事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

髙岸聡子「特定団体のみ優遇するような記述避けるべき」「出所が明らかでない苦情は削除すべき」第五回困難女性支援基本方針有識者会議とパブリックコメント

衝撃の事実と的確なツッコミ

第五回困難女性支援基本方針有識者会議

困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議|厚生労働省

困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議(第5回)

困難女性支援法の下位法令を決めるための困難女性支援基本方針有識者会議。

1月16日に開催された第五回目の資料で注目すべきものがありました。

髙岸聡子による基本方針案の修正案とその理由

基本方針案に対してどの部分をどのように修正すべきか、という点について構成員らが言及してきましたが、第五回では近藤恵子、髙岸聡子、両氏の資料がUPされました。

中でも、婦人相談所長全国連絡会議の会長である髙岸聡子氏が指摘されていることが悉くクリティカルであるため、紹介します。

本稿では「理由」だけ取り上げますが、資料では修正案も併記されています。

たとえば、「女性への支援に取り組む民間団体も現れてきているが、活動への公的支援が十分でなく」という基本方針案に対しては…

女性支援の分野に限らず、法に基づかない多くの事業が民間団体によって実施されており、これらについて必ずしも公的支援は行われていない。公的事業ではない以上、公的支援がないことは当然のことであり、「活動への公的支援が十分ではない」という指摘を行うことは適当ではない。

この方針案と指摘から分かるように、方針案は「民間団体に公金を注ぎ込むのが当たり前」「NPOや一般社団法人の面倒を行政が見てくれるのが当たり前」という傲慢な態度で満ち満ちています。

続いて、「法の施行にあたっては、配偶者暴力防止法と法の関係性を整理した上で、例えば、必要に応じて近隣自治体とも連携しつつ、配偶者暴力被害者をはじめとする所在地の秘匿性の必要性が高い場合と、地域に開かれた社会生活等が重要である場合とに対象を分けた上で、それぞれの支援に特化した施設の設置等それぞれの課題を踏まえた対応策や支援のあり方の検討に努める必要がある。」という方針案に対しては…

他の自治体と役割分担して特化した施設を設置することが例示されているが、他都道府県への施設入所を前提とすることは対象者本人の居住地を制約することにもつながり望ましくないため、修正してほしい

この指摘は法律や従前の議論を把握していると納得します。

まず、困難女性支援法では支援対象者に「最適な支援を行うものとする」という規定ぶりとなっています。「最適な」という表現は全法体系上この法律のみの文言です。

つまり、「一般の障害者や自殺未遂者よりも手厚く保護しろ」ということになりかねないわけです。実際、支援方法について過剰な要求が為される危険が法律レベルで見られます。

その上で従前の有識者会議の議論では、対象者に対してより適切な支援を行える施設へ移すことにつき、自治体を跨ぐような場合も柔軟に認めるべきだと言われていました

「その者に特化した最適な支援が行える施設」という理解になってしまうと、選択肢が狭まってしまうだろう、ということが言えるわけです。

髙岸「特定団体のみ優遇するような記述避けるべき」

そして出て来るのが「特定団体のみ優遇するような記述避けるべき」という指摘。

「性暴力や性的虐待、性的搾取等の構造に再度取り込まれないように支援を行う意向のある民間団体」という限定された方針(追記部分)に対して、真っ向から反論し、「追記を全削除すべき」とまで言い切っています。

困難女性支援法とその下位法令からなる支援事業が、特定の界隈の団体らによって牛耳られる危険=ネオ同和利権のようになりかねないということは従前から多くの者が指摘してきましたが、有識者会議の構成員も、そのような「臭い」を嗅ぎ取っているのかもしれません。

村木厚子氏と縁が深い、若草プロジェクト・BONDプロジェクト・ぱっぷす・Colaboの理事らが様々な会議体に登場し、多数の枠組みから巨額の補助金・助成金を受け取っていることなども、暇空茜氏らによって指摘されてきました。

「特定団体優遇の記述はするな」というツッコミは、複数個所で見られます。

髙岸構成員「出所が明らかでない苦情は削除すべき」

さらに、髙岸構成員からは衝撃の指摘が入っています。

出所が明らかにされていない苦情であり、そのまま基本方針に列挙することに違和感があり削除していただきたい

これは「例えば、①いったん一時保護しなければ心身の安全が確保されないおそれがあるが、かつて通知で掲げられていた「他法他施策優先」として、他施策への調整までの間も一時保護が行われない、②一時保護所の退所後の見通しが立っていないと一時保護が行われない、③本人の希望や意思のできる限りの尊重を行わずに、希望や意思に反する条件提示を行う等により本人が同意しない状況に至る等、必要な場合であっても一時保護が行われない場合があった旨の指摘があることに十分留意し」という方針案の記述に対してです。

これらのような記述は他の資料でもみられ、確定事実だと思っていましたが、まさか不確定な情報だったとは思いもよりませんでした。

③の「希望や意思に反する条件提示を行う等により本人が同意しない状況に至る」は、有り得そうな話ではありますが、入所にあたって対象者の希望に沿わない各種の制限が生じるのは当然のことであり、その事について事前説明をするのは義務です。

あとで騙すわけにはいかないのですから。

誰かさんに事前に「教育」を受けた者がめちゃくちゃ高飛車な希望を述べてくる】ということがあった場合、どうするのでしょうか?なし崩し的に施設側が奴隷のような扱いを強いられることになりますよね?

ネオ同和利権の懸念」が、ここでもみられるわけです。

異常な記述に満ち溢れている困難女性支援基本方針案:パブリックコメントは最短で1月20日から

髙岸構成員の指摘する困難女性支援基本方針案の異常な点はこれだけではありません。あまりにも多すぎてひとつのエントリで述べることは避けます。

さて、第五回の有識者会議の休憩前に話された内容によると、本件のパブリックコメントは最短で1月20日からのようです。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTLIST&Mode=0

髙岸構成員の視点は、みなさんのパブリックコメントにも活きてくるはずです。

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