「競技ピクトグラムの発祥は勝見勝考案の1964年東京五輪」は嘘?
- オリンピックにおけるピクトグラムの歴史
- 人の身体動作がある勝見勝ら考案の1964年東京五輪競技ピクトグラム
- 組織委員会の説明と廣村正彰によるTOKYO2020の競技ピクトグラム
- まとめ:「競技ピクトグラムは1964年東京五輪が世界初」は嘘・間違い・誤りではない
オリンピックにおけるピクトグラムの歴史
エンブレム本で指摘したように、オリンピックにはいくつかの歴史認識の誤りがあって、ピクトグラムもその1つ。1936年ベルリン大会や1948年のロンドン大会でも同様の試みはあって、記録もある。何度言っても修正してくれないし、デザイン関係者も勝見勝をすぐに持ち上げる。社会は簡単には変わらない。 https://t.co/EUaq3OvxkY
— Kashima Takashi (@oxyfunk) 2021年7月26日
加島卓 氏は「1936年ベルリン大会や1948年のロンドン大会でも同様の試みはあって、記録もある。」とツイート。
Pictograms Olympic Games 1948 London
Pictograms Olympic Games 1936 Berlin
本記事冒頭画像は1948年ロンドン五輪、上掲画像は1936年ベルリン五輪のものです。
確かに、これらの大会において採用されたピクトグラムであるということが、オリンピックミュージアムというドイツのHPで書かれています。
ということは、「1964年の東京五輪が競技ピクトグラムの発祥」は嘘なんでしょうか?
人の身体動作がある勝見勝ら考案の1964年東京五輪競技ピクトグラム
「1964年東京オリンピック、アジア地域で初めて開催された大会で、オリンピック史上初めてのものが生まれました、それが、スポーツピクトグラム」
東京2020オリンピックの組織委員会が作った映像では、このように言及。
オリンピックミュージアムの東京五輪以前のピクトグラムを見ると、競技の「道具」はあるものの、「人」の存在が無いピクトグラムもあることが分かります。
それに対して、東京1964以降のピクトグラムは「人の身体動作の表彰」が必須のデザインとなっているのが見て取れます。
加島卓 氏が「1964年以前にも同様の「試み」がある」としているのは、そういう点も意識しているからこそではないでしょうか?
組織委員会の説明と廣村正彰によるTOKYO2020の競技ピクトグラム
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック組織員会(東京2020組織委員会)は、東京2020オリンピックスポーツピクトグラムを発表しました。
スポーツピクトグラムは、それぞれの競技を正確に表すと同時に、コミュニケーションツールとして情報を伝える大切な役割があります。また、開催期間のみならず、後年にわたって人々の記憶の中に東京2020オリンピックを印象づけるものです。
東京2020オリンピックスポーツピクトグラムは、1964年の東京オリンピックで生まれたスポーツピクトグラムの考え方を継承するだけでなく、さらに発展させ、躍動するアスリートの動きを魅力的に引き出すデザインとなっています。グラフィックデザイナーである廣村正彰氏等で編成される開発チームが、全33競技50種類のオリンピックスポーツピクトグラムを制作しました。
「1964年の東京オリンピックで生まれたスポーツピクトグラムの考え方を継承する」
別のページでは、このような表記の仕方になっています。
要するに
- 競技(スポーツ)ピクトグラムは1964年以前の大会でも存在した
- 東京1964の競技ピクトグラム以降は人の身体動作が必須のデザイン
- 東京2020の競技ピクトグラムはこの考え方を継承
厳密な説明はこういうことになります。
そういう意味では「競技ピクトグラムの発祥は1964年東京五輪」という言い方は間違いであるとは言い切れない、ということになります。
まとめ:「競技ピクトグラムは1964年東京五輪が世界初」は嘘・間違い・誤りではない
オリンピックというスポーツの祭典におけるピクトグラムとして相応しいものとして、人の身体動作が含まれるデザインというのは、そうではないものとは別種のものとして扱うものとしても、ある意味で当然ではないでしょうか?
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