界隈の文脈があるのでそれを知っていないと理解できない話。
- 呉座勇一「小説家佐藤亜紀氏による誹謗中傷は限度を超えた侮辱」
- 佐藤亜紀「女子学生も刺されているから呉座先生大喜びだろう」魚拓
- 「呉座勇一先生のインセル漫談」とは?呉座勇一と北村紗衣の騒動とオープンレター
- 佐藤亜紀、ツイート削除と謝罪文掲載も「スクリーンショットを掲載するという動きは解せない」
呉座勇一「小説家佐藤亜紀氏による誹謗中傷は限度を超えた侮辱」
小説家佐藤亜紀氏の私に対する誹謗中傷について - 呉座勇一のブログ
このツイートは社会通念上許容される限度を超えた侮辱であり、ツイートの削除はもとより、謝罪文の公表を求めます。
今後につきましては、弁護士に相談し、プライオリティを考えつつ適宜対応します。
歴史学者の呉座勇一氏が「小説家佐藤亜紀氏による誹謗中傷は限度を超えた侮辱」だとしてツイートの削除・謝罪文の公表を求めることを表明するブログを公開。
佐藤亜紀「女子学生も刺されているから呉座先生大喜びだろう」魚拓
佐藤亜紀氏は東京大学で実施された共通テストの1日目の朝に受験生が刺された事件の記事のリンクを引き合いに出して以下連続ツイート。
「呉座勇一氏は確か、実家の太い奴の受験なんか知ったこちゃないんだよ、とも書いていた。それが、つまりこういう行為を生み出す心性な訳だ。色々予言的だな。炭鉱のカナリアか。」
「女子学生も刺されているから呉座先生大喜びだろうな。ああいうこという奴は必ず、女性が重傷を負ったり将来を失ったりすると大喜びするから。」
「わかると思うけど、呉座勇一先生のインセル漫談というのは、こうやって人を——というより人のうち性別が女性である人々を傷付けたり殺めたりして、わかったか女、と嘲笑したい人々の欲望を集めて体現していただけなんだよ。どれだけおぞましい行為か、ってまだわかってない人がいるみたいだけど。」
Twitter上でtamanoirというハンドルネーム、@jenaiassezというスクリーンネームで活動している佐藤亜紀氏。このアカウントのプロフィール欄にあるtamanoir.pressというURLには【大蟻食の生活と意見】というタイトルのホームページに繋がり、"tamanoir"というネームを使用している。著作の購入ページに進むと著者名として「佐藤亜紀」が出てくる。
「呉座勇一先生のインセル漫談」とは?呉座勇一と北村紗衣の騒動とオープンレター
なお、三つ目のツイートの「呉座勇一先生のインセル漫談」については一体何を指しているか不明だが(呉座氏は既婚者)、呉座勇一氏は「女性差別発言があった」として抗議され職を追われたという事件があります。
「さえぼう」こと北村紗衣氏に対する誹謗中傷があった件が決定づけた動きですが、呉座氏は北村氏に謝罪、和解してます。
が、この件に関連して呉座氏に対して抗議をする学者らのオープンレターが公開され、呉座氏は所属する国際日本文化研究センターで懲戒処分(停職一か月)となり、准教授となる予定だったものが無期雇用契約を解除されました。
北村支持の側からは上がっていた。特に厳重注意以降。
— 弁護士 吉峯耕平(「カンママル」撲滅委員会) (@kyoshimine) 2021年12月9日
そういう時期にオープンレターは出た。
時系列を整理すると、以下の通り。
3/17 北村教授が呉座Twに気づく
3/20 呉座助教謝罪
3/23 NHK考証降板
3/24 日文研が厳重注意と処分に向けた調査を発表
4/2 日本歴史学協会声明
4/4 オープンレター
事実経緯: 2020/3-11呉座が北村批判,2021/1/12機構任期なし内定,3/17頃北村不快感,3/20呉座謝罪,3/24日文研「厳重注意」,4/4北村オープンレター公開1300人署名,7月呉座北村和解,北村は呉座謝罪文公開,8月機構内定取消,9月機構停職1月,10月地位確認訴訟提起,12月ユニオン団体交渉(敬称略)
— 高橋雄一郎 (@kamatatylaw) 2021年12月29日
現在呉座氏が同機構に訴訟中。様々な界隈で「これで懲戒処分は重すぎる」「オープンレターには大きな問題がある」という意見があります。
また、そもそも「オープンレター」の中において呉座氏の問題発言は何なのか一切が根拠づけられて居らず、ほとんど無関係な政治的な文脈が押し込まれ、個人攻撃にすらなっていた、という言論状況でした。*1
要するに極一部の界隈で「呉座勇一をみたら叩いても良い」とでも言えるような扱いが為されており、それが継続しているということ(「インセル 呉座」でTwitter検索をしてみるといい)。
佐藤氏の言説も、「呉座=インセル」という言葉の意味からしてあり得ない言及の仕方からは、「呉座叩きの一環」と言う他ないだろう。
Twitterでも呉座勇一氏を「女性差別者」等の文脈で何度も持ち出す例が後を絶たないが、私が知る限り「呉座氏による誹謗中傷」の事実は見つかるが「女性差別」の事実は不明。
ベストセラー「応仁の乱」著者が日文研を提訴 SNS不適切発言で「准教授取り消し」巡り|社会|地域のニュース|京都新聞
呉座勇一氏処分と「オープンレター」およびその賛同者リストについて 2021年10月24日~ - Togetter
なぜ当時私がそのように受け取ったのかというと、3点ある。
— 弁護士 吉峯耕平(「カンママル」撲滅委員会) (@kyoshimine) 2021年12月9日
①具体的な事実を挙げず、強い言葉で過大(例「過去数年にわたって」)な批判をしている。事実は不明になっており第三者から検証不能
②「距離を取る」という文言は追放解職を示唆すると読める
③「キャンセル・カルチャー」を明示的に肯定
差出人の一人から他の差出人らに対してオープンレターは呉座先生の名誉毀損なので「本文から実名(注:呉座先生と同定可能性のある記述)を削除」することを提案したら,「トーンポリシング」(=内容とことなる論調非難)だと攻撃されるのか。署名者達は今のうちに謝罪・署名撤回をしたほうがいいよ。
— 高橋雄一郎 (@kamatatylaw) 2021年12月10日
佐藤亜紀、ツイート削除と謝罪文掲載も「スクリーンショットを掲載するという動きは解せない」
御本人からの抗議があった、ということで削除させていただきます。
— tamanoir (@jenaiassez) 2022年1月16日
https://t.co/JMQPJAvPyI
佐藤亜紀氏は呉座勇一氏のブログを見て当該ツイートを削除しました。
しかし、以下ツイートも…
しかし削除を望んでいながら、削除したtweet のスクリーンショットを掲載するという動きは解せない。
— tamanoir (@jenaiassez) 2022年1月16日
削除したらツイート内容が確認できないからでしょう。
こういうことがあるからツイートのスクリーンショットの転載が必要な場合があるにもかかわらず、「①Twitterの規約違反⇒②だから公正な慣行に反する」という雑な判断をした東京地裁判決は本当に悪影響が大きいと思います。
もちろんWEB魚拓という方法があるのでその手段を取るのがベストですが、これでは文脈が分からない場合があるという難点があります。
謝罪文ツイートは以下の通りです。
謝罪文
— tamanoir (@jenaiassez) 2022年1月16日
私,佐藤亜紀は,呉座勇一様(以下「呉座様」といいます。)について、Twitter 上において,心ない憶測を行ってしまいました。
呉座様の現在の御苦境を察しないままに行った私の不用意な発言につきまして,心よりお詫び申し上げます。
今後のご活躍を期待しております。
以上
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*1:具体的には「差別発言」「女性差別的発言」「男性中心主義」「マジョリティからマイノリティへの攻撃のハードルを下げるコミュニケーション様式は、性差別のみならず、在日コリアンへの差別的言動やそれと関連した日本軍「慰安婦」問題をめぐる歴史修正主義言説、あるいは最近ではトランスジェンダーの人びとへの差別的言動などにおいても同様によく見られるもの」「公的には歴史修正主義を批判しつつ、非公開アカウントにおいてはそれに同調するかのような振る舞いをしていた」といった、かなり無理のある主張があります。