事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

音楽業界4団体への抗議呼びかけ人の五野井郁夫「朝日健太郎って誰?幽霊議員」ツイート削除:公選法235条「事実をゆがめ」たか

刑事罰対象になり得るよ。

五野井郁夫「朝日健太郎って誰?自民の典型的な幽霊議員」ツイート削除

五野井郁夫「朝日健太郎って誰?幽霊部員」事実をゆがめる

高千穂大学経営学部教授の政治学者の五野井郁夫 氏(@gonoi)がTwitterで「朝日健太郎って誰?自民の典型的な幽霊議員」などとツイートしていましたが、削除しました。

https://twitter.com/gonoi/status/1544636043395158017

https://twitter.com/gonoi/status/1544904584757661696

魚拓はこちら

ただ、同じ内容を何度も投稿していました。

朝日健太郎議員に対して本会議質疑の発言回数だけを取り上げ比較する愚

「朝日健太郎は参議院で仕事をしていない」という印象操作は6月27日投稿されたツイートが大きく拡散されていたため、それに関して既にまとめていました。

  • 朝日健太郎議員は委員会での出席・発言は通常程度に存在していた
  • 与党と野党とで質問の枠と時間の配分が異なり、野党側が多くなる仕組みだから、与野党間で単純に出席・発言の回数を比較するのは無益である

こうしたことを指摘しました。

この件については「朝日健太郎議員、仕事してない」はミスリード 本会議以外で約50回発言|リトマス(旧・情報検証JP)|noteにおいても検証されており、朝日健太郎議員に関しては…

  • 調査会などの各種会議でも7回発言したことが記載されている。
  • さらに、朝日氏は2020~21年に国土交通大臣政務官を務めているため、参議院だけでなく衆議院でも政府側として答弁を行っている。

こうした事実をまとめており、また、他の議員に関してはどうだったかについても…

「2016〜19年に参院本会議での発言数が0回だったのは243人中56人、2019〜22年は254人中67人(任期途中の辞職等により入れ替わった議員もいるため、それぞれ総人数は議員定数と一致しない)。2016〜22年の6年間で0回なのは、朝日氏を含め11人だ(これより前の期間に発言のある議員を含む)。

決して本会議での発言が0の議員は少なくないということを念入りに指摘しています。

付言すると、1期のみで見た場合に発言回数が0回の議員の中には民主党・民進党・日本共産党(当選時の政党名で表記)の議員もおり、政党の別や与野党の別は関係ありません。

なお7月7日にはバズフィードでも「ミスリード」という判定の検証記事が出ています。

「自民・朝日健太郎氏、仕事してない」国会での発言“ゼロ”と大量拡散→ミスリード。一部を切り取り、実際は…

委員会質疑を隠して「幽霊議員」は公職選挙法235条2項「事実をゆがめて公にする」では?

公職選挙法

(虚偽事項の公表罪)

第二百三十五条 

2 当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。

公職選挙法235条2項では「事実をゆがめて公にした」者に対する刑罰を科しています。

「事実をゆがめて」の意義ですが、以下の裁判例があります。

東京高等裁判所昭和51年8月6日判決 昭和51年(う)第50号

「事実をゆがめ」るとは、客観的にみて、虚偽の事実にまでは至らないけれども、ある事実について、その一部を隠したり、逆に虚偽の事実を付加したり、あるいは、粉飾、誇張、潤色したりなどして、選挙民の公正な判断を誤らせる程度に、全体として、真実とはいえない事実を表現することをいう

五野井 氏のツイートは、政治学者の菅原琢氏が運営し、国会議員の活動などをまとめているウェブサイト「国会議員白書」を元にしてありますが、参議院本会議での発言回数の図のみを写す画像を添付しておきながら、同じページのすぐ近くに示されている「委員会における出席・発言回数」を示す画像を添付せずに「幽霊議員」などと言及しています。

「幽霊議員」という言葉は「幽霊部員」という言葉の転用と思われ、参議院議員としての国会における活動がまったく行われていないことを意味するのであって、それは虚偽の事項乃至は事実をゆがめて公にしたと評価され得ると言えます。

しかも、五野井 氏は同様の内容のツイートを最低3回行っており、その都度、他のツイッターユーザーから委員会での発言はある旨を指摘されていますから、勘違いでツイートしたのではなく、朝日健太郎議員の落選を狙う目的で投稿したと言えます。

検証者も多数いて検証記事も複数出ている状況下であるにもかかわらず、朝日健太郎議員に対して「幽霊議員」とする投稿は今も多数のツイッターユーザーが行っており、看過できない状況になっています。

そして…

音楽業界4団体への抗議呼びかけ人でもある五野井郁夫

五野井 氏は、音楽業界4団体が自民党の今井絵理子・生稲晃子両氏を支持することに対する抗議声明の呼びかけ人でもありました。

この抗議声明は団体における手続の瑕疵を非難する趣旨だとしながら、自民党は「LGBT平等法」にも反対している政党だから、そこから出馬する両氏を支援表明することはマイノリティの生活を脅かす、といった政治的主張を混ぜ込んでおり、賛同署名者に団体関係者という制限をかけていないという、非常に奇妙な代物です。

しかも、故人の名前や賛同していない者の名前が含まれており、そのような状況が発生しやすい署名プロセスを設定していました。

結局のところ、この抗議声明も五野井 氏にとっては自民党に反対するための道具だったのだろうと思わざるを得ません。

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