事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日本学術会議がデュアルユース技術研究の規制を諦め容認へ:軍事的安全保障研究規制も破棄せよ

日本学術会議とデュアルユース

デュアルユース研究規制の撤廃だけでは足りない

日本学術会議がデュアルユース技術の研究を容認へ

学術会議、軍民「両用」技術の研究を容認…「単純に二分するのはもはや困難」 : 読売新聞オンライン

国内の科学者の代表機関である日本学術会議(梶田隆章会長)は、軍事と民生双方で活用できる「デュアルユース(両用)」の先端科学技術研究について、軍事に無関係な研究と「単純に二分することはもはや困難」とし、事実上容認する見解をまとめた。

梶田会長が、小林科学技術相にあてた25日付の書面で見解を示した。

見解では、「科学技術を(軍事への)潜在的な転用可能性をもって 峻別し、その扱いを一律に判断することは現実的ではない」と指摘。研究の進展に応じて、研究成果の公開と安全保障面の配慮のバランスを慎重に考慮するなど、研究者や大学などの研究機関が研究の進め方を適切に管理することを求めた。

日本学術会議がデュアルユース技術の研究を事実上容認する見解をまとめたようです。

菅さんの任命拒否などの対応がこのような前進を生み出したという可能性を考えることは当然でしょう。

もっとも、

>科学技術の急激な進歩により、軍事と民生の区別をつけるのは難しくなっている

この部分は疑問ですね。

古今東西、軍事と民生に区別なんてつけようがない。土嚢作りですら軍事の領域で多用されているのだから、技術の進歩によって区別が難しくなっているのではない。

ただ、方針転換を正当化する(誰に対してかはおわかりですね?)何らかの理由付けをするにはそれしかないでしょうね。「菅義偉総理」が打ち込んだ楔は大きかった。

デュアルユース技術の研究を制限せよと唱えた日本学術会議

軍事的安全保障研究に関する検討について|日本学術会議魚拓

日本学術会議が 1949 年に創設され、1950 年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また 1967 年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があった。近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する。

日本学術会議は2017年3月24日にいわゆる「デュアルユース」=民生的研究軍事的安全保障研究の間の転用可能性のある技術について「規制をしろ」という意味の主張をしていました

大学等研究機関アンケートでは、デュアルユース(軍民両用)の可能性のある、あるいはそれを目的とした研究について、そのような研究を不可とする場合と審査の対象とする場合とに分かれることがあり、改めて大学等研究機関に対してデュアルユース研究を規制しろ、と求めていました。

報告 「軍事的安全保障研究に関する声明」への研究機関・学協会の対応と論点

 「声明」では、「大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にある」ことを確認した上で、大学等の各研究機関に対して、軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的・倫理的に審査する制度を設けることを求め、また、学協会等に対しては、それぞれの学術分野の性格に応じて、ガイドライン等を設定することを求めた。

この報告では何がデュアルユースに該当するのかを検討しておらず、このままでは過剰な自主規制・自粛が発生するような書きぶりでした。

実際に、ちょっとでも軍事的に役に立ちそうな技術についての研究に対しては、圧力がかけられてきました。

さて、軍事研究については従前の声明を維持するんでしょうか?

日本学術会議は軍事目的のための科学研究を行わない声明も破棄せよ

軍事目的のための科学研究を行わない声明

日本学術会議は軍事目的のための科学研究を行わない声明を昭和42年に出してました。

本文では「戦争を目的とする科学」の研究と書いていますが、表題は「軍事目的のための科学」研究とあるため、軍事研究一般を禁止する趣旨です。2017年3月の報告書も「軍事的安全保障研究」について、明らかにその前提で書かれています。

ロシアによるウクライナ侵略を待つまでもなく、チャイナや北朝鮮の軍事的圧力が増す中で、デュアルユースの規制を撤廃するだけでなく、軍事研究についても、その禁止圧力を除去しなければならないでしょう。

同時に、侵すことのできない永久の権利としての学問の自由の保障を不断の努力によって、これを保持していかなければならない。

追記:やはり軍事研究禁止の立場は変わってないようです。

日本学術会議 “軍事目的の研究についての立場に変更ない” | NHK | 日本学術会議

日本学術会議における共産党員らの影響が少なくなってきたのだろうか?

共産党員らの影響が強かった日本学術会議はその努力を中断させていた。

統一教会など比べ物にならない大量殺戮テロを起こしたオウム真理教への破防法適用に反対したのも日本学術会議でした。

非論理的・非合理的な理由で元号廃止・西暦導入を申し入れしていた。

今般の見解は、共産党員らの影響が少なくなってきたことか?共産党員ですら、安全保障面での脅威を無視できなくなってきたということなのでしょうか?

いずれにしても、この正常化の動きを加速させないといけないでしょう。

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