事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

新型コロナ専門家会議の議事録公開に関する議論の前提

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新型コロナ専門家会議の議事録公開に関して議論がありますが、それをする最低限の前提として①現状の情報公開状況、②主張の類型、③地方自治体の現状と政府の比較、④他の国の状況などを整理します。

議事録の作成・公開に関する主張の諸類型

「議事録」の意味するところは民間と政府で異なりますが、一般用語レベルでは議事録・議事要旨・議事概要もひっくるめて議事録と呼称しても間違いではありません。

民間では発言者名を明示せず決定事項のみをまとめたものを議事録と呼んでいるところが多いですが、政府内では様々なバリエーションがあります。

議事録の作成・公開に関する主張の諸類型は以下に大別できます

  1. 議事録即公開派
  2. 議事録作成、後年公開派
  3. 議事録不作成、後年書き起こし派
  4. 議事録完全不要派

私個人の立場は、1は完全否定、4寄りの2・3は否定しない派です。

なお、議事要旨・議事概要等との違いについては以下参照。新型コロナの専門家会議は「議事概要」は公開済みです。

1:議事録即公開派

議事録は直ちに作成して公開するべきだと言う考え方。

立憲民主党系の議員らに多い考え方です。

ま、現在の政府の対応はガイドラインの運用通りでそのガイドラインは民主党政権下で作られたものなのですが。

2:議事録作成、後年公開派

議事録は会議後直ちに作成するべきだが、公開するのは後年にするべきという考え。

公開までの長さにも所説あり、大体10年~100年の間に収まると思います。

専門家会議の議事録等の情報開示請求をしたおしどりマコに対して政府からはほぼ黒塗りの「速記録」が開示されました。

少なくとも政府としては速記録も実質的な公開はしない方針のようです。

議事録は作成・公開を原則として、一定の場合には後年に公開するべき、という見解が音喜多駿議員です。

3:議事録不作成、後年書き起こし公開派

こちらは当面は議事録は作成しないが、後年に速記録やICレコーダーから書き起こして議事録を作成するという考え方です。

内閣官房は現時点では議事録は作成しない方針ですが、この可能性は残ります。

この考え方も許容している可能性のある者としては維新の足立議員と橋下徹氏が居ます(文面からは2寄りだが、それが無理な場合の次善策として考えていそう)。

2との違いは何かと言うと、開示請求をしても「不存在」で回答可能という所でしょうか。黒塗りする無駄な労力がかからないハズ。

ただ、速記録からの書き起こしだと判読困難の問題(それに伴う発言者に対する発言の正確性確認の必要性)、音声記録からだと音声記録自体の公開要請が出てくる可能性(書き起こされた内容が本当に音声通りなのか、同音異義語の区別など)といった問題があるように思います。

4:議事録完全不要派

議事録は専門家会議の目的からは作成不要であり、現在公開している議事概要で充分であるという考え方。

文面上はこの考え方の人も、1番の見解に対する反論として述べていただけであり、2・3番の可能性を否定しているわけではない場合があり得ます。

専門家らの見解・大阪などの地方自治体との違い

さて、どう考えるべきか。

専門家会議は5月29日の記者会見で「どちらでもいい」「それを決めるのは政治家」「我々としては取りまとめを政府に示すことが大事」「委員の中から議事録について話題に上がったが会議として何か決定したわけではない」という見解を示しています。

専門家会議の議事録を公開する問題点

上記回答をしたのは「「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月29日)」が作成公表された日であり、過去のバージョンに比して包括的であり長文のものであったのですが、議事録の方にやや比重が置かれた記者らの質問の姿勢はかなり疑問でした。

新型コロナ専門家会議の話に限らずおよそ「公開が当たり前」になるとすると、以下の問題点があると思います。

  1. 具体例を前提としたプライバシーに関わる議論ができない
  2. 機微に渡る議論に対する萎縮効果(発言予定内容の変化)
  3. 国家戦略に関わる議論ができない
  4. 利害関係人への情報提供・動きの察知をさせてしまうことになる
  5. 専門用語を誤解する者による不毛な議論
  6. メディアによるエンタメコンテンツ化

ここでそれぞれを論じることはしませんが、「発言内容の公開」の場合の行動の変化を指摘する論文があるようです。

(「議事録作成」というのは誤りと本人が引用リツイートで言及してます) 

これらを議論の出発点として提示します。

次は地方自治体ではどうなっているか、政府のものとの比較をしていきます。

大阪府の新型コロナウイルス対策の各会議と「議事録」

大阪府/第1回大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議

大阪府新型コロナウイルス対策本部会議」と「大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議」があるのが分かります(幹事会など細かいものは省略)。

専門家会議の構成員ですが、名称の通り「対策本部の専門家会議」なので専門家+本部会議のメンバーであり吉村知事・大阪府健康医療部長等、大阪市長・大阪市健康局長等が名を連ねています。

大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議の主な概要を見ればわかりますが、政府の「議事概要」と同じレベルの情報量であり、発言者名の記述がなく議論した事項の箇条書きです。

とはいえ、専門家会議の内容は動画として公開されていますから、実質的に議事録(さらに忠実に発言を再現した逐語録と言える)を作成公開しているようなものです(ただし「大阪維新の会」のYouTubeアカウントであり、大阪府の新型コロナ対策本部会議のHPとして残しているものではない)。

なお、「大阪府新型コロナウイルス感染症対策協議会」もありますが、こちらは議事概要も現時点で公開されていません。各医師会の会長や医学教授などの専門家のみで構成されており、政府の専門家会議は弁護士が一名いる以外は構成としてはこちらに近いです(政治側の人間が出席していない)

東京都の新型コロナウイルス対策会議

東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議・東京都危機管理対策会議資料|東京都防災ホームページ

東京都は「東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議(その前身の東京都危機管理対策会議)」と「東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会」があります。

「審議会」は書面会議の場合には弁護士一名と医療専門家だけで議事録とされるものは発言者名を明示した要約であり、集合した会議の場合には小池都知事など都の行政部局の人間も複数参加し、発言者名を明示した時系列に沿ったやりとりが記述されています。

集合した会議の動画は都のものとして公開されています。

本部会議も動画は同様ですが、議事録・議事概要など発言を書き起こしたものはありません。

特定の専門家のみが出席する会議で発言者名を明示した詳細議事録を残すことはほぼ無い

大阪と東京を引き合いに出しましたが、地方の中で情報量が比較的多いからです。

それでも、「特定の専門家のみが出席する会議で」「発言者名を明示した」「発言内容を時系列に沿って詳細に書き起こした議事録」を残してはいませんでした。

政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の議事概要の扱いは、他の自治体の運用と比べてもそんなにおかしくないということが言えます。

理想論としてどうあるべきかは別ですが、懸念点は既に示しました。

海外ではどうなっている?イギリスとアメリカを例に

Welcome to GOV.UK

Home | FEMA.gov

デュー・プロセスが重視されているイギリスとアメリカではどうでしょうか?

と思っていくつかのページを調べてみましたが、日本のような専門家による対策会議が公開されているという話は聞きません。

知ってる人が居たら教えて欲しいです。

ちなみにイギリスとの比較で「日本は情報公開が遅れてる」とTwitterで言ってる人に質問しても、知ってる人は居ませんでした。

以上

蓮舫「議事録がないなどあり得ない」⇒民主党政権時代の行政文書ガイドラインに沿った運用

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議に関して「議事録が無い」というHPを見てれば「議事概要」は公開されているのが最初から分かってる話をなぜか共同通信がミスリードする記事を書いて以来話題ですが、蓮舫議員が民主党政権時代に作られたガイドラインを無視したツイートをしています。

蓮舫「議事録がないなどあり得ない」

蓮舫議員は「議事録がないなどあり得ない」と言っていますが、議事概要の公開はしているわけで、それはガイドラインに沿った運用です。

歴史的緊急事態における専門家会議の議事概要は作成・公表、ガイドラインに沿った運用

行政文書の管理に関するガイドライン

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/ryoukai/200310ryoukai.html

行政文書の管理における「歴史的緊急事態」の決定に伴う連絡会議 - 公文書管理制度 - 内閣府

専門家会議は「②政策の蹴ってい又は了解を行わない会議等」にあたるため、発言者名を記した時系列の議論を載せる義務までは発生しません。

民主党政権時代に作成されたガイドライン

蓮舫議員は以下の発言を聞く限り、彼女は「政策の決定又は了解を行わない会議等」という項目それ自体や、そこに専門家会議を分類したこと自体を問題視しているのではないようです。

要するに「全て逐語録を作れ」と言っているわけですが、民主党政権時代に作成されたガイドラインだということを忘れているようです。

専門家会議“議事録未作成”を野党が批判(日本テレビ系(NNN)) - Yahoo!ニュース

蓮舫副代表「まさに国民の財産の公文書をばかにしているし、国会でのやりとり、あるいは法律に基づいて行った歴史的緊急事態に対しても背を向ける行為だと思って、まず、激しく強く抗議をします」

中略

蓮舫氏は「議事概要では、政府にとって都合の悪い内容は削除することができる」として、政府に議事録の作成を求めていく考えを示しました。

関係法令・通知等 公文書管理制度 - 内閣府(2012年6月13日魚拓)

行政文書の管理に関するガイドライン(平成23年4月1日内閣総理大臣決定;平成24年6月29日一部改正)(2012年8月3日魚拓) 

「②政策の蹴ってい又は了解を行わない会議等」の項目は最初からありました。

今さら何を問題視してるのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の逐語録は必要か?

専門家の議論経過をいちいち記述する意味ってあるんでしょうか?

大阪市のヘイト規制条例制定過程の議論は全国的に見てもかなりオープンになされていましたが、それでも専門家で議論されていた「検討部会」 は議事要旨のみで、議事の全体的な進行に関する発言は議長らの発言が明示されましたが、それ以外の実質的な部分は部会のメンバーのうち、発言者が誰でどういう議論経過があったのかまでは記述されていません。審議会の場合はありましたが。

自由闊達な議論とメディアによるリアルショー化を防ぐために不要では?

新型コロナウイルス対策の議論では『どの程度人が死ぬか』を予測した議論が行われています。それをすべて公開するとなれば、発言した専門家の名称が分かるとその者やその所属等に対してバッシングが行き、メディアが「誰と誰が口論した」みたいにネタ化して本質ではない部分で騒ぐことは火を見るより明らかです。

これでは専門家が会議のメンバーに入ることすら敬遠し、発言も萎縮してしまうことになるでしょう。自由闊達な議論を行わせるために彼らの身の安全を保障する必要や議論の方向性を正しいものに向かわせる要請があったでしょう。

「歴史的緊急事態の事後的検証」が目的なら、政府の取った方針のチェックをすればいいわけで、その過程で「具体的な個人がどう発言したか」みたいなミクロな情報は不要だし、上述のようなノイズの発生源にもなりかねません。

議事録の発言の一部を切り取って真逆に捏造する元農水大臣の山田正彦氏のような連中に利用される可能性もありますし。

専門家同士の議論ですから難解なものが多く、ジャーゴンも多用されるでしょうからダイヤモンドプリンセス号内の「清潔・不潔」のように一般から誤解されることもあり得るでしょうし、数式も含めて議論されていると思われる今回のような場合にいちいち発言全てを時系列でとらえる必要があるのかというと疑問です。

喩えるならば『裁判官の合議を全部公開しますか?』という感じです。

もちろん、「それでも議事録を作成するべきだ」という主張は有り得ると思いますが、ならば専門家の命と身体と立場と財産を守るための術を整える必要があるんじゃないでしょうか?

平時の審議会・懇談会との平仄はどう考えるべきか?

とはいえ、ガイドラインでは平時の審議会・懇談会等について以下書かれています。

○ なお、審議会等や懇談会等については、法第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者及び発言内容を記載した議事の記録を作成するものとする。

審議会や懇談会の性質が分かっていないので判断できませんが、この辺りとの整合性という点から誰か質問しないのだろうか?

私にとってはいずれにしても今回のような専門家会議にかんしては「発言者名を明記した時系列毎に並べられた議事の内容の記録」は不要だと思っているのでどうでもいいですが。

以上

Twitter(Web版)で予約投稿と未送信ツイートの保存が可能に

Twitter(Web版)で予約投稿と未送信ツイートの保存が可能になりました。

Twitter(Web版)で予約投稿が可能に

 

Twitterの予約ツイートと未送信ツイートの保存

ツイート作成画面でカレンダーアイコンがあるのでクリックします。

Twitterの予約ツイートと未送信ツイートの保存

日時を設定したら【確認する】を押して投稿内容を作成します。

表示される時刻は設定されているタイムゾーンのものになります。

左下の【予約ツイート】を押すと、これまでに予約設定したツイートが見れます。

Twitter(Web版)で未送信ツイートの保存が可能に

Twitterの予約ツイートと未送信ツイートの保存

未送信ツイートの保存も可能になりました。

ツイート作成ウインドウの外をクリックするとこのような画面になります。

また、ツイート作成ウインドウの右上に「未送信ツイート」タブがあるのでクリックすると以下の画面になり、対象のツイートの呼び出しができます。

未送信ツイートの削除ができない?

上掲の画面で「編集」を押すとチェックボックスが出てきます。

対象ツイートにチェックを入れて「削除」を押せば削除可能です。

ツイート作成ウインドウの外をクリックした際に「破棄する」タブが出ますが、そちらをクリックしても削除されないバグがあるようです。

その場合でも、こちらの機能で削除可能です。

予約投稿ツイートもこちらの機能で削除することが可能です。

以上

新型コロナ専門家会議が議事録を作成せず報道はミスリード:議事概要は作成、議事要旨との違い

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「新型コロナ専門家会議が議事録を作成せず」という報道がありましたが、議事概要は作成されていることに注意です。

「新型コロナ専門家会議が議事録を作成せず」報道

コロナ専門家会議、議事録「作成せず」 | 共同通信魚拓

新型コロナウイルス感染症の対策を検討してきた専門家会議の議事録を政府が作成していないことが28日、分かった。「歴史的緊急事態」に指定された新型コロナ対策の検証の妨げになる可能性がある。

「新型コロナ専門家会議が議事録を作成せず」報道は共同通信が行ったものが拡散されていますが、第一報は上記のように単に「議事録作成せず」のみでした。

第二報は少し詳しく書いています。

コロナ専門家会議、議事録作らず 歴史的事態検証の妨げに | 共同通信

新型コロナウイルス対策を検討してきた政府専門家会議の議事録を政府が作成していないことが28日、分かった。共同通信の情報公開請求に、事務局の内閣官房が回答した。議事の概要と資料は公表されているが、各出席者の詳細な発言は記されず、対策検証の妨げになる可能性がある。

 政府は3月、新型コロナ問題を「歴史的緊急事態」に指定し、将来の教訓として公文書の管理を徹底することを決定。安倍晋三首相は「適切に、検証可能なように文書を作成、保存していると認識している。今後さらなる徹底を指示する」と強調した。消極的な政府の開示姿勢に、専門家会議の委員からも疑問の声が出ている。

「議事の概要と資料は公表されている」が追加されています。

第一報だけを見て反応している人と、「詳細版も作るべき」という趣旨で発言している人に分かれているのに注意です。

そして、いずれの記事でも「政府は将来的にも作成するつもりはないと考えている」とまでは読み取ることはできません。

議事録と議事要旨と議事概要の違い

「会議の内容を記録した文書」としては「議事録」と「議事要旨」と「議事概要」などと呼ばれるものがあります。それぞれ異なるものとして扱われているものもあれば、実質的な違いが無い場合もあります。

特に民間企業における「議事録」と呼ばれるものは、発言者の記載なく、決定事項のみを記載している所が多いです。

新型コロナウイルス感染症対策本部会議の議事概要

新型コロナ専門家会議の議事録と議事要旨

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 16 回) 議事概要

新型コロナウイルス感染症対策本部のページを見ると「議事概要」という名称でリンクが貼られているのが分かります。

中身を具体的に見ていくと以下の性質が指摘できます。

  1. 発言者名を明示
  2. 発言が要約されている
  3. 発言が時系列に沿って記述されているのではない

また、政府内の文書で例えば経済財政諮問会議 - 内閣府のものだと議事要旨と議事録が公開されるようになっています。

新型コロナ対策専門家会議の議事録と議事要旨

平成 28 年第7回経済財政諮問会議 議事要旨

あくまで経済財政諮問会議のHPにおける話として、議事要旨

  1. 発言者名を明示
  2. 発言が時系列に沿って記述されている(議事の進行状況が分かる)
  3. 発言内容に本質部分の漏れはなく、文語体に統一されている

このような性質があると言えます。

同じ会議の議事録は以下です。

新型コロナウイルス対策専門家会議の議事録と議事要旨

経済財政諮問会議(平成28年第7回) 議事録

議事録は以下のように言えます。

  1. 発言者名を明示
  2. 発言が時系列に沿って記述されている(議事の進行状況が分かる)
  3. 発言内容は個性が残るようになっているが、「あー」「えー」などの間投詞までも記述するものではない

もっとも、文書を作成する組織や会議によってはこれらの内容に若干のバリエーションがあるようです。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の議事概要

では、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の「議事概要」はどうか?

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で議事録作成せず議事要旨

新型コロナウイルス感染症対策 専門家会議(第 6 回) 議事概要

新型コロナウイルス感染症対策本部の同じページに専門家会議の資料もあります。

こちらも「議事要旨」となっており、対策本部と同じ表記ですが内容が異なります。

  1. 発言者が明示されていない
  2. 発言内容が箇条書きでまとめられている

歴史的緊急事態下における行政文書の管理に関するガイドライン

関係法令・通知等 公文書管理制度 - 内閣府

【行政文書の管理に関するガイドライン】に文書作成の考え方が示されています。

新型コロナウイルス事案は「歴史的緊急事態」に指定されているのですが、専門家会議は「政策の決定又は了解をする会議等ではないため(内閣官房に確認済み)、発言者を特定できる議事録の作成はガイドライン上も要求されていません。

歴史的緊急事態に対応する会議等における記録の作成の確保>
○ 国家・社会として記録を共有すべき歴史的に重要な政策事項であって、社会的な影響が大きく政府全体として対応し、その教訓が将来に生かされるようなもののうち、国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態(以下「歴史的緊急事態」という。)に政府全体として対応する会議その他の会合(第3及び第8の留意事項において「会議等」という。)については、将来の教訓として極めて重要であり、以下のとおり、会議等の性格に応じて記録を作成するものとする。
なお、個別の事態が歴史的緊急事態に該当するか否かについては、公文書管理を担当する大臣が閣議等の場で了解を得て判断する。

① 政策の決定又は了解を行う会議等
国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態に政府全体として対応するため、政策の決定又は了解を行う会議等
(作成すべき記録)
開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者及び発言内容を記載した議事の記録、決定又は了解を記録した文書、配布資料 等

② 政策の決定又は了解を行わない会議等
国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態に関する各行政機関の対応を円滑に行うため、政府全体として情報交換を行う会議等であり、政策の決定又は了解を行わないもの
(作成すべき記録)
活動期間、活動場所、チームの構成員、その時々の活動の進捗状況や確認事項(共有された確認事項、確認事項に対して構成員等が具体的に採った対応等)を記載した文書、配布資料 等

○ なお、設置又は開催当初は政策の決定又は了解を行わない会議等であっても、その後、政策の決定又は了解を行うこととなった場合には、上記①の記録を作成するものとする。

専門家に正しく議論させるため

発言した専門家の名称が分かると専門家に対してバッシングが行くというのは容易に想像できます。テレビ等で「PCR検査をしまくれ」 などというおよそ非科学的且つ非常識な言説が振りまかれていたわけですから、それに煽られた人間が専門家の所属する大学に嫌がらせの電話をするなどの行為に出ていたことでしょう。

彼らは普段は身分保障も無い私人であることがほとんどです(多くが大学教授)。

ですから、心無い声から守る仕組みを備えて初めて専門家として議論に参加し、意見が自由に言えると言えます。

政策決定をする「本部会議」では発言者名が判明しているのですから、それで良いと思うのです。将来的な開示はともかく、今はするべきではないと思います。

もちろん、「それでも議事録を作成するべきだ」という主張は有り得ると思いますが、ならば専門家の命と身体と立場と財産を守るための術を整える必要があるんじゃないでしょうか?

今のままだと【リアリティショー】としての扱われ方がマスメディア等によって為されてしまい、誹謗中傷の嵐になるんじゃないですかね?

新型インフルエンザ等対策有識者会議|内閣官房ホームページ

なお、新型インフルエンザ等対策有識者会議のHPでは発言者もオープンになっている「議事録」が公開されています。

以上

大阪府は本当に「医療崩壊」したのか?吉村・大村知事発言とリコールについて

結論から言えば『他の自治体を「医療崩壊」などと上から目線で貶めることに一体何の意味があるの?』ということです。

愛知県大村知事「大阪は医療崩壊」

愛知県大村知事の言わんとすることがまとまっているので引用します。

大村知事「ただ単に言い訳」 医療崩壊否定の吉村知事に:朝日新聞デジタル魚拓

 新型コロナウイルスの行政対応をめぐり、大村氏は11日、「病院に入れない、救急を断るというのは医療崩壊で、それが東京と大阪で起きた。医療崩壊を起こしたら行政としては負け、何を言いつくろっても結果だ」と指摘。26日にも病院で受け入れ困難だった感染者数や救急件数などの情報公開や検証が全国で必要とし、特に首都圏や大阪圏で「大きな課題だ」と強調していた。

大村知事の言う「医療崩壊」ってどういう定義でしょうか?

発言を見ると、どうやら「①入院受け入れ可能数=病床確保数を陽性患者が超えること」「②救急を断る病院が出たこと」が「医療崩壊」を意味するようです。

 

病床確保数と入院患者・宿泊療法・自宅療法の数

入院受け入れ可能数に対する患者数について見ていきます。

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愛知県新型コロナウイルス感染症対策本部 医療専門部会を開催しました - 愛知県

愛知県の医療専門部会の第3回会議の資料(新型コロナウイルス感染症対策本部でもみることができる)ですが愛知県は病床確保数(約500)に対して入院患者はピーク時でも約200を推移しているため、この点での超過分はありません。

他方、大阪府は4月末の患者の状況を見ると宿泊療法・自宅療法を採る者が何人か出ているのが分かります。

大阪府・愛知県の医療崩壊

大阪府/第3回大阪府新型コロナウイルス感染症対策協議会の資料では4月9日に病床確保数に対する使用率が100%を超えているのが分かります。

だから大村知事に言わせれば、「大阪は医療崩壊」していると言うのでしょう。

他の自治体を貶めて自らの批判をかわそうとする大村秀章

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/333803.pdf

愛知県新型コロナウイルス感染症対策本部 医療専門部会でこのように書かれています。

善意解釈するに「愛知県が安全である」と言いたいのでしょうが、東京と大阪を引き合いに出す必要性を感じられませんし、「行政としては負け、何を言いつくろっても結果だ」などと言って他の自治体をdisる意味はどこにあるのでしょうか?

今回の発言で吉村知事や松井市長が大村知事に苦言を呈したのに対して「言い訳に過ぎない」などと言い返すことにどれだけの公益性があるのでしょうか?理解に苦しみます。

これまでの彼の言動を振り返ると、自分に対する批判をかわそうとして他を貶めているだけに見えてしまいます。

医療崩壊の意味は無く、不毛な定義問題になるだけ

大阪の3次救急、4病院が休止 コロナ重症者受け入れ―専門学会「医療崩壊の始まり」:時事ドットコム

10施設が受け入れ制限・停止 3次救急にコロナ影響―9道県「厳しい」・医療調査:時事ドットコム

急患の受け入れを制限する病院は確かに大阪府で出ていますが、愛知県でも出ています。ただ、「救急搬送の途中で受け入れ拒否をされる」というのは普段から起きている話です。『新型コロナで病院の受け入れ態勢が変化し、その影響を受けて、本来ならば救えたはずの誰かの命が失われた』という事案はいずれにおいても聞くことがありません。

結局、「医療崩壊」の意味は無く、不毛な定義問題になるだけだと思います。

私は「愛知県もダメだ」などと言うつもりでこれを書いているのではありません。

むしろ、大村知事の発言に引きずられて「愛知も医療崩壊してるじゃないか!」みたいな言い方をするのは、既に彼に毒されているから止めましょう、と言いたいです。

あいちトリエンナーレの例を出すまでもなく、大村秀章という人間は無用の争いを生み出して日本国のリソースを削ぐような発言をしてきたでしょう。

今回の発言も、ごちゃごちゃ騒ぐことによって、そういう負の効果が出てしまいます。

大村知事のリコールについて

大村知事のリコールについては昨年から言われていましたが、5月末になって高須クリニック院長の高須克弥氏が旗振り役となるようであり、これからその動きが具体化されるものと思われます。

私は愛知県民ではないので本来は無関係な話なのですが、大村知事が他の自治体に対して迷惑をかける言動をしている以上、自分のところにも影響する可能性があるため、リコール運動を応援したいと思います。

以上

「種苗法改正案が見送り」は毎日新聞の印象操作に騙されたデマ

「種苗法改正案が見送り」は毎日新聞の印象操作に騙されたデマです。

「種苗法改正案が見送り」はデマ:未定の話

 「種苗法改正案が見送り」は現時点ではデマです。

未定の話であって、今後の展開次第で流動的、と言い得るにとどまります。

毎日新聞の印象操作

自民党の森山裕国対委員長は20日、ブランド農産品種の苗木などを海外に持ち出すことを規制する種苗法改正案の今国会での成立を見送る方針を示唆した。農作物の自由な栽培が難しくなるとの懸念を野党などが示しているためで、記者団に「日本の農家をしっかり守る法律だが、どうも逆に伝わっている」と述べ、成立には時間が必要だとの認識を示した。また「国会には会期がある。まず森林組合法改正案の審議を進める」とも述べた。

毎日新聞の記事のタイトルが『断念「へ」』 となっており、記事本文で「示唆した」とする森山国対委員長の発言が「成立には時間が必要」「国会会期中の優先事項としてまずは森林組合法改正案の審議を進める」と言っているだけであり、「種苗法改正案を見送る」などとは一言も言っていないのがわかります。

「柴咲コウのツイートが原因」と言うおかしさ

この毎日新聞のストーリーに釣られて「柴咲コウのツイートが原因」と言う人たちも出現していました。そして、なぜか彼女に「謝罪しろ」と言う者も出てきました。

なぜたった1つのツイートに因果関係があると思うのでしょうか?

仮に著名人が反対のツイートをしたために法案が廃案になったとして、それについて謝罪をする必要なんてありません。なぜなら、その人は法案に反対だから発信したのであって、その願いが叶っただけなのですから。

なんというか、「他人の袴」で勝負をしようとする人たちが見えてしまったというのが今回の件で残念です。

私は種苗法改正に賛成であると明確にしておきます。

だからといって反対の意見をした者に対してそれだけでは悪感情を持つことはありません。

問題は、種苗法改正に反対する人のほとんどが捏造や誤魔化しに基づく意見、そうした意見に依拠しているということです。

種苗法改正案の問題を指摘する反対派の山田正彦が捏造フェイク

種苗法改正案は問題であるとして反対する者の急先鋒が元農水大臣の山田正彦氏ですが、彼の発言に捏造があったために掲載記事が削除されました。

にもかかわらず、山田氏は間違いを認めずに信者向けに捏造と印象操作を繰り返しています。

以上