事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【草津町冤罪事件まとめ】朝日新聞「欧米メディア注目、日本の男性支配浮き彫り、セカンドレイプと懸念する声を報じた」新井祥子の嘘がバレても報道せず

リツイートと何が違うのか?

【草津町冤罪事件】新井祥子の究極の嘘がバレた

草津町冤罪事件(群馬県草津町の新井祥子町議(当時)が、2015年1月に黒岩信忠町長から刑事罰相当の性被害を受けたなどと2019年11月に突如として虚偽の主張をし、虚偽告訴罪と名誉毀損罪で告訴・起訴され、更にはメディアなどで新井祥子側に立った主張が展開され「セカンドレイプの町草津」などと町の名誉も毀損された事件)について。

本件は当初から新井の主張に疑義があるどころか明確な虚偽のものがありましたが、本件の発端となる電子書籍「草津温泉漆黒の闇第5巻」(現在は配信停止)の著者である飯塚玲児氏の今年2月16日の刑事初公判において、検察が新井祥子のPCを押収して音声データを復元した結果、従前新井が「無い」と主張していた「犯行当日の町長室での1時間の録音データ」の存在が見つかり(15分のものは新井自身が公開していた)、争ったような物音が無いばかりか穏やかな会話が継続し、新井氏が帰りの車のドアを閉めたところまで録音が続いていたことが公になりました。

究極の嘘がバレた話で、新井擁護者の飯塚玲児・中澤康治議員・増田都子ら全てが匙を投げ、確定判決前に100%の確証をもって新井の嘘・虚偽告訴が確定したと言えるものです。無罪推定原則の例外的状況と言えます。

しかし、この事を報じるメディアはほぼありません

それは本件について新井祥子側の肩を持つ記事を幾度となく書いていた朝日新聞も同様です。過去、どのようなことを書いてきたのか?

「欧米メディア注目・日本の男性支配浮き彫り・セカンドレイプと懸念する声を報じた」

元町議のリコール、欧米メディア注目 日本の男性支配浮き彫り 2020年12月19日 5時00分 朝日新聞デジタル魚拓

英ガーディアン、米CNNフランス24の記事を例に出し、『「セカンドレイプ」だと懸念する声が上がっていることを報じた』などと報じています。

2020年12月の段階でよくこんな記事を書けるな、と思います。

朝日新聞は、フランス24の記事で法律の専門家の見解も示した、とも書いています。

しかし、ここで登場しているのは早田由布子弁護士(「明日の自由を守る若手弁護士の会」事務局長)の主張" it was a thinly veiled attempt by the mayor and his allies to decide whether Arai had lied or not by majority rule."と、法政大学の山口二郎教授の主張「多数決による独裁」という主張です。

両者の常日頃からの政治的偏向度を知っている者は「またか」と思う二者です。

「外国メディアが報じてる」などという迂回経路で言及する必要が無いでしょう。

にもかかわらず朝日新聞は「なぜここまで世界に広まったのか?」などと煽っていたということです。同様の報じ方は系列のハフポストもやっていました。

ガーディアンとニューヨークタイムズとインディペンデントの草津町に関する同時期の類似の記事は朝日新聞記事を参照していたのですから、情報ロンダリングでしょう。

山口二郎の見解はNYT記事にも登場していました。同時に千葉大学大学院の後藤弘子教授のコメントを掲載。「これは、女性の性被害者に対する、非常に典型的な日本の反応です」というコメントも掲載。

米CNNの記事では「ほとんどが町外からのもの」である新井氏リコールを批判する電話を取り上げ"Many callers called the decision unfair and sexist."などと書き、"Sexism and power in Japan"という標題の下で伊藤詩織を登場させていました。

町長のリコール主導に疑問、制度乱用、「性被害を訴えただけ」という事実誤認

https://archive.is/QRVlZ

(取材考記)群馬・草津、性被害訴えた町議を「解職」 町長らのリコール主導に違和感 柳沼広幸 2020年12月18日 16時30分 朝日新聞デジタル魚拓

 

2020年12月6日に成立した新井祥子リコールの住民投票。

「取材考記」欄に前橋総局の柳沼広幸の名で「町長らのリコール主導に違和感」とありますが、議会の除名処分とリコールを紐づけて「県に「違法」とまで言われた以上、従うべきだった。」などと書いています。一般人には両者の違いが分かってない人が居るのを認識してるんだろうか?

「公人によるリコール主導」についてはそれを制限する法令が無いために訴訟でも無効の主張が退けられています。公人らが請求代表者となったのは、町民名義でやると嫌がらせが予期されたためという経緯があると黒岩町長が説明しています。

次に、「リコールではなく裁判で明らかにすればいい」という主張も的外れです。

まず、リコール前に新井氏から民事刑事いずれにおいても提訴されていませんでした

逆に黒岩氏側から名誉毀損罪での刑事告訴が為され2019年12月3日に長野原署が受理しており、民事訴訟も同年12月16日に前橋地裁に提訴し、新井祥子に関しては2020年10月6日に議員報酬の仮差押え判決が出ていました。

つまり、裁判所が黒岩側が主張する事実関係について疎明が為された=一応確からしいという心証を持ってもらう程度の証拠があると判断したということです。

その後、有権者の3分の1以上の署名をもって解職請求が受理されたのは2020年10月19日なので、手続として何ら間違っていません。

確定判決を待ってからリコールすべきというなら、確定判決が出るまでは身分が約束されることに。遅延戦術として使われることになりますから、明らかに不当です。本件は訴訟でなくとも公開情報からして新井氏の嘘が明確だった事案ですからなおさらです。

(交論)リコール制と民主主義 広越由美子さん、武田真一郎さん:朝日新聞デジタル2021年4月9日 5時00分 

成蹊大学教授の武田真一郎氏が群馬県草津町と愛知県のリコール制度について触れながら前者についてこう語っています。

…このとき、町長は女性町議の罷免賛同を求めて回ったと報じられていますが、町長の影響力を行使したとすれば問題だったと思います。そもそも、性被害を訴えただけで議員として不適格と判断されたなら、これも本来の趣旨から外れたリコールだったと言えます」

事実誤認も甚だしい。

草津町はリコール請求するに至った理由を公開しています。

今回の投票に関する請求代表者の「請求の要旨」、草津町議会議員新井祥子氏の「弁明の要旨」について | 草津町

そこでは、問題の電子書籍内において新井議員の発言として「この町では女性はまるで"モノ扱い"です…」などの発言があることが、町の女性を貶める発言であるとしたことや、その他、「町長室の模様替え」に関する虚偽発言に加え、「届け出住所の居住実態の不存在」という、被選挙権の根拠を崩すような事実も付せられています。

決して「性被害を訴えただけ」ではないわけです。

詳細は以下でまとめています。

朝日新聞記者が「リコールという数の力で議席を剥奪」などと追及

第35回定例記者会見要旨(12月4日) - 知事のページ - 群馬県ホームページ(メディアプロモーション課)

朝日新聞の森岡航平記者(当時前橋支局に勤務)と知事の間で以下のやり取りがありました。

(記者)
 今週の日曜日に草津町で、新井町議のリコールをめぐる住民投票がありますけれども、知事は一度、審決を出されて、復帰ができたわけですけれども、こういう住民投票の状況になっていることについて、知事はどう受け止めていますか。

(知事)
 これは民主主義で定められたルールによって、町民の皆さんの意思で行われるということですから、これは粛々となさればいいんじゃないかということに尽きると思います。
 何度も言いますが、私は個人的には黒岩町長は100%無実だというふうに確信しています。

(記者)
 セクハラ問題の真偽は置いておいて、今回のようにリコールという形で、選挙で選ばれた議員が、ある意味、数の力で議席を剥奪されかねない状況にあると思うんですけれども、こういった制度について知事は何か考えがありますか。

(知事)
 それは民主主義の中で決められているリコールという制度を住民の方々が活用することについて、それは何の問題もないと思います。
 それだけ多くの住民の方々が問題意識を持っているからこそ、おそらくこれが行われるということなんで、もちろんその民意で選ばれた方ですけども、やっぱりその民意で場合によってはリコールがあるというのは、これは民主主義システムの一部なので、それについて私が何かとやかく言うことはないと思います。

この記者は背後に「公人主導でのリコール」という意識があったのかもしれませんが、質問で発せられた言葉だけみると、住民によるリコールそれ自体を「数の力で」と評しているようです。言語道断の認識でしょう。

なお、リコールは約5300人の有権者の内、有効投票数2542の92.43%が賛成でした。

まとめ:朝日新聞は社を挙げて草津町への謂れなき誹謗中傷に加担していた

これらの動きからは、「朝日新聞は社を挙げて草津町への謂れなき誹謗中傷に加担していた」とまとめられても仕方がないでしょう。

朝日新聞自身の記事として何か新井祥子の主張を肯定してそれを拡散したというような動きは見られません。

が、彼女とは異なる観点から事実誤認によって草津町を非難する言説を「他人がこう言ってます」という体裁でその主張を拡散している。

これは名誉を侵害するツイートをリツイートしているのと何が違うのか?

他、「手続を批判していたのだ」というエクスキューズで批判をかわそうとしている者は夥しい数存在しますが、決してそうではない者が多いです。

そのような事実は繰り返し認識されていくべきだろうと思います。

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