事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

平将明「内政干渉対策室設置を」菅義偉前総理「当然だと思う」スパイ防止法も精査

菅義偉と内政干渉対策室

内政干渉対策室とは

平将明「内政干渉対策室」設置を:菅義偉「当然だと思う」

3月15日、生田よしかつ氏が運営する「魚屋のおっチャンネル」に菅義偉(すがよしひで)前総理大臣が出演した際の安全保障に関する発言。

平 今年オーストラリアが総選挙の年なんですよ。それでオーストラリアが何を気にしているのかって言うと、SNSを使って選挙自体が乗っ取られる、選挙がハッキングされる、そういうフェイクニュースをいっぱい流されて選挙結果をひっくり返されないようにっていうんで、オーストラリアは内務省の中に「内政干渉対策室」という室を作ったんですよ。それでそこがオーストラリア内のプラットフォーマーとか選挙管理委員会と連携しながら、Twitterやなんかで外国の勢力が変な嘘の書き込みしてないかっていうのを見て、これはおかしいとなったらプラットフォーマ―にアカウントを特定させたり、ツイートを削除させたり、あとは有名な影響力のあるインフルエンサーにこういうことがありますって告知させたりっていうのをやってるっていうんですよね。日本なんかは一番やりやすいんですよそういう工作が。なので、私はさっき国家安全保障会議ってありましたけど、なんかやっぱりオーストラリアに聞いたらそういう機関はアメリカも持ってるし、この間クアッドでも話題になったっていうし、民主主義の国はみんなそれを不安に思っているっていうんだけど、日本の個別具体的にどこがカウンターパートか、というのは無いらしいんですよ。なので、どっか総務省なのか官邸なのか、安全保障会議の下のワーキングチームなのか、どっか私置かないと怖いなぁと思ってるんです。どうでしょう。

菅 これは当然だと思いますねこれは。流石に今世界の事例を見るといろんな犯罪に使われてますよね。ですからそこは当然、国家安全保障局或いはデジタル庁、こうしたところが連携してやることが大事だと思いますね。

ー中略ー

平 政府高官の木原官房副長官にオファーしてますので、ぜひ、菅さんもこれやるべきだと言ってるぞって言っていいですかね?

菅 あーどうぞどうぞ。

平将明議員がオーストラリア政府が設置している「内政干渉対策室」を日本も作り、選挙等において外国勢力がSNSで妙なことをしていないか監視する機関を作るべきだと提言し、菅義偉前総理大臣が「当然だと思う」と述べた一幕がありました。

スパイ防止法の成立についても、生田氏からの質問を受けて、特定機密保護法の運用状況を踏まえてか精査していくとしています。

内政干渉対策室については従前以下のようにツイートで問題意識を共有していました。

Twitterにおける各国の削除請求については報告書が出ています。

各国のディスインフォーメーション対策と日本における中露の影響力

今日の世界における「ディスインフォメーション」の動向――“Fake News”から”Disinformation”へ | 記事一覧 | 国際情報ネットワークIINA 笹川平和財団

前段で「フェイクニュース」ではなく「ディスインフォメーション」という語が特に安全保障上の文脈では用いられるべきだと述べた。その理由は、「フェイクニュース」は、直訳すれば偽のニュースということになるが、後述するような「偽」と言い切れない情報、操作された情報、「ニュース」以外のSNS上におけるBotアカウント[12]等による情報量やネットワークの歪曲という行為が対象から外れてしまうからである。

ー中略ー

このような現況を表すのに適切な用語は何か。筆者は、国家の意思決定を脅かすような安全保障上の文脈では、日本でも「ディスインフォメーション」(あるいは短縮形で「ディスインフォ」)というワードを用いるべきだと考える。上記総務省の報告書にもあるように、国際的にはDisinformationという表現が浸透しているところであり、世界と定義を共有できる利点もある。そのために、ディスインフォメーションの定義を考えるにあたり、まずはEUでの定義を確認してみたい。以下の図は、欧州評議会によって2017年に公表された報告書における定義図[15]である。この報告書では、情報を取り巻く混乱した状況をInformation Disorder(情報の無秩序)と表現し、その状況下における正しくない情報を以下の3種類に分類している。

Mis-information(誤情報)…事実誤認や誤った文脈での情報の結合、ミスリーディングなコンテキスト等であるが、誤って広められたものであり故意や害意はないもの。
Dis-information(偽情報)…害意を以て故意に広められた、誤った文脈や詐欺的な内容、でっち上げや操作された内容の情報
Mal-information(悪意の情報)…秘匿されていた情報をリークする、機微な個人情報を相手を害する目的で公にするなど、真なる情報だが害意を以て広められている情報

まず最初にどういう用語を使うのか。

「フェイクニュース」概念を使うのか、「ディスインフォーメーション」概念を使うのか、という用語の選択・認知・整理されること、が重要だと言えます。

その上で、各国の「ディスインフォーメーション対策」についてはたとえば以下で概要が書かれています。

http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary082.pdf

中国の影響については2020年にCSICが報告書を出していました。日本においては影響は限定的だとする分析がなされています。

「新聞記者」で「内調」として描写された際のような非難が湧きおこるのだろうか?

蓮舫「新聞記者素晴らしい」⇒ガーディアン紙「幼稚な見解 単なるメロドラマ」Netflix「海外でも高評価」の実際 - 事実を整える

既に「政府のSNS監視部隊が居る」というナラティブがネットでは存在し、そうした部隊が存在する架空のストーリーが作り上げられ、フィクションであるにもかかわらずノンフィクションとして言及されている「新聞記者」という映画・ドラマがあります。

内政干渉対策室の設置が実現すれば(設置予定を公表すれば)、また特定界隈が騒ぎ出しそうではあります。

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