秋篠宮悠仁親王殿下が通学されているお茶の水女子大付属中において、授業で教室が開いていた間に、悠仁親王殿下の机に刃物が置かれていた事件の容疑者が逮捕されました。
- 悠仁親王殿下の中学校に刃物で50代男長谷川薫容疑者逮捕
- 建造物侵入と脅迫罪の成立について:害悪の告知
- 悠仁さまへの脅迫罪が既遂になった=結果が発生したか?
- まとめ:ナイフ男は起訴して実刑判決にしてほしい
悠仁親王殿下の中学校に刃物で50代男長谷川薫容疑者逮捕
悠仁さま中学校に刃物事件で50代男逮捕 建造物侵入の疑い | NHKニュース
東京・文京区の中学校で秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまの机に刃物2本が置かれていた事件で、警視庁が事件に関わった疑いがある56歳の男を神奈川県平塚市内のホテルで見つけ、建造物侵入の疑いで逮捕しました。警視庁は事件の詳しいいきさつを調べることにしています。
逮捕されたのは、住所、職業ともに不詳の長谷川薫容疑者(56)です。
また、他の報道では京都在住であるという情報もあります。
建造物侵入と脅迫罪の成立について:害悪の告知
男は建造物侵入罪の容疑で逮捕されていますが、脅迫罪は成立するのでしょうか?
こちらの記事でも書きましたが、「害悪の告知」は黙示的であってもよいとされていますから、はっきりとしたメッセージでなくとも、その内容が読み取れれば成立します。
害悪の告知が脅迫にあたるかは、相手方の属性や公知の客観的状勢に照らして普通一般人の誰れもが畏怖を感ずるものである必要があります(最判昭和29年6月8日刑集8巻6号846頁参照)。
判例上は「村八分の決議をして対象者が知った」ことや、『「出火お見舞い申し上げます。火の元にご用心」と書いたハガキを特定人宛てに投函して特定人が受領した』ことが脅迫罪とされています。
京都の50代男を逮捕 悠仁さまの中学に侵入 容疑認める - 産経ニュース
刃の部分がピンク色に塗られた果物ナイフのような2本の刃物が、アルミ製の棒に粘着テープで固定された状態で、悠仁さまの机と隣の机にまたがるように置かれているのを教員が見つけた。
「中学校において、特定人が不知の間に、刃物の刃部分をピンク色に塗った状態で特定人の机に置く行為は、当該特定人の身体を刃物によって傷害する旨を黙示的に告知している」というような評価になって、犯人の行為は「害悪の告知」の実質を備えているような気がします。
しかし、それだけでは脅迫罪が成立するとは言えません。
悠仁さまへの脅迫罪が既遂になった=結果が発生したか?
脅迫罪は被害者が告知の内容を知らなければ既遂になりません。
脅迫罪には未遂罪がありませんから、被害者不知のままであれば罪は不成立です。
たとえば脅迫文を封書で送りつけても、相手方は名宛人不明だから中身を見ないで破いて捨てた、というような場合には脅迫罪は成立しません。
さて、本件では刃物は「教員が見つけた」とあります。
悠仁さまが見つけたわけではありません。
大審院判例大正8年5月26日(刑録25・694)では、脅迫状を人の発見しやすい掲示場屋根の棟竹の端に掛けておき、これを持ち帰った第三者を通して相手方がこれを閲読したときは脅迫罪が成立するとしました。
状況としては似ていますが、悠仁殿下が直接刃物を見たかは不明です。
事件の存在を「メディアの報道によって知った」という場合には、成立しないような気がします。
「学校において教員から事件の事実を伝えられた」という場合にも、どうなるかはよくわかりません。
悠仁殿下が教員等から事件の事実を伝えられた上で、直接刃物を見た、というような場合であれば成立する可能性はあると思いますが、この辺りは情報が出てこないと思われますので起訴段階にならないと分からないでしょう。
まとめ:ナイフ男は起訴して実刑判決にしてほしい
とにかく、早いうちに捕まって良かったです(身代わりでなければ)。
背後関係が無いかどうかも、しっかりと洗ってほしいです。
建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金ですが、宣告刑は年数はともかく執行猶予などつけずに懲役刑の実刑にしてほしいと思います。
以上