安倍総理大臣は消費税を10%に上げることについて「リーマンショック級の事態が起こらない限りは2019年10月に増税する」と明言しています。
12月25日の日経平均株価大暴落はこれに当たるのでしょうか?
実は「リーマンショック級」の株価下落があったのです。
- 2018年12月21日から25日の終値の変化
- リーマンショック級の一日の日経平均値下がり
- リーマンショック級の定義
- リーマン・ショック時の日経平均株価の長期的推移
- 日経平均株価以外の指標をみるのか?
- まとめ:消費増税凍結の条件は未成就だが
2018年12月21日から25日の終値の変化
東証急落、平均株価が2万円割れ、1年3カ月ぶり 午前は1千円超下落 - 産経ニュース
午前終値は前週終値比1018円74銭安の1万9147円45銭。
午後の終値の動きも大方同じようでした。
「1018円74銭安」というのは、前日比約5%の下落です。
では「リーマンショック」のときはどうだったのでしょうか?
リーマンショック級の一日の日経平均値下がり
リーマンブラザーズが経営破たんしたのは2008年9月15日でした。
この日は日本は祝日だったので、16日の株価でみることになります。
前営業日の12日の日経平均株価12214.76円から11609.72円となりました。
605.04円の値下がりで、率で換算すると約4.9%安となっていました。
つまり、リーマンショック級の事態が起こりました!
…
…
と言いたいところですが、まぁ流石に一日の値下がりだけで判断はしないでしょう。
ここで「リーマンショック級の定義」とは何か?が問題になります。
リーマンショック級の定義
安倍総理が10%への増税延期を表明して選挙後、第三次安倍内閣発足後に公式な場で最初に「リーマンショック級の事態があれば10%への増税延期或いは凍結をする」旨を示唆したのは以下だと思います。(それまでは消費増税法の景気条項の発動条件として「リーマンショック級の事態」と言われていた。)
189 衆議院 予算委員会 2号 平成27年01月29日
○安倍内閣総理大臣 金融緩和を含めた三本の矢の政策が確実に成果を上げているのは間違いない、このように思います。有効求人倍率も二十二年ぶりの高水準を記録しておりますし、昨年は十五年ぶりの高い水準の賃金の上昇幅であったわけであります。そこは間違いないんだろう、こう思うわけでございます。
そこで、今、消費税、平成二十九年には景気条項をなくしたことについての御質問がございました。
もちろん、リーマン・ショックのような事情の変更があればこれは別でございますが、今回のような景気判断は行わないということにいたしました。
しかし、何を持って「リーマンショック級の事態」と考えるのか?
その定義については何ら言及されていません。
リーマンショック級の定義、「いろいろな考え方ある」=麻生財務相 | ロイター
最近では麻生財務大臣が「いろいろな考え方がある」と言うにとどめるという場面があった程度です。
先ほどは1日の株価下落について触れましたが、少し長期で見てみます。
リーマン・ショック時の日経平均株価の長期的推移
リーマンブラザーズの経営破たんから半年後の2009年3月10日の株価について。
破たん前から約42.2%減の7054円の底値でした。
さて、今般の株価下落は10月2日の2万4271円から1万9156円(午後終値)に5000円以上下落しており、その減少率は約21%です。
リーマンショック時の2か月半後の12月1日までの落ち込みは1万2214円から8397円で約32%程度でした。
したがって、2か月半のスパンで見た時には、リーマンショック級と言えるかというと微妙なところだと思います。
ただ、今後の値動き次第ではそう捉えることもできそうです。
日経平均株価以外の指標をみるのか?
日経平均株価だけで「リーマンショック級」と判断するかというと、それもよくわかりません。
最終的には消費や雇用などを総合的に判断するのでしょう。
まとめ:消費増税凍結の条件は未成就だが
単に一日の日経平均株価の下落がリーマンブラザーズ破綻時と同レベルであるということから「リーマンショック級」と認識して消費増税を凍結するとは考えにくいです。
しかし、今後は予断を許さないということが、株価の値動きからは言えそうです。
以上