事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

厚生労働省は新型コロナ感染者の外国籍者数を把握できていなかったのか

 

やはり厚生労働省は新型コロナ感染者の外国籍者数を把握していなかった疑惑が出てきました。

新型コロナ感染者の外国籍者数を把握してない自治体も

長島議員から、厚労省のHPにある新型コロナウイルスの感染者の日本国籍者と外国籍者に関して『国籍を確認している自治体とそうでない(そこまで手が回らない)自治体があり、未確認を全て「国籍確認中」と記載している』という報告がありました。

『「国籍確認中」という表現は誤解を生んでいる』というツイートを合わせて理解すると、どうも、国籍確認のために時間がかかっているのではなく、そもそも国籍確認を業務として扱っていない、という指摘に読めます。

これは従来の説明と少し異なっており、不信感を持たざるを得ません。

「国籍確認に時間がかかっている」という説明だった

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3月中旬まで、厚労省は外国籍者の確定数を明示していませんでした。

詳細1:厚労省は日本の新型コロナウイルスの外国人感染者を誤魔化している

詳細2:厚生労働省が新型コロナ感染者の外国籍者数を公開

その内実として「日本国籍者以外の者は大半が国籍確認中の者」「PCR検査は匿名化しているので、感染が分かったら自治体を経由して国籍等の報告が来る」「国籍確認のために時間がかかっている」と言われていました。

で、 私も自治体から直接上がってくる報告書を数日分、全部見てみました。

すると、半数は国籍を報告していないが、半数は報告していました。

その半数の自治体報告中では、外国籍者はせいぜい1日に数人であり、通常は0人の日が多いということから、厚労省が外国人の数字を公開したあとも、概ねそのような数字で正しいと考えていました。

外国籍か否かの有無を最初の報告書に記載していない自治体も、後に判明次第まとめて厚労省に報告していると思っていました(公表していないだけと思っていた)。

しかし、そもそも国籍を把握していない自治体があるとは思いもよりませんでした。

国籍確認にかかる日数がどんどん延びている

ちょっと気になる点が。

厚労省の説明では国籍確認中の者の大半は日本国籍者であるということでしたので、これと同等の感染者数であった日を遡ってみることで、国籍確認のために要する日数が分かります。

4月頭までは、これは3~4営業日でした。

しかし、21日の場合には10日まで遡ります。実に8営業日、11日もかかっています。

4月は転出入が多いことや、最近の感染者数の増加のために確認に時間がかかっているということから、ある程度は仕方がないと思っていたのですが、これは不審に思わざるを得ません。

欧米人の死亡率が異常に高いのは基礎疾患が多いからという指摘

「なぜ外国籍か否かに拘っているのか?」

こう思う人も居ると思いますが、それは「感染源の把握」のためと「後学のために情報を取っておかないとダメだろう」という2方向の可能性から、データを取るべきだと考えているからです。

前者の視点は、2月頭までは中国人の観光客の感染者とその濃厚接触者の感染が中心であったので意義があるものでした。日本国内で感染拡大し欧米からの持ち込みが増えた3月中旬以降にはあまり意味を成さなくなってきた面もありますが、感染者が少ない自治体ではなお意義のある報告です。実際、仙台市は英国パブのクラスターが発生しました。

後者の視点は、前々から注目されていた通り、欧米人は肥満などの基礎疾患持ちが多いので重症化しやすい・死亡率が高くなっているのではないか、ということが数字でも表れてきました。

新型コロナウイルスは、いかに感染し、そして重症化するのか? そのメカニズムが研究で明らかになってきた|WIRED.jp

・若者を含む肥満の人たち
ところが、英国と米国での感染が広まっていくうちに、比較的若い患者の重症化も報告されるようになってきた。両国の医師たちによると、集中治療室(ICU)に運ばれる患者はたいてい肥満の男性だという。

これまでの研究では、肥満は糖尿病、高血圧、心疾患などの病気を併発しやすいことがわかっている。世界各国の肥満率を見ると、中国は6.2パーセント、イタリアは19.9パーセント、英国は27.8パーセント、米国は36.2パーセントとなっている。ちなみに日本の肥満率は4.3パーセントである。

英国の大学の調べによると、73パーセントの(集中治療室に運ばれた)重症化患者は男性で、73.4パーセントが肥満だったと伝えられている。また一部報道によると人工呼吸器を付けている50歳未満の患者の90パーセントは肥満」だという。この性差とBMI(体格指数)は特筆すべきものだ。

「このウイルスは恐ろしいもので、若者、特に肥満の若者を襲う可能性があります。太りすぎの人は本当に注意する必要があります」と、フランスの免疫学者ジャン=フランソワ・デルフラッシー教授は言う。「肥満の問題がよく知られている米国が心配です。おそらく肥満のせいで最も大きな問題を抱えることになるでしょうから」

ということで、長島議員のツイートからは「そもそも国籍確認を業務として扱っていない自治体がある」としか読めないので、そうであれば社会的な損失だと思うのです。

以上