共同通信「日本、中国批判声明に参加拒否 」の報道の事実誤認
青山繁晴議員「共同の記事だけでもおかしい」
香港をめぐる虚報について その1|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road(魚拓)
▼そこで、まずは読んでいないひとも、すでに読んでいるひとも、誰でも読めるYahooニュースなどを使って、記事の全文を読んでください。
お願いしたいのは、最初のクレジットから文末まで、きちんとすべて読んでいただくことです。そう長い記事ではありませんから。▼なぜ、そのように申すかと言うと、この記事を読んだだけで、経緯、すなわち香港を圧迫する中国に対峙することにおいて日本政府と英国などとの間に実際に何が起きたかの経緯をご存じなくとも、おかしな点が幾つもあることに気づかれるはずだからです。
なるほど。
ということで、私自身で検討してみました。
このエントリの続きで解き明かしていくつもりのようですが、サーバーエラーが続き、本人もなかなか書き込みが進んでいないようです。
https://shiaoyama.com/essay/detail.php?id=1854
こちらの続きのエントリでは、「ワシントン共同」とあることからアメリカ国内の情報に基づいて書かれた疑惑が高く、しかしこの問題は日本政府にも確認を取らなければならないところそういう形跡はない、と指摘しています。
共同通信記事の異常な現状認識
日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も | 共同通信(魚拓)
【ワシントン共同】香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していたことが6日分かった。複数の関係国当局者が明らかにした。中国と関係改善を目指す日本側は欧米諸国に追随しないことで配慮を示したが、米国など関係国の間では日本の対応に失望の声が出ている。
新型コロナの感染拡大などで当面見合わせとなった中国の習近平国家主席の国賓訪日実現に向け、中国を過度に刺激するのを回避する狙いがあるとみられる。ただ香港を巡り欧米各国が中国との対立を深める中、日本の決断は欧米諸国との亀裂を生む恐れがある。
私が気づいた限りで、ということになりますが、この共同通信記事の異常な現状認識として以下の点がおかしいと思います。
- 日本は欧米諸国に追随しないことでチャイナに配慮を示した
- 習近平国賓来日の実現に向けて、過度に刺激するのを回避
日本は5月28日に「深い懸念」を示していた
秋葉剛男外務事務次官から孔鉉佑駐日中国大使への申入れ|外務省
1 5月28日,秋葉剛男外務事務次官は,孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日中国特命全権大使を召致し,以下を申し入れました。
(1)我が国は,今般,全国人民代表大会において,香港特別行政区に関する議決が,国際社会や香港市民が強く懸念する中でなされたこと及びそれに関連する香港の情勢を深く憂慮していること。
(2)香港は,我が国にとって緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーであり,「一国二制度」の下に,従来の自由で開かれた体制が維持され,民主的,安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した方針であること。
2 これに対し,孔大使から,本件は中国の国家安全に関わる事項である等,中国側の立場を述べたことを受け,秋葉次官から改めて我が国の懸念を伝達しつつ,中国側の適切な対応を求めました。
日本は5月28日に「深い懸念」を示していました。
その後、EUやファイブアイズ諸国のうちニュージーランド以外の4カ国=アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアが非難声明を出しています。
Declaración del Alto Representante en nombre de la Unión Europea sobre Hong Kong - Consilium
Joint Statement on Hong Kong - United States Department of State
また、ファイブアイズの声明に入らないことで「チャイナに配慮を示した」と言えるためには、事前にチャイナ側が「ファイブアイズの声明に参加する候補国として日本が対象に入っていたこと」を知らなければならない上に、「そのチャイナの認識を日本側が知っていた」ことが必要です。そうでなければ伝わりませんから。
しかし、これまで欧米圏含め、そのような報道は一切ありませんでした。
ならば、どうやってチャイナ側はそのような動きを知るべき立場にあったのでしょうか?こんな話が他国政府に筒抜けというのはおかしい。日本がファイブアイズから制裁を喰らいかねません。
よって、「日本は欧米諸国に追随しないことでチャイナに配慮を示した」というのは無理筋ではないでしょうか。その内容が十分かはともかく、日本側から一応は非難しているのです。
茂木外務大臣は来日条件を厳しいものにすると表明
BSフジのプライムニュースでは茂木外務大臣が習近平国賓待遇での来日について述べています。
要するに「G7等で中国が譲歩せざるを得ないような国際社会の共通認識を作り、それに基づいた日本の要求に中国が応じるかどうか」が問題ですよね、そこが事前の日中間の協議ですよと、嫌なら中国の習近平側から断ってこい、という話なのです。
- チャイナ側が譲歩せざるを得ない状況にして来日させる
- それが嫌なら来なくてもいいよ
こういう状況を作ろうという攻めの姿勢なわけです。
使う言葉はまったく刺激的ではないですが、「事実上の来日反対」と評価することも可能でしょう。
これをやっているのにファイブアイズの声明に乗っかったところで「過度に刺激するのを回避」というのはおかしいのではないでしょうか?
以上