ワンセグ携帯を所持しているだけでNHK受信料が発生する契約義務があるという最高裁決定が3月12日付けでありました。
この決定、実は現時点ではまったく脅威ではありません。
ただ、今後の「業界の動き次第」では恐ろしいことになります。
- ワンセグ携帯を所持だけで契約義務ありとの最高裁判決
- NHKに対する債務不存在確認訴訟だった
- ワンセグ携帯電話所持の事実はどうやって把握するのか?
- 最高裁判決(最高裁決定)の本当の意味
- 今後の「業界」動きには注意すべき
- そもそもワンセグ見てる人って居るの?
ワンセグ携帯を所持だけで契約義務ありとの最高裁判決
ワンセグ受信料「契約義務ある」 NHKの勝訴が確定 最高裁 - 産経ニュース
テレビを視聴できるワンセグ機能付きの携帯電話を持つとNHKと受信料契約を結ばなければならないかどうかが争われた2件の訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は、契約義務はないと訴えた原告側の上告をいずれも退ける決定をした。契約義務があるとしたNHK勝訴の2審東京高裁判決が確定した。12日付。
2件の訴訟とは埼玉県朝霞市の大橋議員と東京都葛飾区の立花考志議員の別々の訴訟のことです。
これは原告が大橋議員と立花考志議員でした。
被告がNHKでした。
このことが重要です。
NHKに対する債務不存在確認訴訟だった
原告(各議員)が、被告(NHK)に対し、【受信契約締結義務不存在確認】を求めた。
これが今回の訴訟の発端です。
NHKが大橋氏や立花氏に対して「受信料を払え」とした訴訟ではないのです。
つまり、議員らが「俺らはワンセグ携帯電話を持ってるけど、NHKに金払う必要はないよね?それを判決で確定させてよ裁判所さん」という裁判でした。
ワンセグ携帯電話所持の事実はどうやって把握するのか?
想像してみてください。
仮にあなたがワンセグ携帯電話を持っていたとして。
NHKはどうやってあなたが持っている携帯電話にワンセグ機能があるということを把握するのでしょうか?
NHKの側から「ワンセグ分の金払え」という場合には、NHKの側に相手がワンセグ所持をしていることの証明責任があります。(尋問でやり込められる可能性はありますが)
ワンセグ携帯電話を持っていると判別したとして、それを持っている人に対して街中で「あなたの携帯電話はワンセグ携帯なので受信料を支払う義務があります、契約しなさい!」などと迫るということは在り得るでしょうか?
既に受信料を支払ってる人だったら、どうするのでしょうか?
さすがにそういう事をするとは思えません。
そうすると、この決定はどういう意味になるでしょうか?
最高裁判決(最高裁決定)の本当の意味
これはふつうのTVの場合も同じです。
TVを持っていたとしても、その人がTVを持っているということをNHKがどうやって把握するのか?という問題があります。NHKの集金人が家の中に無断侵入するわけにはいきませんから、訪問確認等の手段を採らざるを得ません。
ホテルなど外部に予めTVの設置を明言しているような場合ならともかく、NHK側がTVの設置の有無を強引に確かめるということはしないのです(そんなことをしたら犯罪になりかねない)。
今回の最高裁決定は「自分からワンセグ携帯を持っているとNHKに申告した者」に対して行われました。
なので、わざわざそんな奇特なことをするような人間でない限り、NHKがワンセグ携帯所持の事実を把握することは難しいですから、今回の最高裁決定があったとしても、何も痛くもかゆくもないわけです。
ですから、現時点で戦々恐々とする必要はない、ということになります。
(訴訟の争い方がまずければ負けることは十分にありますが)
※もちろん視聴可能性があればNHK受信料は払わなければなりません。
わざわざNHKが個人に対して訴訟を起こしても、その人に対する嫌がらせにはなるでしょうけど、NHKにとってコストメリットはまったくありません。争いがあった場合、NHKは訴訟で勝訴判決を得なければ、契約締結はできませんからね。
今後の「業界」動きには注意すべき
ただし、NHKがワンセグ機能付き携帯電話を所持しているということを確認する手段を持ってしまったらどうでしょうか?
たとえば携帯キャリアと結託して、携帯電話の購入履歴をNHKが視れるような法改正がなされるとか、iPhoneなどのスマホも含めてワンセグ機能を強制的に付加するとか、さてはNHKのアプリをプリセットしておくとか。
そうでなくとも、ワンセグ携帯電話でNHK放送を視聴したら、どの端末か分かるような仕組みに変更されたりなど。
こういった法的・技術的仕様が変更された場合には、今回の決定は脅威となります。
ただ、そういうことをする可能性はかなり低いでしょうね。
そもそもワンセグ見てる人って居るの?
そもそもワンセグで視聴している人って、どれほど居るのでしょうか?
そういう人は普段からTVをたくさん見ているでしょうから、世帯で受信契約を締結している人は結構多いんじゃないでしょうか?
今回の決定でバンバンNHKから個人に対して請求がいったり訴訟を起こされたりするようなら、ワンセグという機能自体が広まらなくなるだけでしょう。
したがって、いずれにしても今回の決定のインパクトは限定的です。
まぁ、とりあえず「NHKは酷い!」って言ってNHK改革に持っていけばいいんじゃないでしょうか?
以上