自民党の宇都隆史議員が岩屋防衛相に対して、首相官邸が制止したにもかかわらず韓国側と非公式会談をしたことについて「怒りを覚える」という言葉を使って非難しているという報道があります。
彼の出演している動画等では、報道に見られるよりも具体的な主張をしているので、中身を確認していきます。
宇都隆史議員が自民党部会で岩屋防衛相を追及した内容
宇都隆史議員のフェイスブックで具体的に書かれています。
自民党「国防部会・安全保障調査会」において、先日のシャングリラ会合の結果報告が行われた。
注目の議題は、「日韓防衛相会談」の非公式懇談である。
私から、怒りを抑えながら強烈な批判をしつつ、以下の内容を詰問しました。
①防衛省の「非公式」の定義を示せ。
②非公式会合に至った経緯
③政府内の調整すり合わせ(特に官邸・外務省)キチンとしてから行ったのか。
④どのような事前準備をして臨んだのか。(写真・握手・笑顔・ぶら下がりは想定内か?)
防衛省からの回答は、全てうやむやで、何を言ってるかわからない最低のものでした。
よって、参議院の外交防衛委員会において、徹底的に追及することを布告しておきました。
また、委員会後に、皆さんにもご紹介したいと思います。
報道で出ていた「選挙に影響する」と発言したのも宇都議員ですね。
以下の動画で「大きな声を挙げさせて頂いたのは私だけです」と言ってますからね。
【宇都隆史】岩屋防衛大臣の暴走、“非公式”日韓防衛相会談の素人仕事[桜R1/6/6]
岩屋防衛大臣は官邸の制止を無視して非公式会談?
首相官邸が制止したにも関わらず岩屋氏が熱望して非公式会談が行われたとして「パフォーマンス的に頑張っているように見せたい。どこの大臣だ」と語気を強めた。
非公式会談が行われた経緯については宇都議員がチャンネル桜の動画でより詳しく述べています。
【宇都隆史】岩屋防衛大臣の暴走、“非公式”日韓防衛相会談の素人仕事[桜R1/6/6] - YouTube
私がいろんなところから情報を確認して聞いたところによると、まず官邸サイドは絶対に会っちゃいかんと、今会うタイミングじゃないと、やめろと再三にわたって官邸サイドから言われた。
ー中略ー
今会うタイミングじゃないという話だったのに、どうしてもやりたいと、大臣の熱烈な希望によって、ではもう最低非公式だという話に、どうやらなったようなんであります。
はい。
政府・官邸側は最初は制止してましたが、最終的には「非公式ならやむを得ない」という判断がなされていたようですね。
決して「官邸の意向に反した」のでは無かった訳です。
ここは誤解を招きそうですね。
官邸側がやめろと言っていたということは、非公式会談を行うこと自体に否定的な議員もいることから可能性はあるものだと思いますが。
岩屋大臣が韓国の「指針」の撤回要請
哨戒機問題後初の韓日国防相会談…日本は謝罪の代わりに不満だけ話す(1) | Joongang Ilbo | 中央日報
哨戒機問題後初の韓日国防相会談…日本は謝罪の代わりに不満だけ話す(2) | Joongang Ilbo | 中央日報
岩屋防衛相はこの日の会談後に記者らと会い、「レーダー照射事案に対する日本の立場は昨年1月の最終の立場そのまま。真実はひとつしかない」と話した。当時日本は「危険な飛行はなく、むしろ哨戒機が威嚇を受けた」と主張した。岩屋防衛相はこの日の会談後に記者らと会い、「レーダー照射事案に対する日本の立場は昨年1月の最終の立場そのまま。真実はひとつしかない」と話した。当時日本は「危険な飛行はなく、むしろ哨戒機が威嚇を受けた」と主張した。
さらに日本はこの日の会談で韓国の新指針に言及し、事実上撤回を要請することもした。これは韓国軍当局が哨戒機問題後に偶発的な衝突を防止するために作った対応マニュアルを意味する。日本は「韓国が新指針を立てて海軍艦艇から3カイリ以内に入ってきた軍用機には射撃統制レーダーを利用した照射を警告することにした」と主張している。岩屋防衛相は「該当指針も会談議題とした」と話した。結果的に謝罪や遺憾表明どころか両国がそれぞれ言うべきことを言ったという意味だ。
韓国軍の「新指針」とは、「海軍艦艇から3カイリ以内に入ってきた軍用機には射撃統制レーダーを利用した照射を警告」することを内容とするものです。
これは常識からは在り得ないものなのですが、防衛省としてもこの指針について一度言及しておくべきだと考えたのでしょう。
日本のメディアはなぜかこの点を報道しません。
日米韓防衛相会談
3か国の閣僚は、その他の地域安全保障問題についても議論し、法の支配に基づく秩序の重要性について同意した。3か国の閣僚は、航行及び上空飛行の自由が確保されなければならず、全ての紛争は、国際法の原則に従って、平和的手段により解決されるべきであることを再確認した。加えて、3か国の閣僚は、地域における各国間の防衛に関係する信頼醸成が重要であるとの認識を共有するとともに、それらの努力を制度化するために協力を強化することにコミットした。
非公式会談を行った後に「紛争は国際法の原則に従って」ということを韓国を交えた中で 言及したことの意味は大きいでしょう。
「レーダー照射問題も国際法に則って考えろよ」
このように釘を刺したという意味があるでしょう。
しかも、アメリカもいますからね。
国際法の原則に照らすということは、自衛隊の哨戒機の飛行経路や高度などの飛行態様もまったく危険ではなかったということで、韓国側はこのコミットメントとの整合性を取らざるを得ない立場に追い込まれたとも言えるのではないでしょうか?
レーダー照射の防衛省資料:自衛隊機は国際民間航空条約の適用対象?
国際民間航空条約第二付属書へのリンクと航空機・艦船の安全について
まとめ
- 非公式会談は官邸の意向に反してはいない
- 岩屋大臣は韓国側の新たな主張に反論していた
- 日米韓防衛相会談では「国際法に則れ」という釘を刺していた
岩屋大臣が笑顔で握手していることをどう捉えるか?
「自衛隊員が危険に晒されたのにヘラヘラしやがって」と思うのか
「韓国側に真綿締めしてて暗黒微笑ですねぇ」と思うのか
たしかに身体の角度などを見ると不用意だったと思いますし、甚だ誤解を与える不注意な態度だと思います。
いずれにしても、岩屋大臣に対してまったく批判が無いよりも、ある程度の批判はあった方がいいと私は思いますので、この事案の評価は冷静に見極めるべきだと思いますね。
岩屋防衛大臣は罷免するべきか:韓国レーダー照射事件再発防止・「棚上げ」への対応
自民党部会で韓国側との非公式会談について岩屋防衛相批判:その行動の妥当性について
以上