事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

NGT48運営のAKS会見:第三者委報告書と松村氏の「つながり」の誤解

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NGT48の山口真帆さん暴行事件に関する第三者委員会の報告書がUPされました。

それに関連して運営のAKSが記者会見を行ったのですが、この事件は「つながり」への捉え方が曖昧だったのが悪いような気がします。あわせて松村氏の「つながり」の認識も含めて書いていきます。

NGT48運営のAKS会見:松村氏「つながりは挨拶も含む」と当初発言

動画8分50秒や18分あたりから「つながり」について松村氏の認識が発露しました。

動画8分50秒頃
第三者委員会の報告によりますと私的なファンとのつながりということは道端で挨拶をかわすということもその範疇に含まれており

動画18分頃
「つながり」は冒頭でも申した通り非常に微妙なというか範疇が曖昧で、道端で声をかけても報告書ではそれが私的領域の「つながり」というようなお話になっておりますが-中略-たとえば挨拶をされて挨拶を返したりということに関して今後メンバーとも誤解を受けないようにしっかりと教育をさせていただきたい。

これに対して山口真帆さんが以下指摘しました。

第三者委員会の報告書における「つながり」

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https://ngt48.jp/news/detail/100003226

報告書の21頁以降に「つながり」について書かれていますが、とても村松取締役の当初の発言のような意味とは解されません。道端での挨拶が私的領域であるなどとはまったく書いてません。

松村取締役は報告書における「つながり」の認識を誤っていたと認める

動画の2時間20分頃では、山口さんのツイートを参考にした記者の質問を受けて、松村取締役は先行する自己の「つながり」にかんする発言は、第三者委員会の報告書を誤って理解していたと認めました

この事件はメンバーとファンの間で私的領域にかかわる内容の会話がなされていたりすることが問題視され、第三者委員会もそれをベースにAKSへ改善の提言をしています。

にもかかわらず、村松取締役が「つながり」の意味内容を誤解していたというのは残念だと思います。

ただ、私的領域における接触や、私的領域にかかわる会話などを監視・規制することについては対応策を講じるとも仰っているので、ぜひとも実施していただきたいと思います。

第三者委員会の調査方法について

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https://ngt48.jp/news/detail/100003226

第三者委員会の報告書の2ページからは、調査方法について書かれています。

そこでは書面回答による調査について、41名中AKB48との兼任メンバー、山口真帆さん、そして実施当日発熱のために参加できなかった1名を除いた38名に対して調査を行った、とあります。

【実施当日発熱のために参加できなかった1名】について

「書面回答なんだから、あとでもできるでしょ?」と思った方、少しお待ちください。

この後には以下の説明があります。

非公開且つAKS関係者にも開示しないことを前提とすること及び記名するか否かは選択できるものであることを告知した上で実施した。その結果、記名者24名、記名しなかった者14名であったが、そのいずれにおいても、対象者は、真摯に回答を記載していた

つまり、第三者委員会の委員にとっても誰が書いたものかわからなくするための措置を講ずることで(おそらく回収時にもその点についての配慮がなされていたであろう)、より率直な見解を引き出せるようにしていたと思われます。

当然、メンバー同士が回答を見ることはできない環境に設定していたはずです。

そのため、発熱で休んだメンバーに対して改めて回答を迫ってしまうと、そのメンバーによる回答であるということが第三者委員会の委員に自動的に判明してしまうため、適当ではないと思われます。

これだけでは不十分ではないかと思いますが、その後、面談による事情聴取も行っているため、書面についてはこれをもって調査方法がおかしいとは言えないでしょう。

面談時には42名から聴取とあるので、発熱で休んだメンバーも含まれているでしょう。

「メンバーは不問」の是非

村松取締役は「責任は運営側にあり、「つながり」という意味や関連規定が曖昧であったため、風紀の乱れは不問に付します」と言いました。

これに対して山口さんは真っ向から反論しています。

 

ここにおける「つながり」の意味には2種類あります。

一つは山口さん暴行事件の犯人と共謀を図ったという意味。

もう一つは、それとは独立に一般的にファンとの私的領域における接触を持っていた、或いは私的領域にかかわる会話をしていたという意味。

記者からの質問でもこの点にかんする質問が出ていましたが、松村取締役の意味は後者の認識でした。しかし、先述の通り、村松氏が「つながり」の報告書における意味について「道端でのあいさつも含まれる」などと誤解していたことが、不問に付する判断に影響を与えている可能性を感じざるを得ません。

道端でのあいさつは不問に付すどころか問題視されるまでもありませんが、そういったもの以外の関係については12人のメンバーがあるということがメンバーへの聞き取りで申告されています。(当然、報告書上では名前は伏せてある)

報告書ではその真偽には触れていません。

AKSはそれで幕引きするのではなく、第三者委員会の調査とは別個に改めてメンバーに対する聞き取り調査をするべきではないでしょうか?

事件以後のAKSやAKBの対応は報告書にはない

当然ながら、報告書は山口さん暴行事件についての検証に徹しています。

なので、その後の山口さんとAKS運営との関係において発生した出来事の是非については触れていません。それは第三者委員会の役割ではありません。

第三者委員会の報告書で本件が幕引きになるべきではないということは多くの方が私的している通りでしょう。

AKSは、別個の調査をしていません。それは、これまで第三者委員会の調査中であったためであり、それを非難することはできません。

ただ、今後は別個の調査をメンバーに聴き取りをするなどして実施する必要があるのではないでしょうか?第三者委員会の報告を元にして、より具体的な事実をAKSが把握するべきではないでしょうか?少なくとも名前を書いて回答書面を提出したメンバーは、真摯に回答するのではないでしょうか?

そうでなければ山口さんが安心して復帰できる環境は決して整わないと思うのです。

以上