事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

男性皆殺し協会マニフェスト「去勢の恐怖に怯えた男性陣」「びびるだろうね!楽しいな!」武蔵大学男子生徒による「怖い」記事が削除

 

削除されまくっているのでまとめます。

武蔵大学男子生徒による「怖い」記事が削除

2021-03-25
武蔵大教員”男性皆殺し協会”一連発言に、男子学生「教える立場にいるのが正直言うと怖い」「差別で楽しんでいるように見える」 【北村紗衣・呉座勇一】

武蔵大学人文学部の北村紗衣准教授が、自身のブログ上に公開したSCUM Manifesto (男性皆殺し協会マニフェスト) 紹介記事の反応に対して、「ソラナスがあまりに怖かったようで、去勢の恐怖におびえる男性陣からコメントを頂いた」「(紹介記事を見た人は)びびるだろうね!楽しいな!」*1と投稿していたことがわかった。なお、該当のブログ記事はすでに削除されている。

武蔵大学の男子生徒による「怖い」と発言した記事はこちらですが削除されています。

どういう事を言っていたのかは魚拓を参照。

「男性皆殺し協会マニフェスト」「去勢の恐怖に怯えた男性陣」

「男性皆殺し協会マニフェスト」とはValerie Solanas=ヴァレリー・ソラナスが1967に出した著書であるSCUM Manifesto(SCUM= "Society for Cutting Up Men".)の北村氏による邦訳。
※明確化のため追記:北村氏は男性「根絶」協会という訳を選択していましたが、2021年以降には男性「皆殺し」協会の訳語を使った言及に対しても、自身が訳したものという前提で振る舞っています。

北村氏による削除されたSCUM Manifesto翻訳紹介記事は、少なくとも24個あります。

URLはたとえば以下ですが、全て削除済み。

https://saebou.hatenablog.com/entry/20101112/p1

https://saebou.hatenablog.com/entry/20101128/p1

https://saebou.hatenablog.com/entry/20110214/p1

https://saebou.hatenablog.com/entry/20110709/p1

翻訳紹介記事の削除理由については本人が語っている。

https://archive.is/dsm3u

執筆者本人が上掲の理由で削除しているので内容が見れるようにはしない。
※ネット上で彼女の翻訳内容を転載していると思われるサイトがみつかるが、内容の真正性を担保できないのでここでは貼らない。
※邦訳内容であるとしてネット上で拡散されたのはMGTOW NEWSというはてなブログ上に2021年3月24日にUPの【”男性皆殺し協会”とは何か?「男は歩くディルド、寄生虫であり生きる資格はない」】という記事で、URLは以下だが、削除済み。https://mgtow.hatenablog.com/entry/20210324/1616559141
※MGTOW NEWS上の翻訳内容と現在もネットで見られる北村氏による翻訳内容の転載と思われる内容は一致していない。

「はてなに著作権侵害ブログだと思われたら困るから」を理由として全部削除したということで、実際に著作権侵害とされたり、そのように通報されたということではなさそうです。

SCUM Manifestoに関しては2009年の時点で以下のように言及していた。

2009年の映画をふりかえる - Commentarius Saevus 2009-12-7

昨日まで二連続で訳したソラナスがあまりに怖かったようで、去勢の恐怖におびえた男性陣からコメントを頂いたりしたので

https://archive.is/l3vg7

北村紗衣「びびるだろうね!楽しいな!」のツイートと趣旨

「びびるだろうね!楽しいな!」のツイートは以下。

このツイートについては「趣味の悪い発言だった」と本人が語っているように、原本の露悪的なショック効果へのオマージュ的な意味合いだったようです。

ヴァレリー・ソラナスのSCUM Manifestoはパロディ?

SCUM Manifesto - Wikipediaを見ると「フロイトの複数の著作をポイントごとに書き直したもの。これはパロディー」という作家のチャビサ・ウッズの見解や「家父長制の文化に対する痛烈な批評」という見方などが紹介され、一部の論者がパロディーとして書かれていると指摘しています。

もっとも、その後の彼女の行動などからそういう風に捉えるべきか、仮にパロディーだとしてもどうなのか、という評価が為されてしかるべきだと思います。

当時の世相や現地文化の理解というハイコンテクストを理解しないと捉えられないものだろう、というのは色んな表現物・創作物に言えます。

内容については各自が原文を読んで判断するしかないでしょう。

2009年と2011年の発言に対する2021年の論評

今から言えば13年前と11年前。北村准教授はまだ20代の院生の時代。東京大学大学院を休学してキングス・カレッジ・ロンドン英文学科博士課程に入学していた頃だ。

それが10年以上経った2021年に急に言及されだしたという経緯。

たとえば公人(選挙立候補予定の者も含む)アカウントが昔のツイートを発掘されて、それが眉をひそめるような内容だったために批判されるということはしばしば起こる。

立憲民主党愛媛4区の杉山啓「JKを視姦・JCと中年の純愛いいじゃない」投稿が発掘されて謝罪:ツイート削除、魚拓 - 事実を整える

立憲民主党原田ケンスケ「性交中に同意を得て手で首絞めると違法性無い・ショートパンツの女の子みたいなら夏場のサッカー観戦」既に削除の蒸し返し・魚拓 - 事実を整える

北村氏の発信のように「若気の至り」「ほんの軽口」と言える程度のものかもしれないが、公人となろうとするならば流石に現在は肯定していない旨を示してほしい。

この点、北村氏の2021年時点の認識として以下のものが見つかる。

もちろん、ここでは北村氏の他の発信について取り上げて、それとの関係で北村氏のジェンダーやフェミニズム、表現の自由への態度について論じることは避ける。

「過去にこのような発言があったこと」をどのように受け止めるかは受け手次第であるし、「そういう発言をした者が他人の過去の発言に対して言うのは…」という使い方も十分可能だろう。

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