事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「新型コロナは二類感染症相当」という間違い

新型コロナは二類感染症相当という間違い

「新型コロナは二類感染症相当」という言説が横行してるなと思ったので。

「新型コロナウイルスは二類感染症相当」という間違い

ある特定の措置に関して「新型コロナは二類感染症相当」という言い方をしても、それは間違いではない可能性があります。

しかし、「固定的な扱い」として「新型コロナは二類感染症相当」と言うのであれば、それは完全に間違いです。

新型コロナウイルスは感染症法上の【指定感染症】ですが、現在の扱いは一類感染症相当のものもあれば二類感染症相当のものなどもある、というだけの話です。

一類感染症と同等の扱いがされることも

たとえばですが、令和2年2月13日の「新型コロナウイルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として指定する等の政令」を見ると分かりやすいでしょう。

この政令では、新型コロナウイルスについては検疫法34条の感染症の種類として指定するとしており、そこで検疫法2条の2第1項・3項が準用されています。

第二条の二 前条第一号に掲げる感染症の疑似症を呈している者については、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
中略
3 前条第一号に掲げる感染症の病原体を保有している者であつて当該感染症の症状を呈していないものについては、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。

2条の2第3項に言う「前条第一号」というのは感染症法における一類感染症です。

ですから、新型コロナウイルスは一類感染症と同等の扱いがされることもある、という言い方になります。

「新型インフルエンザ等」と同等の扱いも

新型インフルエンザ等対策特別措置法上、新型コロナウイルスは「新型インフルエンザ等とみなす」こととなりました。

これは政令での準用ではなく法律上の附則による扱いですが、「みなす」という言葉から分かるように、新型インフルエンザ等そのものであるという分類が為されたのではありません。細かいですが、この点の違いは重要です。

それによって御遺体の取り扱いに関する厚労省の案内も変わってきます。

新型インフルエンザ等に対する厚労省の通達と一類感染症に関する厚労省の通達が出ていますが、志村けん氏の火葬に際してこの点の誤解が発生しました。

この場合は、新型コロナウイルスは一類感染症の側での取り扱いにはならず、新型インフルエンザ等に対する取り扱いをすることとなっています。

新型コロナウイルスは政令で準用されたりしているだけ

ということで、「新型コロナは二類感染症相当だ」などという説明が、何らかの措置に限定した文脈において使われていない限り、その主張は間違いであり、ミスリーディングです。

現在、新型コロナに対する法律上の扱いを論難するために「二類感染症相当の指定から外せ」という論理を用いている者がいるのですが、ノイズでしかないので気を付けましょう。新型コロナは「指定感染症」に指定されているのですから。

より詳細な取り扱いと政省令の変更の経緯とデータについては以下に掲載。

※追記:「指定感染症の2類相当」という表現ならばまだ分かります。尾身教授も実際の運用上の扱いについてそのように言及しています。

以上