事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

岩屋防衛相が「韓国側を信じたい」発言の「フェイク質問」?

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12月25日、岩屋防衛大臣が記者会見を行い、韓国軍のレーダー照射等について記者からの質問に答えました。

その中で岩屋防衛相が「韓国側を信じたい」と発言したことについても触れてました。

この件、ちょっと不思議な現象だと思ったので整理します。

結論から言うと、ニュース記事にフェイクはありませんでした。

岩屋防衛相の「韓国側を信じたい」

Q:海自の人に聞くと、海自に限らず、防衛省・自衛隊員の中には、大臣が「韓国側のことを信じたい」とか、今おっしゃられたこととか、もちろん大局観というのは大事だと思うのですが、極めて危険な行為の直後に、怒りよりも、むしろそちらの方が際立つような発言をされているようなことについて、すごく士気が落ちるというような声も、取材によると出ていますけれども、そういう部分に対しての受け止めをお願いします。

A:そのようなことはないというふうに私は思っております。こういう事案については、冷静沈着に対応しなければいけないというふうに思っておりまして、誤解のないように申し上げておきますが、私が「信じたい」と申し上げたのは、テレビ出演中に、記者から、「これは、これまでの日韓関係が影響しての行為でしょうか」という質問がありましたので、「いや、そうではないと信じたい」というふうに申し上げたところでございます。

質問者は岩屋大臣の発言が何か問題があったかのようにしています。
(この点は後述します)

しかし、岩屋大臣の発言の通り、「関係悪化が原因でレーダー照射に至ったのではない」ことを「信じたい」と言っていたに過ぎません。

この話はどうも「岩屋防衛相がレーダー照射に関する韓国側の主張を肯定する」というものだと勘違いされて伝わっているところがあったようで、私もツイッター上でそのような評価をしているものを観測していました。

実際、反響がありました。

しかしこの件、「フェイクニュース」をした媒体はあるのでしょうか?

この件で「フェイクニュース」はあるのか?

韓国側を「信じたい」と岩屋防衛相 - 共同通信 | This kiji is

初出は共同通信ですが、記事内容は以下です。

岩屋防衛相はBSフジ番組で、韓国によるレーダー照射が元徴用工判決など日韓関係の悪化に起因するかを問われ「そうであってほしくない。(元徴用工などの)問題が積み重なってのことではないと信じたい」と述べた。

岩屋大臣の発言と齟齬はありませんね。

にもかかわらず、なぜ「岩屋防衛相がレーダー照射に関する韓国側の主張を肯定する」という発言をしたと思われていたのでしょうか?

ネットメディアが原因の勘違い?

たしかに見出しが『韓国側を「信じたい」と岩屋防衛相』というようなものはいくつも見つかります。

しかし、中身を見ると上記共同通信の内容がちゃんと書いてありました。

また、見出しの一行だけをシェアするニコニコニュース(たまに一行シェアをする)も共同通信のリンクが貼ってありました。

したがって、どこかの「規模を持った組織的媒体」がフェイクニュースを流していたということは無かった、或いはごく少数だったということだろうと思います。
(そういうメディアがあれば教えてください)

少なくともマスメディアが印象操作をしたということはなさそうです。

『岩屋防衛相「韓国側を信じたい」』は見出し詐欺?

この件を「見出し詐欺」と評する者もいます。

しかし、この件は見出し詐欺とは言えないと思います。

これを見出し詐欺といったらおよそ記事の見出しは書けません。

どうも、見出しから中身を想像して「岩屋防衛相がレーダー照射に関する韓国側の主張を肯定する発言をした」と決めつけてしまった方々が多くいらっしゃるようです。

岩屋大臣の発言を見れば、自衛隊よりも韓国側の見解を優先するというものではないということは明らかです。 

岩屋大臣の発言を批判する見解

なお、岩屋大臣の発言をそのまま理解してもなお岩屋大臣の発言を批判する方々も一定数存在しています。

https://anonymous-post.mobi/archives/2038

これは岩屋大臣の発言をそのまま伝えつつもその「軟弱と捉えられかねない文言を使ったことに対する苦言」「関係悪化が原因とは信じないというのは無理」という見解に立っています。

このような見解は価値判断の問題に過ぎないので、まったくフェイクなどと非難されるべきではないでしょう。

大臣記者会見時の記者の質問の前提がフェイク?

再掲

Q:海自の人に聞くと、海自に限らず、防衛省・自衛隊員の中には、大臣が「韓国側のことを信じたい」とか、今おっしゃられたこととか、もちろん大局観というのは大事だと思うのですが、極めて危険な行為の直後に、怒りよりも、むしろそちらの方が際立つような発言をされているようなことについて、すごく士気が落ちるというような声も、取材によると出ていますけれども、そういう部分に対しての受け止めをお願いします。

この質問の前提事実って、本当に存在していたのでしょうか?

防衛省・自衛隊員の中に「岩屋防衛相がレーダー照射に関する韓国側の主張を肯定する発言をした」ために「士気が落ちた」と言っている者って居たのでしょうか?

いや、確かに岩屋大臣の発言を早合点した人が相当数居るように、隊員の中にそのような印象を持った人は居るでしょう。

ただ、そうだからといって「士気が落ちた」人っているんでしょうか?

こういう時にマスメディアは決まって「隊員の士気に関わる」と言って問題視しようとする傾向があります

たぶん、ある政治的傾向の隊員に聞いてるのでそういう人は一人はいるのでしょう。

しかし、私も何人か自衛隊員の友人が居ますが、そういうときに話を聞くと「士気が下がるなんてマスメディアが言っているようなことは無い」と言いますよ。

岩屋大臣の発言によって隊員の士気が下がったということが個人レベルを越えて組織的に発生しているということは、考えられないと言っていいでしょう。

まとめ:記事の見出しで早合点しないように

私も引用元を確認しないでツイートした後に引用元の記事内容を確認してツイートを消すということは何回もあります。

そういうことが無いように気を付けたいものです。

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