事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

女性宮家創設は天皇陛下・上皇陛下の御意思・御意向なのか

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 「女性宮家創設が天皇陛下・上皇陛下の御意思である」 という言説が振り撒かれていた時期がありました。

そのようなことが示されたということはありませんので事実関係を整理します。

女性宮家創設は天皇陛下、上皇陛下の御意思・御意向なのか

女性宮家創設は天皇陛下の御意思なのかについては政府答弁があります。

「羽毛田宮内庁長官が女性宮家創設の方針」という報道

○有村治子君 民主党政権になってからのこの二年半、先ほども同僚の世耕議員が指摘されました、皇室に対する数々の非礼が報道されるたびに、私たち自由民主党は民主党に是正を申し入れてきました。
 先月から皇室制度に関する有識者ヒアリングが始まりましたが、皇室に対する尊敬の念、基本的知識すら、官房長官すら持たない方、そんな人たちが皇室制度をいじろうとしていることに国民の危惧が上がっています。
 そこで、宮内庁に伺います。昨年秋、宮内庁長官が、女性宮家創設によって皇族方の減少を食い止めることが喫緊の課題だと総理に伝えたことを読売新聞がスクープしています。一方で、週刊朝日は、長官がこれを否定する旨の記事が出されています。一体どちらが真実ですか。

当時の宮内庁長官である羽毛田信吾氏について、「長官は天皇陛下の意向を受けて発信している」という報道がこの時期、多くありました。

その中で、読売新聞が女性宮家創設が喫緊の課題であると報道しました。

読売新聞の報道内容を否定する週刊朝日の記事

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https://web.archive.org/web/20111127093758/http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111125-OYT1T00085.htm

読売新聞の上記記事はネット上では消されていますが、魚拓があります。

しかし、『週刊朝日』平成23年12月30日号の掲載記事の中で、岩井克己記者は「女性宮家は天皇陛下のご意向であることを、羽毛田長官が強く否定している」旨、明言しています。

さらに、風岡典之宮内庁次官も事実関係を否定しています。

風岡典之宮内庁次官、「陛下の意思」を完全否定

第180回国会 参議院予算委員会 6号 平成24年03月12日

○有村治子君 では、女性宮家創設は陛下の御意思なのですか
○政府参考人(風岡典之君) ただいま申し上げましたように、宮内庁としては特に具体策についてお願いをしているわけでございません。こういう現状の中で、課題がありますので、それについては政府の方で御検討をお願いしていると、こういうことでございます。
○有村治子君 答えになっていません。陛下の御意思かどうかを聞いています。
○政府参考人(風岡典之君) 陛下は、憲法上、国政に関する権能を有しないというお立場でございますので、制度的なことについては特に発言をしておりません。
○有村治子君 そのとおりです。女性宮家創設は陛下の御意思ではないということが国会答弁で明確になります。陛下の御意思ではありません。陛下の御意思という言葉がまことしやかに使われ、独り歩きすることのないよう、政府は引き続き真実に対して忠実であっていただきたいと思います。

このように国会答弁で明確に否定されましたので、騙されないようにしてください。

このような流言が出てくるほど、女系天皇とそれに繋がる形での女性宮家の創設を推し進める者が居るのだという現状を認識しなければなりません。

実は、それ以前も女性宮家創設に向けた動きがいくつもありました。

悠仁さまご誕生前の皇室典範に関する有識者会議

女性宮家の創設の話は、悠仁親王殿下がお生まれになる前の【皇室典範に関する有識者会議】に遡ります。「女性宮家」については検討の跡が無いが、女系天皇や女性天皇など、それに繋がる議論がなされています。

この会議が平成17年に出した報告書とその資料所々に女系天皇容認論への誘導が含まれており、悪質です。

女系天皇・女性天皇の議論は、当時は悠仁さまがお生まれになる前の話なのでやむを得ない面があったのは確かですが、それでも旧皇族の復帰等を優先的に検討しない理由にはなりません。

どうも、女系天皇を誕生させようと意図的に画策している者が居るようです。

参考:【女系天皇・女性天皇・女性宮家】皇室典範に関する有識者会議の報告書のデタラメぶり

民主党政権下の平成24年の皇室典範に関する有識者ヒアリング

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その後、女性宮家の創設が公に提唱されるようになったのが民主党政権下の平成24年の【皇室典範に関する有識者ヒアリング】です。

皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理では、皇位継承問題と皇族の減少問題を切り離し、後者の解決策として女性宮家の創設を検討するという方針が示されました。

これが【天皇の退位等に関する皇室典範特例法 法律第六十三号(平二九・六・一六)】(天皇の譲位について定めた法律)が成立するにあたって、衆参両議院においてなされた附帯決議につながります。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案:参議院

衆議院附帯決議(平成二九年六月一日)参議院附帯決議(平成二九年六月七日)

一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。

「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について」

というふうに、別々の問題として扱うことが文言としても表現されています。

「菅官房長官の意向」というフェイクも

こういった経緯、つまり法律の付帯決議に「女性宮家を議論する」と書いてあるため、現政権もむげには扱えないというだけの話であり(しかもこの付帯決議は野党側の要請だった)、現政権の誰かの思惑によって決まっているということではありません。

しかし、菅官房長官が女性宮家を推進しているというなどという言説がネット上で振りまかれるなど、この話は常に嘘情報が拡散されています。

今後もこの類の話が出てくる可能性が高いため、報道に飛びつくのはやめたほうがよいでしょうね。

以上