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愛知朝鮮高校無償化訴訟2審名古屋高裁でも請求棄却:朝鮮総聯の不当な支配

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朝鮮学校無償化訴訟で愛知県の事件も原告敗訴の判決が出ました。

愛知朝鮮高校無償化訴訟2審名古屋高裁でも請求棄却

朝鮮学校無償化訴訟 原告の請求を棄却 名古屋高裁(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

朝鮮学校無償化訴訟 原告の請求を棄却 名古屋高裁 - 毎日新聞

1審では不指定処分の適法性が争点だった。判決は「朝鮮学校が朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)から、教育基本法の禁ずる『不当な支配』を受けていると疑うべき事情があった」として処分に裁量権の逸脱・乱用はなく、妥当と判断していた。

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松並裁判長は判決理由で、昨年4月の名古屋地裁判決と同様、「朝鮮学校は学校運営や教育活動が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の介入を受け、理事会などによる自律的な運営が行われていない」と述べ、国の判断を適法とした。

朝鮮総聯の「不当な支配」を受けているかどうか、という判断枠組みは、全国の裁判でも同じです。

1審の名古屋地裁の判決文の内容を見てみましょう。 

名古屋地裁 平成25年(ワ)267号、平成25年(ワ)5590号

平成30年4月27日の名古屋地裁判決は、朝鮮学校と朝鮮総聯・北朝鮮との関係がある事を確定した上で、それが教育基本法16条1項で禁止されている「不当な支配」を受けているかどうかを段階的に記述しています。

また、「不当な支配」の疑いについて、原告による反論が示されていますが、すべて疑いを払拭するに足りないと判断されています。

「不当な支配」と言えるための合理的疑念

名古屋地裁はまず、以下を指摘しています。

愛知朝鮮高校が,北朝鮮から財政上の援助を受け,朝鮮総聯との間で密接な人的関係を有するということのみをもって,朝鮮総聯や北朝鮮から「不当な支配」を受けていると合理的に疑うべき事情が存在するとはいえない。

その上で、以下の判断枠組みを示して検討しています。

朝鮮総聯や北朝鮮が愛知朝鮮高校に対して及ぼす影響が,外国本国や在日民族団体が在日外国人学校に対して行う一般的関与を超える介入であり,人間の内面的価値に関する文化的な営みとして,党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきものではない教育本来の目的をゆがめるようなものに至っている合理的疑念があるかを,さらに検討する必要がある。

「不当な支配」の合理的疑念の事実:学校の運営

判決文から事情を拾っていきます。

  1. 朝鮮総聯のホームページには,平成24年3月まで,「朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている」との記載が存在していた
  2. 準学校法人が学校の運営費のために行う借入金は,評議員会に諮問した上で,理事会において決すべき事項であるところ,平成23年時点で愛知朝鮮学園がRCCに対して負っていた約14億円の借入債務は,学校運営費のための借入金であるとの説明がされているにもかかわらず,その多くが教育会名義での借入れとなっている。
  3. しかも,支援室からの確認に対し,愛知朝鮮高校は,上記借入債務について,理事会・評議員会の意思決定の有無を確認できない旨の回答をしているほか,借入れの詳細が分かる書類も学園内には存在しない旨を回答するなど,理事会・評議員会において意思決定を自律的に行っている準学校法人とは考え難い回答をしている。
  4. そして,上記借入れが行われたのは平成9年から13年頃のことではあるが,愛知朝鮮学園は,現在の理事会の開催状況についても,理事会開催を裏付ける書類(出欠票や欠席者の委任状等)は特に存在しないと回答している上,役員名簿と理事会等の出席者が一部合致していないことも確認されており,平成24年3月時点で前記のとおりのホームページの記載もあった

「不当な支配」の合理的疑念の事実:教育内容について

  1. 朝鮮高校が使用している教科書は,平成22年以前まで朝鮮総聯中央常任委員会に置かれた「教科書編纂委員会」によって編纂されており,総聯中央副議長が責任者になるなど,朝鮮総聯の意向を色濃く反映した教科書編纂がされていたことがうかがわれる。
  2. その後,教科書の編纂者は「学友書房 教科書編纂委員会」と改められたが,学友書房も朝鮮総聯の事業体である上,学友書房が朝鮮総聯中央の指導の下で教科書編纂を行っていた
  3. 朝鮮高校で使用されている教科書には,北朝鮮の最高指導者を絶対視し,これを賛美・礼賛する表現が多数見られる
  4. 朝鮮総聯は,朝鮮学校において,北朝鮮の最高指導者を崇拝し,その考えや言葉を絶対視するような教育を行うべきことを,教職同等を通じて,校長や教員に繰り返し指導している
  5. 朝青は,青年期の在日朝鮮人によって構成される朝鮮総聯の傘下団体であるところ,愛知朝鮮高校においては,生徒全員が朝青に加盟し、朝青の各種活動に参加している
  6. 公安調査庁の平成22年1月の「内外情勢の回顧と展望」では「朝鮮総聯は,朝鮮人学校での民族教育を『愛族愛国運動』の生命線と位置付けており,学年に応じた授業や課外活動を通して,北朝鮮・朝鮮総聯に貢献し得る人材の育成に取り組んでいる。」「朝鮮総聯は・・・教職員や初級部4年生以上の生徒をそれぞれ朝鮮総聯の傘下団体である在日朝鮮人教職員同盟(教職同)や在日本朝鮮青年同盟(朝青)に所属させ,折に触れ金総書記の『偉大性』を紹介する課外活動を行うなどの思想教育を行っている。」と記載されている。
  7. 東京都における調査時において,朝青のホームページに掲載されていた「朝青規約」には,朝青の目的,義務,組織について,以下のとおり規定されていた
    1条 朝青は,朝鮮民主主義人民共和国政府の政策を高く奉じ,在日本朝鮮人総聯合会の綱領を固守し,総聯の諸般の決定執行において先頭に立つ。朝青は,自己の全ての事業を総聯の指導の下に進める。
    5条 朝青員の義務は次のとおりである。
     ① 朝青員は,共和国政府の路線と政策,それを具現した総聯の決定を深く学習し,それを先頭に立って擁護貫徹し,広く解説宣伝しなければならない。
     ③ 朝青員は,祖国を熱烈に愛し,主体社会主義祖国を内外反動らの策動から堅実に擁護するために献身しなければならない。
     ⑭ 朝青員は,内外の敵の策動から総聯組織を堅固に守らなければならない。
    38条 朝鮮高級学校(中略)内には,朝鮮中央委員会の批准を受けて,朝青朝高委員会を組織する。朝青朝高委員会は,学内の朝青事業に責任を負い,該当地方県本部団体に直属する。

これらの疑念に対して、原告側が反論しています。

原告側の反論

事実関係そのものについての反論とそれについての判断だけをピックアップします。

  1. 「朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている」との朝鮮総聯のホームページの記載は誤っていたことから,その後に訂正されている
    ⇒訂正は事実だが疑念払拭できず
  2. 教育会は,日本の学校でいうとPTAのようなものであり,寄付金の声掛けなど学校に対する支援を行っているにすぎず,愛知朝鮮学園の運営は理事会により行われている
    PTAが何億円にものぼる学校運営費を金融機関から借り入れるとは考え難いし、なぜ朝鮮総聯中央責任副議長が出席して「指導」を行うのかも不可解
  3. 教科書は,朝鮮学校の教員らの意見も反映して改訂を繰り返している
    ⇒教員によって自主編纂していると認めることは困難
  4. 朝青は,地域の在日同胞青年たちのコミュニケーションを図ったり,様々な催しをしたりする団体であるところ,朝鮮高校内の朝青は生徒会のような活動をしており,高校の朝青活動と高校外の朝青活動は相互に関係がない上,朝青が朝鮮総聯から指示を受けることはない
    ⇒朝青の機関紙において、朝青の課業の筆頭項目が「青年同盟を金日成-金正日主義化」することとされていること(「金日成-金正日主義化」とは,金日成主席と金正日総書記の思想を指針として運動を推進することを意味する。)からして,採用し難い。
  5. 教職同についても,朝鮮総聯からその活動等について指示を受けることはない
    ⇒朝鮮新報や公安調査庁の調査結果から証言は信用できない

結局、これらの反論はすべて、信用できないか、事実があったとしても疑念が払拭できないとしています。

最高裁でも原告敗訴の判決という結果に

無償化訴訟は既に元生徒が原告の事件については最高裁で敗訴の判決が出ています。

争点は教育基本法上の「不当な支配」と同じなので、名古屋の事件が上告しても勝てる見込みは無いでしょう。

朝鮮総聯という公安もマークしている反社会的組織の影響が色濃く残っている疑いが払しょくできない組織に無償化のための莫大なお金を渡すことはできませんね。当たり前の話です。

こういう人間が居る限り、朝鮮学校に対して大金を支給するということにはならないですね。

以上