事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

アメリカCDCが新型コロナウイルスCOVID-19対策に布マスクを推奨

CDC-mask-for COVID-19

アメリカCDCが4月3日にUPしたコロナウイルス(COVID-19)対策のページにおいて、布マスクを推奨するようになりました。

アメリカCDCが新型コロナCOVID-19対策に布マスクを推奨

アメリカCDCが布マスク推奨

Recommendation Regarding the Use of Cloth Face Coverings | CDC

This means that the virus can spread between people interacting in close proximity—for example, speaking, coughing, or sneezing—even if those people are not exhibiting symptoms. In light of this new evidence, CDC recommends wearing cloth face coverings in public settings where other social distancing measures are difficult to maintain (e.g., grocery stores and pharmacies) especially in areas of significant community-based transmission.

(無症状者が感染を広げていることについて)つまり、新型コロナウイルスは、会話をしている、咳をしている、くしゃみをしているなどの人たちに近接している者の間では、症状が現れていなくても広がる可能性があります。この新しい知見に基づき、CDCは、他の社会的距離を維持することが困難な公共の場(食料品店や薬局など)では、布製のフェイスカバーを着用することを推奨します、特に市中感染が著しい地域ではなおさらです。

アメリカCDCが明確に布マスクを推奨しています。

「他の社会的距離を維持することが困難な公共の場で」

という限定つきですが、もはや日本も対岸の火事ではありません。

特に「会話をしているだけで感染させる」を明言したことは、これまでの感染拡大予防の対策(一個人の感染予防対策ではない)に影響を与えるでしょう

サージカルマスクやN-95マスクは医療従事者向け

The cloth face coverings recommended are not surgical masks or N-95 respirators. Those are critical supplies that must continue to be reserved for healthcare workers and other medical first responders, as recommended by current CDC guidance.

推奨される布製のフェイスカバーは、サージカルマスクやN-95マスクではありません。現在のCDCガイダンスで推奨されているように、これらは医療従事者やその他の医療の第一対応者のために引き続き確保しておく必要がある重要な供給品です。

アメリカCDCはさらに、ここで推奨している布製マスクとは、サージカルマスクやN-95マスクではなく、それは医療従事者向けに確保しておくべきである、と言っています。

要するに布を使った手製のマスクであっても推奨しているのです。

これは一般人が日常生活でマスクをすることが普及していないアメリカの事情における推奨文言だと思いますが、不織布マスクが市場に不足している、そして医療機関でも不足している現状の日本においても、この推奨は意味があると考えられます。

アベノマスクは不織布・サージカルマスク等の確保にも意味があった

安倍総理が1世帯に2枚の洗えば使い続けられる布マスクを配布することを決定したところ、「アベノマスク」などと揶揄する向きがありました。

布マスクのみならずマスク全般において、「健康な者」に対する感染「予防」効果のエビデンスが乏しいことからこれを感染予防の面からも批判があったところですが、これはマスク自体の「目の粗さ」と、着用の際のずれによる顔回りとの隙間からウイルスが侵入してしまうから、という理由です。

「感染者が他の人にうつさないため」には、一定の効果があるというのは前々から言われていたことです(飛沫飛散が減るから)。

これまでは無症状の者は他人にうつすことが無いか、あっても稀な場合のみであるという認識が行政でも医療関係者の間でも主流でした。

それが、無症状の感染者が自覚ないままうつしてしまうという場面が大いにあり得るという認識に変わったとなれば、健康な人(と思い込んでいる人)であってもマスクを着用させることで、「集団における感染拡大予防」効果があるのだということは可能性として十分にあり得ます。

また、CDCの推奨を見ると、これは不織布・サージカルマスク等の確保にも意味があるのだと言えるでしょう。

マスクの感染予防効果の論文について

マスクの感染予防効果の論文として、Respiratory virus shedding in exhaled breath and efficacy of face masks | Nature Medicineが最近よくシェアされています。

健康な人も対象、医療従事者向けではない

上記のアメリカCDCの推奨は一般人が対象です。医療従事者向けではありません。

巷で言われる「WHOは布マスクをいかなる場合も非推奨」という言説は、医療従事者向けのアドバイスにおいて書かれているだけです。

また、アメリカCDCは、『他の社会的距離を維持することが困難な公共の場(食料品店や薬局など)で布製のフェイスカバーを着用することを推奨』していることからわかるように、「健康な人」がマスクをつけることを念頭に置いています。

WHOは「健康な人が予防のために」マスクをつけるべき場合というのは、『新型コロナウイルスに感染している或いは感染のおそれのある者の身の回りの世話をする場合』に限る、としています。

そしてマスク着用は手洗いなど他の対策を実施している限りにおいて効果があると言われています。

まとめ

  1. アメリカCDCが健康な人も含めた一般人に対して布マスクを推奨
  2. それはサージカルマスクやN-95マスクではなく手製のもので良い
  3. 着用推奨の場合は、市中感染が著しい地域で社会的距離を保てない場所
  4. 不織布・サージカルマスク等の確保も目的
  5. 手洗いなどの他の対策をしていて初めて効果がある。

ここまでCDCの推奨を書いてきましたが、Testing for COVID-19 | CDCを見ると検査ですら各州などの裁量に任されているようなので、これがアメリカ全土で徹底されるとは思えません。トランプ大統領は「推奨しているが、私はつけない」と言っていますし。

アメリカのCOVID19対策の実働面は割とFEMAが前面に出てきているので、そちらの動きもチェックすると良いかもしれません。

以上