朝日新聞が謎記事を書いてました。
- 朝日新聞「自民が比例区の得票数、大きく減らす」と報道
- 自民党の得票数
- 有権者数と投票率の差はどうなっていたか。
- 総括:投票率の影響が大きい
- 公明党・共産党の得票率の変化
- まとめ:共産党の凋落、日本維新の会・れ新・N国の躍進
朝日新聞「自民が比例区の得票数、大きく減らす」と報道
自民が比例区の得票数、大きく減らす 議席数はキープ - 2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル
一方、比例の獲得議席数は、前回と同じ19。比例で自民に投票したのは全有権者の17%前後だが、比例区50議席のうち、38%を獲得した計算になる。支持に大きな広がりはみられないものの、低投票率に支えられたといえる。
絶対得票率=棄権者も含めた全有権者に占める割合という、意味の無い数字を持ち出すことで自民党の力が落ちたという印象を与えようとしているのが分かります。
絶対得票率では、投票率の変動の影響を測ることができません。
普通に考えれば今回の選挙は投票率の低下の影響が強いということは分かるでしょう。
データでもそれは分かります。
自民党の得票数
2019年と2016年の参院選について比較します。
平成28年の参院選挙の自民党の比例代表の得票数
自民党の得票数は2011万4788で、政党全体の35.9%でした。
2016参院選 | 参議院選挙 | 選挙アーカイブス | NHK選挙WEB
令和元年の参院選挙の自民党の比例代表の得票数
自民党の得票数は1771万1862で、政党全体の35.4%でした。
比例代表 党派別得票・獲得議席 | 参院選 2019 | NHK選挙WEB
有権者数と投票率の差はどうなっていたか。
2019年と2016年の参院選について比較します。
平成28年の参院選挙の有権者数と投票率
有権者数は1億620万2873人、投票率は54・69%でした。
投票者数は5808万5678人です。
令和元年の参院選挙の有権者数と投票率
参院選 有権者1億658万人 一票の格差は2・99倍 - 産経ニュース
令和元年の参院選は有権者1億658万人、投票率は48・80%でした。
単純計算すると投票者は5201万1040人で、比例票はこれがベースです。
今年の投票者数は約607万人少ない。
今年の投票者数は約607万人少ないということがわかります。
2016年の自民党の政党全体の得票率がそのまま今回の選挙でも維持されたと考えると、今年は218万人の票数が下がることになります。
総括:投票率の影響が大きい
- 自民党の比例代表の得票数は、2016年と比して約240万人下がった
- 自民党の比例代表の得票率は、2016年と比して0.5%下がった
- 参議院議員選挙の投票者数は、2016年と比して約607万人下がった
- 2016年の自民党の政党全体の得票率がそのまま今回の選挙でも維持されたと考えると、今年は218万人の票数が下がることに
240万ー218万=22万人、これが自民党が投票率の低下の要因以外の、求心力の低下によって落とした票数であると言うことができます。
要するに、全体の投票率の低下が自民党の比例票の減少の大きな要因であり、他の政党の躍進による影響は小さかったと言えます。
公明党・共産党の得票率の変化
公明党は2016年の政党別得票率が13.5%なので今回は約82万票の減少のはずですが、実際には7,572,960⇒6,536,336と、約100万の減少になっています。
共産党は2016年の政党別得票率が10.7%なので今回は約65万票の減少のはずですが、実際には6,016,194⇒4,483,411と、なんと153万人も減少しています。
従前から存在している党で全体の比率を上げたのは日本維新の会のみでした。
その他、れいわ新選組とNHKから国民を守る党の得票数が大きいというのがわかるでしょう。
※旧民進党は立憲民主党と国民民主党に分かれたと言えるが、完全にそう言えるわけでもないので、比較できない。
まとめ:共産党の凋落、日本維新の会・れ新・N国の躍進
以上、今回の参院選で特筆すべき結果は【共産党の凋落】【日本維新の会・れ新・N国の躍進】です。
朝日もそれにまったく触れてないことは無いですが、自民党の票数減少を殊更取り上げる意味はほとんどないでしょう。ましてや投票率の低下の影響を無視した内容をタイトルと記事の冒頭に持ってくるのは明らかな「精神的勝利」のための印象操作でしょう。
なお、自民党の政党全体の中での得票率は2013年は34.7%、2010年は24.1%なので、朝日新聞が「自民党の絶対得票率の低下傾向」などと言っていることも、まったくもって意味不明です。
以上