事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

菅義偉公式HP「集団就職」が削除「家出同然で上京」と変更、嘘だったのか?

菅義偉の集団就職は嘘で家出同然で上京

菅義偉公式HP

菅義偉公式HPのプロフィール欄から「集団就職」の語が変更されていました。

菅義偉公式HP「集団就職」

菅義偉集団就職

菅義偉公式HP

菅義偉公式HP すが義偉物語の魚拓(2019年4月16日時点)

2019年までの菅義偉公式HPでは、「集団就職」で上京したと明記されています。

現在は「家出同然で上京」

プロフィール すが義偉物語/内閣官房長官・衆議院議員 菅(すが)義偉

現在のHPでは、「家出同然で上京」に変更されています。

集団就職は嘘ではないのか?

菅義偉集団就職は嘘?

菅義偉公式HP

プロフィール 菅義偉を語る人々/内閣官房長官・衆議院議員 菅(すが)義偉

支援者の弁を紹介しているページでは、現在でも「集団就職で上京」というコメントが残っています。一応これも魚拓

とすると、やはり嘘ではない、ということなのでしょうか?

「集団就職」の用語法の問題?

これは私の予測なのですが、「集団就職」というのが、単なる俗称として使われているのであれば、菅義偉議員がそうであったと言っても何ら嘘ではないと思います。

これが「制度化されていたもの」という意味であるとすれば、それはもしかしたら菅義偉議員の場合は異なっていたのではないか?

どうやら、労働省の指導で「集団就職列車」の名称の列車が運行されていたようですが、菅義偉議員がこれに乗っていたとして、果たしてこの制度上の集団就職の一環として就職したのかどうか。

そういう考慮もあって、プロフィール欄からは「集団就職」の語を消したのかもしれません。

※追記

或いは、「集団就職した」と言うと、「貧しい家だったから仕方なく…」というニュアンスが感ぜられるため、そのような印象を与えることを避けたのかもしれません。

文春の記事では菅議員が明確に集団就職したと話していることが書かれていますし、そのこと自体に間違いは無いという認識だと思います。

以上

ドコモ口座詐欺事件の原因まとめ:連携銀行口座があれば被害者になりうる

ドコモ口座事件

不審な引き落としが無いか確認しましょう。

ドコモ口座詐欺事件まとめ

ドコモ口座事件とは【身に覚えもないのにドコモ口座が自分の銀行口座番号で勝手に開設されて、口座から預金を引き落とされる(ドコモ口座に口座振替される)被害が発生した事件】と言えます。

  1. ドコモ口座と連携している銀行に口座を持っている
  2. その銀行が当該サービスの認証に際してオンラインバンクの認証方法を採っていない
  3. ユーザがSMSによる二段階認証を使っていない

まとめると、こうした条件が合わさった場合に被害者となりうると考えられます。

刑法上は詐欺罪や偽計業務妨害罪に該当し得ると思います(詳しく検討はしてませんが)

ドコモ口座事件については、「7Payおじさん」として解説に奔走した澤田翔 氏が書いた「ドコモ口座」不正利用、新たな犯罪を許す銀行のセキュリティの大問題 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンラインが最も詳細です。

誰でも被害者になりうるドコモ口座事件

  1. ドコモ口座を開設していなくても(開設した覚えが無くても)被害にあう
  2. ドコモと契約していなくとも被害にあう
  3. 携帯電話を持っていなくとも被害にあう
  4. ドコモ口座と連携している銀行には口座を持っていない⇒大丈夫

このように、誰でも被害者になりうるドコモ口座事件ですが、連携銀行に口座を持っていなければ、今回の一連の被害にはあわないことになります。

また、銀行によっては連携の際の認証方法が厳格であるために被害が起こりにくい銀行もあります。

どの銀行が被害を受けたのか:主に地銀

ドコモ口座と連携している銀行といっても、口座開設の際の認証方法はそれぞれ異なるようです。

「ドコモ口座」不正利用、新たな犯罪を許す銀行のセキュリティの大問題 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

今回の七十七銀行、中国銀行ともに口座番号と暗証番号のみでネット口振の設定ができる金融機関であったことから、犯罪者に狙われてしまったものと思われる(三井住友銀行など一部の金融機関は今でもオンラインバンキングの認証方式のみを許可しており、安易な認証は導入されていない)。

今回、被害者は地方銀行に口座を持っている者が多いようで、大手銀行は比較的安全かとは思いますが、それでも被害が発生していないかの確認はしておいた方がいいでしょう。

現在は新規登録をすべて停止

現在は連携している35の銀行全てで当面、新規登録を停止しているようですが、被害を受けたことに気づいていない者もまだいると思われ、今後、被害者と金額は増えると思われます。

ドコモ口座事件を悪用した更なる詐欺が発生する予感

「あなたの銀行口座がドコモ口座から引き落とされてしまいました、つきましては…」

みたいな詐欺メールがくる可能性があります

(既に発生しているというツイートも散見される)

金融庁報告事案

「ドコモ口座」不正引き出し、昨年5月にも りそな銀で同じ手口 教訓生かされず? - 毎日新聞

NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」で提携する銀行口座から不正に預金が引き出された問題で、2019年5月にも同様の不正被害があったことが9日、明らかになった。ドコモはその後も本人確認を厳格化する対応をとっていなかった。今回の問題では本人確認の甘さが指摘されており、過去の教訓が生かされなかった可能性がある。

中略

ドコモは、対策として銀行口座から1カ月の間に入金できる金額の上限を引き下げた。だが、本人確認を厳格化する対応はとらなかった。ドコモ口座を巡る問題では、口座を開設する際や銀行口座をひも付ける際の本人確認の甘さが指摘されており、当時もこうした不備を突かれた可能性がある。当時の対応についてドコモは、「銀行と協力をして改善を図った」(広報部)とコメントしている。

この事件ではりそな銀行から引き落としがなされたため、りそな銀行によるドコモ口座開設を停止したようですが、本人確認の強化はしてこなかったようです。

こんなもの、金融庁報告事案でしょう。

ドコモと銀行、どちらが悪いのか?

ドコモと銀行の契約関係で言ったら【圧倒的に銀行が悪い】でしょう。

ドコモは銀行が適切に認証する事を期待してるからこそ身分証明書不要のサービスにしたんでしょうから。また、口座番号と暗証番号の入力画面は、銀行側の画面に遷移していたはずです。

今回、同一の暗証番号に対して口座番号を総当たりで試すという「逆総当たり攻撃」によってセキュリティが破られたようですが、この仕組みについては澤田翔 氏が以下指摘しています。

一般に銀行では暗証番号を連続して数回間違えると動作がロックし総当たり攻撃を防ぐ仕組みが導入されている(FISCという金融機関向けのセキュリティルールで定められている)。銀行のATMで暗証番号を連続して間違えるとカードが使えなくなるのもこの仕組みが働いているからだ。
 これはキャッシュカードのように攻撃者がIDを指定できない場合はよいが、今回のネット口振のように口座番号が入力できるシステムである場合、同一の暗証番号に対して複数の口座を連続して試す「逆総当たり攻撃」が可能で、これに対する防御は難しい。もし逆総当たりで銀行口座を凍結させてしまうと、凍結の仕組み自体を悪用してオンラインバンキングを機能不全に陥れることができてしまうからだ。そこでGoogleなどのネット大手ではAIを活用した振る舞い検知で逆総当たり攻撃を防いでいるが、そうした仕組みを地方銀行が導入するのは時間がかかるだろう。

なので「逆総当たり攻撃」が実行されうる入力フォームであること自体は仕方がない。

(AIを利用した不審な操作の検知というのは、「ロボットではありませんか?」にチェックを入れる、「車の画像を選択してください」と画像をクリックさせるなどのアレ)

ドコモの法的責任もある

しかし、一般国民の目線からは『どっちも悪い』です。

ドコモは銀行側がどういう認証方法を採ってるのか確認せずに(或いは放置して)サービス作って連携させたってことですから。しかも昨年のりそな銀行の件があったにもかかわらず。

マネロンの温床を作っていることでもあり、社会的にも問題のある手続方法でしょう。

ドコモは銀行と協議したうえで全額補償するようですが、責任の振り分けかたをどうするべきかは難しいところだと思います。

テレビメディアはドコモ口座事件を報道するのか?

さて、テレビメディアはドコモ口座事件を報道するのでしょうか?

一部は朝のワイドショーで放送していたようですが、多くはスポンサーにドコモがいるでしょうから、どうなんですかね?

事件の構造の詳しい解説はとりあえずは不要で、まずは自分が被害にあっていないか確認させるよう、事件の存在そのものを周知させるべきだと思うのですが。

以上

菅直人「中国漁船船長釈放の指示はしていない」⇒福島原発の海水注入中止も似たような論調

菅直人総理大臣の中国漁船船長釈放の指示はしていないという論調

菅直人元総理大臣が在任中の中国漁船船長釈放事件について「指示はしていない」とツイートしてますが、福島原発の海水注入中止も似たような論調であったことを思い出す必要があるでしょう。

菅直人「中国漁船船長釈放の指示はしていない」

当時総理大臣だった菅直人は、「中国漁船の船長釈放の指示はしていない」と主張。

これは前原誠司氏の証言の報道を受けてのことです。

仙谷由人、前原誠司による菅直人総理大臣の指示の証言

2013年の仙谷氏の証言は①菅総理⇒②仙谷官房長官⇒③法務・検察当局というルート

2020年の前原氏の証言は①菅⇒②外務省⇒???⇒③法務・検察当局???というルートが証言されました。

「間に別の人物・機関を介在させた、法的権限の行使ではないから指揮権発動では無くなる」というのは【法の潜脱】以外の何物でもなく、「直接指示はしていない」からといって非難されない事にはなり得ません。

福島第一原発への海水注入中止も「直接指示はしてない」が

菅直人が安倍晋三へ名誉毀損で民事訴訟を提起していた中で、「福島第一原発への海水注入中止指示の有無」が争点になりました。

東京高裁平成28年9月29日判決平成28年(ネ)第25号

最高裁第三小法廷平成29年2月21日決定平成28年(オ)第1866号平成28年(受)第2347号

当該争訟の全体をまとめると、「菅直人氏の完全敗訴」です。

具体的には、海水注入中止指示を惹き起こした菅直人氏の間違った判断がなされたこと、菅直人氏側の虚偽公表が認定され、また、安倍晋三氏が虚偽の内容を主張したとは一言も触れられておらず、名誉毀損は不成立とされています。

最高裁は上告受理の申立を受け付けないという決定ですので、中身の話はありません。東京高等裁判所の判決文に、認定された事実関係が載っています。

武黒フェローらに海水注入中止の意向である態度を取った

菅直人、海水注入中止の指示

高裁判決では以下認定されています。控訴人=菅直人総理大臣なので、わかりやすいように以下そのように表記を変更して引用します。

3月12日の時点において、1号機の原子炉を冷却することが最も重要な要請であり、淡水が枯渇した場合にはすみやかに海水を注入する必要があったことから、政府から海水注入の指示を受けた東京電力がその作業を進めていたところ、海水注入の判断について菅直人総理大臣の了解を得ようとして開催された本件会議の席上において、菅直人総理大臣が、その場面では本来問題にする必要のなかった再臨界の可能性を強い口調で問題にしたことから、会議の参加者が菅直人総理大臣は海水注入を了解していないと受け止め、そのため、東京電力も開始した海水注入について中断する旨の誤った決断をしたというのであり、菅直人総理大臣が本件会議において内閣総理大臣としてのある判断を示し、その判断が東京電力による海水注入中断という誤った決断につながったという意味において、菅直人総理大臣の「間違った判断」があったと評価されるのはやむを得ない。したがって、菅直人総理大臣の「間違った判断」があったとする意見・論評の前提となる事実については、その主要な部分について真実と認められるというべきである。

吉田所長に直接電話で海水注入中止の指示をした(実際は吉田所長の判断で中止されなかった)のは武黒フェローと東電本店ですが、その指示につながったのは総理大臣としての菅直人の言動であったということが認定されています。

これは「真実性」が認定されたのであり、「真実相当性の誤信」が認定されたのではありません。

判決文のそれ以前の記述では、より具体的な会議の状況について証言が紹介されています。

菅直人こそ「総理の忖度」が問題:メディアはまったく指摘せず

このように、「菅直人総理大臣」の言動こそが「総理の忖度」が問題視されてしかるべき話であるにもかかわらず、メディアは一部を除いてまったく指摘していません。

安倍総理に対しては森友学園の関連でその点について粘着していたのに。

以上

仙谷由人,中国漁船の船長釈放は菅直人総理の意向を受けて働きかけをしたと認めていた

故・仙谷由人氏が、中国漁船の船長釈放は菅直人総理の意向を受けて要望したと認めていました。

仙谷由人、中国漁船の船長釈放は菅直人総理の意向を受けて働きかけをしたと認めていた

中国漁船衝突事件の船長釈放、仙谷元官房長官「法務次官に要望」認める(1/2ページ) - 産経ニュース

尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で平成22年9月に起きた中国漁船衝突事件をめぐり、仙谷由人官房長官(当時)が、菅直人首相(同)の意向も踏まえ、公務執行妨害で逮捕された中国人船長を釈放するよう法務・検察当局に水面下で政治的な働きかけを行っていたことが23日、分かった。仙谷氏が同日、産経新聞の取材に応じ、認めた。

 仙谷氏は、衝突事件と同時期に大阪地検特捜部による証拠改竄(かいざん)事件が発覚したことで大野恒太郎法務事務次官と面会することも多くなったことから、「次官とはいろいろ話をした。私の政治的な判断での要望については当然、話をしたと思う」と述べた。

当時官房長官だった故・仙谷由人氏が、中国漁船衝突事件の船長釈放は、菅直人総理大臣の意向を受けて法務・検察当局に働きかけをしたと認めていました。

この報道、2013年のものですよ。

時事通信も報じていたようだが

仙谷由人、中国漁船衝突事件の船長釈放は菅直人総理の意向を受けた

仙谷氏、尖閣漁船衝突事件で「釈放」働きかけていた: J-CAST ニュース

2010年発生した尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で、当時の仙谷由人官房長官が菅直人首相の意向を受け、逮捕された中国人船長の釈放を働きかけていたと2013年9月23日、報じられた。仙谷氏が時事通信のインタビューで明らかにし、産経新聞も24日、同様の内容を報じた。

時事通信も仙谷由人氏のインタビューをして産経に先行して報じていたようですが、現在時事通信で検索しても当該記事は見当たりません。yahooの記事はとっくに削除されており魚拓も残っていませんでした。

別媒体の記事は例えば以下です。

「船長釈放へ当局と調整」=仙谷元長官、政治関与を証言―尖閣沖漁船衝突事件

前原誠司の証言が初ではない

2020年9月8日に前原誠司氏が「船長釈放は菅直人総理大臣の指示だった」と暴露しており、「こういう認識を公言した当時の政権関係者は初めて」のような言説が広まっているのが私にとっては物凄く不思議です。

松井孝治氏ですら知らなかったくらいに、報道がまったくなされていなかったということであると理解するべきなのかもしれません。テレビ番組で放送されていなければそうなるのかもしれません。

そうすると、この話はもう一つの論点として、既存のメディアによる「このような傾向の情報を忖度して報道しない」体質が浮き彫りになったという点が大いに語られるべきなんだろうと思います。

というか前原氏も産経と時事通信の報道は知らなかったのだろうか?

それとも、本人が言っていたというのは誤報だったとでも言うのでしょうか?産経と時事通信の2社が報じているのに?

※追記

前原誠司氏の証言では、菅直人総理が外務省幹部らに直接「釈放しろ!」と言ったとあり、この点が初めて明らかになった部分です。

つまり、2013年の仙谷氏の証言は①菅総理⇒②仙谷官房長官⇒③法務・検察当局というルートだったのが、2020年の前原氏の証言は①菅⇒②外務省⇒???⇒③法務・検察当局???というルートで、若干異なります。

しかし、いずれも検察庁法上の指揮権発動を潜脱するために間に介在する人物・機関が異なるだけであって、菅直人総理の意向が反映されたという点は同じであって、殊更に分ける必要性を感じません。

むしろ、ここでは検察による釈放の判断に影響を与えたことが重要であるにもかかわらず、2020年の前原氏の証言は外務省幹部への菅直人総理の働きかけであって、その後の法務・検察へのルートが定かではありません。

以上

大麻所持で逮捕の伊勢谷友介「大麻で人生崩壊するのは難しい」とツイート

伊勢谷友介、大麻で人生崩壊するのは難しい

大麻所持で逮捕の伊勢谷友介氏ですが、関連する法規と報道について。

伊勢谷友介「大麻で人生崩壊するのは難しい」とツイート

伊勢谷友介氏は「大麻で人生崩壊するのは難しい」とツイートしていました。

これが「ブーメラン」だとか「矛盾」だとか言っている人がいますが、少なくとも今現在、彼の人生が崩壊しているとは言えないのではないでしょうか?

 

大麻取締法での所持・使用の容疑

大麻取締法

第三条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

第二十四条の三 次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役に処する。
一 第三条第一項又は第二項の規定に違反して、大麻を使用した者

伊勢谷容疑者は自宅を捜索されて大麻所持の現行犯で逮捕され、吸引具も見つかっていることから、大麻取締法24条の2の大麻所持の罪に問われるでしょう。

※「使用」については「研究のための使用」が大麻取扱者以外の者は禁止されているのであり、一般的に禁止されているのではありません。

薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律

薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律

第一条 この法律は、薬物使用等の罪を犯した者が再び犯罪をすることを防ぐため、刑事施設における処遇に引き続き社会内においてその者の特性に応じた処遇を実施することにより規制薬物等に対する依存を改善することが有用であることに鑑み、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関し、その言渡しをすることができる者の範囲及び猶予の期間中の保護観察その他の事項について、刑法(明治四十年法律第四十五号)の特則を定めるものとする。

大麻所持の罪については薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律では、初入者及び準初入者に当たらない累犯者であっても、一部執行猶予の対象者となります(薬物使用等の罪とその他の罪が併合罪となる場合を含む。)

参考:刑の一部執行猶予制度について

伊勢谷氏は初犯のようですので、三年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合には(ほぼこれに該当するだろう)刑法の規定が適用されます(①前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者(刑法27条の2第1項1号))が、一応載せておきます。

芸能人の薬物報道で再犯する者が増える危険

第6回 なぜ薬物使用疑惑をスクープにしてはいけないのか | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

芸能人などが逮捕され、過剰な報道がなされる時、松本さんのもとで治療中の患者さんでも、再使用してしまう人が増える。その都度、せっかく積み上げてきた回復への道が、何年も前の状態に戻ってしまいかねない。場合によって、ふたたび暗い穴ぼこに落ち込んで、彷徨わなければならない人も出てくる。

 それを避けるために、松本さんは、薬物報道のガイドラインなるもののたたき台を作り、今年(2017年)1月に公表したばかりだ。

芸能人の薬物報道で再犯する者が増える危険が、この種の事案を扱う実務者から言われています。このような傾向があるため、薬物依存からの回復・社会復帰を支援する任意団体において薬物報道ガイドラインが策定されました。

薬物報道ガイドラインの策定

ガイドラインの内容|特定非営利活動法人アスク

【望ましいこと】
・薬物依存症の当事者、治療中の患者、支援者およびその家族や子供などが、報道から強い影響を受けることを意識すること
・依存症については、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること
・相談窓口を紹介し、警察や病院以外の「出口」が複数あることを伝えること
・友人・知人・家族がまず専門機関に相談することが重要であることを強調すること
・「犯罪からの更生」という文脈だけでなく、「病気からの回復」という文脈で取り扱うこと
・薬物依存症に詳しい専門家の意見を取り上げること
・依存症の危険性、および回復という道を伝えるため、回復した当事者の発言を紹介すること
・依存症の背景には、貧困や虐待など、社会的な問題が根深く関わっていることを伝えること

【避けるべきこと】
・「白い粉」や「注射器」といったイメージカットを用いないこと
・薬物への興味を煽る結果になるような報道を行わないこと
・「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと
・薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと
・逮捕された著名人が薬物依存に陥った理由を憶測し、転落や堕落の結果・薬物を使用したという取り上げ方をしないこと
・「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと
・ヘリを飛ばして車を追う、家族を追いまわす、回復途上にある当事者を隠し撮りするなどの過剰報道を行わないこと
・「薬物使用疑惑」をスクープとして取り扱わないこと
・家族の支えで回復するかのような、美談に仕立て上げないこと

これらがどこまで妥当性があるのか、私には分かりませんが、少なくとも芸能人に対する過剰な報道は慎むべきだというのは、まったくその通りではないでしょうか?

以上

共同通信,菅義偉の首相出席限定「日本は閣僚答弁がG7の中で最多」を無視して報道

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共同通信がまた重要な情報を省いて報道しています。

共同通信,菅義偉議員の国会出席限定報道

首相の国会出席は限定すべきだと菅氏 | 共同通信

菅氏は、首相に就任した場合の国会対応について「出席は大事なところに限定すべきだ。そうしないと行政の責任をなかなか果たせない」と述べた。

共同通信による菅義偉議員の「総理大臣の国会出席限定」に関する報道ですが、この部分だけとなっているのが不可解です。

菅義偉「世界と比べて圧倒的に日本の総理は国会に出席」

動画の35分40秒から。

まず総理大臣の国会出席でありますけれども、これは今石破委員からも話がありましたが、世界と比べて圧倒的に日本の総理大臣は国会に出席する時間が多いんです。時間がそれだけとられてますから、国会出席というのはやはり大事な所で限定して私は行われるべきだというふうに思います。そうしないとなかなか行政の責任を果たせない。海外との電話会談とか様々な問題があります。実は最初安倍政権が発足した際にやはり予算委員会で予定以上に引っ張られまして、決められていた首脳同士の電話が出来なくなってしまうとかいろんなことがありました。そして私自身調べましたらG7でこんなに総理が国会に縛られてる国はないことをまずご理解し頂きたいというふうに思っています。

この部分を省いて報じるのはなんでなんでしょう。

日本の総理はG7で最も国会に出席している

【外交安保取材】首相の国会拘束時間は長すぎ? 外交力強化に不可欠の国会改革(2/4ページ) - 産経ニュース

確認された首相や大統領の国会(本会議・委員会)出席日数(延べ)は、日本が108日(2016年)、英国は38日(2016~17年)で、ドイツは6日(委員会は非公開。2016年)。米国の大統領にいたっては、一般教書演説のため両院合同委員会に出席した1日のみだ(2017年)。

 日本の首相の出席日数は、首相が出席しながら発言しなかった日も含む。しかし、日本以外の首脳や閣僚は「発言する場合にのみ出席するのが一般的」

 衆院調査局の岸本俊介局長(当時)は『RESEARCH BUREAU 論究』(第14号、2017年12月)で発表した論文で、日英の首相の国会出席日数を比較した。論文によれば、日本の首相の国会出席回数は112回、出席時間は370時間程度(2016年)だったが、英首相の議会出席は46回、出席時間は50時間程度(2015-16年会期)だった。

各国で法体系や制度が異なるので、その中での運用として妥当かどうかはともかく、少なくとも日本の場合は他国よりも国会に拘束される時間が多すぎて仕事効率が悪いであろうということが考えられます。

以上