事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「安倍首相のサンゴ移植発言に政府打ち消し懸命」という曲解

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http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukasyohosei/102.pdf

安倍総理の「あそこのサンゴは移植している」という発言がなぜか叩かれている件。

毎日新聞が印象操作記事を書いてますね。

この件の検証結果はJ-CASTニュースと以下記事を参照

毎「安倍首相のサンゴ移植発言に政府打ち消し懸命」

安倍首相のサンゴ移植発言が波紋 政府、打ち消しに懸命 - 毎日新聞

 土砂投入区域には沖縄防衛局の移植対象になるサンゴはなく、「あそこのサンゴ」という首相の発言は正確性を欠く。

琉球新報の記事や社説と少しスタンスは異なりますね。

琉球新報の1月9日の社説は「安倍総理の発言は事実と異なる」と断言しています。

毎日新聞は「安倍総理の発言は正確性を欠く」「誤解を招く」という評価です。

辺野古埋め立て地区全体と辺野古2-1という限定区域

私自身も沖縄県水産課に取材しました。

  1. 移植対象となるサンゴは、0.2ha以上密集しているものについては10センチ以上のものを対象とする
  2. 密集していなくとも1メートル以上のものは移植対象とする
  3. 上記に当たらなくとも絶滅危惧種のオキナワハマサンゴは9群体移植した事実がある
  4. オキナワハマサンゴ9群体のうち、1群体は辺野古地区に存在していたが、それは現在周囲を囲って埋め立てをしている場所の外側に在ったものである
  5. 絶滅危惧種以外の移植対象の7万4千群体は大浦地区にあり、そのうち4万群体は県が承認撤回をしたことで不要になったとして不許可になったが、防衛省が再申請をして現在審査中

サンゴを移植した事実はあるということと、まだ移植していないサンゴがあるということです。

辺野古2-1の地区は沖縄防衛局が調査した結果、移植対象となるサンゴは存在していなかったと判断されたようです。

安倍首相のサンゴ移植発言が波紋 政府、打ち消しに懸命 - 毎日新聞

菅義偉官房長官は10日の記者会見で「辺野古側の埋め立て区域に生息していた移植対象のサンゴはすべて移植しており、環境保全措置にも最大限配慮しながら対応している。(首相は)そういう趣旨の発言をされたのだろう」と苦しい説明に追われた。

したがって、菅官房長官のコメントも事実と異ならないということになります。

安倍総理のNHKでの発言

 

NHKの1月6日の放送「日曜討論」では、安倍総理が土砂を投入している映像に触れて「土砂を投入していくに当たって、あそこのサンゴについては移している。また絶滅危惧種が砂浜に存在していたが、これは砂をさらってしっかりと別の浜に移していくという環境の負担を抑える努力もしながら行っている。」と発言しました。

安倍総理が「あそこのサンゴ」と言ったことが正確性を欠くという毎日新聞。

しかし、この発言に至るまでに、安倍総理は辺野古基地の移設の経緯を説明していますから、辺野古埋め立て予定地域全体について言及する流れでの発言であることが明白です。

工事の規模も現在進行形の区域は予定している場所の極々一部であって、一国の総理大臣がいちいち具体的な区域を指定していると考えるのは異常です。埋め立ての映像に触れたことについても、埋め立て工事を現在進行形で行っている映像の区域に限定して話をしていると理解するのは殊更に安倍総理を非難したい者の都合の良過ぎる解釈でしょう。

安倍首相のサンゴ移植発言が波紋 政府、打ち消しに懸命 - 毎日新聞

首相による「印象操作」と受け取られかねない発言だけに、政府は打ち消しに懸命だ。

それに「印象操作」と言いますが、この件で辺野古2-1に移植対象のサンゴが存在していてそれを移植したという印象を与える意味はあるのでしょうか?

仮にそのような印象を与えたとして、それはニュースで取り上げるような悪いことなのでしょうか?

そんな動機があるとは通常思えず、そのような理解になる意味が分かりません。

毎日新聞(と元の報道記事を書いた琉球新報)の言いたいことは良くわかりません。

移植対象である10センチ以上のサンゴになぜ触れない?

この件で琉球新報、毎日新聞、朝日新聞のWEB版のみについて言及しますが、どの記事も「絶滅危惧種と1メートル以上のサンゴ」が移植対象としか書いていません。

私が沖縄県水産課に確認したところ0.2ha以上のまとまりの群体については10センチ以上のものを移植対象とするという説明を頂きました。

1メートル以上のサンゴは、そういったまとまりが無くとも移植対象としているということなのです。

なぜこれを記事に書かないのでしょうか?

取材時に水産課の方が触れなかったのか分かりませんが、これらのメディアの普段の発信や、今回の印象操作報道を見ていると「1メートル未満のサンゴは移植せず大量に犠牲にしている」という印象を与える意図があるのではないか?と疑いたくなります。

沖縄防衛局によるサンゴの分布状況調査はこちら:「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書「第6章 6.14 サンゴ類」」です。

埋め立てを行う以上、なんらかの環境に対してインパクトを与えるのは当然です。

我々一般人の日常生活ですらそうです。

小さいサンゴをすべて移植することはリソース的に不可能ですから、ある程度の大きさ・まとまりを対象とする以外にありません。

この話を詳細にしていくと「10センチ未満のサンゴは無視されている!」と騒ぎ立てる者が出てくるので、あまり付き合う必要はないでしょう。

まとめ:政府が打消しに懸命という謎の評価

辺野古移設とサンゴ保護は両立できるという首相発言が嘘ではない理由 | 高橋洋一の俗論を撃つ! | ダイヤモンド・オンライン

筆者の知る限りでは、日曜討論での「サンゴ移植」の首相発言は、実際の土砂投入海域と埋立予定地域を峻別し、場所を限定した議論ではなかった。琉球新報の記事は、揚げ足取りに近いものだと筆者には思える。

好意的に評価して、琉球新報は揚げ足取りでしょう。

毎日新聞はそれに便乗して「問題」を長期化するつもりでしょう。

いい迷惑です。

 

以上