事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【赤い羽根】中央共同募金会の令和3年度会計決算書の差し替え(追加)の件について:粉飾決算じゃない

割と大きなミスだから公表しようよ

中央共同募金会の令和3年度会計決算書の差し替え(追加)

「赤い羽根募金を運営している社会福祉法人中央共同募金会の令和3年度の会計決算書が差し替えられた」として話題になってる件について。

中央共同募金会について | 赤い羽根共同募金

確かに、URL末尾がstatements-2と枝番号が振られ、40頁が50頁になっています。

プロパティでは2022年6月22日作成のものから11月28日のものに変わっています。

結論から言うとこれは【数字の合計には変更が無く、本来は記載されているべき項目に抜けがあった資料が追加され、その他添付書類も追加された】ということです。

変更の種類についてまとめると以下になります。

  1. 「社会福祉事業拠点区分 資金収支明細書」(別紙3(10))のサービス区分「本部」「寄附金」「赤い羽根福祉基金一般分」「赤い羽根福祉基金盛和塾」「赤い羽根福祉基金盛冠基金」「災害支援基金」について書かれたものが追加
    ※14頁以降~ここからページ数がズレる
  2. 「社会福祉事業拠点区分 事業活動明細書」(別紙3(11))のサービス区分「災害たすけあい義援金」と「休眠預金助成金」欄、及び「合計」「内部取引消去」「拠点区分合計」について書かれたものが追加
  3. 「附属明細書」の表紙が削除
  4. 「財産目録」が追加
  5. 独立監査人の監査報告書が追加

特に1番2番4番の資料の抜けがあったことの影響は大きいと思われます。

この項目は、法律上、記載と公表が求められる書類のものだからです。

資金収支明細書、事業活動明細書の届出とサービス区分表示が法的要請

会計基準の構成と作成する計算書類等について 厚生労働省

社会福祉法人は、計算書類等と財産目録等を作成して所轄庁に届出しなければならず、それは公表することとされ、公表の方法はインターネットの利用により行うものとされています*1

これらは調査事項でもありますから、記載が無ければいけません。

しかし、中央共同募金会は、HP上でこのことを公表していません。

したがって、記載が法的に要請されている事項が欠落していたものが修正されたという点について、公表していないのは果たして適当なのだろうか?ということは言えます。

なお、計算書類等・財産目録等について誤りがあり、修正をする場合に所轄庁に届出が必要なのかはよくわかりませんでした。

法的要請でなくとも一言必要だろうと思いますが。

必要書類の欠落ミスが生じた原因分析:似た書類だからか

「社会福祉事業拠点区分 資金収支明細書」。

修正前は、サービス区分が二つしかありません。

「社会福祉事業拠点区分 事業活動明細書」

修正前は、「災害たすけあい義援金」と「休眠預金助成金」欄、及び「合計」「内部取引消去」「拠点区分合計」がありません。

それぞれの明細書において、サービス区分について前半部分のみ、後半部分のみのものがあり、それらが一つのものと勘違いされていた、ということが発生していたんだろうと考えられます。書類の素となるデータは作ってはいたんだろうと思いますが

ページ数が抜けているということではないので、届出時にも欠落したものが提出されていた疑惑が出てきます。それとも、6月22日の決算書が差し替えられた完全なものが厚労省には提出されたがHPでは昔のものが残っていた、というものなんでしょうか?

財産目録の欠落については、もはやよくわかりません。あまりにも不注意だとしか。

監事がチェックできていなかった、ということに。

厚労省か独立監査人が指摘をした、ということなのでしょうか?

その他、ネット上で「桁が合ってない」など言われている話について

その他、ネット上では誤解も生じています。

たとえば、「変更前後で桁すら合ってない」というもの。

これは、変更前後で1ページに表示される行数が変更されたのか何なのかわかりませんが、表がズレているために生じていると言えます。変な話ですが。

合計金額だけみれば、差分が生じていないということが分かります。

注意しましょう。

それにしても中央共同募金会、修正が多過ぎませんかね?

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*1:社会福祉法59条、59条の2、45条の27、45条の32、45条の34、社会福祉法施行規則10条、社会福祉法人会計基準30条など