろしいもので、若者、特に肥満の若者を襲う可能性があります。太りすぎの人は本当に注意する必要があります」と、フランスの免疫学者ジャン=フランソワ・デルフラッシー教授は言う。「肥満の問題がよく知られている米国が心配です。おそらく肥満のせいで最も大きな問題を抱えることになるでしょうから」

ということで、長島議員のツイートからは「そもそも国籍確認を業務として扱っていない自治体がある」としか読めないので、そうであれば社会的な損失だと思うのです。

以上

濃厚接触者の定義が変更:国立感染研の積極的疫学調査実施要領

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国立感染研による「濃厚接触者」の定義が変更されました。2月6日版からの大きな変更です。

濃厚接触者の定義とは:医学用語ではなく明確な定義はないが疾患毎に記述 - 事実を整える

国立感染症研究所が濃厚接触者の定義を変更

「発症2日前」「1メートル内」「15分以上」 濃厚接触者の定義変更―感染研:時事ドットコム

国立感染症研究所が4月20日付の文書で濃厚接触者の定義を変更しました。

国立感染研の積極的疫学調査実施要領

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新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)

新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)魚拓

●「濃厚接触者」とは、「患者(確定例)」の感染可能期間に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。
・ 患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
・ 適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
・ 患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
・ その他: 手で触れることの出来る距離(目安として 1 メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と 15 分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。

「国立感染研の積極的疫学調査実施要領」の関係する部分に下線と太字を施しました(この記事を見ている方の端末環境によっては反映されていないかもしれません)

「濃厚接触者」定義に直接関係する部分は「1メートル」と「15分」です。

それ以外に「感染可能期間」という概念が新設されました。

※なお、2月27日版から「新型コロナウイルス感染症が疑われる者」が「患者(確定例)」に変更されていました。

感染可能期間が発症の2日前からと明示

新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)魚拓

●「患者(確定例)の感染可能期間」とは、発熱及び咳・呼吸困難などの急性の呼吸器症状を含めた新型コロナウイルス感染症を疑う症状(以下参照)を呈した 2 日前から隔離開始までの間、とする。
*発熱、咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、頭痛、関節・筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐など

「感染可能期間」として、「発症の2日前から隔離開始まで」という概念設定がなされました。

従前は濃厚接触者の定義に「患者が発病した日以降に接触した者」とあったものが対象が拡大しました。

「重症化リスクが高い者」「感染拡大リスクが高い者」の記述が追加

新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)魚拓

○ 「患者(確定例)」の接触者を探索する中で、接触者の候補者の中に、重症化リスクが高いもの(例:高齢者、免疫不全者等)、もしくは感染拡大に寄与することが懸念されるもの(例:医療・介護関係者等)が見いだされた場合には、「患者(確定例)」の行動履歴をより慎重に確認することが重要である。

その他、「重症化リスクが高い者」「感染拡大リスクが高い者」の記述が追加されました。これはこれまで考慮してこなかったというよりは明確化したという趣旨と思われます。

以上

安倍総理は「死亡者のカウントに漏れはない」とは言ってない:川上浩一の呆れた藁人形論法

川上浩一教授カウント漏れ

『安倍総理が「死亡者のカウントに漏れはない」と言ったのに実際は漏れがあるじゃないか!問題だ!』と言う人が居ますが、典型的な藁人形(ストローマン)論法でした。

国立遺伝学研究所川上浩一教授の藁人形論法

魚拓

国立遺伝学研究所川上浩一教授のツイート

3/28安倍首相会見で「死亡者のカウントに漏れはない」と発言したが、実際は漏れがあった』という内容。

しかし、これは藁人形論法=ストローマン論法の典型例です。

安倍総理会見では「死亡者のカウントに漏れはない」とは言っていない

川上浩一教授のツイートには丁寧に「ソース」として記者会見のトランスクリプトページのリンクが付いていました。

この話に関連しそうな箇所は以下です。

令和2年3月28日 安倍内閣総理大臣記者会見 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

では、果たして日本はそれを隠しているのかという議論があります。これは、私は違うと思います。例えば死者の数は、PCR検査の数が少ないけれども、死者の数が多いということではありません。では、死者の数、肺炎で亡くなっている方は、実はコロナではないかということをおっしゃる方はいるのですが、コロナウイルスの場合は専門家の先生たちが、これはみんな、私も確認したのです。私も、これはそういう批判があるんだけれども、どうなんだろうかと。このPCR検査、これが少なくてという話で、伺ったのですが、これは、肺炎で亡くなった方については、基本的に肺炎になって、最後はCTを必ず撮ります。それで、CTにおいて、これは間質性肺炎の症状が出た方は必ずコロナを疑います。必ず。そういう方については、これは必ず大体、PCRをやっておられます。ですから、そこで間質性肺炎でない肺炎で、例えば細菌性等々の肺炎で亡くなられた方等について言えば、これはコロナではない。ですから、コロナではなくて肺炎で亡くなったという方はコロナではないのだという説明を私は受けて、私は納得したところでございます。

ここから明らかなように、安倍総理は「死亡者のカウントに漏れはない」などとは一言も言っていません。

新型コロナの死者数を隠蔽していない」と言っているに過ぎません。

「カウント漏れ」は起こるもの

ニューヨーク市では新型コロナウイルスによる死者がいきなり3700人以上も増えたということがありました。これは病院以外の自宅などでの死者は検査もされていないために新型コロナが死因であるということが判明していなかったのが、後の調査の結果、そうであることが分かったというものです。

これは日本でも起こり得るのものです。

これを「カウント漏れ」と言うのか、「判明したものから順次公表している」と言うのかということはともかく、実態把握に時間がかかるために時間差で数字が追加されるということはあり得ることです。

これをいちいち問題視する意味がわかりません。

横行する藁人形論法

魚拓

ストローマン(英: straw man)とは、議論において対抗する者の意見を正しく引用しなかったり、歪められた内容に基づいて反論するという誤った論法、あるいはその歪められた架空の意見そのものを指します:参考

安倍総理発言に対する藁人形論法については、最近は「朝日新聞販売のマスクをぼったくりと言った・攻撃した・揶揄した」というものもあります。

大手新聞社などもそういう論説に乗っかって記事を書いており、いちいち一般人が情報源を確認しなければなりません。

高 史明教授も川上浩一教授もなぜこういう基本的な事実を歪めてしまうのでしょうか?

以上

安倍総理「朝日新聞も3300円で布マスク販売」は泉大津市のマスクプロジェクトの製品だった

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4月17日の会見で安倍総理が朝日新聞記者から布マスク配布政策を批判された際に「朝日新聞も3300円で布マスク販売しておられた」と指摘しましたが、これは泉大津市のマスクプロジェクトの製品だということが分かっています。

安倍総理「朝日新聞も3300円で布マスク販売されていた」

質疑応答の場面で安倍総理が「朝日新聞も3300円で布マスク販売しておられた」と指摘しています。この話はネット上では前々から指摘されていました。

朝日新聞SHOPで3300円のマスクが販売⇒緊急事態宣言で休止

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朝日新聞SHOP / 洗える立体ガーゼマスク2枚セット魚拓

朝日新聞SHOPで3300円のマスクが販売されていたのですが、4月7日の緊急事態宣言を受けて、SHOP全体が休止されました。

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「物流に支障が出る恐れがあることから」という理由がなんだか釈然としませんが、残念なことです。

詳細:朝日新聞SHOPで布製マスクが3300円のぼったくり価格で販売中

「繊維のまち」泉大津市マスクプロジェクトの大津産業株の製品

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http://www.izumiotsu-cci.or.jp/latest_information/202003184231/

 

朝日新聞SHOPで販売していたのは泉大津市のマスクプロジェクトに参画していたメーカーのうちの一つのメーカー(大津毛織(株))の製品です。

価格もこの通りの設定です。

「繊維のまち」泉大津市の強みを生かして作られたものとして商工会議所も絡んでるので、一般にネットで販売しているものよりは信頼性は高いです(HPもある)。

安倍総理は「ぼったくり」などと言っていない

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なぜか「安倍総理が「ぼったくり」のように揶揄した」とみてる人が居るのですが、発言を見てみましょう。

記者 朝日新聞のホシノですよろしくお願いしいたします。総理、先ほどですね、予算案の組み替えについて責任をお詫び申し上げるということでしたが、この間の会見でも一斉休校について感染者の拡大を防げなかったというふうに述べられました。最近では布マスクや星野源さんの動画でも批判を浴びているんですが、この間の一連の新型コロナの対応についてご自身でどのように評価されていますでしょうか。

安倍総理 全国の一斉休校は、私は判断としては正しかったと思っています。あのあと多くの国で一斉休校を行っていることからも明らかではないかと、そう思います。そしてまた布マスクにつきましてはさきほども申し上げましたように、まずはサージカルマスクを医療機関にしっかりと配布しながら、サージカルマスクの受注について対応をしていく上においても、それ以外のたとえば介護施設等々については布マスクの配布をさせていただきました。今ご質問をいただいた御社のネットでも3300円で販売しておられたということを承知しておりますが、つまりそのような需要も十分にある中においてですね、我々もこの2枚の配布をさせていただいたということでございます。

安倍総理は、朝日新聞が「不必要では?」という疑問を呈したので「朝日新聞も販売していたくらい需要があったから配布を決めた」と指摘したに過ぎません。

朝日新聞はアベノマスクに「布マスク配布は意味が無い」

そもそも朝日新聞は「布マスク配布は意味が無い」という記事を書いていました。

布マスクは有効? WHOは「どんな状況でも勧めない」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル魚拓

新型コロナウイルスの感染拡大防止の一環で、安倍晋三首相が洗濯して繰り返し使える布マスクを5千万余りある全世帯に2枚ずつ配る方針を表明した。布マスクの効用をめぐっては、専門家の間でも懐疑的な見方が多い。

省略

5年前に英国の医学誌に発表された論文では、1607人の医療従事者を、医療用マスクをつける人、布マスクをつける人、マスクをつけたり外したりする人にわけて感染リスクを比べたところ、布マスクをつけた人がもっとも呼吸器疾患やインフルエンザ症状を示した人が多かったという。

WHO(世界保健機関)は、新型コロナ感染拡大期における布マスク使用について「いかなる状況においても勧めない」と助言している。

5年前の論文とはA cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workersです。

この研究は医療施設における医療従事者を対象に、メディカルマスクを使用したグループ(この研究内においてサージカルマスク等を意味し、N95マスクを含まない)と対象群に対して、布マスクを使用したグループの感染リスクがどうなるかを比較しました。

結果は布マスクグループがもっともリスクが高かったというものでした。

しかし、ここでの対象群とは「普段通りに行動する人たち」であり、その内訳は37%がメディカルマスクを使用し、8%が布マスクを使用し、53%がメディカルマスクと布マスクの両方を使用し、残りの1%ずつがN95マスク着用とマスク無しであったとしています。

布マスク着用群とマスク着用無し群との比較を直接行ったのではありません。

朝日新聞の記事はかなりいいかげんに論文を紹介しています。

論文著者もこの研究については布マスクとマスクをしない者との比較には限界があると記述し、「布マスクはつけないよりはマシだ」とメディアに答えています。

また、WHOが「いかなる状況においても布マスク着用は勧めない」と記述したのは医療従事者向けのアドバイスにおける表現であって、一般向けにはマスクの種類の限定はありませんし、限定的な場合には健康な人にもマスクを推奨しています。

詳細:WHOのCOVID-19に対する布マスクの方針の推移を整理する 

朝日新聞が地場産業支援ならなぜ泉大津市マスクプロジェクトに触れないのか?

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https://otsukeori.co.jp/news/%e6%9c%9d%e6%97%a5%e6%96%b0%e8%81%9e%e3%81%b8%e6%8e%b2%e8%bc%89%e3%81%95%e3%82%8c%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%9f%e3%80%8c%e3%83%9e%e3%82%b9%e3%82%af%e7%94%9f%e7%94%a3-%e7%b9%8a%e7%b6%ad%e3%81%ae%e3%81%be/

朝日新聞へ掲載されました「マスク生産 繊維のまち結束」 | 大津毛織株式会社

魚拓

朝日新聞が泉大津市の大津毛織(株)の製品を販売していたことが「地場産業支援」なら、なぜ朝日新聞は会見翌日の4月18日の記事で「泉大津市マスクプロジェクト」に触れないのでしょうか?その名前を出して無理やりにでも反論でもすれば良い。

しかし、そういう慈善事業として捉えるのは違うのではないでしょうか?

それに、「マスク不足解消」が目的なのだとしたら、なぜ朝日新聞SHOPは緊急事態宣言後に休止されたのでしょうか?マスクだけでも販売ページを残してもよかったのでは?

仮に需要があったとして、それに追いつく生産体制は整っているのでしょうか?上記記事では「400枚」と書かれているだけなのですが。

「マスク不足解消のため」ならなぜ朝日新聞は3300円のものだけ販売し、他の泉大津市のメーカーの製品を販売していないのでしょうか?

安倍総理批判を無理やりしようとして矛盾が生じてますね。

マスクは個人の感染予防効果が薄く、集団感染拡大防止効果が見込まれてる

さて、私は過去記事でこのマスクを「ぼったくり」と評しました

それは朝日新聞が価格設定をしているという意味ではなく、泉大津市のメーカーに対して言っています。

一般におけるマスク着用は個人の感染予防効果が薄いです。それは岩田健太郎医師など複数の者が指摘しているように、エビデンスがある程度積まれています。

しかし、集団の感染拡大防止効果(感染者がウイルスを拡散しない事の効果。誰が感染者か不明な場合には集団にフォーカスする)を否定するエビデンスはありません。WHOもアメリカCDCもフランスもシンガポールも一般市民向けに布マスク着用を推奨しています。

「アベノマスク」は医療用マスクの需要を減らして一般人は布マスクを利用するように誘導することに加え、そういう効果をも狙ったハズです。

私はマスクは機能で評価しています。その機能とは上記の意味です。耐久力は二の次です。一般的にもそのような機能が求められていると言えるでしょう。

いかに高級素材を使って肌触りがよかろうが、デザインや質感がかっこよくても、マスクの機能としては他の布マスクと変わりがありません。だから私は機能に比して価格が高すぎると思っています。

「マスク不足解消」と言いながらそういう価格の製品を作っているということは、それは専らビジネスです。その事自体は否定しませんし、高級布マスクのメーカーとしてブランドを確立していったら良いと思います。

日本全体からみたら如何に少量であろうとも、実際に動いてプロの商品を生み出し市場にマスクを流通させているという実績はひたすら尊敬するしかありません。

しかし、ビジネスならばこちらもいち消費者として評価します、というだけの話です。

繊維のまち泉大津市をよろしくお願いします

マスクプロジェクトに参画しているメーカーはみなさんHPをお持ちでした。

大津毛織株式会社 | 原糸・テキスタイル・染色整理・寝装寝具 大阪府泉大津市 創立大正6年の繊維メーカー

カットソー縫製のOEMメーカー|カットソーの企画・製造・販売はカスガアパレル株式会社

会社概要|会社案内|健康生活|大阪|和泉市|PVC|KSB|ケイエスビー

SASAWASHI

瀧芳株式会社 | 泉州のシルク毛布、シルク製品

日の出毛織株式会社

FACTORY | J∞QUALITY

当然ですが、寝具・毛布・タオル・カーテンなどいろんな商品を扱っています。

一目で「良いもの」が作られているのだと分かります。

メーカー名で検索してみるとネットでも販売されているので支援しようと思う人は購入すれば良いと思います。

以上