”なんでないのプロジェクト”代表の福田和子氏名義の講談社のFRaU記事のタイトルとリード文がミスリードであったことから編集部が読者と彼女に謝罪しましたが、奇妙なことに気づいたので書きます。
- なんでないのプロジェクト代表福田和子の記事タイトルが…
- 講談社FRaU「コロナで大学退学者が増えた日本」とミスリードしたとして謝罪・訂正
- 編集部の修正文言が4ページ目だけしかない問題
- 福田和子の評判:本文も変更前の認識が前提である疑惑
- スウェーデンで新型コロナ拡大後に学生が増えているソースが無い
- 福田和子氏の記事の問題まとめ
なんでないのプロジェクト代表福田和子の記事タイトルが…
福田和子氏の記事タイトルは、当初「コロナで大学退学者が増えた日本と、大学進学者が増えたスウェーデンの「違い」」となっていました。
ところが、21日の早くて18時30分過ぎからは「コロナで大学退学を考える日本と、大学進学を考えるスウェーデンの「違い」」となりました。
これは、冒頭に引用されていた朝日新聞記事の内容を誤解したものだったことが原因で修正されたとされています。
講談社FRaU「コロナで大学退学者が増えた日本」とミスリードしたとして謝罪・訂正
【お詫びと訂正のご報告】本日公開の福田和子さんの記事にて、大学の退学者増とタイトルと見出しにいれておりましたが、12月18日の文科省の発表によれば、退学者の人数はやや減少だと判明しました。読者の皆様と福田和子さんに心からお詫び申し上げ、訂正させていただきます。 https://t.co/f3bofmF3gW
— FRaU(フラウ) (@frau_tw) 2020年12月21日
講談社FRaUの編集部が謝罪・訂正文を書いています。
それにしても著者に確認せずに勝手に編集部が情報を付加していたということになるのですが、何とも恐ろしい話です。タイトルに関しては勝手に付けられることはしょっちゅうあるのですが、本文も改竄されるなんて…。こういうのも良くあることなんでしょうか?
元記事190大学、年度末に休退学増加を予想 コロナで生活苦 編集委員・増谷文生 2020年11月29日 7時00分を見ると分かりますが、単なる予測に過ぎないものでした。
現実には、コロナ禍で休退学5千人超 大学生・院生、文科省が調査 伊藤和行 2020年12月18日 20時45分にあるように
文科省が全国の国公私立大に調査したところ、4~10月に新型コロナの感染拡大の影響を受けて中退した学生・大学院生は1033人、休学は4205人に上った。このうち、学部1年生はそれぞれ378人(約37%)、759人(約18%)だった。一方、全体の中退者は2万5008人、休学は6万3460人で、昨年の同時期と比べると、ともに6833人、6865人減っていた。
新型コロナの感染拡大の影響を受けて中退した学生・大学院生が一定数居るものの、それを含めた全体を見ると、昨年同期に比して約6800人減っているという事実があります。もっとも、来年の3月まで含めるとどうなるかは分かりませんが。
よって、当初記事は将来予想に過ぎないものを既発生の事実として記述しており、ミスリーディングどころか明確にフェイクなわけです。
しかも、この記事は未だに問題が残っています。
編集部の修正文言が4ページ目だけしかない問題
1ページ目:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78551?media=frau
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78551
2ページ目:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78551?page=2(変更前キャッシュの魚拓)(変更後魚拓)
3ページ目:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78551?page=3(変更前キャッシュの魚拓)(変更後魚拓)
4ページ目:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78551?page=4(変更前キャッシュの魚拓)(変更後魚拓)
12月21日21時50分現在の状態ですが、編集部の修正文言が4ページ目だけしかありません(Yahoo版では2ページ目)。
これでは編集部による修正とその経緯を把握する者が少ないでしょう。
多くの人は1ページ目をシェアしているのですから、記事冒頭に書くべきでは?
更に、実は福田和子氏も変更前のタイトルの認識で記事を書いていた疑惑もあります。
福田和子の評判:本文も変更前の認識が前提である疑惑
これは変更前も変更後も同じ記述です。
本当にこのままで、いいのだろうか?
教育を受ける権利、という意味でももちろんだが、国の行末という意味でも、コロナで多くの人が大学、人によっては高校卒業まで諦めざるを得ない人が多く出てしまう国と、この機会にひとりひとりの能力を伸ばせる国とでは、本当の意味での国の底力、根幹の強さが変わってきてしまうように思う。
講談社FRaUの編集部の謝罪文では福田氏は認識が無かったということなのですが、この福田氏の記述では「日本では新型コロナで大学を諦める人が多く出てしまっている」ということが既成事実であるかのように書かれています。
変更後の福田氏の記事の1ページ目を見ると分かりますが、記事執筆にあたって引用されているのはあしなが育英会による過去最大規模の遺児家庭に対する調査(2020年10月23日~11月5日・回答総数6241人)について報じた【11/30記者発表】コロナ禍で困窮する全奨学生7,612人に〈年越し緊急支援金〉を給付ですが…
内容はこれだけです。
確かに大学奨学生について退学を選ばざるを得ない可能性がある人がアンケートにその痛切な思いを書いていることが紹介されていますが、あくまで「一部」です。
決して「多くの人が」ということがこの記事や公開資料から読み取れるわけではありませんし、(新型コロナの影響によって例年よりも多い人数の学生が大学を)「諦めざるを得ない人が出てしまう国」という確定事実が読み取れるわけではありません。
対して、スウェーデンに関する記述は確定事実として論じ、日本とスウェーデンを比較しています。
そもそもあしなが育英会の発表は、学生が退学に追い込まれないように支援策を講じたとする内容なのですから、経済的な影響での退学者が例年よりも増えるかどうかは今後の状況次第だということが引用記事から言えるわけです。
https://www.ashinaga.org/ja/documents/press_201130_1.pdf
とすると、福田氏の念頭にも変更前タイトル通りの認識(11月29日の朝日新聞の記事内容が確定事実であるというもの)であったとみるのが自然でしょう。
スウェーデンで新型コロナ拡大後に学生が増えているソースが無い
これは蛇足ですが、記事中には「スウェーデンで新型コロナ拡大後に学生が増えている」事実を示すソースが無いのが気になります。
あしなが育英会についてはリンクを貼って提示しているような人が、記事の根幹をなす事項については「というニュースを多く目にする」とだけ書いていることにモヤモヤした感覚があります(決して事実無根であるとか言っているわけではない。その判断が現時点ではついていない)。
どなたかソースを教えてください。
福田和子氏の記事の問題まとめ
- 講談社FRaU編集部が著者に無断で勝手にタイトルに留まらず本文を改ざん
- その際に引用した朝日新聞の記事内容を曲解したタイトルにしたため、ミスリーディングどころかタイトル詐欺に
- その謝罪・修正が記事の冒頭ではなく最終ページにのみ掲載されており引用者が気づかないおそれ
- 福田氏の元々の認識も修正前タイトルと同様だった疑惑
実に奇妙な記事と訂正の経緯でした。
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