何が真実なのか…
- 『医療行為を一切しない・医師はアナフィラキシーに対応したことない』?
- ワクチン後死亡患者、糖尿病・接種前から体調不良:厚労省ワクチン分科会副反応検討部会の資料
- 糖尿病患者へのアドレナリン投与は原則禁忌、アナフィラキシーにはリスクベネフィットを勘案
『医療行為を一切しない・医師はアナフィラキシーに対応したことない』?
「妻の心臓が止まるまで見殺しにした」夫が怒りの告白 BA.5対応のワクチン接種後に42歳女性が死亡 アナフィラキシーの治療されなかったか 愛知 2022年11月10日(木) 15:30 CBC の魚拓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/200680?display=1
死亡した女性の夫は「医療行為を一切せずに、妻の心臓が止まるまで見殺しにした。何の誠意もない」と話しています。
女性は、ワクチン接種で起きることのある急激なアレルギー反応、「アナフィラキシー」を起こした可能性がありますが、夫によりますと体調が急変した際、その場に待機していた医師や看護師は「アナフィラキシー」への対応をしなかったということです。
新型コロナワクチンを接種した愛知県愛西市の42歳女性がその後死亡した事件の報道において、『医療行為を一切しなかった・医師はアナフィラキシーに対応したことないと言っていた』という死亡女性の夫の発言が紹介されました。
これが本当であれば許しがたいことです。
が、しかし…
ワクチン後死亡患者、糖尿病・接種前から体調不良:厚労省ワクチン分科会副反応検討部会の資料
第88回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第18回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料 令和4年11月11日(金)
新型コロナワクチン(コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)、ファイザー株式会社)接種後に死亡として報告された事例の一覧(令和4年10月5日以降の報告分)
この医師による報告のまとめを見ると、少なくとも「医療行為を一切せず心臓が止まるまで見殺しにした」ということはありません。
それは接種会場の現場でもCPR(胸骨圧迫とAED)をしていることから、客観的に見ても医療行為をしていることが認識できるし、搬送先でも処置を行っていることから言えます。
しかも、この報告によれば「接種前から体調が悪かった」としています。
すると、接種によって症状が出たのではなく、従前の症状が会場にて悪化した、という可能性も否定できなくなります。
もっとも、従前の症状が接種によって悪化したのかもしれません。
エピネフリンを静脈内投与しようとしたとあるように、アナフィラキシーの可能性を考慮したのかもしれません。が、静脈路確保できずに断念したとあります。
報告医の言っていることは本当なのでしょうか?
いや、少なくとも、既往歴として「女性で110kg」「睡眠時時無呼吸症候群があった」ということや、糖尿病を患っていたということは確定事実なので、そのことを考慮した対応を現場医師が行ったと推測するのは当然でしょう。
「医師はアナフィラキシーに対応したことないと言った」というのが、本当なのか、本当だとして別の意味で言っていたのではないか、という疑問が生じます。
糖尿病患者へのアドレナリン投与は原則禁忌、アナフィラキシーにはリスクベネフィットを勘案
また、糖尿病患者に対してはアドレナリン投与は「原則禁忌」である一方、アナフィラキシー治療におけるアドレナリン使用の絶対禁忌は存在しないということ、アナフィラキシーへの対応の際にはリスクベネフィットを勘案せよということが【アナフィラキシーガイドライン2022 日本アレルギー学会】にて確認できます。
したがって、アドレナリン投与を(結果的に)しなかった・できなかったことが一方的に悪評価を受けるべき行動なのか、という点にも疑問が残ります。
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