事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ツイッタージャパン「シャドウバンはしてません」は嘘か:ファクトチェックのようなまとめ

シャドウバンを現象とみるか行為とみるか

ツイッタージャパン「シャドウバンはしてません・ツイートのランク付けを行ってます」

魚拓

Twitter Japan (@TwitterJP)は「シャドウバンは現在も過去にも行ったこともありません・ツイートのランク付けを行ってます」」とツイートしていました。

実はこの2020年6月のツイートはスレッドの2番目のものなのですが、2022年11月7日の魚拓ではそれ以外が表示されていません。同年9月の魚拓では残っていたことと私の記憶からすると、7日後のシャドウバンによって見れなくなっているようです。6月のツイートがあるので他のツイートも見れないだけで削除はされていないものと思われます。
本日TwitterJPのプロフィール欄から遡ってみたら9月22日を最後に表示が途切れていました。いったん緩和されてはまた制限がかかるなど非常に流動的です。

この下のリプライ欄でもスレッド化されているので引用します。

ランク付け」についてはトップツイート表示、つまりはTLの表示で優先的に何を表示するのかということを操作してるかという話で、以下の文章でもそのようなことを言っていると理解するべきでしょう。

これは公然の事実ですし、グロ系画像などが出てこないようにしているような話なので、それ自体は何ら問題ありません。

Twitterは使いづらい?- Twitterの機能は大変シンプルです。ただ、よりよいサービスを目指して日々様々なライブテストも行われています。ある日突然見慣れないインターフェースになることもありますが、それらを皆さんがどのようにお使いになるかを学習し、改善に活かしています。

Twitterへの報告は人が見てくれていない? - Twitterのサポートチームは、世界中に分散する「人間」のメンバーにより構成されています。ただ、いちはやくルール・ポリシー違反に対応するため、テクノロジーによる自動検出も強化しています。

Twitterは健全な会話を損なう行為への対策を講じています。Twitterのルールとポリシーは変化する世界の情勢に合わせて適応させる必要があります。例えばTwitterでは、相手の人間性を否定するような言葉使いを禁止対象に含めるため、ヘイト行為に関するルールを刷新しました。

そのほか、人種、民族、出身地、社会的地位、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、深刻な疾患を理由とした他者への暴力行為、直接的な攻撃行為、脅迫行為を助長するような投稿を禁じています。

Twitter上の会話で何らかの攻撃の対象になったご本人からの報告に対して迅速に対応できる体制が整っています。また、他の方からもこれらの投稿について報告をいただくことで学習の精度がより高まります。

一方で暴力行為、直接的な攻撃行為、脅迫行為であるかどうかは前後の文脈や当事者同士の関係性によるところが大きく、判断が難しい場合もあります。また、冗談だったり、本気ではないなどの性質をどのように捉えるかも求められます。

皆さんからTwitterへ寄せられたご報告については、テクノロジーと人による確認を行っています。膨大な報告から問題を見つけるプロセスで、必ずしも常に正しい判断が下されるとは限らないため、誤ってアカウントが凍結またはロックされた場合に異議申し立てを簡単に行える仕組みをご用意しています。

Twitterにおける公共の場での会話の健全性は最優先事項であり、安心して会話参加でき、信頼できる情報にすぐにアクセスできるよう取り組んでいます。今後も日本および世界の情勢に合わせて、Twitterのルール、ポリシーを刷新し、適切に執行していくよう務めていきます。

では、引用しているページではどう書いているのでしょうか?

「我々が定義したシャドウバンの意味通りの現象は無い」

Twitterについての誤解の真相魚拓)では、ツイートと同じことが書いてます。

さらに引用されてる「Twitterのブログ記事」というのは…

Setting the record straight on shadow banning魚拓)という米国Twitterのページ。

シャドウバン

People are asking us if we shadow ban. We do not. But let’s start with, “what is shadow banning?”
シャドウバンをしてるか尋ねられますが、私たちはやってません。が、"何がシャドウバンなのか?"というところから始めましょう。

The best definition we found is this: deliberately making someone’s content undiscoverable to everyone except the person who posted it, unbeknownst to the original poster.
私たちが発見した最良の定義は次の通りです:ある人のコンテンツを、元の投稿者が知らないうちに、投稿した人以外には発見できないように意図的に仕向けること。

We do not shadow ban. You are always able to see the tweets from accounts you follow (although you may have to do more work to find them, like go directly to their profile). And we certainly don’t shadow ban based on political viewpoints or ideology.
私たちはシャドウバンをしていません。あなたがフォローしているアカウントからのツイートは常に見ることができます(ただし、相手のプロフィール欄に直接アクセスするなど、探すのに手間がかかる場合があります)。また、政治的見解やイデオロギーに基づくシャドウバンは行っていません。

  1. ツイートをした者=元の投稿者が気づかないように(通知なく)
  2. ツイートした者以外が発見できない状態
  3. それを意図的に作り出すこと

Twitter社は、こうした内容があるのがシャドウバンであると定義しています。

韓国語とスペイン語のページもありました。

Shadow Banning 에 관한 오해 바로잡기

Poniendo las cosas en claro sobre la censura encubierta ("shadow ban")

その上で、「このような意味のシャドウバンは」「行ってない」と言っているに過ぎません。非常に不誠実な態度でしょう。

唯一、サジェッションバンに関してのみ"some accounts weren’t auto-suggested in search"とこのページの下部で言及しています。

なお、「ランク付け」に関しては以下にあるように別個の事柄として書いています。

We do rank tweets and search results. We do this because Twitter is most useful when it’s immediately relevant. These ranking models take many signals into consideration to best organize tweets for timely relevance. We must also address bad-faith actors who intend to manipulate or detract from healthy conversation.

As a specific example, if a search result has 30,000 tweets, here’s what we take into consideration when ranking:

Tweets from people you’re interested in should be ranked highly
Tweets that are popular are likely to be interesting and should be higher ranked
Tweets from bad-faith actors who intend to manipulate or divide the conversation should be ranked lower

通知のない種々の機能制限という現象への不誠実な態度

要するに、Twitter社のアメリカ本国は、勝手に極めて限定的に定義したシャドウバンの意味に照らして、「それに該当する行為はしていない」と言ってるだけで、現実に生じてる種々の現象が発生してないとは言っていません。

ツイッタージャパンは、このアメリカの言っていることをそのまま流しているだけで、日本オフィス独自の見解ではないということです。

シャドウバンという言葉が人口に膾炙する前は、いろんな言われ方が為されてきました。公約数的な理解は【通知なく種々の機能制限がかけられることがある】というものです。代表的なものがシャドウバンチェッカーの項目にもなっている4つです。

  1. サーチサジェッションバン=アカウントネームを検索窓に入れても候補に出てこない状態
  2. サーチバン=検索結果に表示されない状態
  3. ゴーストバン=リプライの一覧にツイートが表示されなくなる状態:スレッドBANとも呼ばれ、本人のプロフィール欄からは読めるようになっている
  4. リプライデブ―スティング:リプライが「返信をさらに表示」を押さないと表示されないようになること

「Twitter社がユーザーに隠れて何らかの制限を行う」というような意味で使われてる例を私は知りません。

通知が来る制限は以下でまとめたようなものがあります。

  • アカウント自動削除
  • 永久凍結・凍結
  • アカウント制限(ロック)
  • 機能制限:DM・ツイート・いいね・リツイートができない、など

これらはポリシー違反に該当していると判断されている場合に多くそうなります。「from:アカウント名」で検索をして引っかからなければ、ポリシー違反かどうかはともかく、何らかの制限がかかっているということが分かります。現時点のTwitterJPのこの状態です。

ゴーストバンについては、当時の私の相互さんの間では「ステルス化」とか言われてました。しかし、「ツイートした者以外が発見できない状態」かというと、程度問題です。2018年時点で確認した現象は、リプライ中のとあるアカウントのツイートの内、最新のものは見れますが、それ以前にリプライしていると、そのアカウントのツイートが見れなくなっていました。

ツイートしてから日が浅ければプロフィール欄から辿れますが、間に何百何千もツイートが挟まってるとTwitterアプリケーションの問題なのかブラウザの問題なのかわかりませんが表示限界によって遡れなくなり、結果的に発見できないということになります。

他、特定のツイートだけが見れなくなっている場合も存在します。これはシャドウバンと言われてるものから外れていると思いますが、現象として存在しています。

そして、おそらくこれはTwitter社の人間が手動で行ってる例は極めて少なく(手動の例があるという決定的な証拠は無いが、不審な現象はアメリカユーザーらの間で多数報告されている)、自動的にそうなっていると思われます

しかし、現実にそのような制限がかかるという現象が発生しているにもかかわらず、それ自体を無視して「自分たちがやってるのではない」として「だから存在しない」とだけ言って「ランク付け」の話に話題をそらすのは、不誠実でしょう。

それとも、「ランク付け」こそがシャドウバンの正体なんでしょうか?だとしたら、説明している内容と実態がまったく異なることになります。

総務省のヒアリングシートに記載されているTwitterの偽情報対策

実は、ここで書いてきた機能制限の一部は、オフィシャルな話にもなっていました。

フェイクニュースや偽情報への対策状況 ヒアリングシート(2021 年3月 30 日)総務省

「合成または操作されたメディアに関するポリシーに違反した場合」には「ツイートの拡散を抑制」することがあるようです。

ただ、これは「ツイートで共有されているメディアが、ユーザーを欺くことを意図して、大幅に改ざんまたはねつ造されていると判断する根拠がある場合」なので、要するに画像・動画・リンクがそういう場合には、という意味であり、そうではないテキストのみの場合を想定したものではありません。

※追記※

この資料中「ラベル付け」として書かれている内容の多くに、機能制限やシャドウバンと呼ばれてきた現象がそれなりに含まれているのが分かります。これらは手動で行っているものです。ただ、ポリシー違反のコンテンツを削除しない場合、といった具合に、事前の警告があるような書きぶりであり、ズレがあります。

※※追記終わり※※

まとめ:TwitterのShadowBanのファクトチェックもどき

  • 「シャドウバンはしてません」
    ⇒「我々が定義したような現象は無い」と強弁しているだけ
    ⇒手動で行っていないという意味で、嘘ではない可能性がある
    ⇒「ラベル付け」とTwitter社内で整理している用語法の中に、巷でいわゆるシャドウバンと呼ばれている現象がいくつか含まれているが、条件が異なっている。
  • いわゆるシャドウバンという現象はあるか
    ⇒実在する

まとめるとこういうことですが、これ以上の実態があるのかどうか…

その場合は、もっと酷い話になるわけなんですが…

以上:はてなブックマーク,ブログ,note等でのご紹介をお願いします