事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

マスコミ労組官邸前デモの欺瞞性

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2019年3月14日、菅官房長官の記者会見で『特定の記者の質問制限や妨害を行い、市民の「知る権利」を奪っている』と主張する抗議集会が首相官邸前で開かれました。

このデモなんかより、「中2女子」の署名運動の方がよっぽど立派です。

日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の主張

新聞労連(Japan Federation of Newspaper Workers' Unions)【3・14官邸前行動アピール文(案)魚拓はこちら

記者会見は、記者が、会見場に直接足を運ぶことができない市民に代わって、様々な角度から質問をぶつけ、為政者の見解を問いただすことによって、市民の「知る権利」を保障する場です。それにもかかわらず、記者の質問内容にまで政府見解の枠をはめようとする首相官邸の行為は、「取材の自由」や全ての市民の「知る権利」を奪うものであり、断じて容認することはできません。

抗議した集団は、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が主催する新聞、民放、出版の各労連などメディア関連の労働団体です。

善意解釈するに「事実と異なるか否かが不確定であったり評価の違いであったりする場合もあるのに、それが政府見解と違うからといって質問を萎縮させるな」と言っているようです。

それだけを聞くともっともなことだと思ってしまいますが、実際上はそういう例はほとんど無く、むしろ明らかな事実誤認を前提にした質問や、記者の意見主張とそれを前提にした質問がかなり見受けられるという事実があります。

東京新聞望月衣塑子記者の言動

「記者が自分の問題意識を表明してから質問することは欧米ではよくあること」と言われますが、東京新聞記者の場合はそういうものではありません。自己の見解を主張して、「そうではないのか?」と同意を求めるに過ぎないものなど、聞くに堪えません。

自社での取材の結果をぶつけているのではなく、「他社の週刊誌にこう書いてあったが」ということをベースに質問をしているなど、未熟な記者に時間を割り与えることで記者会見の質を落としているという側面があるのです。

官邸側の不手際も含めて網羅的に論じているのが江川紹子さんの以下の論稿でしょう。

【官邸vs東京新聞・望月記者】不毛なバトルの陰で危惧される「報道の自由」の後退 | ビジネスジャーナル

なお、記者の意見を前提にした質問の例としては以下の事案が代表的です。

記者の発言を全文書き起こしています。

記者クラブの閉鎖性を無視している南彰新聞労連委員長

などと言って以下の声明をリンクしています。

新聞労連:記者会見の全面開放宣言~記者クラブ改革へ踏み出そう~2010年3月4日魚拓はこちら

�記者クラブへの加入を阻んでいませんか?

 記者クラブへの加入に際し、「日本新聞協会加盟社の記者であること」「会員の推薦が必要」といった条件を設けるなどして門前払いをしていませんか? 雑誌やフリーランス、ネットメディア、海外メディアなどの取材者にも原則的にオープンでなければなりません。なお、記者クラブの幹事業務は平等負担が原則ですが、業務の完全遂行が難しい取材者の負担には配慮するよう努めましょう。

確かに、フリーランス等へオープンにしましょうと言っています。

ただ、これは2010年の話で未だに実現していませんし、実現に向けて動いている気配はまったくありません。

フリーランス記者の記者会見での扱い

この南氏の発言について、フリーランス記者の安積氏が以下指摘しています。

安積 明子 - 新聞労連ってウソつきなんですかね。過去にこんな声明を出していたんだったら、大手新聞社が加盟しているんだ... | Facebook

新聞労連ってウソつきなんですかね。過去にこんな声明を出していたんだったら、大手新聞社が加盟しているんだから、もっと大手新聞社の記者から会見開放の声があがってもいいと思うんですけどね。でも全然ありませんでしたよ。

これって、暴力と差別が蔓延している自治体が庁舎に「暴力と差別を許さない都市宣言」の垂れ幕を掲げるようなもんじゃないですか。

だいたい今の委員長だって、今回の件でオトモダチをかばうために「報道の自由」を使わざるを得なくなるまで、会見開放についてダンマリだったじゃないですか。

「報道の自由」を悪用するな!

これが大手新聞の記者の実態なのかと思ったら、あほらしいわ、本当に。

記者クラブの記者だけが国民の知る権利に資する報道の自由の担い手ではないのです。

フリーランス等は「質問」どころか「入場制限」

フリーランス記者やネットメディアは金曜日午後の会見しか参加できません。しかも、官房副長官に代打になった場合には参加予定であっても参加できなくなります。

質問どころか「入場制限」がかかっているのです。

安積さんも、菅官房長官に質問しても「仮定の質問にはお答えいたしかねます」と言われることがあります。しかし、それが「いじめ」だとか「妨害」だとか「質問制限」などと言うことは決してありません。

(2/3) 守りたいのは「報道の特権の自由」? 望月氏のため「立ち上がる」記者たちの陰にメディア間の「分断」 : J-CASTニュース

「内閣記者会加盟社の記者とフリーランスの記者では、記事の価値は同じはず。『報道の自由』と言いながら、今回の集会ではこの観点が全く抜け落ちている。報道の自由を享受するのは、記者ではなく国民であるはずなのに、会見に容易に参加できるクラブ加盟社記者の『お友達』を守る『報道の特権の自由』を主張しているに過ぎない」

「『表現の自由』を標ぼうして話を広げるにあたって、穴があったから取り繕っているにすぎない。南氏が、記者会見の開放について前向きな発言をしたことを(望月記者の事案が浮上するまでは)一度も聞いたことがない。都合がいいときだけ、われわれフリーランスを利用しないでほしい

「報道の自由」は、特定の記者の行動が自由かどうかで左右されるのではなく、フリーランスも含めた報道機関全体の風通しや記者会見の運用実態によって担保されるはずです。

まずは内閣記者クラブで記者会見の場を質の高いものにしていかなければならないはずが、それをやらないというのは国民の知る権利を軽視しているのと同じです。

望月記者のような冗長で無駄な言動を聞いている国民の身にもなってほしい。

当日のデモと主張内容

デモの様子などはこちらが報じています。

メディアが立ち上がる時 東京新聞・望月記者を守れ、と記者たちが叫んだ夜(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

望月記者のスピーチの文字起こしは以下を参照ください。

官邸前望月衣塑子さんスピーチ書き起こし | Hikaruの井戸端放送局

ここでは南記者が言うような「フリーランスも含めたオープンな記者会見」という要素は微塵も見当たりません。

ひたすら身内の東京新聞の望月衣塑子氏の特定事案について抗議しているだけです。

そこから「記者全体の問題でもある」と強弁していますが、無理です。明らかに特定記者の個人的な問題です。

中2女子ですら、「記者会見をオープンにするように」ということを署名で訴えていたにもかかわらずです。彼女の思いはここでも無視されています。

マスコミ労組官邸前デモの欺瞞性

※尖閣諸島での中国漁船衝突事件の際、時の政権(民主党)は事実を隠ぺいしていました。マスメディアも何もしていなかったので、海上保安官だった一色正春さんが映像投稿をしました。その咎で免職の懲戒処分を受け、辞職願いを出して辞職となりました。

マスコミ労組は政府に文句を言う前にまずは記者クラブ内の秩序を保つべきでしょう。

「質問制限」と言いますが、時間の都合上、他社の記者も質問は1,2問しかできません。本当に制限するつもりなら望月記者を指名しないという方法もあるのに、ずっと菅官房長官は指名を続けています。

そして、「報道の自由」を標ぼうしながら記者会見を記者クラブが独占している状態について、どう思っているのでしょうか?過去にそういった構造をオープンにしようと言っていた新聞労連の『有言不実行』はどうするつもりなのでしょうか?

ネットで署名運動を行った中2女子が訴えた「フリーランス等にとってもオープンな記者会見」にまったく触れないことから、「報道の自由」を軽視しているのはいったいどちらでしょうか?と思うのです。

以上