事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

河野太郎大臣からTwitterブロックされた:公人のブロックが許容されるべき理由

河野太郎大臣からTwitterブロックされた人は数多いのですが、そうした状況を受けて「TwitterなどのSNSで公人がブロックする行為は禁止するべき」という論があります。

今回はそれに対して反論していきたいと思います。

河野太郎氏からTwitterブロックされた

私もつい最近、河野太郎氏@konotarogomameからTwitterでブロックされました。
※KONO Taro @konotaromp という英語アカウントからはブロックされていません。

心当たりがあるとすれば、イージス・アショアの配備撤回に関するものや、5月時点で河野太郎氏が読売の記事をフェイクだと指摘したことについて、「それは言い過ぎでは」という旨の見解を述べたことくらいです。

趣旨としては同じツイートなのだが…

河野大臣のアカウント宛てでなくともブロック 

同じような経験をしている方は数多く、河野大臣のアカウントに対して直接リプライや引用リツイートをしていなくとも、彼に関する否定的な見解をツイートするとブロックされているようです。

その数は数百ではきかないので、おそらく「河野大臣」「河野太郎」で否定的なワードがあれば自動的にブロックする設定なんだと思いますが、もうここまで来ると為政者としての資質を疑わざるを得ません。

竹田恒泰氏も「首相にしてはならない人物」と評するようになりました。

参考:竹田恒泰氏「河野太郎氏は首相にしてはいけない、皇統の原理を破壊する者」

なお、私は愛知県の大村秀章氏(2020年6月現在は愛知県知事)のアカウントに対してたびたび批判的なツイートをしていますが、ブロックはされていません。

河野大臣はTwitterでブロックしてはいけないのか?

さて、「ブロックをすることを人物評価の否定的な考慮要素とすること」と、「政治家・大臣がTwitterでブロックしてはいけないかどうか」、という話は別個です。

私は、河野大臣はTwitterでブロックしてはいけないなどとは決して思いません。

その理由は以下です。

  1. 河野大臣のアカウントは大臣就任前から個人アカウントとして運営、アカウントの運営は私費で行われている
  2. Twitterでしか手に入らない情報が存在しない
  3. ブロックされていようが、それは個人の権利制限ではない、ログアウト状態からでも閲覧可能

公的機関・資源による運用アカウントは原則ブロック禁止

私は、公的機関・資源による運用アカウントは原則ブロック禁止だという立場です。

なぜなら、そのようなアカウントは国民に対して情報を提供する目的でSNSアカウントを作成し、運営も公費を使っているのだから、すべての国民が閲覧できなければ不公平だからです。

たとえば防衛省のアカウントがブロックしていたら、私は非難します。

あまりにも罵詈雑言やフェイクが多いアカウントはブロックされてもやむを得ないとは思いますが、その判定は慎重になされるべきだと思います。

対して、河野太郎氏のアカウントは大臣就任前から運営されている、あくまで私的なアカウントです。とすると、この話はブロックされた相手の権利の話ではなく、ブロックするなと言われる私人の権利制限の話になります。

Twitter・SNSでしか手に入らない情報は無い

河野大臣のTwitterは、政府の情報をツイートしていることがありますが、それは既に政府において公表済みの情報です。「河野太郎氏のツイッターアカウントで発信された内容が、世の中に周知された初めての情報である」という類の情報は、ありません。

ですから、実質的に公的な運営のアカウントである、という認定も不可能です。

「ブロックするな」が法的に求められるとする論者も居るようですが、ブロックはTwitterという無料で利用できる私企業運営のサービスの一機能に過ぎませんから、それは河野太郎氏の自己決定権を侵害する許されない行為だと思います。そして、それは価値判断次元においても不当な要求だと思います。次項以降で述べることと関係します。

ツイートはネット上に存在しており、ログアウト状態でも閲覧可能

あるアカウントがあるアカウントからブロックされようとも、当該アカウントのツイートはインターネット上に存在し続けています。

ですから、ブロックされたアカウント以外のアカウント(サブアカウント)から閲覧は可能ですし、ログアウトすれば閲覧可能です。

大抵はブラウザでログインしているので複数ブラウザを同時に起動させていれば、そこまで困ることはありません。サブアカウントの切り替えが面倒、ということもありません。

そんな程度の話を、わざわざ法的な話にして裁判所のリソースを割くのって、「司法の謙欲性」の観点からもどうなの?と思います。

鍵垢で承認した人にしか情報が見えないようにしてる、という場合であっても、メルマガと何がちがうの?としか思いません。

「大臣や自治体の長は災害情報をツイートしているから~」という論者に対しては、すべて、上記までの指摘で足ります。

公的情報は住民・国民から預かった情報だからブロックしてはいけない?

公的情報の扱い方に対するスタンスとして、熊谷俊人氏のように市民から預かった情報であるから、公平に扱う、という考え方をする首長もいます。

しかし、その熊谷市長ですら、ブロックすることはあり得るとしています。

更には進んで、事実に反するツイートを自身のリプライ欄に紐づけることについて禁止し、ツイートの削除を求めることもしています。

公的アカウントのブロックはおよそ許されない(法的な意味で主張をする人と素朴な価値判断として論ずる人が混在しているが)、というならば、 こういった行為も許されるべきではない、ということになります。

公人のブロックは許されないとする人のほとんどは誹謗中傷や事実誤認のツイートに限ってはブロック可能とする構成のようですが、その場合も何が誹謗中傷で事実誤認なのかの判定が煩瑣です。

憲法上の「表現の自由」を持ち出す前に

憲法上の「表現の自由」などを持ち出すならば、ブロックされたTwitterアカウントに権利主体性が認められるのか、ブロックは公的主体による権利制限と言えるのか、民法90条の公序良俗違反なのかなどといった論点について、相当の論拠を必要とするが、未だにまともに論じている人を見たことがありません。

アメリカのトランプ大統領のTwitterブロックは違憲の裁判例

トランプ氏批判ブロック「違憲」 ツイッター「対話の場」米連邦高裁 - 毎日新聞

高裁は判決で、トランプ氏が「公的な目的」でツイッターを使っていると指摘。その上で、投稿に対するコメント欄はオンライン上の「対話の場」であり、意見の相違を理由に投稿を読んだり意見を寄せたりする機会を国民から奪うことは「差別であり違憲」と判断した。

トランプ大統領がTwitterでブロックした行為は違憲であるとするアメリカの裁判例が出ていますが、連邦最高裁でひっくり返る可能性は残っています。

アメリカの判決文や報道を詳しく呼んだわけではありませんが、ドナルド・トランプ@realDonaldTrumpのアカウントは大統領になる前から利用されてる私的アカウントを祖とするものですが、もしかしたらそのアカウントでのTwitter投稿によって初めて政府としての意思決定が世に出るような運用を一部で行っているため、実質的に「公的な目的」と認定されたのかもしれません

そこは事案の違いがあり得るように思われます。

追記:ただし、アメリカは日本と異なり「抽象的違憲審査制」があるので、「誰かの権利侵害」がなくとも違憲判断が下される制度だという点は注意

まとめ:公人のブロックは原則として許容されるべき

  1. 公人のアカウントでも私人として運営されていれば原則としてブロックを法的に違法とするべきではない
  2. 公的情報・意思決定を世の中に初めて発信するためにTwitterアカウントを使っていれば、私人運営でも実質的に公的な目的での運営と判断され、ブロックが違憲となり得る ※ただし抽象的違憲審査制が無い日本ではほぼあり得ない
  3. 公的機関運営のアカウントは誹謗中傷など違法行為が無い限り、ブロックしてはいけない

私の主張としてはこの通りです。

以上

竹田恒泰氏「河野太郎氏は首相にしてはいけない、皇統の原理を破壊する者」

竹田恒泰、河野太郎は皇統を破壊する者とツイート

竹田恒泰氏が「河野太郎氏は首相にしてはいけない、皇統の原理を破壊する者」とツイートしました。その発言の背景を整理します。

竹田恒泰氏「河野太郎氏は首相にしてはいけない、皇統の原理を破壊する者」

竹田恒泰氏「河野太郎氏は首相にしてはいけない、皇統の原理を破壊する者」とツイートしました。

これは、著述家の竹内久美子氏が「河野氏は女系天皇推しだから、だめです。」と、ポスト安倍の首相レースに河野太郎氏が浮上したとする報道についてツイートしたことに対するものです。

河野太郎氏が「皇統の原理を破壊する者」と言えるだけの材料はあるのでしょうか?

河野太郎が女性宮家に賛成と回答

「河野太郎が女性宮家に賛成している」というソースは、平成29年(2017年)の衆議院議員選挙に際して毎日新聞が候補者アンケートを取った中での問25における回答です。

第48回衆院選 自民 南関東 河野 太郎 - 毎日新聞魚拓

問25:皇族の数が減らないようにするため、皇族の女性が結婚後も皇室に残る「女性宮家」を認めることに賛成ですか、反対ですか。
回答:賛成

この設問では「女性宮家」の意味内容が公約数的なものであり、場合によっては理解できるものだと思えます。

参考:安倍政権「女性・女系天皇潰しプラン」と女性宮家、旧皇族の皇籍復帰・養子縁組の議論の経緯のまとめ

ただ、より具体的な言及が河野太郎氏自身によって行われているので、そちらも見て行きます。

「男系ではない天皇=女系天皇」の可能性を認める河野太郎

皇室の危機を回避する | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

https://www.taro.org/2016/10/%e7%9a%87%e5%ae%a4%e3%81%ae%e5%8d%b1%e6%a9%9f%e3%82%92%e5%9b%9e%e9%81%bf%e3%81%99%e3%82%8b.php

)(魚拓

2016年のブログには旧皇族の皇籍復帰に関して以下書いています。

しかし、内親王殿下、女王殿下にもご結婚の自由があり、ご結婚を強制することはできない。

また、旧宮家は1430年に即位した後花園天皇の弟貞常親王の子孫であり、それ以来、600年近く、現皇室との間に男系の繋がりはなく、その男系が皇室を継ぐことが国民的に受け入れられるだろうか。

また、仮に運よくこの方法で宮家が一つ、二つ増やせたとしても、継続的にできるわけではなく、男子が生まれる確率が多少高まるにすぎない。

その上で、男系男子による皇位継承については

こうしたことを考えれば、男系天皇を維持すべしという議論は理解できるにしても、それを具体化するための現実的な、国民に広く受け入れられるような方法はどうするのだろうか。

現実的であり、具体的な方法の議論なしに、男系天皇の維持を主張することは皇室の存続を危うくする。

男系の維持を考慮するならば、国民に広く理解され、受け入れられる具体的な方法の提示が必要である。

このように否定的な見解を示し、女系天皇の可能性について以下言及しています。 

二、男系、女系に関わらず皇室の維持を図るべき

男系の維持が困難であるならば、次善の策は、男系、女系に関わらず、皇室の維持を図るべきではないか。

そのためには皇室典範を改正し、長男継承を長子継承に改めるべきではないか。

その場合、親王殿下だけでなく、内親王殿下、女王殿下も宮家を創設し、継承順位に従って、天皇位を継承していくことになる。

たしかにこれまでの天皇家の歴史を変えることになるが、男系天皇を維持できない可能性が高く、その場合、皇統そのものが断絶することになり、その危機を回避するためには皇室のあり方を変えることもやむを得ないのではないか。

そして、次項ではそのための法規の変更について論じています。

「これは論点を紹介しただけだ」

 と理解しようとする者もおり、形式的な文章構成からはそのように理解できなくもないと思います。

しかし、その文脈を見れば、女系天皇の可能性検討に向けた論理構成をしているということもまた否定できません。

このような理解からは、河野太郎氏は、2016年の当時としては女性宮家に関しても配偶者やその子孫の皇位継承権を認めかねない考えを持っていると判断せざるを得ません。

他の河野大臣の皇室に関する考え方

皇別摂家 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

https://www.taro.org/2016/10/%E7%9A%87%E5%88%A5%E6%91%82%E5%AE%B6.php

)(魚拓

前項紹介のエントリの後に「皇別摂家」について言及するエントリがUPされてます。

皇別摂家とは、一般的に五摂家のうち江戸時代に皇族が養子に入って相続した後の近衛家・一条家・鷹司家およびその男系子孫を指します。

しかし、皇別摂家は皇族ではなく、民間人です。旧皇族ですらありません。

皇室には「君臣の別」というルールが存在します。皇族と臣下は明確に分けましょうということです。皇別摂家を皇位継承権者に含めることはこれまで無かったことであり、ルール違反です。

河野大臣は旧皇族の皇籍復帰に関して否定的な見解を述べる一方で「男系天皇の維持ということを考えれば、皇別摂家の血を引く男性にも婿入りの可能性はあるかもしれません。」と書いているのは、どうもよくわかりません。

その前に旧皇族の養子縁組なども手段としては考えられるのに、それにまったく触れていないのは議論の順番として奇妙です。

まとめ:内閣に入れるべきだが総理大臣としてはどうか

河野太郎氏は、原発政策に関して否定的な内容を河野太郎公式サイトにUPしていましたが、閣僚入りするとその内容を削除しました。内閣の方針と明らかに矛盾する内容については削除する人物ということです。

つまり、手綱を付けている限りは悪さはしない、と思われる一方、閣外に出した場合やましてや政府方針を決める総理大臣になった場合に、どのような行為に出るか、という点について不安が付きまといます。

そして、言わずと知れた「ブロック魔」でもあります。

竹田恒泰氏から首相就任について否定的な評価を受けるのも仕方がないと思います。

以上

在特会、日本第一党が公安や警察庁の調査対象団体になっているという事実

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在特会、日本第一党が公安や警察庁の調査対象団体になっているという事実について整理しました。

公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」に活動が報告

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内外情勢の回顧と展望(平成26年1月)の公表について | 公安調査庁

公安調査庁が発行している「内外情勢の回顧と展望」に在特会の活動が報告されるようになったのは平成26年からです。

「在特会」という名称は出てきませんが、明らかにそれと分かる内容です。

同時に「カウンター側」も調査対象になっており、要するに公安の調査対象になっているという点で日本共産党や「しばき隊」と同じ扱いだということです。

日本第一党も公安の調査対象

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平成28年に桜井誠氏が日本第一党という政党を作り、東京都知事選挙に出馬した際も、公安調査庁は調査結果を報告しています。

在特会は桜井氏が日本第一党での活動に軸足を移したことから、その後は活動が下火になっているようです。ネット上でも日本第一党名義での活動が多くなっています。

警察庁「治安の回顧と展望」には「在特会」が明記

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刊行物|警察庁Webサイト

警察庁「治安の回顧と展望」には「在日特権を許さない市民の会」が明記されてます。

やはり平成26年から言及されているのがわかります。

在日特権を許さない市民の会、関連団体、高田誠(桜井誠)、構成員らの主な犯罪・違法行為

在日特権を許さない市民の会の構成員の主な違法行為・犯罪行為について代表的なものを紹介します。

京都朝鮮学校公園専用抗議事件で「資金」・ヘイト規制法の立法事実を提供する形

京都地裁 平成25年10月7日判決言渡し 平成22年(ワ)第2655号

京都朝鮮学校襲撃事件は、在特会がその存在を社会的に認知されるようになった事件であり、また、その目的も「京都朝鮮学校が京都市の公園を不法占拠している状態が是正されない状況を打破する」というもので、正当性がありました。

ところが、抗議の際の言動が差別的・ヘイトスピーチに渡るものが含まれていたため、在特会とその構成員が損害賠償請求訴訟を起こされ敗訴し、トータルで約1200万円の賠償が命じられました。

これは朝鮮学校側に「資金」を提供する形になった挙げく、ヘイト規制法・条例の「立法事実(正確にはその一部である「事件」)」をプレゼントした格好になった点で非難されるべきものです。

在特会と共闘していた主権回復の会の西村修平氏は本件の方法を反省し、今後の活動方針について在特会側と折り合いがつかなくなったため絶縁していますが、まさにこの認識で活動を行っていれば、完ぺきだったのに、と思うのです。

主権回復を目指す会» ブログアーカイブ » 陳 述 書(大意)

なお、本件で桜井誠氏が差別的発言を行ったとする言説がありますが、当該発言時、桜井氏はその場におらず、裁判でも別人のものと認定されています。ただ、在特会は権利能力なき社団であると認定され、賠償責任者として在特会も含まれています。権利能力なき社団の財産は総有関係なので、代表だった桜井誠の財産でもあるから、桜井氏にも当該発言の賠償責任があるという点では変わりありません。

如何に本件が立法事実化されたのかは以下で紹介しています。

西村斉らによる「似非同和」によるロート製薬強要事件

「在日特権を許さない市民の会」と「チーム関西」の元幹部ら4名が、ロート製薬株式会社による韓国人女優キム・テヒのCM起用に抗議するとして2012年(平成24年)3月2日に同社本社を訪れ、従業員を脅迫して竹島の領有権問題およびキム・テヒ起用の是非に関する同社の見解を回答するよう求めたことにより、強要罪に問われた事件。

在特会で関西支部会計・京都支部長を歴任した西村斉は「なんで俺こういうしゃべり方やねん。親譲りやねん。ということは俺の親否定してるのか。な、俺の家同和やから俺のとこ馬鹿にしてるのか…同和教育いるんちゃうか。ここも同和教育の担当おるやろ。そんな発言したらあかんで、あんた。差別だよそれ、差別。謝りなさい、今。俺の門地に対しての差別、謝りなさい」などと朝田理論を述べ、さらに威圧する姿勢を見せました。

なお、西村氏が被差別部落出身者ではないことが後に明らかになりました。 

「似非同和」行為を働くなど、もはや関西生コンなどと同レベルの行為です。 

桂田智司らによる朝鮮総連銃撃事件

【独自入手】朝鮮総連銃撃事件 ノーカット“2分12秒”の映像が語る発砲の瞬間

在特会等のメンバーらで構成された「チーム関西」の桂田智司氏が元暴力団組員川村能教氏とともに(朝鮮総連)中央本部の門扉に拳銃を発砲したとして銃刀法違反などの罪に問われた事件。

もはややってることが暴力団じみています。

在特会・日本第一党は破防法上の調査対象団体とは別かもしれない

ちなみに公安の調査対象になっているからといって、破壊活動防止法上の調査対象団体であるかは別問題です。

破壊活動防止法上の「暴力主義的破壊活動」を行った事実がなくても、「我が国の公共の安全に影響を及ぼし得る国内外の諸動向について情報を収集・分析」していることが公安の資料で示唆されています。

実際、在特会・日本第一党の構成員が「暴力主義的破壊活動」を行ったと言えるような事実はこれまで確認できていません。

この点で言えば、日本共産党とは異なると言えます。

 

まとめ:行政や司法の「朝鮮特権の是認」が生み出した

京都朝鮮学校公園不法占有抗議事件は、京都市が長年の間朝鮮学校の不法占拠を放置し、市民からの抗議があってから朝鮮学校側に都市公園法に違反するとして設備を撤去するよう指導したが、その後も朝鮮学校の排他的利用が続くなど、実効的な対応を行っていなかったという怠慢から、市民の側から在特会に依頼があって発生しました。

行政や司法による「朝鮮特権の是認」がなければ、起こり得なかった事態です。

その結果、市民が「被害」を受けていた現実状態を動かしたという1点が、在特会時代の桜井誠の功績と言えます。事実、この事件をきっかけにネットに限らず現実世界の言論にも変化が出てきたと思います。

しかし、違法行為があったために朝鮮学校側に「資金」を提供する形になった挙げく、ヘイト規制法・条例の「立法事実(正確にはその一部である「事件」)」をプレゼントした格好となり、その後の行動もヘイト規制条例の立法事実として利用されただけです。

右派らは、西村氏のような反省をして活動を洗練させなければ、その過激な言動を捉えられて、朝鮮側に有利な材料にされるだけでしょう。

以上

バーンリーファンの男性"White Lives Matter"のバナーで解雇、彼女も解雇される

バーンリーの男性がWhite Lives Matter バナーで解雇

Jake Hepple氏のフェイスブックより:https://www.facebook.com/jake.hepple/posts/1622195737811796:0

バーンリーファンの男性が、"White Lives Matter" のバナーを掲示したことで解雇され、その彼女も解雇された、ということが報じられていますが、日本に歪められて情報が伝播する前に報道内容を整理します。

マンチェスターシティvsバーンリー戦でWhite Lives Matter のバナーが飛行

Burnley's Ben Mee ashamed of 'White Lives Matter’ banner flown over Etihad | Football | The Guardian

前提として、マンチェスターシティvsバーンリー戦で"White Lives Matter Burnley!"という飛行バナーが、スタジアムの上空に掲げられたという事実がガーディアン紙によって報道されています。

このバナーが掲示された場面が問題でした。

両チームがBLMアクションをしている最中の出来事

Burnley's Ben Mee ashamed of 'White Lives Matter’ banner flown over Etihad | Football | The Guardian

The plane flew over Manchester City’s stadium shortly after the players, coaching staff and match officials had taken the knee in support of the Black Lives Matter movement.

両チームの選手・スタッフ、スタジアム関係者らがBLMムーヴメントのために膝立ちをしている直後に掲示された、ということのようです。

フットボール界隈のレベルでは、"White Lives Matter" というメッセージそのものが否定された事案であるとまでは言えません。

マンチェスターシティのグアルディオラ監督もこの件で"All Lives Matter"と言っているように、少なくともスポーツの現場レベルでは、白人が軽視されるべきという価値観が語られた事件ではありません。

バーンリーファンの男性が解雇

Burnley fan responsible for 'white lives matter' stunt sacked from his job | UK News | Sky News

ところが、このバナーの掲示をしたJake Hepple=ジェイク・ヘップルというエンジニアの24歳の男性が、雇われている会社「パラダイムプレシジョン」から解雇されたとスカイスポーツが報じています。

警察の弁として、何らかの犯罪行為が行われたことは無いと結論付けられています。

ところが、ジェイク・ヘップルを雇用していた会社は、「男性の行為はわが社のさまざまなポリシーや手続きに違反があったと結論付けました」とだけ報じられており、詳しい話は分かっていません。

男性の行為が会社の資源を用いて行われたからなのか、単に行為だけを取り上げて処分が行われたのかはわかりません。パラダイムプレシジョンの公式HPからは、同社の事業が航空機部品の製造業であることは分かるのですが、どういうポリシー違反なのかは不明です。

たしかに彼の行為は「場違いな行為」ではあるものの、それがなぜ会社の雇用に関係するのか、それも解雇に値する行為として評価されてしまうのか、まったく理解できません。

そして、この報道では、同時に彼の彼女も「SNS投稿によって解雇された」とありますが、他の報道によれば、男性の行為とは無関係の話であることが分かります。

男性の彼女が解雇「バーンリーはまるで外国」投稿が原因

f:id:Nathannate:20200628110538j:plain

1984: Girlfriend of man behind "white lives matter" banner FIRED from her job | Times of Sweden | Your home for #RealNews

ジェイク・ヘップルのガールフレンドであるMegan Rambadt が美容室から解雇されたのはTwitterで「バーンリーの中心はまるで外国のようだ」とツイートしたことがきっかけだと報道されています。

後日談として、「"GoFundMe"で彼と彼のガールフレンドのために資金を集めるキャンペーンが開始されましたが、当該ウェブサイトは「違反した利用規約」のためにキャンペーンを削除した」と報道されています。

なんとも後味の悪い話ですが、これで両者は生活のためのお金に困ることになり、まさに"White Lives Matter"なわけです。

記事表題にある"1984"というのはジョージ・オーウェルの小説の名前で、全体主義社会となった未来のディストピアを描いた作品で、今回の事件を「1984のようだ」として皮肉っています。

ケンブリッジ大学の女性講師"White Lives don't Matter"は解雇されず

バーンリーの事件がある中で、 ケンブリッジ大学のPriyamvada Gopal氏が以下のツイートをしているのに、どうして彼女は解雇されないのか?という疑問を呈するツイートに賛同が集まっています。(「このために昇進した」という指摘が事実かは未検証です。)

f:id:Nathannate:20200628112330j:plain

"White Lives Don't Matter. As shite lives"

これは強烈に非難を受けたためか、彼女は当該ツイートを削除、代わりに直下のリプライに対して以下のツイートをしました。

「もちろんオールライブスマターであり、ホワイトも、彼らのやり方で生きています」「前述のツイートの意味するところはこういうことです」という感じの意味ですが、なんとも誤魔化し感がぬぐえません。

少なくとも非常に不注意な言動でしょう。

ケンブリッジ大学は以下ツイートで「合法的な意見の表明をする権利を当校は守ります」などと、意味深なタイミングで一般論を展開しています。 

もちろん、私は彼女が解雇されるべきとは思えませんし、この程度の表現が認められなくて、表現の自由はあり得ないと思います。

しかし、ならばバーンリーの男女の事例はいったい何なのか。

イギリス社会のダブルスタンダードが表出している事案だと思います。

ロザラムやブリストルの事件の温床

英少女1400人性的暴行―訴え続けた女性の闘い - WSJ

13歳少女らをたらい回し、ソマリア系性暴力集団に有罪 英国 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

イギリスでは「ロザラム事件」のように、移民が組織的な性犯罪を行っていても現地警察が検挙せずに放置されていたという問題があり、しかも同様の事件が複数の都市で発生しています。

White Lives Matterに関するイギリス社会のこのような態度が国内治安を悪化させていると思うのですが、左派集団の声が大きいようで、混乱は続きそうです。

以上

「次亜塩素酸水は有効」とメディア「空間噴霧は非推奨」を隠蔽して報道

6月26日、経産省・厚労省・消費者庁が合同で除菌剤の有効性評価を行った結果を発表しましたが、メディアが「次亜塩素酸水は有効」という言葉だけを報道し、「空間噴霧は非推奨」であるとしたことを隠蔽しています。

次亜塩素酸水の空間噴霧は非推奨

f:id:Nathannate:20200626205213j:plain

厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました (METI/経済産業省)

新型コロナウイルスに有効な界面活性剤及び次亜塩素酸水を公表します(最終回) (METI/経済産業省)

  • 人が吸入しないように注意してください。人がいる場所で空間噴霧すると吸入する恐れがあります。
  • 空気中の浮遊ウイルスの対策には、消毒剤の空間噴霧ではなく、換気が有効です。

はっきりと、次亜塩素酸水の空間噴霧は非推奨であると明記してあります。
(安全性評価はしていないとも明記しているが、つまりは安全であるという確認が取れていないという事。安全であるという主張立証責任が空間噴霧推奨側に課せられている)

次亜塩素酸水だけでなく、今回検討された他の除菌製品のすべてにおいて非推奨です。

しかし、一部メディアはこの点を隠蔽して報道しています。

メディアは「空間噴霧は非推奨」を隠蔽して報道

「次亜塩素酸水」は有効、NITEが発表|TBS NEWS (魚拓

新型コロナウイルスに対する消毒効果の有無が議論になっていた「次亜塩素酸水」について、製品評価技術基盤機構=NITEが、一定濃度以上で十分な量を使用すれば有効であるとする検証結果を発表しました。

 「次亜塩素酸水」は、消毒液が不足する中、アルコールの替わりになるものとして利用が広がってきましたが、有効性についてのデータがなく、NITEが実際のウイルスを使用して調査を行ってきました。

 NITEによりますと、次亜塩素酸水は35ppm以上の濃度があれば、20秒後に99.99%以上のウイルスが死滅したと認められました。ただし、消毒する際に、まず表面の汚れをよく落とし、十分な量を使用する必要があるといいます。

 一方で、今回の調査では、安全性についての検証は行っていないとしています。

新型コロナの消毒に次亜塩素酸水は「有効」政府の委員会が結論 - ライブドアニュース(魚拓

これらの報道は、「次亜塩素酸水は有効」とだけ報じ、どういう場合に非推奨なのかを明示していません。次亜塩素酸水の空間噴霧を広めることで利益を得ようとする団体におとって都合の良い報道である反面、日本国民の生命身体に対して危険を与える有害な報道だと思います。

空間噴霧でなく、「流水でかけ流すとき」「拭き掃除」の場合には有効だということが確認されたということです。

他方で、NHKは「空間噴霧は非推奨」である旨も併記しており、これが今回の件について、本来報道されるべき内容です。

「次亜塩素酸水 一定濃度以上 十分な量使用で効果」経産省など | NHKニュース

一方、人がいる場所で空間に噴霧すると、吸入してしまうおそれがあるとして、人が吸入しないよう注意を呼びかけるとともに、空気中のウイルス対策には、消毒剤の噴霧ではなく、換気が有効だとしました。

特に人体に付着したウイルスの除去や感染予防を目的とする場合には、医薬品、または医薬部外品としての承認が必要ですが、現時点で、空間噴霧用の消毒剤として承認が得られた製品はない、ということです。 

「次亜塩素酸水」は多義的、空間除菌製品は成分表示がいいかげんな商品が溢れ

f:id:Nathannate:20200626205931j:plain

空間除菌を謳う商品は成分表示がいいかげんなものが溢れかえっています。

上記画像がその例です。「安定型複合塩素」って何でしょうか?

それが人体への使用が禁止されている「次亜塩素酸ナトリウム」だったらどうするんでしょうか?

一般に「次亜塩素酸水」と言うとき、その意味内容は多義的であり、国も【塩酸又は食塩水等を電解することにより得られる水溶液次亜塩素酸(HCLO)を主成分とする電解水】という公約数的理解を示しているだけです。

そのような認識がある中で、たとえ「次亜塩素酸ナトリウム」は除外したとしても、単に「次亜塩素酸水」とだけ書かれている製品は、その成分が不明であり、人体への安全性や、ウイルス対策の有効性に関して消費者の判断を誤らせる状況なので、注意喚起がなされています。

 「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)令和 2 年 6 月 26 日現在 経済産業省、消費者庁、厚生労働省

除菌製品の学校現場での空間噴霧に注意

除菌製品の空間噴霧についての案内は以下のように変遷しています。

6月上旬まで⇒「次亜塩素酸を含む消毒薬の噴霧については、吸引すると有害であり、効果が不確実であることから行わないこと」

参考:社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について

6月16日⇒事実上、有人空間への次亜塩素酸の空間噴霧をする場面がありうるかのような表現

参考1:学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」 魚拓1 魚拓2

参考2:新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第二弾) (METI/経済産業省) 魚拓1 魚拓2

6月26日⇒次亜塩素酸水含む、あらゆる除菌製品の空間噴霧の有効性について非推奨と明言

参考1:厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました (METI/経済産業省)

参考2:新型コロナウイルスに有効な界面活性剤及び次亜塩素酸水を公表します(最終回) (METI/経済産業省)

「空間除菌」はまったく有効ではないし、学校現場では子どもの生命身体への安全も考えればあり得ないのですが、一時期にせよ、国民に危害を与えかねない案内になっていたことは深く憂慮すべき事態だったと言えます。

次亜塩素酸噴霧を推奨する民間団体が騒いでいるようですが、そういう利益集団に科学が負けてはなりません。

非科学的な「空間除菌」

次亜塩素酸水とは何か 空間除菌は可能なのか - 左巻健男|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

「次亜塩素酸水」の普及目指す団体に、噴霧反対の医師や科学者が苦言

「ウイルスに効くなら基本的に人体にとっても有害」「接触感染・飛沫感染ルートの新型コロナ対策に空間除菌というのは手段がずれている」といった指摘が専門家から出ています。

こうした状況で何らかの除菌製品の空間除菌・噴霧を推奨する団体・個人は、非科学的態度であり、PCR検査を無制限に行えとする人間と何ら変わり在りません。

以上

受信契約義務を認めずNHK敗訴、イラネッチケーテレビを「受信設備とは言えない」

イラネッチケーを取り付けたテレビが「NHK放送を受信できる設備とは言えない」として、受信料債権の発生を主張するNHKが敗訴しました。

受信契約義務を認めずNHK敗訴、掛谷英紀教授も歓喜

契約義務認めず、NHK敗訴 視聴不可テレビ設置―東京地裁:時事ドットコム

判決によると、女性はNHKによる受信料の強制徴収に批判的な意見を持っていた。インターネット上で、筑波大准教授がNHKの信号だけを減衰させるフィルターを開発していることを知り、連絡。2018年10月、准教授が代表理事を務めるNPOからフィルターを取り付けたテレビを3000円で購入し、自宅に設置した。
 NHKは、フィルターを取り付けたとしてもテレビの構造上、NHK放送を受信できる機能が備わっており、復元も容易だと主張。女性は受信契約の締結義務を負っていると訴えていた。
 小川裁判長は、女性が設置したテレビを「NHK放送を受信できる設備とは言えない」と指摘。復元するのも困難だとして、NHKの主張を退けた。その上で、「受信契約締結義務を負うと認めることはできない」と結論付けた。

筑波大准教授(掛谷英紀)が開発した「NHKの信号だけを減衰させるフィルター」

これはイラネッチケーという商品名であることは有名な話です。

イラネッチケーテレビを「受信設備とは言えない」と初判断

今回の判決は、【イラネッチケー】を取り付けたテレビを「NHK放送を受信できる設備とは言えない」と初めて判断したという点に重要性があります。

これまでの経緯は以下でまとめていますが、実は同様の判決はこれまで存在していませんでした。次項でも少し解説します。

受信設備の設置の外形的事実が原則

東京地方裁判所平成28年7 月20日 平成27年(ワ)第26582号では以下判示しています。

 放送法及び本件規約が受信設備の「設置」という外形的事実を基準として,これに当てはまる者に放送受信契約の締結を義務付け,その者が原告の放送を実際に視聴するか否かにかかわらず,等しく受信料の支払義務を負担させるものとしていることに照らすと,本件規約9条が定める同契約の解約の要件に当たるか否かについても,同様の外形的事実を基準として判断すべきものと解するのが相当である。

 被告は,本件工事を行ったことにより,本件受信機で原告の放送を受信することはできない状態にあると主張するが,被告の主張によっても,被告の自宅に原告の行う地上系によるテレビジョン放送を受信する機能を有するデジタル放送対応テレビが設置されているという外形的事実に変わりはなく,被告が本件工事の施工を依頼した者に復元工事を依頼するなどして本件フィルターを取り外せば,本件受信機で原告の放送を視聴することができるのであるから,本件フィルターが取り付けられたことにより原告の放送のデジタル信号が遮断されて現に原告の放送を視聴することができない状態にあるとしても,これをもって,被告が「受信機を廃止すること等により,放送受信契約を要しないこととなった」ということはできない。
 したがって,本件解約届の提出によって本件契約が解約されることはなく,被告は平成28年3月分の受信料の支払義務を免れない。

これはあの「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏が債務不存在確認訴訟を起こした事例です。

この東京地裁判決は「受信機の設置」の有無という外形的事実を基準に契約義務の発生或いは解約の成立を判断するとして、イラネッチケーを取り付けて現実に視聴できなくても復元できれば視聴可能だから「受信設備の設置」は未だ継続していることになる、と言っています。

逆に言えば、「復元できなければいいんじゃね?」という抜け道が見えた判決でもあるのです。

イラネッチケー設置方法:取り外しが容易か

立花氏もそのように考え、平成28年8月29日に再度、債務不存在確認訴訟を東京簡易裁判所に提起しました。訴状の中で次のように処置を施したと書いています。

原告が、平成28年8月27日に原告現住所に設置した「テレビ2」は、被告の放送だけを遮断する機能を有したカットフィルタ(以下「イラネッチケー」と言う。)が、アンナナ入力端子から取り外し出来ないように、強力な接着剤と、一度締め付けたら緩めることが出来ないボルトで取り付けられていますこの取り付け方法は、もしイラネッチケーをアンテナ入力端子から取り外そうとした場合、「テレビ2」の入力端子がつぶれてしまい、「テレビ2」は、被告の放送も民放の放送も受信出来なくなる(部品取り替え修理をしないとすべての放送の受信が出来ない程度の故障になる)ように取り付けられています。

魚拓:http://archive.is/dd3yA

取り外しが容易か否か」 という基準は、いろんな法律の解釈の場面で登場しますので、このロジックはまともなものであると言えます。

結局この訴訟は平成29年1月19日に債務は不存在であるという判決になったのですが、判示は以下のようになっています。

NHKは裁判で債務が存在しないことを争わないと主張していることをもって、原告(立花)の法律上の地位の危険や不安が終局的に除去され、裁判所が容認判決をせずに訴訟を終了させても、将来に禍根を残すことがないとまでは言えない。よって、原告(立花)の本件訴えは適法である。

これは民事訴訟の構造が分からないと理解できません。

まず、この裁判の中でNHKは立花氏に債務は存在しないことは認めていましたしかし、そもそも裁判をするようなことではないため、訴えは訴訟要件を充たさず却下(門前払い)されるべきだ、と主張していたのです。

上記の判示も、立花氏の訴訟が訴訟要件を充たしているかどうかについての判断をしているだけであり、取り外そうとすると受信機が壊れるようにイラネッチケーを取り付けたことが「受信機の廃止をすること等」にあたるかどうかは判断していません

これはNHKの戦略だったのだろうと思います。

NHKとしては「イラネッチケーを取り外し困難な程度に固定すれば大丈夫か」を争点にすると、その点が認められた上で敗訴する可能性がある、という認識だったことが伺えるからです。

今回の判決は、このようなNHKの逃げも許さなかったという点で、新規性があります。

取り外しが容易でなければ「視聴可能性」なし

さらに言えば、今回の判決は、NHKの受信料債権が生じるための条件についての前提も関係しています。

東京高等裁判所 平成23年(ツ)第221号 放送受信料請求上告事件 平成24年2月29日

受信料債権は、現行法上、私人間の契約に基づく債権と構成されておりー中略ー受信料とは文字どおり受信(視聴可能性)の対価であり、受信と受信料に対価性があることは明白である。

 受信料債権が何によって発生するかを判示した判決ですが、「電波を受信したこと」 でもなく「現実の視聴」でもなく「視聴可能性」との対価であると言っています。

ですから、テレビを設置している世帯自体にNHKの電波が届いていようが、テレビ自体に視聴可能性がなければ=イラネッチケーを取り外しが容易ではない程度に取り付けていれば、受信料債権は発生しないということが予想されていました。

そして、今回はその通りになりました。きわめて論理的な結末であると言えます。