上念司氏が、百田尚樹氏ツイートに「淡々とした事実で言うと曲解・切り取りで大本営発表するお方が」とリプライ。そこにさらに百田氏が引用リツイートしています。
- アメリカ大統領選挙の「不正」の存在と「選挙結果を覆すほどの不正」
- 百田尚樹『「バイデン8000万票は妥当」は事実?』
- 上念司「淡々とした事実で言うと、曲解切り取りで大本営発表するお方がいる」
- 上念司「曲解・切り取りは極左の手法、KAZUYAも指摘」
アメリカ大統領選挙の「不正」の存在と「選挙結果を覆すほどの不正」
「不正があった」と「選挙結果を覆す程の不正を現状、明らかに出来ていない」は両立します。これらを切り分けて論じる事が大事だと思っているのですが、事実を淡々と述べると感情的にガソリンをかけられるのが悲しいところです。 https://t.co/LQt3b21Oe3
— 上念 司 (@smith796000) 2020年12月8日
アメリカ大統領選挙に関して「不正」の存在を語ることと、「選挙結果を覆すほどの不正」 が不存在であるということを語ることは分けて考えましょうよと。
日本の公職選挙法もだいたい同じ考え方をします。
公職選挙法 ※一部読み替え後の文言
(選挙の無効の決定、裁決又は判決)
第二百五条 選挙の効力に関し異議の申出、審査の申立て又は訴訟の提起があつた場合において、選挙の規定に違反することがあるときは選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、当該選挙管理委員会又は裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は判決しなければならない。
「選挙の規定に違反することがあるとき」については判例があります。
最高裁判所第一小法廷判決 昭和27年12月4日 昭和27(オ)601
公職選挙法二〇五条にいわゆる「選挙の規定に違反することがあるとき」とは、主として、選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき又は直接かような明文の規定は存在しないが選挙法の基本理念たる選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指すものと解するを相当とする。
過去の裁判例を見ても、立候補妨害・立候補者氏名掲示の脱落・選管の違法によってそもそも投票できなかったような場合・投票できないはずの者が投票した場合・本来無効にすべき票が有効になった場合・偽造票の混入・票の抜き取り・投票立会人が監視できない状況が作出された、など、直接的に票数が変動するような場合が見つかります。
「選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合」については、票数の変動による結果の逆転の可能性を見ているようです。
これに対して、百田尚樹氏が反応しました。
百田尚樹『「バイデン8000万票は妥当」は事実?』
「事実を淡々と述べる」と言われているが、「パウエル弁護士は金目当て」「バイデン8000万票は妥当」「(選挙は)不正じゃない」「トランプ支持者はポツダム宣言後に徹底抗戦を叫んだ者と同じ」という発言は、淡々とした事実なのでしょうか? https://t.co/5o7jyYwjAx
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2020年12月8日
百田尚樹氏のツイートは、【ある時にある事項について「事実を淡々と述べると…」と発言したら、それ以外のあらゆる場面で事実そのものではない意見・評論をすることが許されなくなる】という価値観が前提にあるような書きぶりですが、これは不当でしょう。
この例示には「事実」に関する言及と「論評・評価」に関するものが混ざってます。
「パウエル弁護士は金目当て」⇒行動の「目的」「動機」に関する話で、それ自体は論評の要素が強い。後述するがパウエルのサイトの表示に言及しながらの発言なのでその部分は事実に関する言及。
「バイデン8000万票は妥当」⇒妥当か不当かどうかの価値判断の話なので、それ自体は論評だが、不正の有無にかかわってくるためその関連に限り事実についての言及。
「(選挙は)不正じゃない」⇒後述するが、不正の事実の存否に関しては事実に関する発言。法的な判断が出た後の選挙結果に対する「評価」だったら論評の話になるかもしれない。
「トランプ支持者はポツダム宣言後に徹底抗戦を叫んだ者と同じ」⇒それ自体は比喩表現なので論評。
実は、これらの文言は、一部で切り取りが為されています。
上念司「淡々とした事実で言うと、曲解切り取りで大本営発表するお方がいる」
淡々とした事実で言うと、微妙に曲解や切り取りをして、大本営発表するお方がいるので、内ゲバムードが止まないわけです。極左そっくりの卑怯な手を使いますね。
— 上念 司 (@smith796000) 2020年12月8日
上念氏は「淡々とした事実で言うと、微妙に曲解切り取りで大本営発表するお方がいる」と百田氏にリプライ。
「極左そっくりの卑怯」「内ゲバムード」は事実では無く評価文言ですが。あと「大本営発表」も評価が含まれています。
検証しました。
「パウエル弁護士は金目当て」⇒「商売でやってるの?と思った」と類似の趣旨の発言
12月2日の虎ノ門ニュースで45分くらいからの一連の発言。
パウエルのHPを見ると寄付を募る表示がうるさいことを指して「あれ?商売でやってるの?と思った」と発言しています。
パウエルのHPが何を指すか定かではないが、2つ考えられます。
Defending the Republic – Sidney Powell's Legal Defense Fund
ツイッターで警告が出ていたのはこのページのリンク。
これは寄付専用ページですが、このページ内にパウエル氏の著作に関するサイトへのリンクがあり、その遷移先の表示が以下。
タイミングによるが、"DONETE"=寄付を求めるポップが表示されます。
これをクリックすると先ほどの寄付ページに戻ります。
以下、同じページの下部の表示。
著作に関するページなので著作販売のための表示に違和感はありませんが、このページへのリンクを寄付サイトに貼るってのはまぁ、資金を集めようとしているのは確かですね。
Sidney Powell | Author of the Bestseller Licensed to Lie
こうしたことから「商売目的」ではないかと思ったというのは無理もないなと。
選挙不正に関する寄付を超えて、著作販売HPへのランディングページとして機能させてもいるのですから。
もちろん、それで得た収益を訴訟に費やすのであれば理解できますし、訴訟にお金がかかるのでそれに備えるという行為を全否定するつもりはありませんが、「ページのつくり」からの「外形的」な印象としては、そうなってしまっても仕方がないと思います。
「バイデン8000万票は妥当」⇒司法判断が出る前の暫定的真実に関して
大高未貴氏が「バイデンジャンプ」について言及した際には、「現時点では分からない」「トランプも同時刻にジャンプしていたとする指摘がある」と発言。
そのままの文言を発言したわけではありませんが司法判断が出るまでの暫定的な真実として「バイデン8000万票は(一応)妥当」との趣旨の発言があったのは事実です。
「(選挙は)不正じゃない」⇒暫定的真実+個別の不正行為ではなく大統領選挙の結果という大枠
56分くらいのところで、「どう見ても不正だとかっていうのを決めてしまうのは、いや、不正じゃないんですよ、アメリカの民主主義がバイデンを選んだのなら、それが民主主義の選択で」と発言してます
この発言中、或いは全体を通しての「不正がある・ない」という主張が指し示す時間軸が、「細かい単位の不正」なのか、「選挙結果という広い時間軸・幅を対象にしたもの」なのかが問題になります。
前後の発言を普通の注意でもって聞いたら後者の意味の理解になります。
番組外でも、以下の態度です。
ご返信ありがとうございます。
— 上念 司 (@smith796000) 2020年11月24日
「不正投票があったなら裁判に訴える権利がある」ということと「不正投票があったので選挙は無効だ」という主張の間に大きな隔たりがあることを十分理解しておりますが、念のため裁判の結果が出るまでは一応慎重な表現をとらせていただいておる次第です。
訂正
— 上念 司 (@smith796000) 2020年11月24日
×「不正投票があったなら裁判に訴える権利がある」
〇「不正投票があったと主張するなら、証拠を示して裁判に訴える権利がある」
もっとも、司法判断前に諸事情から不正はあった(だろう)と相当の論拠を示しつつ言うことも妨げられるべきではないが、それは論者のスタンスの問題で我々他人がどうこう言う話じゃないと思います。
SNSを見ていると、大高氏を応援する側からすると大高氏のスタンスを上念氏が否定しているように映っているようで、それが気に入らなかったのだろうということが伺えます。
「トランプ支持者はポツダム宣言後に徹底抗戦を叫んだ者と同じ」⇒「一部のトランプ応援団はこのままいくと…」
11月25日の回の16分くらいからの発言で「一部のトランプ応援団は」「このままいったら」「今そうなってるとは言いませんけど」と言っています。
現在時点の言動に対する評価ではないし、トランプを応援している者すべてを対象にしているわけではないということです。
上念司「曲解・切り取りは極左の手法、KAZUYAも指摘」
- 「パウエル弁護士は金目当て」⇒「商売でやってるの?と思った」と、類似の趣旨の発言
- 「バイデン8000万票は妥当」⇒司法判断が出る前の暫定的真実に関して
- 「(選挙は)不正じゃない」⇒暫定的真実+個別の不正行為ではなく大統領選挙の結果という大枠
- 「トランプ支持者はポツダム宣言後に徹底抗戦を叫んだ者と同じ」⇒仮定の状況における将来時点の評価
曲解や切り取り、どちらともとれる発言をして、それが支持者の中では事実となって攻撃に繋がるという点はKAZUYA氏が指摘していましたが、これは極左の手法そのもので絶対に常態化させてはいけません。勇気を出して指摘したKAZUYA氏を皆さん応援してください。 https://t.co/k0qB3frQKL
— 上念 司 (@smith796000) 2020年12月9日
訴訟の結果が出揃う前に、終局的な判断としてアメリカ大統領選挙を論じることには慎重になるべき、という態度だということです。
こういうものの検証って、自分自身でやると「手前味噌」「弁解がましい」「先入観が入る」などの印象を持たれてしまうことがあるので、第三者がやるのがいいと思いまして。
以上:役に立ったと思われたらシェア・はてなブックマーク・ブログ等での紹介等をして頂けると助かります。