事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

新井祥子議員のリコール・除名処分の理由と草津町議会の対応まとめ

 

草津町新井祥子議員のリコールと黒岩町長との肉体関係

草津温泉 漆黒の闇 5 飯塚玲児

住民投票によってリコールされた草津町議会議員の新井祥子氏をめぐる騒動について。

除名処分・リコール実施時期は裁判の結果が出るまで待つべきだったか?⇒NO

これを結論として先出ししておきます。

この話の4月までの経緯は⇒令和2年4月3日 臨時号

新井祥子議員のリコール・除名処分騒動の重要な事実

群馬県草津町の新井祥子議員のリコール・除名処分騒動の重要な事実を指摘すると

  1. 発端は、あるライターの著書内に「2015に町長と町長室内で肉体関係を持った」とする新井議員の発言の記述があったこと⇒著者は裏どり取材無し
  2. 新井祥子議員は黒岩町長に民事訴訟提起・刑事告訴のいずれも行っていない(「告発」という言葉が使われているが日常用語の意味で、刑事告発はしていない)
  3. 議会多数決による除名処分や住民投票によるリコールとなった理由は「肉体関係発言」だけじゃない

これらの事実を把握しないで草津町民の民意を蔑ろにする者が多いです。

新井議員はメディアへの記者会見では「性被害」を受けたかのように振る舞っていましたが、発端となる著書における記述は、「肉体関係」を持ったことを「性被害」とは捉えていません。

参考:茶番劇? 新井祥子元議員「町長室で気持ちが通じた時には本当に嬉しかった」 | 令和電子瓦版

そのせいか、記者会見動画はネット上から軒並み消されています。

「肉体関係の有無」はメディアのエンタメで強調

「新井議員と町長の町長室内での肉体関係=性交渉の有無」という争点

これはメディアがエンタメとして消費させるために強調されてるにすぎません。

実際に除名処分・リコールの理由とされている内容は、その旨の発言が新井議員からあった、ということ以外にも渡っており、「町長-新井議員」の関係に収まらない問題=草津町の風評被害の問題になっています。

そのため、ここでは肉体関係があったか無かったか、という点は極力無視して、除名処分やリコール請求の手続上の問題について書いていきます。

2019年12月新井祥子議員の除名処分の理由(背景)

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Harmony(草津町議会だより) | 草津町

2020年 ハーモニー151号

2019年12月2日になされた新井祥子議員の除名処分の動議の提出理由ですが、「肉体関係発言」と「時間湯問題に関する町長の姿勢を正したかったため、との記述」というもののみが記述されています。

これは当日の議場でそのまま読み上げられました。

令和元年第6回草津町議会定例会|再開、懲罰動議、懲罰委員長報告、質疑・討論・採決

ただ、「時間湯~」に関する部分は、新井議員としては真実ではないとして、上毛新聞と読売新聞に撤回の申し入れをしていると議場で発言し、「時間湯問題のために肉体関係発言をした」というストーリーを否定している趣旨と聞こえる対応でした。

「何人もの女性が同じ被害に遭っている」発言なども

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町長室内での肉体関係を持った発言が直接の除名処分理由とされているのが分かります。これに加え、除名処分に至った「経緯」として、以下書かれています。

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  1. 「私以外に何人もの女性が被害に遭っている」と根拠無く発言
  2. 新井議員は「町長室の模様替えによって証拠隠滅を図った」と発言するも、模様替えの事実を示す証拠の提示が全く無い⇒これは明確な虚偽
  3. 問題著書の作者から刊行前に群馬県知事にメールで本巻の刊行取り下げと引き換えに黒岩町長に時間湯復活の提言をして欲しいと送信⇒政治的取引の道具として利用している事を示唆する事情

結局、この除名処分は、2020年2月に執行停止、その後、草津町出身の山本一太群馬県知事のもと、群馬県自治紛争処理委員によって取消しの決定がなされています。

この際の判断経過は非公開となっているため、その是非を判定することができません。

リコール請求の理由には「町の女性を貶める発言」も

今回の投票に関する請求代表者の「請求の要旨」、草津町議会議員新井祥子氏の「弁明の要旨」について | 草津町

リコール請求は発起人を草津町議会の議長でもある黒岩卓氏として署名活動がなされ、有権者の3分の1以上の署名を得たのちに、新井議員の解職請求の住民投票が行われ、12月6日にリコール成立となりました。

結果は投票数の90%以上が賛成でした。

草津町議会議員新井祥子解職投票 開票速報【確定】(20時40分現在): 草津町選挙管理委員会事務局

その解職請求の要旨が公開されています。

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そこでは、問題の図書内において新井議員の発言として「この町では女性はまるで"モノ扱い"です…」という発言があることが、町の女性を貶める発言であるとして取り上げられています。

その他、「模様替え」に関する虚偽発言に加え、「届け出住所の居住実態の不存在」という、被選挙権の根拠を崩すような事実も付せられています。

これらは除名処分の際とは異なり、直接の理由として記載されています。

これに対して、新井議員の弁明書もありますが…

 

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指摘された事項に対する反論にまったくなっておらず、文章の形式すら整っておらず、それ自体が町議としての適格性に疑問符が付かざるを得ない代物になっています。

こうしたことからリコールをするべきだという草津町の住民の民意が出たのでしょう。

それを否定したい弁護士も居るようですが、民主主義を何だと思ってるんでしょう。

もっとも、その過程や手続については後述するように問題提起は可能です。

「裁判結果が出てから除名処分やリコールをするべきでは」に対する反論

さて、「裁判結果が出てから除名処分やリコールをするべきでは?

という主張をする人が見られますが、私は、これは不当だと思います。

  1. 新井議員から問題提起したのに当の新井議員が民事・刑事両方の訴訟をする気が無く、黒岩町長が名誉毀損罪で刑事告訴しているだけ
  2. 訴訟における事実認定と議会における事実認定とで使える「証拠」が異なり得るため、議会の自律的判断を示すこと自体に実質的な不都合は無く、法律上も制限が無い
  3. 住民によるリコールの判断に必要な情報は報道や公開の議事に現れた内容からでも十分
  4. 「肉体関係の有無」以外の理由でも除名処分やリコールがなされており、その事実は容易に確認できる上、町長-新井議員の肉体関係の有無に関する訴訟で判明するような性質のものではない
  5. 町の風評にも影響する事案であり、一部メディアがジェンダー(?)の視点で好き勝手書いてるため、町民の利益のためにも一刻も早く決着を付けたいという考えがあったとしても正当
  6. 訴訟の経過中に任期を迎えることもあるという一般的事情から、実効性ある対応をする必要もあり得るため

除名処分・リコール請求の問題点まとめ

とはいえ、細かい点で疑問もありますのでまとめて記述します。

除名処分時に議会として正式な事実認定をしていない

除名処分時には「肉体関係発言」を理由にしていますが、議会としての正式な事実認定の手続を取っておらず、「明らかな虚偽」であるという前提のまま処分していたのは、手続的に拙速だったと思います。

そもそも「肉体関係発言」は除名に値する?

除名処分時の「理由」には「肉体関係発言」のみが挙げられていることは先ほど見ましたが、「虚偽の発言をした」としても、それだけで選挙結果を0にする効果を与えてよいのか、肉体関係発言が「破廉恥」だとして、それだけで住民の選挙による当選の結果を覆す効果を発動させてよいものか?

この点、「経緯」として説明された内容や、リコールの際に追加された内容も理由に含めていれば、実質的に除名に値すると判断された可能性が高いのではないでしょうか?

国会の話ですが、過去に3件、懲罰委員会で除名相当の議決がなされ、衆参1名ずつが除名処分となったことがあります。具体的には…

  1. 懲罰委員会で決められた懲罰である陳謝を実施しなかったこと
  2. 会議の基本原則を無視して議題に対する意思を不明確にして混乱を招いた

いずれも昭和25,26年の話であり、現在では国民の意思によって選ばれた身分として尊重される扱いが定着しているので、2番のような場合には除名とはされないとは思うものの、新井議員の何ら証拠を提出しない態度(できないであろう)からすると、除名となっても仕方がないのではとも思います。

野党6党による国会審議の空転は単なる審議拒否・日程闘争ではない懲罰か刑罰を - 事実を整える

リコール請求の発起人が議会議長から行われていることと住民自治

リコール請求の発起人が議会議長というのが外形的に見栄えが悪いと思います。

外野がとやかく言う事は慎重にならなければならないのですが、住民からの要請で黒岩卓氏が発起人となったなら実質面では良いとは思うが、除名処分取消しを潜脱するためにリコールという手段が使われたのでは?と思われる危険があるなと。

もっとも、リコール請求の署名や住民投票は住民の意思が反映されているし、議長も住民の一人なわけで、議会・行政が主導したとして住民自治が損なわれているとは言えないのではないかとも思います。

理想は議会・行政に属さない純粋な住民からの発案であるべきなんでしょうけれども。

新井議員のリコールを求める内容のポスターを公共施設で掲示したこと

これはちょっとよく分かりません。

請求代表者側から使用許可を求めて町が許可したなら一応法的な問題は無く、価値判断の問題でしょうか。

町長の基本的人権の侵害=名誉毀損の可能性は考えてる?

この話で「肉体関係」について極力触れて来なかったのは、メディアの論点設定に引きずられる言論空間は馬鹿らしいからです。

ただ、草津町を攻撃している連中、「#草津温泉にはいかない」などのハッシュタグで騒いでる連中は、黒岩信忠の人権=名誉が違法に侵害されている可能性をどう思っているのだろうか?

人権を守れと言いながら、人権に無配慮で、さらには草津町という町の風評すら貶めることに加担しないようにしたいものです。

草津町・草津温泉の名誉と町民利益

本当にこの指摘に尽きます。

肉体関係の事実があったとして、何だというんでしょうか? 

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