NHK WORLD Newsが風評被害を生む報道をしていました。
- NHK WORLD News"radioactive water"
- 削除されたNHKワールドニュースの記事
- 汚染水と処理水とトリチウム
- 過去ずっと放射性廃水と報道していたNHKワールドニュース
- 福島の風評被害を生み出すNHK
- NHKは福島・日本の風評被害を払拭するつもりが無いのではなく、風評被害を生み出そうとしているのではないか
NHK WORLD News"radioactive water"
信じられない。NHK酷い。
— 小咲なな (@TIOffoa1Iny67ll) 2021年4月10日
福島の海洋放出について"radioactive water"(放射能汚染水)ってツイートして、"treated water"(処理水)だって指摘されたら、ついさっきシレッと消した。
世界に日本のネガティブキャンペーンして、どこが"日本の"公共放送なんだ。本当に日本の敵なのか。 pic.twitter.com/WiORzPdSdJ
4月9日のNHK WORLD NewsのTwitterアカウントにおいて、画像のような投稿がなされ、添付動画の一場面と思われる画像のテロップに"The water is treated, but it still contains tritium and some other radioactive substances"と書いてあるのが分かります。
ところが、この投稿は現在は削除され、記事も削除されました。
削除されたNHKワールドニュースの記事
削除されたNHKワールドニュースの記事はFukushima wastewater decision expected next weekというものです。ソースを見ると"2021-04-09T12:17:00 JST+0900"にUPされ、最終更新が"2021-04-09T12:20:47 JST+0900",だというのが分かります。
記事を全文掲載します。
NHK has learned that the Japanese government is ready to announce, as early as Tuesday, that it plans to dispose of radioactive wastewater from the Fukushima Daiichi nuclear power plant and release it into the ocean.
Wastewater produced by the crippled nuclear plant is stored in tanks in the compound that are set to fill up next year.
It's treated, but still contains radioactive tritium.
Sources say the government wants to dilute the element to acceptable global standards. Then, two years from now, it will begin discharging that water into the ocean.
Japan's fishery industry has been strongly against the idea.
Government officials are set to discuss the plan at a meeting of relevant cabinet ministers next week.
radioactive wastewater=放射性廃水はtreated=処理されたが、放射性トリチウムが残っている、という記述が見つかります。
treatedと書いていたとしても、このような報じ方は非常に誤解を招くものでしょう。
NHKはこの記事を単に削除しただけで、訂正などをしているものはみつかりません。
汚染水と処理水とトリチウム
至極当然で常識ですが、処理水は汚染水とは異なり、放射性廃水を浄化処理して放射性物質をほぼ取り除いた水としたものです。
単に「薄めた」(日常用語で「希釈した」とも表現される)ものでもありません。
ALPS処理水について(福島第一原子力発電所の廃炉対策)令和2年11月 経済産業省
トリチウムも水の中に含まれる放射性物質として一般的なものであり、その人体・生態系への影響は極めて限定的だということが分かっています。
過去ずっと放射性廃水と報道していたNHKワールドニュース
Panel: Release treated reactor water into sea, air https://t.co/659ollOq1a
— NHK WORLD News (@NHKWORLD_News) 2020年1月31日
NHKワールドニュースで過去の用語法がどうだったのか調べたら、"treated reactor water"という言葉も使っていました。
記事の魚拓を見たら、既に"radioactive wastewater"と書いていた。最初からやばかったんだな。で、今回はたまたま指摘されて削除しただけ。今後も登場しないとは限らない。https://t.co/FuVdRDRybo
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2021年4月11日
にもかかわらず、その後の記事でも福島第一原発から排出された水について"radioactive wastewater"と表現しているものがいくつも見つかります。
なので、意図的な用語の選択だというのが分かります。
福島の風評被害を生み出すNHK
こちらでは"diluted radioactive wastewater"
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2021年4月11日
"diluted"は単に「希釈化された」と訳してよいのか、「処理水」の意味なのかよくわからないが、"treated water"という表現を過去に使っているのでね。少なくとも読者の認識は単に希釈化されたものと捉える者が多いでしょう。https://t.co/T97XFoVIOt
さらに、"diluted radioactive wastwater"という表現が見つかります。
dilutedは「希釈された」の意味ですが、その意味は日常用語としては「浄化処理されたもの」というものではなく、基本的には液の量を増やすことによってそこに含まれる化合物の濃度を下げること、という説明が為されているのが一般的です(英語も同様)。
科学用語としてどうなのか?という点が残るが、科学用語としてOKだとしても、たとえば「不潔」のように一般向け報道としては相応しくない用語法もあるのは明らかなので、diluted water ではダメだと思う。https://t.co/UH8vuTi3DW
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2021年4月11日
もっとも、科学用語としてdilutedが使われている場合には別の意味がある可能性があります。しかし、記事を読むのは一般人なのであって、日常用語として問題がある表現は避けるべきです。
記憶に新しいのがダイヤモンドプリンセス号の検疫体制について、橋本岳厚労副大臣がSNSに画像をUPした際に「不潔」という張り紙があった例があります。この場合の「不潔」は医学用語で「滅菌されていない」の意味ですが、誤解する人が多数見受けられました。
海外報道でもdiluted radioactive water といった表現で日本の福島原発の処理水について報道するところが見受けられますが、一般読者が見たら単に薄めただけのものを海洋放出しようとしている、と映るでしょう。
それをNHKが報道して良いわけがありません。
経産省の英語ページでも、delutedという表現は「処理された後に」という文脈で補助的に使われているだけです。
ALPS Treated Water Q&A / METI Ministry of Economy, Trade and Industry
NHKは福島・日本の風評被害を払拭するつもりが無いのではなく、風評被害を生み出そうとしているのではないか
当該NHK記事による風評被害の例。
Fukushima wastewater decision expected next week | NHK WORLD-JAPAN News THE REAL #NUCLEAR MONSTER #Fukushima 3 unmitigated #Nuclear meltdowns ☢️
— Allison Muhammad (@ArchaicAlly) 2021年4月8日
The poisoning of the Pacific Ocean. https://t.co/6oUf3T0vDV
こうした用語の不用意な選択、過去の報道との不整合な扱い、一般読者に対する仄めかしが含まれているのを見つけた以上、NHKは単に「福島・日本の風評被害を払拭するつもりが無い」のではなく、意図的に「風評被害を生み出そうとしている」と評されても仕方がないと思います。少なくとも結果としてそうなっているでしょう。
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