事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

津村啓介書き起こし:旧皇族・旧宮家の皇籍復帰が国民感情に沿わない理由

国民民主党の津村啓介議員が報道特注で皇室論を語りました。

極一部ですが、旧皇族・旧宮家の皇籍復帰について言及した部分を書き起こします。

津村啓介議員:旧皇族・旧宮家の皇籍復帰と国民感情

動画の10分18秒くらいから11分56秒くらいが関係部分です。

津村議員

72年前に、それまではですね、伏見宮家とか、東久邇宮家とか賀陽宮家とか11の宮家があって、その51人だったかな、50人ぐらいの方がたが、一斉に皇籍を離脱したんですね。一般人になられた。まぁ、それはGHQの圧力だったんじゃないかとか皇室の財産を守るためにお金が足りなかったんじゃないかとか、いろんな説がありますけど、いずれにしても一般人になったんですよね。

で、そのことをですね、結構多くのみなさんは、72年前までは皇族だったんだから、つまり2代3代遡ればもう従兄弟や、はとこなんだから、もう、すぐ、つい最近まで親戚だったでしょ?って思いやすいんですけれども、男系にこだわったこの議論をするのであればですね、その11宮家の方がたと現皇室の方々が男系で父方でどう繋がっているかを見るとですね、室町時代の兄弟からこう降りてきた、その親戚なんです。

30親等、15代16代遡った兄弟で15代16代こう降りてくるとですね、こういうとなんですけどほとんど血の繋がりないんですよ。10億分の1なんですよ。たとえば親子が2分の1というふうに数えればですよ、おじいちゃんが4分の1のDNAっていう言い方で2の30乗するとですね10億なんです。そうなってくるとね、血の繋がりという意味では少なくとも、もうほとんど、なんとういうかな、関係ないというか10億人可能性があるぐらいの話になっちゃう訳ですね、単純計算すれば。出生率2とすればですけれども。

最後の部分、気が付いたでしょうか?

なぜ10億分の1なのか?

親等が30離れていると考えます。

父親と母親からそれぞれ半分のDNAが子に受け継がれると考えると,おじいちゃんからは4分の1のDNAが受け継がれ、ひいおじいちゃんからは8分の1…ということになります。男系の話ですから、父親の遺伝子が半分とします。

というふうに仮定して考えて単純計算すれば、30親等離れれば2を30回掛け算(2×2×2×……)して約10億分の1になりますよ、ということが言いたいのでしょう。

でも、これはあくまでも2の30乗の計算結果なんですよね。

本当に2の30乗なんでしょうか?

単純計算でも10億分の1にはならない

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今上陛下と伏見宮家(旧皇族11宮家)の男系の共通の祖先は貞成親王まで遡ります。

今上陛下からは20親等、旧皇族の伏見宮邦家親王からは12親等離れています。
※邦家親王は旧皇族11宮家の源流。

邦家親王から旧皇族方はさらに3親等以上離れていますから、約35親等と考えます。

それでも、10億分の1にはなりません。

なぜなら、直列の35親等ではなく、貞成親王の血(DNA)を起点としているのですから、計算方法は2の35乗ではなく20乗が最大となります。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8F%E8%A6%8B%E5%AE%AE

現在の皇室の系譜は後花園天皇の系譜であり、旧皇族は貞常親王以降の系譜です。

両者とも貞成(さだふさ)親王を父親に持っているので、貞成親王の血が半分となるはずです。

後花園天皇と貞常親王は2親等離れていますが、だからといって「貞常親王が後花園天皇の4分の1の血を引いている」などとは考えることはありません。

したがって、「津村式」によれば血の濃さは貞成親王から後花園天皇以降の20親等を計算することになります。

2の20乗は104万8576。

10億分の1というのは1000倍盛り過ぎですね。

まぁ、仮に「血の濃さ」が10億分の1だとしても、何か問題でしょうか?

だって、この考え方なら天皇陛下ですら10億分の1ですからね。

10億人が(皇位継承資格者の)可能性がある⇒無い

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津村議員は「津村式」の計算結果を用いて「10億人が(皇位継承資格者の)可能性があるような話」と言っていました。

それって、そう言えるのでしょうか?

いや、たとえ話として言ってるのは分かりますよ。

たとえ話としても成立するのだろうか?という話です。

この話、人数が問題なのではないのです。

津村議員は最初、「血の濃さ」「DNAの濃さ」として単純に2分の1ずつ薄くなると仮定した計算式を用いていました。

しかし、最後の方は「人」が何人居るか、という話になります。

「血の濃さ」を言うなら、今上天皇ですら100万分の1です(津村計算式なら)。

もしも崇光天皇の男系の血を引く者が10億人も居るというなら、日本の少子高齢社会とは何だったのか…

ということで、話の中身が途中で変わってしまったということになります。

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※追記:津村議員からツイッターで反応があり、説明をご理解頂けたようです。

まとめ:これは聞かなかったことに

まぁ、何となく言いたいことは分かりますよ。

要するに「血で考えたら関係性が希薄だ」ということを言いたいのであって、具体的な数字を取り上げることに意味なんてありません

しかも完全アウェーの地ですからね。多少はミスもあるでしょ。

でもまぁ、世の中にはこの説明を聞くことで、本当に

「10億分の1!」じゅうおくぶんのいち!

と思う人が居そうなので、そういう層には有効だったのかもしれません。

ただ、この辺のことが一旦理解されると、むしろ津村案にとってマイナスイメージが先行してしまう可能性があると思うんですよね。
なんか偉そうですみません

もちろん、津村議員が考える「旧皇族の皇籍復帰が国民感情に沿わない理由」は、こうした説明方法以外の説明もあり得るので、別の説明を聞くべきでしょう。

これは男系維持を唱える者も、無関係ではありません

「血の濃さ」を専ら重視してしまう結果、Y染色体理論や「今上天皇よりも天皇の血が濃い」みたいな主張に毒されている者はたくさん居ますからね。

参考【皇位継承】Y染色体遺伝子理論という劣化保守擬きのエセ科学が誤りである理由

参考2月刊WILL 2019年7月号:水間政憲の寄稿文への疑問

以上