韓国政府が慰安婦財団の解散を発表しました。
慰安婦問題に関する日韓合意の履行を事実上放棄する動きでしょう。
日韓慰安婦合意の内容
平成27年12月28日の日韓外相会談において「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行う」として日本からは10億円が拠出されていました。
また、韓国側にも努力義務が課せられており、その内容は以下です。
イ 韓国政府は,日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し,公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し,韓国政府としても,可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて,適切に解決されるよう努力する。
在韓日本大使館前の虚偽の少女像は、未だに撤去されていません。
この状況は、外交関係に関するウィーン条約に反しています。
第二十二条 省略
2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
虚偽の事実に基づく少女像の設置状態は「公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害」に該当するでしょう。
慰安婦財団の解散と日韓合意
慰安婦財団の解散は日韓合意の精神にそぐわないと河野大臣が言いますが、日本から拠出された10億円が適切に使われていたのか疑問です。
この解散と虚偽の少女像の扱いの関係は不明です。
イ・スフン駐日大使は「韓国として日韓合意を破棄することはなく、再交渉を求めることもない」としています。
しかし、ムンジェイン大統領は慰安婦問題を「外交で解決される問題ではない」と主張していたことから、その扱いを有耶無耶にする目的があるのではないかという疑念が拭いきれません。
日韓合意と条約法に関するウィーン条約
日本も韓国も、条約法に関するウィーン条約(条約法条約)の締約国です。
第二十六条では、「合意は守られなければならない」と規定されています。
しかし、第二条1項には以下の文言があります。
『この条約の適用上、 (a)「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意(単一の文書によるものであるか関連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名称のいかんを問わない。)をいう。』
日韓合意は、文書の形式によって締結されたものではありません。
したがって、条約法条約の適用対象ではありません。
条約法条約は「文書の形式」だが
しかし、「合意を守らなければならない」というのは当たり前のことであって、条約法条約の適用が無いから合意を守らなくても良い、ということにはなりません。
条約法条約が「文書の形式」に法的拘束力を認めているのは、公式文書がその内容の事実を示す「証拠」として確立した地位を得ていたからです。
本質的に考えると、証拠として機能しさえすればよいのですから「動画」でも良い。
そうすると、日韓合意を共同記者会見という形式で世界に発信した以上、日韓双方に合意を順守する法的義務が発生していると言えます。
韓国は合意を守らない
「徴用工」問題(今般問題になっている者は単なる応募者)では、文書の形式での合意であったにもかかわらず合意を守らないという態度を見せています。
そんな国家が日韓合意を守ると思うのはあまりに楽観的だと思います。
以上