事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

草津町新井祥子狂言事件はなぜ最初から無理筋の冤罪事件だったのか:虚偽主張の動機・報道しない理由はなぜか?

最初からずっと無理筋なものがなぜ報道され続けたのか

草津町新井祥子狂言事件・冤罪事件

草津町冤罪事件(群馬県草津町の新井祥子町議(当時)が、2015年1月に黒岩信忠町長から刑事罰相当の性被害を受けたなどと2019年11月に突如として虚偽の主張をし、虚偽告訴罪と名誉毀損罪で告訴・起訴され、更にはメディアなどで新井祥子側に立った主張が展開され「セカンドレイプの町草津」などと町の名誉も毀損された事件)について。

「草津町新井祥子狂言事件」とも呼ぶべき真っ赤な虚偽発言に基づいて展開された騒動ですが、本件の大きな問題は一部メディアが新井祥子側と黒岩側を50:50の扱いとし、海外メディアがそれを報じて日本disの言説が振りまかれたことです。

本事件は、その当初の情報から、新井側の主張に無理があるのではないか?と不審に思うべき事情は数多存在しており、「密室の出来事だから分からない」などという事案ではありません。

したがって、本件を新井氏の矛盾発言も含めて継続して報道してきたメディアとしては地元の上毛新聞などがありますが、それ以外の媒体には、後ろ暗い目的すら推認される所が一部にあります。

本稿は、草津町冤罪事件の証拠状況を振り返る形でどのように考えるべきかを整理していきます。

なぜ最初から無理筋の冤罪事件だったのか

なぜ最初から無理筋の冤罪事件と扱うべきだったのか。

大きな要素を挙げると以下にまとめられます。

  1. 町長室の構造上、「犯行」が困難
  2. 新井祥子の「性被害」の主張の重要部分が二転三転している
  3. 新井が「町長室は模様替えされて証拠隠滅」と主張も模様替えしていないことは公開情報からも明らか
  4. 新井が「犯行当日の証拠音声データ」とするものは逆に「犯行が不存在」であることの証明でしかなかった
  5. 新井が「証拠音声」としていた15分のデータにつき、新井は「1時間のものは存在していない」と言っていたが、存在していた上、やはり「犯行」が無いという証明にしかならない代物だった

新井の主張する犯行とは、2021年12月13日付で前橋地方検察庁に提出された告訴状では「2015年1月8日の午前10時過ぎ頃、草津町役場3階の町長室内において、黒岩町長が新井に接吻し服の上から乳房を触った上、床に倒れ込んだ新井の服を捲り上げて乳房を直接触りさらにスカートを捲り上げて新井の下着に手を入れてその陰部を触るなどしさらに下着をおろし新井の背後から黒岩の陰茎を新井の陰部に直接押し当てるなどした」といったものとなっています。

本件の検証については吉峯耕平弁護士が当初からTwitter上で論述を展開していました。

1:町長室の構造上、「犯行」が困難

まず、町長室は同じ高さの隣の建物から丸見えの位置にあります。
ちょっと遠方の建物からも見ようと思えば見える位置。

ガラス張りの町長室で「犯行」を行ったら目撃者が出る可能性は高いと言えます。

黒岩町長は取材に来た記者が「あ、これは無理ですね。ただ、記事の編集は上がやるので…」と話していたと述べています。

それでも、カーテンやブラインドが敷かれた場合には見えなくなるでしょうが、建物内部に目を向けると、町長室は総務課と隣り合わせで物音などの異変があったら気づくであろう構造です。

町長室と総務課の「距離感」と「遮蔽感」について分かる動画。

おそらく現場に居たら音の漏れ方からして99%無理だと思うような感じだったのでしょう。現場に行けない多くの国民は音の観点から評価するのが不可能なので、そこは踏み込めなかった。

ただ、新井は「机と椅子の間の空間に押し倒された」という主張をしたことで、物理的に困難であることも指摘されています。

この時点で新井の主張について疑いを持つべきと言えますが、「町全体がグルになっている」という新井祥子の肩を持つ側の物語に毒されてしまうとこれらの事情も無視されるのでしょう。

しかし、当初から彼女自身の発言に矛盾がありました。

2:新井祥子の「性被害」の主張の重要部分が二転三転している

新井祥子の「性被害」の主張は、重要部分が二転三転しています。

新井は当初は強制性交罪相当の主張をしていましたが、後に強制わいせつ罪相当の主張にグレードダウンさせました。
※追記:電子書籍にある新井の自筆文では「肉体関係を持ちました」であり、強姦やレイプとうかがえる記述ではなかった。それが黒岩町長が警察に被害届を出した2019年末に強制性交罪の主張になり、2020年7月7日の準備書面で「強制わいせつ」と変遷した。

関連して町長に対する感情についても変遷しています。

普通はこうした発言を見て「怪しい」と思うでしょう。

最近では「性被害」の内容を「身体を触られた」にまで後退させています。

その他、新井祥子という人物の様々な問題行動は枚挙にいとまが無いのですが、割愛します。調べれば時間湯の商標登録問題などいろいろ出てきます。

3:新井「町長室は模様替えされて証拠隠滅」⇒公開情報から明確に否定

さらに新井は「町長室は模様替えされた!証拠隠滅!」などと主張していました。

しかし、前掲動画でも分かるように総務課の者が「町長室は黒岩氏が来てから模様替えしていない」と証言している上、公開情報の写真からも模様替えをしていないことが明らかです。

模様替えの主張は、草津町議会2019年12月定例会の町長不信任案への賛成討論の場や、2020年3月定例会においても為されていました。

ここまでの事情があると、「新井祥子の証言の信ぴょう性は低い」などという枠を超えて、「新井祥子は黒岩を貶めるために意図的に虚偽の事実を広めている」という疑念が浮かんできます。

さらに、これ以降のメディアにおいて新井側を擁護したり草津町側を貶める内容を書いた記者・媒体は、「日本社会は性差別的!などとするディスカウントジャパンをするためにメディアが煽動している」という疑念すら生まれてきます。

北原みのり氏は、「町長にたとえ加害の事実がなかったとしても、この議会そのものが十分に性暴力でミソジニーだったなどと書き連ねていました。

なお、この間、新井氏は黒岩町長から刑事告訴や民事の訴え提起をしたらよい、と議会で言われても、2021年までそれを一切していませんでした。

それでも、ここまでに示した話は間接的に犯行不存在を推認できる類のものであったためか、まだ新井側の主張を受けて慎重な立場を採る者が少なくありませんでした。

それが決定的に変わったのが2020年12月の記者会見です。

4:「犯行不存在」の証明でしかない新井の「犯行当日の証拠音声データ」

2020年12月の外国特派員協会での黒岩・新井の記者会見。

この会見は奇妙な順番で、12月15日に黒岩18日に新井、という順番でした。

黒岩町長が2023年3月6日のAbema生出演時に語ったところでは「普通は被害を受けたと主張する者が先に会見する。しかし今回は逆のパターンで、向こうから黒岩に会見依頼があった。」としています。

15日の黒岩会見において、新井氏が秘密録音して公開していた「犯行当日の証拠音声データ」が少しだけ流されました。

その音声では二人の会話が続いており、争ったような物音が無いことが分かります。

この音声は、新井氏が「証拠」として公開しているモノです

新井は「証拠のほんの一部です」などと書き、その後の累次の会見でも同様の発言をしてきましたが、「犯行部分の証拠音声」を一切出してきませんでした。

あまりに不可解です。「戦略として証拠を隠しているのだ」と評価することも一切できません。なぜなら、この間に草津町議会での懲罰動議による除名処分があり(後に群馬県紛争処理委員によって無効)、さらには解職請求とリコール投票があったからです。

本当に犯行の証拠があれば、それを出せば除名処分もリコールも回避できたにもかかわらずそれをしなかったということです。

したがって、この時点で新井が主張する「犯行」が不存在であるということが客観的な証拠をもって明白になった、と言えます。(厳密には100%ではないが、感覚的には99.99999999%くらいだろう)。

ネット上でも、黒岩擁護・新井側批判の言説が急増したのはこれ以降だったと記憶していますが、これを受けてもまだ草津町に関する不穏当な論陣を張っていたのがアエラドットの北原みのり氏など。

新井擁護にとどまらず、草津町自体を貶める発言を新たに行った或いはそうした発信を継続したのがフェミニスト議連の増田かおる議員、上野千鶴子名誉教授、福島みずほ議員など。

両方を継続して行ったのが新井祥子元草津町議を支援する会の会長である中澤康治(草津町議会議員)と副会長の増田都子でした。こちらは町から名誉毀損で民事訴訟を提起されています。

が、新井はなぜか2021年12月13日付で前橋地方検察庁に告訴状を提出しました。

それにより「虚偽告訴罪かどうか」という新たな争点が生まれました。

5:新井「1時間の証拠音声は不存在」⇒存在していた:やはり「犯行不存在」の証明

これはもはや「死体撃ち」レベルの話ですが、新井祥子は従前、「1時間の証拠音声は不存在」と言っていたにもかかわらず、それが存在し、しかもやはり犯行不存在の証明でしかなかったということが2023年2月に公になりました。

これは発端となる電子書籍「草津温泉漆黒の闇第5巻」(現在は配信停止)の著者である飯塚玲児氏の刑事初公判において、検察が新井祥子のPCを押収して音声データを復元した結果、1時間のテープの存在が見つかり、争ったような物音が無いばかりか穏やかな会話が継続し、新井氏が帰りの車のドアを閉めたところまで録音が続いていたことから公になりました。

新井氏は従前、以下のような発言をしていました。

「町長に録音していることがばれたと思って、町長が近寄ってきたときに録音スイッチを切ったから最初の15分くらいしか録音されていません。そのあと、押し倒されて被害に遭いました。もし、1時間テープがあったとしたら、私は辛くて直ぐ全部消去していたと思います」

これがまったくの嘘だったわけですから、虚偽告訴罪という観点からも100%の確証をもって新井氏が嘘をついていたのだということが確定しました。

飯塚玲児・中澤康治議員・増田都子、全ての新井擁護者が新井の嘘を認めたことに

ここまでにおいて、飯塚玲児・中澤康治議員・増田都子といった、新井擁護者の全員が新井氏の嘘を認めるに至っています。

「無罪推定原則」とは言いますが、現在の状況は例外的な状況です。

刑事事件の判決確定前であっても、新井祥子が名誉毀損罪・虚偽告訴罪の構成要件に該当し違法性のある行為をしたことが100%認定できる稀有な事例です。

あとは責任能力の問題があるのかどうかでしょう。

そして、「新井祥子が悪かった」で終わらせることのできない問題が、残っています。

なぜ虚偽主張が継続報道され新井祥子の動機に迫るメディアが居ないのか:虚偽が判明しても報道されない謎

  1. なぜ、新井祥子はこのような不可解な虚偽主張を展開したのか?
  2. なぜ、最初から胡散臭い虚偽主張が一部メディアで正当な主張かのように、或いは両論併記的に取り上げられたか?なぜ、新井祥子の虚偽が判明してもそれは報道されないのか?

両者は別々の目的である可能性があるため便宜的に分けます。

まず、新井祥子やその支援者である中澤康治議員らにとって動機となり得るのは、「時間湯の湯長制度の廃止に対する報復」くらいしか見当がつかない、というのが黒岩町長の見立てです。

実際、2019年末というのは時間湯に関して議論が生じた時期でしたし、新井氏はNPO法人草津湯治の会の副理事長であり、この会はメンバーが時間湯関係者で構成されているもので、利害関係者でした。時間湯廃止にも反対の論陣を張っていました。

私は時間湯や湯長制度がどうなろうが知ったこっちゃなかったですが、黒岩町長側のロジックは気に入らなかったので、その点だけは批判をしていました。

普通、犯罪者や容疑者・被告人に関するメディアの動きは、「なぜそのような行為をしたのか?」という動機について下種の勘繰りがなされる掘り下げる記事が書かれることが多いでしょう。

しかし、新井祥子の狂言事件に関しては、それが一切ない。

それにとどまらず、新井の虚偽主張を積極的に拡散し、海外メディアが報じるまでに至った。新井の虚偽が判明した後も、なぜかその点は一切報じない

メディアが話題性でやってるだけであったり、「議会で唯一の女性議員を擁護」という一応の大義名分に基づいていたなら、新井祥子の嘘がコレでもかとバレたり支援者ですら匙を投げた段階で報道してるでしょう。

それをやらないのは【メディアの別の目的にとって都合が悪い】以外にあり得ない。

一部大手メディアは「日本社会が女性差別社会である」というナラティブを創り出し世界に拡散させようとしていますが、草津町を貶めたフェミ議連構成員などもやはり普段から事実誤認に基づいて同様のことをしていました。

たとえば2015年の国連特別報告者ブキッキオ「援助交際13%」発言は裏付けるデータが無く、日本社会に対する誤解を招くとして外務省が即日抗議、事実上撤回させました。

にもかかわらず、大手メディアは撤回の事実をほとんど報じず、テレビメディアは翌年もブキッキオ発言を番組で取り上げて「日本社会の問題」として論じ、それに乗っかった野党議員も出現。

ほか、2022年には国連女性機関UN Women日本事務所が月曜日のたわわ広告に抗議し、アンステレオタイプアライアンスを誤用して持ち出したことが報じられた事例など、類似の事案には枚挙にいとまがありません。

草津町冤罪事件にまつわる一部メディアの動きは、こうした流れの中に位置づけられるべき話だろうと思います。

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