悠仁親王殿下の通われる中学校の机の上に刃物が置かれた事件。
犯人が「刺そうと思った」と供述していることが分かり、殺人予備罪の成立可能性が出てきました。
「悠仁さまを刺そうと思った」机に刃物の男供述
悠仁さまを「刺そうと思った」 机に刃物、中学侵入の男供述 - 産経ニュース
建造物侵入容疑で逮捕された住居・職業不詳の長谷川薫容疑者(56)が「(悠仁さまを)刺そうと思った」などと供述していることが7日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁捜査1課は長谷川容疑者が悠仁さまに危害を加える目的で校舎内に侵入したとみて調べている。
これは殺人予備罪の成立可能性が出てきましたね。
殺人予備罪とは
刑法
第二百一条 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。
199条とは、殺人罪のことです。
具体的には以下のような場合に殺人予備罪が認められています。
およそ殺人に役立つ行為は、それが殺人の準備行為として行われた限り本罪を構成し、行為態様は無定型・無限定です。
本件での問題は、「刺そうと思った」ことが「殺人を犯す目的」となるかです。
悠仁殿下を「刺そうと思った」で殺人予備罪は成立するのか
悠仁さまの机に刃物「刺すつもりだった」 容疑の男供述:朝日新聞デジタル
実際には刃物を置いただけで、「殿下に自分が来たことを知ってほしかった」とも述べているという。
捜査関係者によると、長谷川容疑者は容疑を認め、「今の天皇制では日本は良くならない」などと天皇制を批判する供述を続けている。一方で、悠仁さまが通う中学校を狙った理由については話していないという。
悠仁さまを「刺そうと思った」 机に刃物、中学侵入の男供述 - 産経ニュース
「天皇制や、皇位継承のあり方に不満があった」という趣旨の供述をしているという。事件数日前から都内のホテルに滞在してナイフなどを購入しており、1日の代替わり直前のタイミングを狙って犯行を計画していたとみられる。
「刺そうと思った」だけだと、単に「傷害する目的」になってしまいそうです(傷害予備罪はありません)
武器の形状や背後にある目的、準備の周到さなどから「殺人の目的」が認定されるか否かが今後の焦点になるでしょう。
建造物侵入と脅迫罪より法定刑は重くないが宣告される刑の重さに影響しそう
悠仁親王殿下の中学校に刃物で50代男長谷川薫容疑者逮捕:建造物侵入と脅迫罪の成立について
本件は建造物侵入罪に加えて脅迫罪の成立可能性もあります。
建造物侵入罪は3年以下の懲役または10万円以下の罰金ですし、脅迫罪は2年以下の懲役または30万円以下の罰金が法定刑です。
なので、殺人予備罪が成立したからと言って、法定刑の上限には影響しませんし、脅迫罪が成立するなら処断刑(2以上の罪を犯すと最も重い罪の2分の1が法定刑の上限に加わる)にも影響しません。
しかし、「量刑判断」には確実に影響を与えるので、実際に宣告される刑が処断刑の上限になるかどうかは殺人予備罪の成立が重要であると思われます。
以上