辻元清美議員に政治資金規正法で禁止されている外国人からの献金を行ったイムボンブ=林範夫弁護士について、彼に焦点を当てた論説が無いのでここで整理します。
結論から言えば懲戒処分の検討対象になるはずなのですが、果たして大阪弁護士会は懲戒の検討に向けて動いているのでしょうか?
辻元側に焦点を当てたもの、当該弁護士がイムボンブである根拠は以下
- 韓国籍弁護士イムボンブ=林範夫の「違法」献金行為
- 2013,14年の2年分を寄附
- イム・ボンブ弁護士の異常さ
- 決定的な事情
- 後援会費を「寄附」にするよう要請=寄附控除目的?
- イム・ボンブ弁護士への懲戒処分はあるのか?
- 大阪弁護士会は綱紀委員会を開くのか?
- まとめ:「弁護士自治()」にならないように
韓国籍弁護士イムボンブ=林範夫の「違法」献金行為
政治資金規正法
第二十二条の五 何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(※条文では中身の説明をしてますが省略します)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。
最初に、外国人が日本の政治家に献金をしたとしても、その者は違法行為をしたとして処罰を受けるわけではありません。
あくまでも「受け取った側」のみ処罰する規定です。
したがって、今回の件でイムボンブ弁護士が政治資金規正法上違法な行為をしたということにはなりません。
しかし、寄附をすれば受け取った側は違法になる行為を行ったのですから、そのような行為は弁護士として問題のある行為であるというのは明らかでしょう。
2013,14年の2年分を寄附
立民・辻元清美氏、韓国籍弁護士から「外国人献金」 夕刊フジ質問に“受け取り認める”回答 政治資金規正法に抵触する行為 (1/3ページ) - zakzak
さらに、「献金後、辻元氏側から『献金に協力し、お金を送ってもらったが、外国籍からの献金は受け取れないので、別の会計処理をさせてください』と話があった。どんな処理をしたかは分からない。私の方に返金はされていない」と語った。
2013年に1万円、2014年に1万2000円の寄付がイムボンブ弁護士からあったということです。
2014年分については修正をして後援会費につけかえたが、2013年分については未訂正でした。辻元清美側は夕刊フジの報道があった後の2月6日に2013年分をイムボンブ弁護士に返金処理をしたとしています。
イム・ボンブ弁護士の異常さ
立民・辻元清美氏、韓国籍弁護士から「外国人献金」 夕刊フジ質問に“受け取り認める”回答 政治資金規正法に抵触する行為 (1/3ページ) - zakzak
A氏は4日、夕刊フジの取材に、自らが韓国籍(在日3世)と認めたうえで、「辻元氏と名刺交換して、応援しようと献金した。政治資金規正法に抵触するとの認識はなかった」と説明した。
まず、辻元清美側から何ら説明を受けていなかったとしても、外国人による献金は受け取った側が違法になるということは政治資金規正法上明らかですから、「抵触する認識はなかった」は通用しません。
ましてや弁護士という立場であるイムボンブが、当該規定を知らなかったとは到底思えません。
決定的な事情
「私は辞めない」立民・辻元清美氏に批判殺到! 自身の外国人献金問題に“大甘”対応 (3/3ページ) - zakzak
「…外国籍の方については(寄付はできないと)会合のパンフレットや振込用紙に注釈を書いている。今後さらに注意しないといけないと強く思う」
この注釈が2013年当時もあったと思われるが、朝日新聞では夕刊フジの取材結果であるとした上で、イムボンブ弁護士がこの振込用紙を使って寄付をしたとあります(なぜか夕刊フジの2月7~8日にはその旨の記載が無いが、イムボンブに焦点を当てていないためか?ただ、辻元事務所の説明では「入金」とあるので事実とみてよいだろう)
外国籍からの寄付ができない旨の書かれた振込用紙を使って振り込んだというのが事実だとすれば、大目に見たとしてもイムボンブ弁護士はあまりにも不注意な行為をしたということになります。意図的に行ったのでは?とすら疑念を持ってしまいます。
では、なぜこのような寄附を行ったのでしょうか?
後援会費を「寄附」にするよう要請=寄附控除目的?
平成25年に外国籍の方から後援会に寄付金として1万円の入金があったことが確認されたので、速やかに返金し訂正等の手続きに入りました | ニュース | 辻元清美WEB:魚拓はこちら。
平成26年に、同じ方から後援会費として1万2000円の入金をいただきましたが、平成27年に収支報告書を提出したあとに寄付金としたい旨のお申し出をいただいたために、会計処理を変更しました。
その直後にこの方が外国籍の方であることが確認されたため、後援会の担当者がこの方の事務所に連絡し、外国籍の方からは寄付を受けられないことを説明し、了解をいただいた上で再度後援会費として適切な会計処理をしました。しかし、同じ方から平成25年にご寄付1万円をいただいていたことを見落とし、不適切な会計処理が残ってしまいました。なお、この方からは平成27年に後援会費をいただいており、ご支援をいただいたのは以上です。
辻元清美事務所による説明が事実だとすると、平成26年分(2014年分)については、当初は後援会費として入金があったが、後にイムボンブ弁護士から寄付金として扱うよう申出があったということです。
これはどういうことでしょうか?わざわざ寄付金にする目的は何だったのでしょうか?
あり得る可能性の一つとして【寄付金控除】を狙ったのではないか?と思います。
寄付金控除は、特定の団体に対して寄附をした場合にはその分が還付されるというもので、手続を取る必要があります。つじともネットは政治資金規正法3条1項2号の団体なので、寄付金控除の対象となる特定の団体にあたります。
ただ、仮に寄付金控除目的だとしたら、林弁護士は2013年度分は控除を受けるための書類をまとめて確定申告のときなどに税務署に提出しているはずですが、そんなことをしたらバレると思うんですよね。たった1万円程度のためにわざわざそんなことをするか?という突っ込みどころがある予測ではあります。
税務署がどういうチェック体制なのか知りませんが、税務署側が職権で国籍をチェックするような運用にはなっているのでしょうか?外国人特有の税額控除はありますが、それを利用してないなら気づかないとか…そんなことにはなっていないでしょうか?
なお、後援会費としてであれば外国人の方からの資金提供が許されている現状が良いのか否かについても議論がなされるべきだと思います。
イム・ボンブ弁護士への懲戒処分はあるのか?
弁護士法
第五十八条 何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。
2 弁護士会は、所属の弁護士又は弁護士法人について、懲戒の事由があると思料するとき又は前項の請求があつたときは、懲戒の手続に付し、綱紀委員会に事案の調査をさせなければならない。
弁護士の懲戒手続は、誰かによる懲戒請求書の送付から始まる場合と、単位弁護士会が懲戒事由があると思料するときに始まる場合があります。懲戒事由があると思料するならば、綱紀委員会に事実調査させなければならない。これは弁護士法で定められている義務です。
弁護士法
第五十六条 弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
(弁護士の職責の根本基準)
第二条 弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。
イムボンブ弁護士の行為(寄附控除目的ではないか?という予想は捨象しても)は「この法律」=弁護士法の2条に違反していると言うべきか、品位を失うべき非行とみるかはともかく、外国人である弁護士が政治献金をするという行為は弁護士の懲戒事由の疑いがあるでしょう。
たしかに寄附によって誰かの人権が侵害されたわけではありません。
しかし、保護法益は人権にとどまらず、国家・社会的法益もあります。
外国人による献金は、その国の政治が外国勢力によって政治的圧力や干渉、影響を受けることを防ぐために国際的に禁止されており、我が日本国においては政治資金規正法で禁止されています。
そのような国家・社会的法益を侵害する行為を知らなかったとはいえども(本当にそうだとは到底思えない)行ったのは懲戒事由となり得るでしょう。
大阪弁護士会は綱紀委員会を開くのか?
もしこれで林範夫=イムボンブ弁護士について何ら検討を始めなかったら、大阪弁護士会のダブルスタンダードですね。
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) February 7, 2019
橋下徹さんが懲戒請求された件と比較して、明らかに林弁護士の方が悪質でしょう。
これに関して、各所は黙って見ているのかな?
辻元清美に献金をした外国人が大阪弁護士会所属の弁護士であるということは報道で明らかなのですから、当然にして大阪弁護士会は誰が行ったのか?を特定しなければならないはずです。
そして、公開されている政治資金収支報告書を見れば誰が行ったのかは一目瞭然ですから、イムボンブ弁護士であると特定することは容易でしょう。
したがって、大阪弁護士会は何者かからの懲戒請求書の送付を待つまでもなく、自ら懲戒手続きに入らなければ異常だと思います(懲戒処分を決定しろという話ではなく、あくまで処分するか否かを決定する手続に入れということ)。
弁護士には「弁護士自治」が認められており、それを実現するために単位弁護士会が存在しているのですから、当たり前にして弁護士会が主体的に判断するべきでしょう。
懲戒請求書が送られてくるのを待っているのはハッキリ言って、ダサい。
弁護士会が橋下徹氏の処分検討の方針 市長当時の発言で | NHKニュース
※2018年1月2日の記事当時大阪市長だった橋下徹氏のもとで行われた市の職員を対象にしたアンケート調査が不当労働行為とされたのに、橋下氏が決定に従わず「市の公務員は何百人もクビですよ」などと発言したとして、弁護士会が懲戒処分を検討する方針を決めたことがわかりました。
橋下徹氏の事例では懲戒処分の「検討」がなされた(結局処分をしないと決定)のですから、違法状態を誘発している今回の事例はそれに比してより重大な問題でしょう。
にもかかわらず処分の検討を開始しないということになるならば、それは【ダブルスタンダード】でしかないと思います。
懲戒請求制度と弁護士自治については以下でまとめています。
まとめ:「弁護士自治()」にならないように
- 外国人献金は政治資金規正法上禁止されていることが明らか
- 献金をした側は同法上違法であるとして処罰はされないが、弁護士として懲戒処分の対象となり得る
- イムボンブは外国人の寄付はできない旨の書かれた振込用紙を使って振り込んだ
- 平成26年分については、当初は後援会費として入金があったが、後にイムボンブ弁護士から寄付金として扱うよう申出があった
- 弁護士会が本件で自発的に懲戒を検討しないのは弁護士自治上、ありえない
大阪弁護士会の「自治」に期待します。
以上